八犬伝のレビュー・感想・評価
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八犬伝の実写化も見てみたい!
南総里見八犬伝を元にそれを書いた馬琴のお話。
元々の話を知らない人はシーンが切り替わる際、これは虚なのか、実なのか迷う部分もあったように思います。
それも含めこの作品の良いところ?だと思いました。
また、八犬伝の著者、馬琴と南北のお話や、様々な部分で深く考えられる作品でした!
また、南総里見八犬伝を読み返したい!
勧善懲悪ファンタジー!虚と実の狭間で藻搔く・・・
八犬伝と言えば、国営放送の人形劇「新八犬伝」が大好きでした!(薬師丸ひろ子さんの「里見八犬伝」も面白いけど、ちょっと違うかな)
その八犬伝の映画化ですから、もう期待度マックス!ワクワクの鑑賞でしたが、見事に期待に応えてもらいました。メチャ面白かった!
元々が長編のお話ですから、一本の映画にまとめるなんてのは、所詮無理な話。
どんな風にまとめてくれるのかと思ったら、見事なダイジェスト版でした。
見所ばかりを実写化してくれて、ファンの一人としては大喜びです。
オマケにそれぞれの場面を繋ぐ馬琴と北斎のやり取りが良い。芸達者の役所さんと内野さんが28年間にわたる人生の縮図を魅せてくれます。
息子の死があったり、虚実の狭間で創作に迷いが生じたり、はたまた失明まで・・・
「南総里見八犬伝」のファンタジーに勝るとも劣らない現実のドラマが展開します。
いや〜、ホンっと面白かった。
ただ、「南総里見八犬伝」のファンタジー部分についてはどうなんだろう?
人形劇の「新八犬伝」で、ある程度の筋は分かっていたから、頭の中で勝手に補完してストーリーとして楽しめたけど知らない人は理解できたのかな?
八房に玉梓が取り憑いていたとか、犬山道節と浜路が兄妹だとか、本筋に離れたところが一切カットされていて、面白みが伝わるのかな。
出来たら、同じ役者さんで、虚の部分だけを3部作くらいで見てみたい気もする。
そうそう、役者さんと言えば、栗山さんの玉梓も最高でした。まさに悪の権化、オドロオドロしさ抜群です。ちなみに舟虫も、なかなか見応えありました。
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌!
いざとなったら玉を出せ〜♪
懐かしいな・・・
虚実のミルフィーユ
「あんのこと」といい、キノフィルムズに縁のあった本年。
だから鑑賞したわけではないが、結果、面白そうと赴いたらキノだった。
相性がいいのか。
原作は未読も、南総里見八犬伝は粗筋を知る。
作者、馬琴の生涯と並行して、執筆物「八犬伝」が描かれる本作。このシーンをどういう状況で馬琴が書き上げていったのか、重ね合わせて見ることでエンタメファンタジーも面白可笑しいではすまなくなる作りだ。
そういう意味で溌剌、みやび、爽快な「八犬伝」パートと、
演技も確かなシブイ役者を揃えた馬琴パートの落差がいい。
中でも南北と戯作の存在意義を問答し合うシーンは印象的だった。
まるで現在のラノベ作家と純文作家の一騎打ちにも思えたり。
いや、あらゆる創作物のエンタメ派と社会派のつばぜり合いにも見えた。
そもそも本作の構成も虚と実のミルフィーユなら、本作のテーマはそこにあるとしか思えない。(インセプションぽい内容、構成だなとも思う)
ただやや残念なのは、虚実を同等の比率で丁寧に織り込みすぎたせいなのか
散漫な印象がある。虚実切り替えのきっかけにも、もうひと工夫あればもっと締まったように感じる。
CGバリバリの八犬伝パートは今のお子様にもうけそうだと思ったし、とりこにして時代劇の息を絶やさぬように洗脳しちまえ、と思った。
伏姫のくだり、美しい物語に書き換えられていたが、八犬士は伏姫と八房の子供のはずで、関係があいまいだとちょっとラストがもったいないな、と思った。
この映画は「滝沢馬琴物語」
まず「八犬伝」を求めてこの映画をみると「あれ?」って思うかもしれません。
タイトルは「八犬伝」ですが映画の内容はどちらかといえば「滝沢馬琴物語」といった方がしっくりくる映画だと思いました。
他の巨匠で例えるなら宮崎駿先生がいかにしてナウシカやラピュタやトトロを生み出し、映画として世に送り出したのか。みたいな流れを時々映画のワンシーンを交えながら描いていく。みたいなものでしょうか。
そういう形式で言えばエヴァの庵野監督やDBやアラレちゃんの鳥山明先生バージョンでもこういう形の映画を是非見てみたいなあと思ってしまいました。
そして葛飾北斎がラフ画を描いては破って捨てる天丼ギャグは始終笑ってしまいました。
滝沢馬琴と葛飾北斎のバディものとしても観れるのでブロマンス好きな方にもおすすめ。
2人の会話劇のパートがめっちゃ面白かったので、葛飾北斎目線バージョンの映画も見て見たいなあと思ってしまいました。
2時間半では描き切れない
八犬伝といえば真っ先にかつての連続人形劇を思い浮かべるが、本作は山田風太郎原作の八犬伝を映画化したものだということを、観終わってから知った。
八犬伝の物語の映像化以上に、作者である馬琴の姿を描くことに力点をおいていて、奥行きが深い。しかし、ただでさえ長大な物語である八犬伝のダイジェストに、創作者の想いや苦悩、当時の文人たちとの交流まで取り込むので、2時間半では描き切れないだけのボリューム感。興味深い題材、視点であるだけに、展開が駆け足で、一つ一つのエピソードの描写が薄くなっているのが残念。
律儀な馬琴と豪放な北斎の交友が見どころの一つだが、最も面白かったのは、奈落での鶴屋南北とのやり取り。全体のバランスからすると端折ってもいいくらいのところだが、あのシーンの特別な濃密さには、作り手の想いが込められている気がした。
出演者では、主演の役所広司以上に内野聖陽が役柄の良さもあって好印象。河合優実、磯村勇斗といった旬の役者も出ているが、あまり見せ場はなかった。歌舞伎シーンはしっかり撮っていて良かった。
観た映画館のせいか、音響がすっきりしていなくて、ところどころセリフが聞き取りづらかったのも残念。
山田風太郎の八犬伝に対するリスペクトを感じさせる。
原作は、かなり昔に「八犬伝」につられて読んだ本だった。
原作がある映像化は概ね悪い評価を得るが、この作品は成功していると思う。特に作中劇である「八犬伝」と、その作者曲亭馬琴を同時に描くわけだから、フィクションの中にフィクションを入れるという、アクロバットであるが、山田風太郎は日本初の長編伝奇小説の祖である曲亭馬琴を深くリスペクトしていることがよく分かる。
八犬伝のあらすじはこの映画を見る人なら誰でも知っているだろう。だから、そこは端折っているだけでなく、八犬伝の方は明るく派手な色味、衣装、しかし演技は?なんだけど、それがあえてそうしているように見える。主役は若くて美しい剣士でなくてはならないし、栗山千明の玉梓初め悪役は存分にその持てる力を発揮している。犬だけ残念。
一方、現実(フィクションだけど)のほうは、狭い部屋でジジイが2人で語るだけ、しかも、色味も地味、衣装はそれなりに売れるにつれ良くなるが、八犬伝のようには「正義は勝つ」にはならない。このパートは上手い役者が揃い、見応えがある。特に寺島しのぶ。息子が死ぬシーンの母親の慟哭や、嫁と二人で八犬伝を口述しているところに、這って現れる鬼気迫る表情はまるで玉梓。
2時間半の映画は全く飽きることがなく、終演が名残惜しかった。2.5次元舞台でもいいと思った。
ひとつ惜しかったのは犬塚信乃役の渡邊圭祐がメインなのは分かるが、他の剣士のことももう少し見たかった。特に過去に真田広之が演じた犬江親兵衛(藤岡真威人)はパカランパカランと颯爽と馬で現れるが、すぐに平伏してしまうので誰だかわからん。もう少し大切にして欲しかった。
過去の角川映画では犬江親兵衛(真田広之)と静姫(薬師丸ひろ子)が、犬山道節(千葉真一)や7剣士の墓からの声を受けて馬に乗って颯爽と荒野をかける印象的なシーンで終わる。
今回は、八犬士に抱えられながら曲亭馬琴が笑顔で天に召されるというシーンで終わる。これもまた印象的な良いシーンだった。
滝沢馬琴ストーリーかも。それと深作欣二監督を思い出した。
「八犬伝」の話しとともに、滝沢馬琴と家族、仲間の生涯を描いた作品だと思う。役所さん、内野さんが、いい味出している。磯村さん、寺島さん、黒木さんも良かった。河合さんの着物姿は、なんか違和感がありました。(←「あんのこと」「ナミビアの砂漠」の印象が残っていた為かしら?)鶴屋南北との虚と実の論議は、現代社会にも通じる点が有り、納得させられた。馬琴(役所)が「忠臣蔵が好きだ」というセリフの時に、実の世界で、役所さんが「最後の忠臣蔵」という映画に出ていたことを思い出して笑ってしまった。昔の作品の深作欣二監督、真田広之、薬師丸ひろ子の「里見八犬伝」とは違う面白さがあった。映画の中で上演される歌舞伎四谷怪談は、同じ深作監督が佐藤浩市、高岡早紀主演で撮った「忠臣蔵外伝 四谷怪談」と通じるものがあり、深作欣二監督を思い出してしまった。😅
NHK人形劇『新八犬伝』の印象の強さと原作者描写の効果
やはりNHK人形劇『新八犬伝』の印象が強く、序盤の犬塚信乃に重点を置いた展開は、共感できた。
原作者滝沢馬琴氏と友人の絵師の葛飾北斎との遣り取りになり、分野が違っていても、偉大な芸術家同士の相互の影響力の大きさを感じた。物語だけの展開でないところに、中弛みを防ぐ効果も感じた。
『四谷怪談』と『忠臣蔵』との関連性についての知識はあって、そこは違和感はなかったが、鶴屋南北氏との論争には感じ入った。渡辺崋山氏との遣り取りも良かった。
最後の犬士の登場のように、個々の犬士の背景描写の少なかったところがやや不満だった。人形劇では、浜路は薄幸の女性という印象だけしかなかったけれども、意外な素性が判明した。これでは犬塚信乃とは、叔母と甥の関係になるのではないかと思った。抜け穴を通るのが窮屈そうな場面では、犬に変身しないのかと思った。玉梓の妖力には犬士たちも圧倒され、分断されることで弱められるのかと思ったが、珠だけが八つ集まることで、怨霊を首尾良く倒したが、3人が命を落としていた。そのとき、伏姫降臨と3人の蘇りが起こり、『ドラゴンボール』のようでもあった。人形劇の結末では、犬士たちが犬の姿になって珠とともに空を飛んで行くということとはだいぶ違っていた。
合間に出てくる原作者の滝沢氏の年齢や居住環境もだいぶ違っていて、かなりの年数をかけて執筆が続けられたことがよくわかる。滝沢氏が晩年視力をなくしたという知識もあったものの、口述筆記を引き受けた人物が、漢字の読みも難しい嫁で、その遣り取りの努力の過程もよくわかって良かった。
滝沢馬琴=尾田栄一郎と仮定して…
なんでこういう構成にしたのだろうか?
話のネタとしては興味深い。
八犬伝を後世に残した滝沢馬琴の物語。
それに葛飾北斎や鶴屋南北までが参戦する。
虚と実の話が何回も出てきて、構成もそれに準じるものではあったけれど、どうにも噛み合わせが悪い。
「八犬伝」の内容は虚であるが、戯作自体は実である。で…今作が語る滝沢馬琴の生涯は虚ではないかと思うのだ。いや、学がないからこその見解であって、滝沢馬琴研究家が「これぞ!」と唸る程、ご本人の人物像に沿っていたのかもしれないが。
実際、馬琴のプライベートがアレだと仮定すると、劇中劇の八犬伝のウェイトが重過ぎるような気がする。
長いと言うか、くどいというか。
ご丁寧に八犬伝の筋は分かる。
けど、馬琴の生涯を知る事で相乗効果が出てると思えず…なんなら滝沢馬琴物語を見せてくれた方が充実感を得られたような気がしてる。
北斎や南北のようなキャラも出てくる訳だし、ラストのエピソードも効いている。
八犬伝と馬琴が喰いあってる気がしてならないのだ。
それと、八犬伝パートの色味をもうちょい変えて欲しかったかなぁ…。
思うに馬琴の脳内映像ながら演出的には時代劇をやろうとしている。芝居もなんだかコッテリしてる感もある。逆に…この色味を変えない事がテーマと直結してて、虚と実の境目をワザと付けなかったのだとしたら、八犬伝とは馬琴にとっては何だったのだろうか。
そうなると途端に哲学じみてくる。
虚と実の話をすると、他人なんか全部「虚」に分類される。他人が見てる世界と自分が見てる世界の解釈は違うからだ。
確かなものは、自分が感じるものだけである。それが間違っていたとしても嘘でも想像でも推察でもない訳だから。北斎が馬琴の頭ん中が分からないのと同様、他人の頭ん中を100%理解するのは不可能だ。
馬琴にとって、八犬伝執筆は実であって、それを創作する過程も実であるってのが色味を変えなかった意味なのだろうか?
では虚とは何を指すのか。家庭であり世間であろうか。驚く程、馬琴から見た家族の描写は少ない。その代わりに妻や息子から見た馬琴は同一人物かと頭を傾げる程に両極端だ。そして、馬琴が家族に想う事にも溝を感じるような状況も多々ある。
かと言って八犬伝執筆に没入してる馬琴を描くでもなく、苦悩を描くでもない。周りが馬琴を評価する原因が悉く描かれてはおらず、馬琴自体もそこを気にかけてる素振りもない。
…いや、そんな小難しい事を描いてるような作風でもないとは思うので、ここらでやめとこう。
劇中で興味深い台詞があった。
「物語は虚でも、その精神を貫けば、それは実になるのでないですか」とかなんとか。
素直に「だよね」と思う。
が、ここに待ったをかけるのが南北で…出来もしない理想を掲げるのは無意味だとか何とか。
「正義は必ず勝つ」このありもしない幻想を流布し浸透させたのが滝沢馬琴なのかと思うと戦慄さえ覚える。
八犬伝以前にはそう言うファンタジーに分類される戯作はなかったのだろうか?
八犬伝以降、現代に至るまでその思想を拠り所にする精神論が蔓延ったとするなら恐怖でもある。
実際、俺もそんな事を考えながら日々降り注ぐ理不尽に対処してるような気にもなる。
いや、これも本作のテーマではなかろう。
どうにも居心地が悪いのだ。
思わせぶりな台詞が多すぎるのかしら?
単純に八犬伝誕生秘話でも良いのだけれど、そうなると馬琴の境遇が不憫で、と言うか不憫なエピソードしか語られずで…執筆者のプライベートとか違う世界過ぎて知りたくもないのだ。
明石家さんまさんが「TVで泣かないのは、お客さんが笑ってくれへんくなるから」という信念を持ってらっしゃるらしい。
そう言う事だと思うのだ。
読者は我儘だ。
本作を見ながらに思うのはONE PIECEを執筆中の尾田栄一郎先生の事である。
連載が終わるまでは死んでほしくないし、彼のプライベートを知りたいとも思わない。
どんな人物でどんな境遇なのか知る術もないけど、知る事で作品に対する雑味となってしまうなら、それこそ本末転倒ではなかろうかと思うのだ。
乱暴な言い方をすれば、執筆者の境遇などどうでもいい。そのぐらい執筆者と読者の間に距離があってもいいと思うのだ。
だから、本作の切り口はよく分からなかったのだ。
滝沢馬琴物語なら俄然興味はある。
それも八犬伝執筆の裏話なら。
が、本作はそうでもなさそうなのが難点で…本作が語る「滝沢馬琴」自体が虚、つまりは創作である匂いがプンプンする。
八犬伝パートがもっと凝縮されてて、続きが見たいと思うくらいでも良かったんじゃなかろうかと思う。
実際、前半は壮大なスケールだった。
後半になりCGに逃げたというか安直になったというか…おざなり感が強かったのが残念だ。
驚いたのが原作「山田風太郎」のコールがあった事だ。
実際、原作は読んでないのだけれど、角川映画の「里見八犬伝」の原作も山田風太郎だったように記憶している。
いや、角川の方は「南総里見八犬伝」だったかしら。
※調べたら角川の方は「新・里見八犬伝」で原作者は鎌田敏夫さんだった😅
ともあれ角川の里見八犬伝は大好きで、今尚、生涯ベスト3の1本には入ってる。
監督、深作欣二が偉大なのか、脚本家が偉大だったのか分からんけど和製ファンタジーの最高峰だと今でも思う。
まぁ、ともあれ、役者同士の掛け合いは面白くて、特に寺島しのぶさんの役所はとても重要だった。
彼女1人が虚を実に繋ぎ留めていたと言っても過言ではない。
ネタ的には面白かったのだけど、配分が好みではなかったなぁー。
良かったところとそうでないところの差が大きい
大分前から予告を見て期待値が高まっていた作品でした。
すごく楽しみにしていたのですが見終わった感想は良かったところ3割、そうでない7割という結果に。
ゾクゾクが止まらなくとても良かったなと思ったのは馬琴と南北のやりとりのシーン。
虚と実の論議の場面です。
南北の自論によって馬琴の今まで確固としていた信念の崩れる音がガラガラと聞こえてくるようでした。
真面目で堅物の馬琴対して(そのまんま)逆さまな南北。
緊迫感がありとても面白かったです。
そうでないところはいろいろありますが、簡単に言うとよくある時代劇ドラマのB級感です。
時代劇にありがちなよくあるセリフ、チープな演出、安直な音楽。
再現ドラマでよく見るノリのアレです。
ダサくて古臭い。
分かりやすさを全面に出しすぎなんだろうな。
映画的な深みが足りないのです。
なんでこうなっちゃうんだろう。
期待してただけにすごくがっかりでした。
絶対もっと良くなった作品なのに。
今どきこんな作り方しちゃうんだ…って残念で仕方なかったです。
あと個人的に寺島しのぶさんの演技は苦手だなと再確認です。
「新八犬伝」を思い出しながら。
かつてNHKの連続人形劇「新八犬伝」を
毎日欠かさず見ていましたし、
その後は薬師丸さんの映画
「里見八犬伝」を見ていたこともあって、
本作の「八犬伝」パートは
懐かしみながら楽しむことができました。
なんといっても面白かったのは、
馬琴と北斎、それにお百や南北までもが
絡んでくる「滝沢家」のパート。
特に、
「何のために作品を作っているのか」について
二人で議論する場面は、
それぞれに扮している役所さんと内野さんが、
「何のために役者をやっているのか」について
語り合っている姿に重なって見えてきて
とても味わい深いシーンとなりました。
八犬伝(映画の記憶2024/10/25)
この映画は実(現実)と虚(空想)の概念が色んな意味で分かるように出来てたなw
役所広司と内野聖陽のやり取りシーンが別格過ぎるわ。そこに上手く入ってこれる寺島しのぶと黒木華もいいね。
栗山千明はああいうのあってる気がする。
内容的にもわかりやすく誰でも解釈しやすいかと。
(個人的評価6点/10点中)
『銀河鉄道の父』に続いて「息子を看取る父」を演じる役所広司。北斎役...
『銀河鉄道の父』に続いて「息子を看取る父」を演じる役所広司。北斎役の内野聖陽との掛け合いも面白く、あまりの名演に波乱万丈の伝奇アクションたっぷりの「八犬伝」パートが霞んでしまうほど。作中の妖怪変化より、芝居小屋奈落で出会う鶴屋南北(演:立川談春)の怪人ぶりの方が恐ろしかったり、とここまでリアリティラインに差があるなら、劇中劇はいっそアニメの方が良かったのでは、とさえ思う。作品の「顔」たるべき八房がアレでは、だいぶ掴みで損をしている感あり。「八犬伝」完結のキーパーソンであるお路とのエピソードには、もうちょっと「良く出来た嫁」を越える描写が欲しかった、とも。虚と実の創作論、親子と家族の問題に、劇中劇の伝奇と盛り込み過ぎて取りこぼす部分も少なくなかったが、保守的になりがちな時代劇でここまで野心的な取り組みをしてくれたこと自体が素晴らしい。
よかった
八犬伝にはなじみがないので、どんな話なのか興味があってワクワクしていたのだけど、劇中劇はダイジェストだ。球を持った人物が発見されて集まっていくのは面白い。殿様の発言がブレブレで災いを招く、発言には責任を持とうというメッセージを感じる。しかし、あの女だったら発言がぶれていてもいなくても目一杯恨んできそうだ。どっちでも結果は同じだったと思う。
当時は殿様は絶対だったのかもしれないけど、里見家に無関係な若者が球を持っているからと言って命がけで忠義を尽くす。いいのか。
滝沢馬琴パートはまあまあで、歌舞伎を見に行った時に鶴屋南北を不真面目だと批判する。物語作家なのにえらく真面目だなと思ったせいで、八犬伝をつまらなく感じる。今も昔も同じだと思うけど、現実の方が絶対にふざけているし理不尽がまかり通っている。四谷怪談も忠臣蔵もよく分からないけど、ふざけて表現していると言う鶴屋南北の方が面白そうだ。
奥さんの寺島しのぶがいいところ一つも描かれない。息子には厳しくしつけをするのに奥さんは野放しだ。今なら普通だけど当時としては変ではないだろうか。いまわの際の言葉が「ちくしょう」、あまりに悲惨だ。
本当に真面目な人が作っている感じがするのだけど、葛飾北斎が描いた絵をいちいち丸めて馬琴が恨めしそうに見ているやりとりが面白い。
役所広司はナニモノなんだ
《PERFECT DAYS》でも思ったけど役所広司すごいね。
「そこの筋肉は、どうやったら動かせるの?」という感じで表情を作ってくる。
合わせる寺島しのぶもすごいんだよ。
役所広司と寺島しのぶでやり合ってるところに磯村勇斗が絡むんだけど、磯村勇斗をもってしても敵わない。格下に見えちゃう。
話は、物語《八犬伝》の世界と、それを描く馬琴の世界で交互に進むのね。
《八犬伝》パートはわざとだと思うけどちょっとちゃちっぽいというか作り物っぽい描き方なのも面白い。
玉梓役が誰か気になって「こんな顔した女優さんいたよな」って感じで、深津絵里っぽいのかな。エンドロールで栗山千明と分かって、なるほど綺麗だわと思ったな。
《八犬伝》面白いよね。一大スペクタクル爽快活劇じゃん。
木下グループが「黒澤映画みたいなのを撮ろう」と思ってやったのかな。角川映画にも似てた。
話は無茶なんだけど『主君の言葉の重さを知れ』っていう教訓が入ってたりすんの。
「実は大鳥にさらわれたお姫様でした」ってところは「ギリシア神話かよ」って感じなんだけど、いまこういう大仕掛けないね。
あまりにやりすぎて「さすがに作り物っぽすぎる」と思われちゃうんだろうな。
でも、いまは作り物にみんな慣れてないから、今こそまたやって欲しい。
実の世界ではなりたたない善因善果、悪因悪果を虚の世界で描いて、でもそれを貫けば虚も実となるのだみたいな話があるんだよね。馬琴の人生がそうであればいいってことだと思うんだけど。
だからラストに八犬士が馬琴を迎えにきたときは泣いた。
知っていそうで知らない八犬伝だから、歴史的名作を知る意味でも、観たほういい作品だと思ったよ。
映画では尺が足りなかったね。残念
馬琴の人生と八犬伝のドラマを時間経過を重ねて描いているので、両方の描き方が、どうしても中途半端な感じになってしまっていました。話が飛ぶと言うか、気になりだすと雑な描写に見えてしまいました。
馬琴の人生だけを丁寧に描いた方が、良かったのかも知れません。 映画の尺では、入りきらなかったのでしょう。とても残念です。3部作にして、丁寧に描けば良かったのにね。
生きて何をなすのか
内野聖陽さんがNHKのトーク番組で、八犬伝で共演した役所広司さんの凄さを語っていたので鑑賞を。馬琴と北斎を演じる二人の絡みを軸に八犬伝が書き進められるのだが、二人の掛け合いが絶品。陰と陽、静と動が凝縮した時間。平行する物語は、作り物を意識しているのか、キャストも含めて薄っぺらい。栗山千明演じる悪の権化の玉梓が一人際立っていたか。ちょこっと顔を出す鶴屋南北と渡辺崋山の言葉が重い。虚と実、虚なる正義。そして、北斎より先に亡くなった息子宗伯、妻お百の言葉も重い。人生に何を残していくのか。里見八犬伝と聞くと、薬師丸ひろ子主演の映画、彼女が弓を弾くシーン、ドラマチックな音楽、夏木マリの怪演が忘れられない。
良質でエンタメでかなり感動的
想像以上に質が良くて、遥かに楽しめました。
里見八犬伝も劇場で見た記憶があるのですが、なんかポカーンと眺めていたような・・・全然楽しんだ記憶がないので、正直、今回も不安がありました。
でも、なるほど、本家の物語を映像化しようとすると、ハリウッド並みの費用と技術が必要だと理解できたので、江戸の原作だけで勝負しようとするとかなりつらいものがあるのだなぁと納得しました。今回の映画で差し込まれる本家の物語映像も、なかなか軽いものを感じるわけで、本家の物語映像だけ連ねられると、かなり厳しいものがあります。しかし、そこに質の高い江戸の物語が差し込まれることで、うまい具合に抑揚が利いた見事な作品に仕上がっていた印象です。知らなかった歴史的な事実とかみんなよく知っている歴史的な事柄が網羅されていたところなんかもなかなか魅力的でした。
歌舞伎を再現したり、豪華な面々が見事なパフォーマンスを繰り広げていましたが何といっても役所広司と内野聖陽は別格に最高でした。彼らがいたから笑えて感動的だったんだなぁと見終えての率直な感想です。
素晴らしい作品だと思います。
戯作「南総里見八犬伝」本体と作者について2元描写した作品ですが、かなり薄味
戯作「南総里見八犬伝」の本体と作者について2元描写しています。
上映時間は2時間半と長めですが、それでも全然足りずかなり話を端折っています。
「南総里見八犬伝」のパート、かなり薄味。ご都合よく話が進むし死人が生き返るし・・
剣士にイケメンいるのでファンの方には良いのでしょうが・・
「滝沢馬琴本人」のパート、こっちもかなり薄味。比較的淡々と話が進みます。
イケメン揃えた舞台作品の人気が高いそうですが、そういった作品のファンの方も本作を見に来ているのでしょうか?(自分の見た上映会ではいなかったようですが・・)
内容的には今一つと思いますが、高齢者だけだでなく、若い人も観客として取り込もうとする心意気は良しです。
鑑賞動機:原作(馬琴)と原作(山風先生)の記憶。
鶴屋南北との件が凄まじかった。とてつもないシーンだと思う。メタフィクションとしての凄みが格段に上がった。
『南総里見八犬伝』部分は、まあそこまで重要じゃないので。
全329件中、61~80件目を表示