劇場公開日 2024年9月27日

「不快極まる快感」憐れみの3章 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

不快極まる快感

2024年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『女王陛下のお気に入り』『哀れなる者』と2作続けてアカデミー賞を受賞し、絶好調のギリシャ人監督ユルゴス・ランティモスですが、実は僕が一番好きなのは、その前作である『聖なる鹿殺し』です。ぶっ飛んでいるのに悪意に満ちているとも思える物語は、訳分からないけど中毒性があります。しかし、ハリウッドに進出するには、その悪意や毒を或る程度丸めなくては仕方ないのかなと思っていました。しかし、遂に本作でそのランティモスが帰って来ました。

 3章の物語のストーリーを説明する事には殆ど意味がないほど訳が分からず、黒板に爪を立てた音の様に心の裏側がゾワゾワするのに、スクリーンから目が離せなくなってしまいます。「この奇妙奇天烈な話は一体どこに向かっているのだ」と気持ち悪い映像にウップとなりながら手に汗握ります。

 一体何なんだ、この不快極まる快感は?!

La Strada