「ハナはどこへ行った」ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
ハナはどこへ行った
名優アンソニー・ホプキンスお目当て。
1938年。ナチス・ドイツがチェコの一部を併合。プラハに難民が押し寄せ、衣食住を欠き不衛生な環境に置かれる子供たちを救おうと、英国の移民局児童課の若い職員らがプラハからロンドンに子供を疎開させた実話を基にした作品。ザッツ·ライフというテレビ番組で取り上げられたことから、ニコラス·ウィントン(アンソニー・ホプキンス)に助けられた元·疎開児童が次々と名乗りをあげ、番組視聴席がいっぱいになるラストは感動的。生涯をかけて支援ボランティアの仕事をしてきた老人が妻に催促されて断捨離する終活話で始まる。そこで、どうしても処分できないスクラップブックを入れた古い鞄が古い机の引き出しにしまってあり、妻もその内容を知っていて、あなたこれどうするのよみたいな冒頭から始まる。廃棄処分することのできない重要なものであることがほのめかされる。老人はそれを資料として引き取ってくれる公的機関を探したりするがうまく行かない。当時共に尽力した旧友がマスコミに声をかけ、テレビ番組プロデューサーが手をあげることにより埋もれていた歴史が明らかになる。時代の背景としては杉原千畝の話にそのあと繋がるものだ。児童疎開と言っても大人はナチスの犠牲(防波堤)になるしかないことを彼らは察知していて、手放す親たちもうすうすは覚悟している状況だが、なかなか決断できなかっただろう。3人兄弟や前歯のない赤子を抱いた女の子がとくに頭から離れなかったニコラス。準備の時間がほとんどない状況で、イギリスでの里親募集やビザ発行、移送にかかる資金調達を模索しながら、実行決断する彼らの義勇心には頭が下がる。ニコラスの支えとなる母親のなりふり構わぬ行動力も強い結束力に裏打ちされたものであることも語られる。ニコラスの祖父母はドイツからイギリスに渡ったユダヤ人だった。子供たちのビザ申請に必要な写真と名前などの情報のリスト作成資料の控えがスクラップブックの中身だった。ブラハからイギリスにたくさんの子供を何組かに分けて移送する際に、実際に引率する職員のハナ(ハンナ?)と言う若いキュートな美人さんがいて、ドイツが開戦布告した日、9回目の250人の児童を乗せた列車が軍隊に阻止され、彼女も連行されてしまった😢
ハナ役の女優さんについてはメインキャストにはリストアップされてないし、パンフレットにも一切記載がなかった😢
レビュータイトルは説明するのも野暮ですが、ピート·シガーの世界一有名な反戦フォークの「花はどこへ行ったの : Where Have All the Flowers gone?」をモジッたものです😢
副題の6000人はニコラスらが救った669人の元児童のうち、名乗り出た約半数の人たちの子供、孫の人数のようだ。
人ひとり救うことだって大変なのに、この時代に若い人がチームで団結して成し遂げたことが表に出てきたことは喜ばしい。番組が放送されたときにはチームのうち生きていたのがニコラスだけだったらしい。そこは残念だったが、人生とはそんなものだ。
なかなかこういういい話に遭遇することはなく、極端な誇張のない映画だったこと、一人の老人の終活に絡めた展開もダブルミーニングな題名でようござんした。
個人的にはパレスチナ問題もイギリスが撒いた種だと思っているので、イギリスとしても少し穴埋めできてよかったんじゃないでしょうか😎
リストつながりでシンドラーのリストと関連付けたくはないですね。まったく違うリストだと思いますよ。