「熱意と協力と報い」ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命 てつさんの映画レビュー(感想・評価)
熱意と協力と報い
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右ハンドルの自動車を運転していたので、イギリスだとわかった。プールに飛び込んで大丈夫かと思った。
若い頃の回想場面にはいり、チェコでユダヤ人の子どもを逃がそうとするけれども、資金もビザ発給権もなく、ただ熱意だけで母親も含めて協力者や、受入れ里親を増やしていった。当事者団体にリストを出してもらうために、自分の背景を問われ、祖父母がユダヤ人だけれども、イギリスで国教徒として洗礼を受け、社会主義者でもある、と答え、それでも信用を得ていた。
いくつかの作品のように、子どもたちだけの密かな逃避行ではなく、国際列車に大勢乗せて、ドイツ軍人のチェックを受けていた。しかし、ドイツのポーランド侵攻開始によって、その方法が閉ざされてしまっていた。
救いきれなかったたくさんの子どもたちや同士たちを失ったことで、自分の行為に自信がもてなかったけれど、テレビ取材とともに、多くの救出された人たちから感謝される機会を得て、報われたようだった。
チェコは、『ナチス第三の男』の舞台で、ロンドンから送り込まれた亡命政府の暗殺者が策動した地でもあり、子どもたちが送り出された縁もあったのだろうか。わずか二人のスロバキア系ユダヤ人たちがアウシュヴィッツ収容所を抜け出して、収容所内の実態を暴露した『アウシュヴィッツ・レポート』も、大きな救済につながったことが評価されていったので、そういう細かい功績の掘り起こしの一つと言えるかもしれない。
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