八犬伝のレビュー・感想・評価
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勧善懲悪がいい
馬琴の現と
八犬伝の虚が絡み合う。
何が虚で何が現か。
勧善懲悪で何が悪い。
昔懐かしい「里見八犬伝」を知る世代のお客さんが
多かったように見えました。
単純に八犬伝の世界を描くだけではなく
馬琴の現も同時に描かれているので困惑してそう…(苦笑)
役所広司と内野聖陽の派手さのない
でも全身全霊でオーラを放ち、
漲っていて、アクション頑張る若手陣は
少しかすみがち。
でも昔の里見八犬伝もきっとそうだったはず。
(観たけどあまり覚えてない💦)
ここから名優へと成長して行ってほしい。
2025年注目度NO.1と言われている板垣李光人も
出てたことだし👍
葛飾北斎と曲亭馬琴の関係性が良かった。
馬琴の実生活と、八犬伝の物語を両方知れたのも
愛想のないお路が、どう物語と関わっていくのか
中盤までは分からなかったけど、
宗伯(磯村勇斗)を支え、彼の最後の願いでもある
「八犬伝の完成」は、しっかりお路に託された結果
現代文学にも多大なる影響をもたらしたであろう
大作が誕生した事が知れてそれだけでも異議ある。
人形劇の記憶
八犬伝というとNHKの人形劇のイメージが、それも最初の頃の
一番印象に残っているのが坂本九さんのナレーション?「さもしい浪人あぼしさもじろう」
本作にも序盤に「あぼし」さん出てきました
(劇中劇=虚のパート)
テンポよくスッキリとした流れでいい感じです
もちろん実のパートがなければ少し物足りないかも知れません
そもそも里見の殿様が「武士に二言」があったために自ら災いをもたらした訳なので、冷静に考えて自業自得なのです🙇♂️
最初に玉梓さんかわいそうだとかバカ殿何やってると思ったら、その後の展開に感情移入できなくなるので、そこは伏姫・八房・浜路さんの方がもっとかわいそうだと思ってラストまで観ましょう(笑)
栗山千明さんの玉梓よかったです
既視感があったのは夏木マリさん(1983年の映画の玉梓役)に似ていたからかも
(作り手側の物語=実のパート)
馬琴さん北斎さん家族に友人達の話なのですが、安定感がありすぎて虚のパートとの切り替えが何故かしっくりこなかったです
最後にクレジットで流れる路さんが重要な役割を果たした完成秘話をメインにし、テンポよく短くしてナレーションで補うなどの工夫があってもよかったのではと感じました
創作の喜びとは
八犬伝のほうは、支離滅裂になりそうなところ、
よく短時間でまとめたなぁという印象でした。
セリフで状況を説明しなければならないのは仕方のないところ。
飢饉のときに相手を支援したのに、逆の立場になると攻めてくるとはひどい。
犬がモフモフで可愛かったです。
馬琴のパートもそれぞれのキャラがいい味を出していました。
交友関係とか結構史実に基づいていたのですね。
忠臣蔵の対極にあるものとして四谷怪談がでてきましたが、
里見八犬伝の監督だった深作欣二さんの作品にも忠臣蔵外伝 四谷怪談
というのがあるのですね。
四谷怪談は忠臣蔵のスピンオフだったとか。知りませんでした。
調べてみるとなかなか面白いです。
虚と実の論争。八犬伝が虚で馬琴の生活が実ということでしょうけど、
楽しみは虚に結び付きやすく、実を感じるのは苦しいときが多いですかね。
楽しみの種を虚の中に植えながら、その実(み)を実(じつ)のなかに花開かせたい。
浅はかながら、そんなことも少し考えさせられました。
原作も人形劇も見ていないが、まあ楽しめた
物語パートだけとおもって行ったが
現実パートの方が楽しめた。
北斎の内野さん 良い役者になりました。
半ネタバレ
最後にその犬出すか?でマイナス☆2で。
普通にそのまま終わって欲しかった
ナガイヨ、ナガイヨ
原作未読。滝沢馬琴伝なんでしょうけど、ほとんど感情移入できなくて、感動もなかったです。
馬琴伝と八犬伝と交互に流れるのですが、八犬伝の方で玉梓の怨霊に一人の犬士が八つの玉を投げて、一太刀で破るという呆気なさが淡泊に感じました。最初から玉八つ投げれば倒せたよなあ。
馬琴伝も人物像をなぞっただけで、どちらのパートも長いわりには中途半端に感じました。
昔テレビで放映していた里見八犬伝はかなり面白かった記憶があるので、残念でした。
邑犬群吠
原作は膨大だそうで未読で映画でコンテンツ自体完全初見です。
かなり奇天烈な作りで人を選ぶ作品なのは間違いないですが、こう変わった感じの邦画って久々だなというところで楽しめました。
八犬伝の作者の滝沢馬琴の日常と八犬伝のストーリーを融合させた感じで現実と空想が入り乱れる特殊な進行をしていたので、どちらかと言うと現実パートの方が興味深かったので割合8:2くらいで進めていてもエンタメ作品としては十分面白かったんじゃないかなとは思いました。
その日常パートで馬琴と北斎がわちゃわちゃ会話をしているところが抜群に面白く、天才と天才の会話のはずなのにおじさん、お爺さんになっても変わらずそれぞれの夢や生活を語ったり、挿絵を描いてくれたのに捨てられて、挿絵を頼んだら断られてみたいな流れを延々とやっていて愛らしいですし、なんならこの会話劇をずっと見ていたいくらい良かったです。
八犬伝パートは歴史ものにファンタジー要素を加えた感じでだいぶ簡素化したのが今作に差し込まれる感じなのでなんとなく八犬伝を知れる感じで気楽に観るのがベストかなと思いました。
ドラゴンボールみたく8つの玉をそれぞれ持った剣士たちが集まって悪に立ち向かっていく王道物語で、時代背景的に姫様だったりがもっと絡んできそうなところを省略しているので今作だけでは物足りなさはありましたが本編自体は気になる作りになっていたのは良かったかなーと思いました。
CGやVFXは大作っぽい今作のような作品にしてはクオリティは高くありません。
初っ端のワンコの合成しましたよ感が強すぎて笑っちゃいましたし、殺陣で飛び回るシーンだったり、敵が煙状になったりするところも合成ってこうだろうって感じではめ込まれた感が否めない出来だったのは笑いましたが褒められるものではないかなと思いました。
演技面では皆々様素晴らしい方が揃っているのですが、ところどころ舞台よりのオーバーな演技と映画らしい繊細な演技がぶつかり合っての化学反応が起きずバランスが悪くなっていたのはもったいなかったです。
八犬伝パートではそれが特に顕著に見られ、殺陣のシーンがあったり、VFXとのぶつかり合いもあったり、血みどろな展開もあったりと大変だったとは思いますが、映画として1本筋の通った演技合戦にして欲しかったなというのが正直な感想です。
ラストの八犬士たちと出会えた馬琴の絵面は神々しくて結構好きでした。
評価するには難しい1本ですが、日本には昔からこんなエンタメがあったんだぞという証明にもなりましたし、創作の大変さが身に染みて感じられる作品でした。
鑑賞日 10/27
鑑賞時間 9:10〜11:50
座席 L-9
みんな八犬伝育ち〜‼️(*^^*)スゴい〜‼️
滝沢馬琴と葛飾北斎がタッグを組むなんて、スケールが大き過ぎて嬉し過ぎる〜(*^^*)
更に、芝居小屋の南北迄登場〜‼️
南北と滝沢が闘わす劇作家の哲学論が、滝沢馬琴の生き方をも問い詰めてゆく。
果たして,28年もの長き年月を掛けて綴った物語に、
勧善懲悪、正義を貫き、心正しき努力を続けた者こそ報われるのだという理想を込める滝沢馬琴や如何に?
壮大なスケールで描いた葛飾北斎の富獄八景には、時を超えて胸に迫る圧巻の光景が躍る。
「八犬伝」で、育ったという青年絵師は、人生の生き方を教わったと、馬琴に胸を張ってみせる...
先の見えない時代を生きる若者に、昔もこれからも日本人の生き様はこれだ‼️
八魂を 瞼で描く 虚実の姿!
昔、新八犬伝という人形劇をTVで見ていた記憶がある。プリンプリン物語よりも5年も前の事である。
”~ 仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌 ~ いざと成ったらタマを出せ!”
良く口ずさんだものだったな。
男は八つもタマは無いけど2コはあるw
各タマの呼び名が、
”エンザ-キ-イ-ガ-・リャンガ-コ-テ-”(王将)とよく似てるが
これらとは決して違うw (末尾だけやん似てるの)
今日は「八犬伝」を観に行きました。
でもこの映画は ”南総里見八犬伝”がメインでは無く、あくまでこの作品を書き上げた 曲亭馬琴(滝沢馬琴)の半生を追って綴っている。
28年をも歳月を掛けた大作の物語ではあるが、馬琴本人も途中で両目が全く見えなくなってしまい、手助けしていた長男を病で若くに亡くし、そして我が妻をも先立たれてしまうのである。亡き家族の中、息子宗伯の妻・お路が口述筆記を行う事で漸くこの大作が完成されたのである。
そうまでして成し遂げた思いに、きっと本人の心の中には
鶴屋南北との出会いが深く絡んで居たのかも知れないと思う。
真の正義とは何か。江戸後期に生きた馬琴に 長く続いた天下泰平の終わりを感じていたのかも知れません。
勧善懲悪をハッキリと描く事で人々の心の不安(安心)と真っ直ぐな生き方を照らしたかったのかもと思います。
監督・脚本:曽利文彦氏
--------豪華な俳優陣------
滝沢馬琴:役所広司さん
葛飾北斎:内野聖陽さん
宗伯(鎮五郎 病気の長男):磯村勇斗さん
お路(長男の妻):黒木華さん
お百(馬琴の妻):寺島しのぶさん
七代目市川團十郎:中村獅童さん
三代目尾上菊五郎(お岩):尾上右近さん
鶴屋南北:立川談春さん
(八犬伝 物語登場)
伏姫:土屋太鳳さん
浜路:河合優実さん
里見義実:小木茂光さん
玉梓(怨霊):栗山千明さん
仁:犬衛親兵衛:藤岡真威人さん
義:犬川壮助:鈴木仁さん
礼:犬村大角:松岡広大さん
智:犬坂毛野:板垣李光人さん
忠:犬山道節:上杉柊平さん
信:犬飼現八:水上恒司さん
孝:犬塚信乃:渡邊圭祐さん
悌:犬田小文吾:佳久創さん
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(特に感じた所)
・宝刀:名刀村雨の斬った後の露飛沫がもっともっと光る感じで欲しかったかもです。近頃 鬼滅の刃の見過ぎかも知れませんがw
・芳流閣の決闘が素晴らしい。見事な捉えたアングルに拍手。
犬塚信乃と犬飼現八の戦いが中々の見応え場面であった。
こう言う場面演出が、チャンバラでもまだまだイケルじゃんて思うのよね。
・宗伯(磯村勇斗さん)の 父の腕の中で死にゆく所。
迫真の演技に本当に死ぬのかと そう感じる程に。素晴らしい。
益々の磯村さんのご活躍を応援しております。
・”畜生~” 声上げて死す妻、お百(寺島しのぶさん)のその思い。
この心の奥底からの声は凄いものを感じた。
我が人生、妻として、女としての無念さを見事に表現していたと感じます。
総合的に、八犬伝側の物語進行と、馬琴側の創作進行とが 少しごっちゃに見えてしまう所がとても惜しい所でしょうか。
もう少し色目を変えた編集の方がメリハリ付いたかと感じます。
八犬伝側は十分に楽しめた内容と思いますが、流石に八人は誰が誰?に成ってしまってる感は否めない点でしょうね。
しかし 今をトキメク若い俳優陣の活躍、これはとっても見物ですね。
八つのタマタマに
ご興味ございます方は
是非劇場へ どうぞ!!
タイトルなし(ネタバレ)
期待していたぶん、やや残念。馬琴と北斎の実話パートは豪華顔ぶれ、さすがの役作りと熟練した演技で、深い会話劇にそれなりの見どころがあったが、それとギャップがあり過ぎたのが八犬士の虚構パート。2.5次元舞台のような表面的で派手な演技に、『ゴジラ-1.0』を見習って欲しい安っぽいCG。このギャップ、わざとなのか…?下手な演技がとくに目立ったのは水上恒司と小木茂光。若手男子俳優たちはこれからに期待するとして、小木さんて、こんな下手だったっけ?個人的には『きのう何食べた?』のケンジ(内野)とジルベール(磯村)の共演が、あまりにも2人の役柄が違っていて面白かった。
「虚」と「実」
馬琴と北斎の「実」の部分と、八犬伝の「虚」からなる話。
馬琴は「虚」の為に様々な「実」を犠牲にする。「虚」に取り憑かれた男。
圧巻はやはり鶴屋南北とのやり取り。何が「虚」で、何が「実」か?この辺りは「ジョーカー フォリア・ドゥ」や「ルックバック」とも繋がる。
そして、年老いてなお、溢れる創作意欲。こな辺りは胸に迫る。
しかし「八犬伝」パート。「虚」の為、敢えて大きな芝居をしているのは良いとして、何だか安っぽい。本来人を魅了すべき物語が端折ってるのは仕方ないとしても、魅力を感じない。
また、八犬士がシュッとした二枚目とゴツいパワーファイターの2種類しかおらず、皆同じ様で見分けが付かない。それも盛り上がらない理由のひとつか?
そもそも、正義と悪をしっかりと描くという馬琴だが、里見が正義に見えないのも問題か?既にそこで揺らいでいる。
そして、何と言っても、時間が長い。
#八犬伝
面白かった
《虚》と《実》が入り交じる近世文学アクションファンタジー。
《虚》パートの映像は個人的には迫力を感じて好きでした。展開に関しては、元々が江戸時代の文学なので現代人の価値観で色々言うのは違うかな、当時はこれがめちゃくちゃ面白かったんだろう、という感じです。
《実》パートでは、家庭のことや読者の声に振り回されつつ、強い意志で筆を持った馬琴の心の揺らぎが上手く表現されていたと思います。
玉梓と信乃が対峙した場面から移った《実》パートが少し長く、その後の《虚》パートであっさり玉梓が倒されてしまうのは少し物足りない感もあります。しかし、最後の場面は馬琴が失明してからお路が筆を執って二人三脚で書き上げたものであり、この一場面を書くのにもきっと途方もない苦労があったんだと思わせられました。
私は俳優さんにはあまり詳しくなく、キャストに関する事前情報もあまり調べていなかったので、わあすごい可愛らしい方〜と思って見ていたら板垣李光人さんだったのが一番驚きました。
《虚》パートと《実》パートが入れ替わることで2つの物語が同時並行で進む形の作品となっていましたが、それぞれに別の面白さがあったことで終始飽きることなく観ることができました。
阿波?南総じゃないの? ラスト フランダースの犬かよ( ̄▽ ̄;)
実の滝澤馬琴と虚の馬琴の描いた里見八犬伝の映像をうまく織りまぜながら、描かれていて特に実の方の役者さんたちやはりというか素晴らしかったなあ。
八犬伝の方にもう少し味のある役者さんが出てればなぁ。
しかしあのラストはないわー( ̄▽ ̄;)
壮絶な死にかたしてないからむつかしいんでしょうが、あれならナレ死の方がよかったんじゃないかなぁ 残念です。
あと里見八犬伝って南総(千葉)じゃなかったっけ? 阿波がずっと引っかかって没入できなかったです。
ドラマとしては面白かったのでなんか残念です。
虚と実、監督が違う?と思うくらいの落差
まず、虚のパートは学芸会か?と思うほどひどい出来だ
若手のアイドルかと思うような、演技力皆無の役者さんたちと
ベテラン勢(と言えるのか?)の芝居も若手に引きずられて悲惨この上ない
八犬伝物語の魅力が全然表現できていないので虚のパートに入るたびに苦痛の修行を強いられた
役所さんや内野さん、黒木さんに寺嶋さん、いい役者さんは皆「実」側に配置されているからこちらは観るに堪えうる
「実」のほうは、北斎と南北と馬琴の会話が見どころでありこの部分は存分に楽しめた 南北の虚と実の解説がこの映画の一番の肝じゃないかな
「実」の方もわざわざ義理の娘さんの晩年の馬琴を助けたエピソードを字幕にして説明する必要性も感じないし、ラストシーンの虚の世界の八犬士が馬琴を冥土に連れていく光のシーンも、作品を「虚」側へ引っ張っていくイメージで終わらせることになっていて思わず「止めろ~」と声が出てしまった
残念。
馬琴が友人の北斎に八犬伝の物語を語るという形式で、創作に賭ける馬琴の人生(実)と八犬伝の物語(虚)が交互に描かれるのだが、この二部構成が全くうまくいっていない。どちらも中途半端になってしまった。
特に八犬伝の物語パートが残念。映像のチープ感は否めないし、八剣士の描き方が薄すぎて、それぞれのキャラクターが立ち上がってこない。せっかく力のある若手俳優を起用しているのに、彼らのよさが活かされていなくてなんだか可哀想だった。
八犬伝自体がそれだけで素晴らしく面白い物語なのだから、正面から正攻法で新しい八犬伝を見せて欲しかった。残念。
短いね
虚と実を過不足なく絡め映画的な統合を図るのだとすると時間が圧倒的に足りない。南総里見八犬伝は28年間を費やし私生活の苦労を抱えまた戯作の意味を繰り返し問いかけながら作り上げた超大作であるということが実の部分で強調されながら、本作で映像化されている虚の部分があまりにダイジェスト過ぎて作中で自己矛盾を起こしている。小説は未読だが、映像化にあたり実の部分を掘り下げてドキュメンタリーをやりたいのか、虚の部分のアクション大作を語りたかったのか。曽利監督の経緯から推察するに後者だったのでは。
マタゾウは薬師丸ひろ子と同学年、NHKも深作版も知っている世代。CGIの進歩はあろうが虚の部分のスケールが小さく、アクション映画としても本作が勝てたとは言えない。出演者各位にとっても残念だったのではないだろうか。
舞台挨拶会をライブビューイングで鑑賞。
追記 「ヤッチマイナー」はGOGOの出演とともにオマージュ?
フランダースの犬
面白かった。
虚(フィクション)と実(現実)の問答。
四谷怪談が掛け算でも足し算でもない、引き算ではないか!と激昂するシーンが最高に面白かった。
八犬伝と四谷怪談の関係など考えたこともなかった。
虚は実となり、実は虚となり、反転する、虚実の哲学。
主人公は現実の無情さに生涯苦しみぬく。
そして、この「八犬伝」という物語そのものが、虚を実でくるんだ構造になっている上、さらに最後の最後でさらに虚でくるむという構造は素晴らしい(フランダースの犬のように)。
改めて我々にとって虚(フィクション)とは何なのか、深く考えるきっかけになった。
現実はつまらぬ、無情の世界。
しかし我々は現実だけに生きているわけではない。
むしろ何をもって生きるのか、ということの中に真実があるのかもしれない。
江戸川乱歩の「うつしよは夢、夜の夢こそまこと」にも通じる。
虚と実、動と静
現実と虚構が入り乱れた作品、150分の尺から「大丈夫か?」という一抹の不安があった。しかし、推しの役所広司が主演となれば、観ないわけにはいかない。というわけで、おっかなびっくりで初日のレイトショーへ行ってきた。
鑑賞し終わって最初に感じたことは、150分があっという間だったということ。
つまり、それだけ作品に没入できた。実と虚の世界の時間配分のバランスがよく、違和感なく、自然に見ることができたからだと思う。
推しの役所広司(馬琴)の演技はやはり流石。言うことなし。
内野聖陽の北斎も、内野らしさ、北斎らしさ、が出ていて、二人の掛け合いがよかった。
実のパートでのクライマックスは、中盤の鶴屋南北(立川談春)と馬琴の問答だったように思う。実と虚、正義と悪をどう描くかの問答だったが、大衆文芸である偽作、歌舞伎にそれぞれメッセージを込める二人の創作者としての矜持がぶつかり合う場面だった。ここ見どころ!(南北が終始天地逆さまで話し続けるのは、馬琴と真反対の考えを持っているということのメタファーかな)
虚のパートは、ダイジェスト的にまとめないと実のパートの邪魔になるので、かなりの中途半端感は否めない。いや、それでも、よく1本の映画にまとめたものだと思った。
実のパートが動きがない「静」の映画とすると、虚のパートは完全に「動」。実と虚、静と動。相反するものを1つにまとめた制作陣の手腕はすごい。
ただ、全編通して馬琴の執念は伝わってきたが、残念ながら心を揺さぶるものがなかった。馬琴が失明してお路(黒木華)が代筆して作品を完結させる場面や、八剣士が玉梓(栗山千明)と戦う場面なども、平板な印象で、観る者の心を動かすような演出・演技ではなかった(わざとそうしたのかもしれないが)。
豪華俳優陣の力が十分発揮されていないように感じたのが残念(下記に簡単な感想を)。
※栗山千明はやっぱりダークな役が似合うと思います。
※河合優実どんだけ働いてるの?
※板垣李光人はやばいわ。誑かされそうになった。
※寺島しのぶは、めちゃくちゃいい味出てました。
(2024年映画館鑑賞29作目)
物語の筆を置いてはならない
八犬伝の冒頭はなぜーか知ってます。何がキッカケだったか思い出せないのですが。
作り手にそんな人生があったのか、と胸熱。
年老いていく姿と目が見えなくなっていく姿。人生をかけて作品を生み出す美しさ。
「ルックバック」「ブルーピリオド」のように美術芸術分野の映画が多いような気がして、生成AI時代への何らかのメッセージかなと感じています。
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