劇場公開日 2024年11月8日

「キチンとしたロードムービーです。ゆったりした気分で観ないと多分イライラするよ。」ルート29 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5キチンとしたロードムービーです。ゆったりした気分で観ないと多分イライラするよ。

2024年11月8日
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まず長いのですね。でも独特の世界観というか語り口なので(何かが起こる前には必ず主人公達の立ち姿をセンターに捉えたロングショットが挿入される。「孤独のグルメ」のようだ。)慣れてくるのには少し時間がかかる。結局、これくらいの尺がないと駄目なのかな。
ロードムービーです。旅行してさえいれば必ずロードムービーだって言い出す人がいるけれどそれは違います。ロードムービーは旅を通して人が変わっていく姿を描いたものです。それは人生を旅に置き換えているから。長い人生で経験する自己実現や自己変革、反対に自分に幻滅したり自己破滅したりすることを、旅という短い期間の中で経験させる趣向がロードムービーなんだと私は思っています。要するに旅の中のいろいろな経験を通じて自分の心の中に降りていくということ。ここが描けていなければロードムービーじゃない。
その意味では、この映画は一筋縄では行かない。それはのり子=トンボが心を閉ざしており彼女の心境がうかがいしれないから。
もともと、なぜ、姫路からハルを鳥取の母親のところに連れていこうとするのか。仕事として頼まれたから、というのが彼女の理屈ですが、それは如何にも動機として弱く、おそらく彼女自身にも分かっていない。そしてその後、のり子とハルは様々な奇妙な経験をするのですが、ハルがその全てを咀嚼しようとする一方でのり子の反応は今ひとつはっきりしない。でも、多分、ハルを媒介して見聞きしたことが少しづつのり子を変えているのでしょうね。中盤過ぎでのり子のお姉さんが、のり子の中での時間の過ぎ方がとてもゆっくりしていると述べるところがあります。だから我々映画を観ている側も、のり子の時間感覚で彼女が変わっていくところを目撃しているということなのでしょう。
鳥取についてすぐハルが行方知れずになることがあって、初めてのり子は自分の感情に気づきます。そしてのり子はこの旅を通して他人と共感を持つことができたことが示されます。のり子とハルの共感はある動物の姿にイメージされる。それは少なくとものり子にとっての成長にほかならない。
そうこれは立派なロードムービーです。でもそれを実感するのに120分かかり、最後に得られるのはのり子の表情、微かな微かな希望です。
だから我慢できない、結論づけを早くしてほしいと思う人はあまり観ないほうが良い映画かもしれません。

あんちゃん
満塁本塁打さんのコメント
2024年11月10日

返信ありがとうございます😊奇妙な間 奇妙な魅力でした。同感👍です。

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2024年11月10日

ゆったり 確かに👍

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2024年11月10日

確かにおっしゃるとおり。わかります ただ 私はシロウトなので我慢するの大変でした。
しかし 劇場映画館 エンドロール最後まで退出者おらず 皆 貴殿のおっしゃる意味は理解した方が多かったと思います。誰でも心に残る作品。
ただ 独特の間 無機質 は相性があるかと思います。
前向きに捉えれば 貴殿のレビューが100%正解👍かとお思います。イイねありがとうございました。
勉強に📚なります。

満塁本塁打