「観覧席にいました」悪魔と夜ふかし なつさんの映画レビュー(感想・評価)
観覧席にいました
番組が始まってすぐにおぉ!って一緒になって拍手しようとした自分がいました。
危ない危ない
あ!私、いま観覧者になってたわ!
自身が観覧客であり、裏方であり、テレビの前の視聴者でありと忙しく没入感がすごい。
70年代なんてオカルトブームでノストラダムスとかユリゲラーとか、心霊写真とか溢れてて素敵な時代だった。
月刊ムーとか立ち読みしてたな。
ちょっと白みがかった画面、ノイズ、チャンネルはそのままなCM、コードのついたマイク。
スタジオも懐かしい作りで観覧席のある狭くチープなライト、生バンド、ジャジャーン!って上に開くドア、過去の様子も寸劇やパイ投げ、大きなルーレット。
あぁ、何もかもが懐かしい。
テルミン…
司会者のジャックもいかにもって感じの服装に笑顔と軽いジョークを交えた起点の効いたトーク、カメラの撮り方までも良かった。たまに観客を抜く時の人々の服装も笑い方やしぐさなんかまで懐かしい
これがエモってやつなんだな…
もうそれだけで中年はワクワクするんだよ
そういう意味では若い子にはあまり刺さらないのかも。
全身ガイコツの人がすごい気になった。
崖っぷちのジャックは再起をかけてハロウィンにオカルトをテーマに番組を作る。
これが本当胡散臭がプンプンする、だがそれがいい。
最初に登場するのが霊媒師クリストゥ。
あ、怪しい…だが、それがいい。
これは仕込みやろとか思ってたらまさかの本物。
悪魔の気配をビンビンに嗅ぎ取ってしまってゴホゴホ言いはじめた時から、あれ?ってなったらまさかの黒い液体をブッシャー!それがカメラにもついた!いいね!
退場後に聞こえる救急車の音。
次に登場するのは否定派のカーマイケル
いるよねーてか、この手の番組には否定派も入れないとトークは盛り上がらないからね。
ただこのおっさん、腹が立つ立つ。煽りがすごいので早くぎゃふんと言わせてくれと願う。
そこに併せて登場するのが悪魔崇拝の生き残り、リリーちゃんと研究者のジェーン。
このリリーちゃんが素晴らしい!
腰まである長い髪、小花柄のブラウスに短いスカート、白タイツにストラップ付きの靴で椅子にちょこんと座る女の子。
笑顔がどことなく不気味で焦点の合わない瞳、不意にカメラ越しに目が合うとドキッとするし、かわいい。
ニヤっとジャックにハンサムと言ったり、メイク担当の名前をサラッと言ってみたりこいつぁヤバい。
後に行われる悪魔の呼び出しもあまりイマドキな感じではなくどことなく懐かしい。
声と顔が変わり、椅子が浮かぶくらいでは今ではそんなザワってしないと思う。今だったらもっとすごい事をしないと目の肥えたオカルトやホラー好きには生温いと感じる。
しかし、カーマイケルがしゃしゃり出たあたりでグッと変わってくる。
ここのミミズシーンがなんなら1番すごかったし、迫力があった。この死に方は嫌だの一つだよ、ミミズに突き破られて臨終とか。ミミズってチョイスが良き。
あのぐるぐる回る時計が欲しい。テレビの前のあなたもこれを見てくださいって言った時につい真剣に見てしまった。一緒に暗示にかかるかなと。
あれ、昔ユリゲラーさんがテレビの前の皆さんに念力を送り時計を直すってのを思い出した。
直らなかったけど…あの時はがっかりした。
ラストのリリーちゃんが悪魔のように燃えて周りの人々を次々と殺し始める様はスカッとする。
やった!カーが絶望するしたぞ。
「蝿の王よ!」とかビラビラ見せびらかせてた小切手出すところとか笑えたわ〜
そうそう、悪魔はいるのよ!
もっと派手にしてもいいのよ!
周りがヒートアップしていく中、ジャックだけは訳ありで怯えた表情をする。
最後、ジャックは過去の記憶をぐるぐると周り始める
悪魔崇拝のカルト教団と繋がって妻の命を犠牲にしていた事がわかる。
その辺のジャックの背景があまりはっきり描かれていないので途中、ん?てなるところもあるけど。
結局リリーちゃんを短剣で刺すところとか、高い木?
うーん、サラッとしてる。
まぁ、その辺をあまり深掘りをしてしまうと序盤で亡き妻の愛称がでて戸惑った様子が何故なのか観ていてわからないのでいい感じにモヤっとして注目ポイントになって良かった。
エンドロールの曲もバラエティっぽい。
観覧希望のハガキを出したい明けない夜の番組。
タイトルもいいよね!