「【今作は実際に在った災害に着想を得た山火事映画であり、短尺故のストーリー展開の速さが逆に炎から逃げる家族の姿をスリリングさを増して描き出している作品なのである。】」バーニング・マウンテン 紅蓮の脱出行 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は実際に在った災害に着想を得た山火事映画であり、短尺故のストーリー展開の速さが逆に炎から逃げる家族の姿をスリリングさを増して描き出している作品なのである。】
ー 森林火災映画と言えば、個人的には実際に在った”ヤーネルヒルル火災”に立ち向かう森林消防隊の姿を、ジョシュ・ブローリン&マイルズ・テラーのW主演で描いた「オンリー・ザ・ブレイブ」である。それまで米国で大規模森林火災が多発している事は知ってはいたが、今作でその恐ろしさや深刻な環境問題を、パンフレットを買い知ったモノである。
今作もエンドロールでテロップで流れるが、多くの森林火災に遭った人達を励まし、世界で頻発する森林火災に対する警告を発している作品なのである。-
■カリフォルニア。
静かな山奥のトレーラーハウスで暮らすラフリン一家の近所で山火事が発生する。最初は渓谷を挟んだ地で発生した事から、落ち着いていた一家であったが、飛び火によりあっと言う間に炎が近づく中、車で逃げ出すのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・最初は、ラフリン一家の長である建築会社社長のデーブ(ピーター・ファシネリ)、妊娠八カ月の妻サラ(フィオナ・ドゥーリフ)、しっかり者の長男クレイ(アッシャー・エンジェル)、そしてタバコの吸い過ぎで肺を病んでいるデーブの頑固な父ジョージ(ランス・ヘンリクセン!!)の家族関係が描かれる。
ジョージは咳き込みながら、サラに対し悪態を尽きつつ、デーブが幼い頃に共に行ったチルトン湖の写真を出し、その傍に亡き妻と住むために土地を買ってあることを告げるのである。
何故に、このシーンが描かれるのか最初は分からないが、これが再後半のシーンに効いてくるのである。
■今作は、どのように撮影したのか分からないが、山火事の炎が物凄いスピードで宙を舞い、地を這い広がるシーンの臨場感が凄いのである。
更に言えば、彼らが助けを求める911の女性オペレーターの存在の描き方も良いのである。彼女自身パニックになりそうになりながらも、冷静に対処する姿。
・デーブの車が故障し、更に逃げ込んだ家にも炎が迫る中、徒歩で逃げ出す一家。ジョージは早々に、事故のショックで亡くなっている。そして辿り着いたチルトン湖でボートに逃げるも、今度はサラが産気付くのである。
正に怒涛の展開である。だが、息子のクレイの冷静な対応が光るのである。
・そして、一家は森林消防隊に助け出され、病院で安堵するのである。クレイはキチンと911の女性オペレーターに電話でお礼を述べ、オペレーターも安堵の涙を流すのである。
<今作は実際に在った災害に着想を得た山火事映画であり、短尺故のストーリー展開の速さが逆に炎から逃げる家族の姿をスリリングさを増して描き出している作品なのである。>
