「賛否別れるかも」憐れみの3章 ばるっちさんの映画レビュー(感想・評価)
賛否別れるかも
映像や手法は凄く真っ当で王道の映画で格好よく魅力に溢れた画面作り。
だけど、3章共同じ俳優さんが演じてる事が人によっては混乱と面白さの評価が別れる気がする。
恐怖と笑いが紙一重のように、笑って良いのか怖いのか、迷うだろう。自分は2章の途中から恐怖と狂気を感じ、2章の途中からエンドロールがとても怖かった。
ハリウッドの演技力ってもの凄いんだなって改めて思い知らされた。
終演後パンフレットを見てほとんど同じ俳優さんだった事に驚いた。
髪型を変え、髭を蓄え、眼鏡をかけたり服装、演技を変える事で全く違う人に見える。メインキャストの3人だけじゃなく、周りも三役演じている。それが連続して上映されるわけだから、混乱するなと言う方が難しい。
R.M.Fだけ同じ人でも良かったのかも知れない。だけど、それを同じキャストでやってのけた俳優の皆さんに敬意をはらいたい。
パンフレットの解説で、この映画の良さがクリアになった。是非読んで見て欲しい。演劇とかあんまり見ないけど、この作品はとても演劇的でなのかも知れない。
日本で同じ様な作品を映像化すると恐らく大炎上するだろう。コンプラまみれで、キャストと俳優の境界線が曖昧になった日本では撮れないのではないか。
お笑いコントライブや演劇では自分が知らないだけであるような気もするが、それを高いクオリティーで映像化する監督やそれに答えるキャスト、スタッフはやはり一流だと思う。
最後のエンドロールが流れ初め、全く繋がってなかったのか!と答えをまとめた瞬間に続きがながれ、もしかして繋がってる?という気持ちで心臓がドキドキした。
原題の「Kind of Kindness」 =「親切の種類」?というタイトルも凄く皮肉めいていて、いい。「憐れみの」と言うのは混乱を読んだかも知れない。ただ、代わりになる邦題が思いつかないし、原題ではマーケティングに弱い。
だとすると「憐れみの3章」で良かったのか。
良い意味でも悪い意味でも価値観や倫理観が揺さぶられる作品。
とにかく、もう一度見たい。