八犬伝のレビュー・感想・評価
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虚と実を上手く交錯させて描いた作品
映画館で鑑賞したかったが、忙しくて時間が取れずPrime Videoで鑑賞。
「八犬伝」は知っていて内容も気になっていたのだが、里見家の呪いを解くため運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いを描いた虚構パートと、「八犬伝」の作者である滝沢馬琴と挿絵をお願いされた葛飾北斎がやりとりしながら、「八犬伝」の完成に向かう実話のパートを上手く交錯させて描いた作品。
虚構パートである、「八犬士」が呪い立ち向かうシーンをダイナミックに描いている反面、実話のパートでは作者の滝沢馬琴が葛飾北斎に読み聞かせ、物語を完成に導く執念を描くなど、虚と実を上手く構成した今迄にない構成で面白かった。
ただ贅沢を言うならば、八犬士が活躍する虚構のパートだけを見たかったという思いもあるけど、作者である滝沢馬琴が28年の歳月をかけて「八犬伝」を完成させた執念を、家族背景や友人である葛飾北斎とのやりとりを通して見せたかったのかなとも思ってしまった。
見応えある作品で、自分としては充分に楽しむことができた作品でした。
CGなどや撮影技術の映像のカタログのような映画
監督の曽利文彦は、映像センスのある映画のツボを知っている優れた職人監督だと思う。
「ピンポン」は傑作だし、「あしたのジョー」もよく出来ていた。
今回の映画も、とてもツボを心得ている画作りで楽しい。
ただ、話がうまく転がらない。面白くない。
滝沢馬琴と北斎の交流を縦軸に、創作している「八犬伝」の映像がところどころに挿入される。
その八犬伝のCGがらみの映像が素晴らしい。だけど、話は表面的、平面的。八犬伝をよく知っていないと楽しめないかも。私は、昔のNHKの人形劇を見ていたので何となくわかったけど。ただ挿絵のように映像としては凄かったけど、感動や感情移入はしない。
本筋の馬琴と北斎の方をもっと緻密に話を作ったなら、それなりの感動はあったと思う。ただ、こちらもダイジェスト版的な作り。
役所広司や内野聖陽、寺島しのぶ、黒木華の名演が勿体無い。渡辺崋山役の大貫勇輔という役者の佇まいが良かった。この役者誰?と思い後で調べるほど。
唯一面白いシーンは、鶴屋南北と馬琴が戯作と「虚構の世界」と「実の世界」との解釈論をするところが面白い。鶴屋南北を立川談春が演じている。これが上手いし、このシーンの演出は見事だったと思う。
こんな感じで話が進むなら、傑作になり得たと思う。
でも結局、CGなどや撮影技術の映像のカタログのような映画になってしまった。
虚の「八犬伝」パートだけでも観たい
まぁ映画にするとこうなるよなぁ
なんとなく真田広之と薬師丸ひろ子の里見八犬伝のリメイクみたいに思ってみる人が多いのではと思うけど、この映画の主役は実は作者である曲亭馬琴。八犬士の活躍が見たい人にとっては実の世界のパートは退屈に思えるかもしれない。しかしこの映画でのハイライトは実の世界での奈落の鶴屋南北との対決のシーンなのですよ(すごい地味ですけどね)。大好きな忠臣蔵をコケにされて激昂する馬琴に対して、四谷怪談こそが実で忠臣蔵こそ虚の世界だとうそぶく南北がまるでメフィストフェレスのごとくで実にかっこいい。山田風太郎の原作の中でも大好きなシーンなのだけど、映画の中ではいまいちピンとこない感じで終わってしまって、ちょっと残念でした。
談春さん良かったですけどもっと妖怪じみた感じでも良かったかなと思いました。
原作は上下2巻にわたる長編なので、虚の世界と実の世界を行ったり来たりするなかで、うまくいかない実の世界の皮肉なおかしみみたいなのは、映画の中で表現し尽くすのは難しいのかなぁと感じました。
思いきって虚のパートは絵本風のアニメにして、実の世界をメインに描けばよりテーマがはっきりしたのではと感じました。
馬琴がただの頑固爺いになってしまった
八犬伝の物語パートと、馬琴と嫁の口述筆記の最終パートがあれば、それで充分に感激出来た感じでした。
◉掌中の珠
若者たちがエイヤっと掌を開いて珠を見せ合うシーンは、物語が昇華していく昂りを思い出させてくれた。やはり子供時代に出会った優れた物語から、身体に染み込んだRPGの遺伝子は強い。あの掌を開く一瞬の超ワクワク。
しかし馬琴が何故か、自己肯定感が低そうな只の老人。空想に身を委ねてしまえる戯作者になど全く見えなかった。役所広司さんがいつも感じさせてくれる、抱えた荷物の重さとか、それを表に見せない優しさとかが、この映画ではなかったように思えました。
◉空中の文字
空中に文字を書いた馬琴の指と、必死に見つめる嫁の瞳が綺麗でした。怒って立ち去ろうとする馬琴と、縋って教えを乞う路の姿が切なくて、私も身を捩ることになる。決して決して、黒木さんファンだからではなくて。物語に取り憑かれたように、それまで読み書き出来なかった女子が物語を綴っていく。月並みな感激ながら、これこそファンタジー。
しかし、馬琴の指の形がもの凄く綺麗でした。
ちょっと残念、
「実」パートと「虚」パートの出来映えに大きな落差がある。
「八犬伝」が観たかったのに馬琴の映画だった
「八犬伝」が観たかったのに馬琴の映画だった。それに尽きる。
馬琴が「忠臣蔵四谷怪談」を観劇して史実の美談にフィクションを混ぜた構成に憤慨するシーンがある。
真実を正しく描くことか、虚実をエンタメとして描くのか、そういった入れ子構造を二重写しに描きたかったのかな?と憶測。
八犬伝パートが盛り上がって、いいところで馬琴パートにスイッチしてしまうので毎回興醒め。
八犬士が揃ってからの大立ち回りも雑で萎えたが。
ラスボスもCGショボかったwww ロードオブザリング1作目の時代くらいのCG感覚。逆に懐かしかったかもw ラスボスの倒し方も雑。
馬琴の家族の描き方がひどすぎる。寺島さんのヒスババアっぷりはあれでよく本人が演じてくれたな。
テンポは悪くないのですが演出の拙さに失笑。
ポン・デ・リング
役所広司さんと内野聖陽さんの競演、横綱と次期横綱の大勝負みたいで面白かった
蔦屋重三郎の生涯を描くNHK大河ドラマ「べらぼう」がはじまって、北斎に歌麿、浮世絵や読本に注目が集まるのが今年2025年だと思いますが、2024年に公開された話題作で、『南総里見八犬伝』を執筆中の滝沢馬琴を役所広司さん、八犬伝の挿絵を頼まれて、馬琴の家に通う葛飾北斎に内野聖陽さん。映画の半分が馬琴の書斎で北斎と馬琴が語り合うシーンで、役所さんと内野さんの長台詞のお芝居が続く感じで、お二人とも入魂の演技で、お芝居というより、ほんとうに馬琴と北斎にしか見えません。
馬琴の描く空想の世界の最大の理解者で、馬琴の脳の中にしか存在しない、見えない世界を可視化する天才北斎のやりとりを聞いていると、事実上の2人芝居なのに、ワクワクが止まらなくなります。馬琴が『南総里見八犬伝』を書き進めていくたびに、劇中で『南総里見八犬伝』の物語が別立てで進行していくので、八犬伝のストーリーも楽しめて、一度に二度おいしいお話でした。
ただ予算が足りなかったのか、南総里見八犬伝のストーリーはもっとSFXを駆使して、派手に大胆に作れるような気もしました。1本の映画で2つの話を同時進行ですすめているスタイルなので、南総里見八犬伝のストーリーはだいぶ端折られており、八犬伝のファンの人から「八犬伝はこんなもんじゃない。もっと!もっと!話が複雑で、面白いんだよ!」と熱弁されてしましました。なので、南総里見八犬伝は、この『八犬伝』続編として、改めて八犬伝を作ってもよかったんじゃないかなと思いました。
八犬伝の剣士を演じた役者さんとしては、渡邊圭祐さん(犬塚志乃)、板垣李光人さん(犬坂毛野)が光ってました。南総里見八犬伝を映画やドラマにするとき、八犬伝の八人の剣士は、その時代時代の若手スターを抜擢するんだと思いますが、令和の時代に選ばれし「8人」の剣士が暴れる姿を見てみたいです。この作品の劇中のストーリーだけだと、エキストラに毛が生えたくらいの活躍しかできなかったのは、もったいなかったかなと思いました。
題材の難しさに勝てなかったか
八犬伝のファンタジーパートと、作者の馬琴の現実パートが交互に展開する時代物。
映像美が良い作品で、ファンタジーパートでは、スケールの大きな背景CGも違和感がなく、ホラーやファンタジー表現にも拘りが感じられるのが良い所。現実パートの小物や家具、建物なんかもリアリティがあり、炭団を丸めるシーンは生活感があって良い。
展開の面白味としては、ファンタジーパートのアクション、大冒険が一翼で、現実パートで江戸後期の歴史上の著名人が次々に登場する歴史ファンウケ要素がもう一方を担っているか。
問題は、馬琴の「南総里見八犬伝」が陳腐化してしまっているところで、原作の意訳本を読んでもらえれば分かると思うが、現代人には昔ばなしの童話のように感じられてしまうのである。
その辺を映画としてどうクリアするのかな、という工夫が見たかったのだが、想像の域を出なかったのでこの点数とした。現実パートを交えることで鑑賞に堪えるものの、やはりイタさはごまかしきれなかった。
現実パートも不幸フラグが立ちまくりで、盛り下がっていく一方。見ているのが辛く、早く終わらないかな、、、と思ってしまった。
一応、目の見えなくなった馬琴を支えた義理の娘とのやり取りがハイライトなのだが、予告を見ただけで予想できていたので、想像を超える展開が何もなかったのが悲しい。壮絶な苦労があったんだろうけど、映画を締めくくるエピソードとしてはちょい弱めなんだよなあ。
ということで、難しい題材に挑戦して、なんとか凡作に踏みとどまった印象でした。
辻褄が合わない
マジ時間の無駄
コレね、そもそもが題名間違ってるのよ。素直に、「滝沢馬琴物語」とか「馬琴の生涯」とかにすればそれなりに映画を鑑賞出来たのに、里見八犬伝とか前面に押し出すから批判されるんだよ。ホント深作監督と真田に謝って欲しい。リメイクに期待した自分が恥ずかしいわ。何か途中から全然違う話始まって頭が?になったが、まさか全編里見八犬伝物語と制作秘話を織り交ぜて最後まで行くとは思わなかった。マジ時間の無駄でした〜
里見八犬伝の方から評価すると、正直若手俳優さん達頑張ってんな、と思ったね。全然悪くないし、今後も期待出来る自然な演技でした。板垣君の女装観た時、確かに綺麗だなとか思ってしまった。新たな扉を開く寸前まで行きました笑
滝沢馬琴物語の方も、正直大変良かった。つーか、役所と内藤、寺島の3人で映画一本作れるわ。安定の演技で素晴らしかったね。しかし、この2本の物語を掛け合わせて纏めたもんだから、観てる方は落ち着かないよね普通さ。八犬伝でハラハラしてんのに、馬琴の方でほっこりするんじゃ、一本の映画としては最低評価になると思います。よくこんな脚本にしたな、という映画でした
奈落の問答
期待して大画面で(130インチスクリーンで1.5m離れて)鑑賞しました。まず、大画面で観るほどの映像ではありませんでした。
滝沢馬琴(役所広司)がいる世界が朝ドラみたいで、とても嘘くさいんです。そして物語の世界のほうも、端折ったファンタジーで説得力がありません。
中盤の「奈落の問答」のあたりは眠くなります。最も大事な場面だと思うのですが、わざと眠くなるような演出に工夫したのかもしれません。四谷怪談と忠臣蔵をミックスした話が今作の本質のように感じました。滝沢馬琴(役所広司)を悩ませるきっかけにもなった、「つじつま合わせ」についての説明がありました。そのシーンは、この作品自体のことを(呪術の世界が本当の歴史で、失明してまで28年かけて完成に至ったのは嘘です、と)言っているのでしょう。
どのキャラクターもイマイチ魅力が足りなくて残念でした。
栗山千明さんが大塚寧々さんと似ているという印象と、内野聖陽さんと役所広司さん、寺島しのぶさんの三人の28年という時間を感じさせる演技が、さすがだと思いました。
八犬伝の話は大好きです
私は「南総里見八犬伝」が大好きで、子供の頃はNHKの人形劇「新・八犬伝」にはまってました(笑)
辻村ジュサブローによって作られた「玉梓」の怨霊の人形が、不気味で怖くてゾクゾク感がたまらなかったのを覚えてます。
次々と伏姫の玉をもつ仲間が集まっていき、戦っていく様子は、RPGのようでもあり、ファンタジーでもあり楽しくてたまらなかったです。
その後も映画もみたり、違った解釈で書かれた小説も読んだりしてました。
なので、今回の映画も楽しみにしてたのですが、
お話の部分がしょぼくて、ちょっとガッカリしました。
映画館に行かなくて良かったです(笑)
八房のCGが残念だったのを皮切りに、仲間が簡単に見つかりすぎ(笑)
まぁー短い時間で表現できないのは、わかりますが、本当はもっともっと面白いお話なんです。
なぜその人物がその文字を書かれた玉を持ってるのか、文字の意味もちゃんとあるんです!
申し訳ないだけど、なんか学芸会を見てるようで💦
ただ犬坂毛野を演じた板垣李光人は、毛野にピッタリで女の子より女の子で可愛かったですね(笑)
それに比べて、滝沢馬琴と葛飾北斎の現実パートは、なかなか良かったです。
「虚」と「実」とを語り合うシーンや、馬琴が悩みながら、最後には盲目となりながらも、書き上げていく情熱は凄まじいものを感じました。
現実パートだけでも良かったのではないのだろうか?っとふと思ってしましました。
あっさりが最近のトレンドか?
観終わって「しーん」となった。
これ、馬琴の事が描きたかったのか、里見八犬伝を描きたかったのか、わからない。
この映画の意図が全くわからなかった。
映像美としては、八犬伝パートを楽しめたが、ちょいちょい馬琴パートで盛り上がりがぶつ切りにされ、盛り上がってきた心がいちいち沈静化され、さらには八犬伝のお話自体、わりと端折られてて、3分で読む八犬伝的なダイジェスト感がいなめず、
馬琴の人生の何を伝えたかったのかも、わからず。
両パートいずれも中途半端な描かれ方をしたため、
消化不良で終わった。。。
役所さんと内野さんの無駄遣い。
グラフィックは素晴らしい。そして俳優の力量で持って行ったシーンもいくつかあった。
が、全体的な構想が、いずれも薄っぺらくて萎えた。
アマプラで見たけど、映画館でみたら、怒ってたなぁ。
ま、最近の若い世代の映像の観る感覚に合わせたのであれば、随分と最近の人達は、そこそこのもので満足するつまんない人生なんだな。と思いました。
いや。まて。そんなこたーない作品だっていっぱいあるわい!
つまりは寄せすぎて失速。
ちょいちょい面白いシーンがあっただけに残念すぎる。
日本映画。限界か。
年齢層によって評価は分かれるかも
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