「アイデアは面白いのだが、期待したほどは盛り上がらない」悪魔と夜ふかし tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
アイデアは面白いのだが、期待したほどは盛り上がらない
スタンダードの画角と解像度の荒い画像が、1970年代のテレビ番組の雰囲気をうまく再現している。
視聴率を稼ぐためというだけあって、霊能者と、その能力を否定する者とが出演するトーク・バラエティは、それなりに面白く、「何が起きるのだろう?」という興味を惹きつけられる。
ただ、放送事故があった番組のマスター・テープが発見されたという設定の割には、舞台裏を描くCM中の白黒映像が作り込まれているようにしか見えず、モキュメンタリーとしては「出来が悪い」と思えてしまう。
どうせなら、CM中も、そのままステージを映し続けて、出演者達に本音を語らせるような作りにした方が良かったのではないだろうか?
最初に出てきた、如何にも胡散臭そうな霊能力者が、結局、「本物」だったのか、それとも、悪魔に祟られただけなのかもよく分からなかったし、霊能力を否定する者が、出演者や観客だけでなく、テレビの視聴者にも集団催眠をかけてしまうという展開にも、「それだけで視聴率が取れるだろう!」と突っ込みたくなってしまった。
どうやら、主人公の司会者は、悪魔と契約して、生贄として妻の命を差し出したらしいのだが、そこのところの経緯が今一つ分かりづらいし、悪魔と契約したのに、どうして視聴率で一番が取れなかったのかも不思議である。
さらに、主人公は、妻が死んだ後に、悪魔憑きの少女の保護者である超心理学者と付き合っているようなのだが、死んだ妻が、司会者に復讐しようとしているのかどうかもよく分からない。
ここは、「主人公は、妻が生きていた頃から超心理学者と不倫していて、邪魔になった妻を悪魔に売り渡した」みたいなプロットを明確にした上で、四谷怪談のような幽霊による復讐劇にした方が面白くなったのではないかと思えてならない。
放送事故が日常茶飯事だった時代を舞台にして、悪魔の出演を生放送するという着眼点は良かったのだが、そのアイデアを活かしきれていないように思えるのは、残念としか言いようがない。
こんばんは。先程博多のキャナルシティで観てきましたが、tomatoさんのレビューで疑問点がスッキリしました。ありがとうございます😊🙏
全く仰っしゃる通りですね✨️