劇場公開日 2024年9月27日

「【"様々な支配の形"ヨルゴス・ランティモス監督が、その極北の唯一無二な作家性を出し過ぎた三つの物語。この三つの作品の一つ一つの内容の意味と、関連性をどう見るかは、観る側次第である作品だと思います。】」憐れみの3章 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【"様々な支配の形"ヨルゴス・ランティモス監督が、その極北の唯一無二な作家性を出し過ぎた三つの物語。この三つの作品の一つ一つの内容の意味と、関連性をどう見るかは、観る側次第である作品だと思います。】

2024年9月27日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ー 三つの物語は独立している様で、観ていると微妙に関連性を持っている気がする。そして、どの物語も同じキャストが、それぞれ違う役を演じていてその設定は、興味深い。
  更に、各物語ともブラックな笑いと、先読みが難しい展開が繰り広げられる不条理コメディーであり、可なり際どいエロティックシーンもそこそこにある。
  正に、鬼才ヨルゴス・ランティモス監督、遣りたい放題の作品である。-

◆感想

・私が、ヨルゴス・ランティモス監督作品と最初に出会ったのは「聖なる鹿殺し キリング・オブ・セイクリッド・ディア」であるが、その独特な世界観に一気に引き込まれたモノである。
 監督自身が、ギリシャ出身の方なので、ギリシャ神話に触発された如き、残酷で、不気味で、何処か可笑しい世界観は、類を見ないモノであった。

・その後の、ヨルゴス・ランティモス監督の大躍進はご存じの通りであるが、今作はその中でも比較的、監督の遊び心が炸裂した作品ではないだろうか。

・今や監督作品の常連のエマ・ストーンは、あの大きな目で自由自在に様々な役をこなしている。が、今作では矢張りジェシー・プレモンスの存在が面白かったなあ。
 一つ目の物語での、圧倒的で理不尽な男(ウィレム・ディフォー)に人生を支配されて来た男(ジェシー・プレモンス)が、初めて自分の人生を取り戻そうと反抗するが、結局は圧倒的で理不尽な男に、再び気に入られるためにトンデモナイ行為をする様が、実にブラックに描かれている。

<では、今作が万民に受け入れられる作品かと言うと、私は若干疑問を持つのである。
ヨルゴス・ランティモス監督ならではの、難解なシーンもテンコ盛りであるし、初めて監督作を観る方は少し戸惑うのではないかな、と思ったからである。
 だが、個人的には矢張りヨルゴス・ランティモス監督の、極北の唯一無二な作家性溢れるこの三つの物語は面白かったのである。>

NOBU