八犬伝のレビュー・感想・評価
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ひと粒で2度おいしい映画
「滝沢馬琴」「南総里見八犬伝」の名前は知っていますが中身は知らなかった。
NHKの人形劇「新・八犬伝」も知っていますが、ほぼ見たことはない。
そんな私にも「こういう人で、こういう作品かあ~」と教えてもらいました。
八犬伝は、ドラゴンボールの元祖ですね。もう200年前にあったんだ。
馬琴の話は、大河ドラマでした。同時代の作家との交友、ライバル心。家族の物語。
1本で2本分楽しめた映画でした。
納得と驚き
「里見八犬伝」…小学校の図書室や図書館で見かけるたびにちょっと気になってたけど、なんとなく読まないできた本。
なんかジャンプの犬の漫画、銀牙?とかぶっちゃって、八匹の犬が主人公のイメージでしたが。
滝沢馬琴…八犬伝の作者として現国のテストに出てきそうなキーワードを知ってるくらい。
なので、予告で「八犬伝」を見て、「え、葛飾北斎と知り合いだったの?」とか「あ、犬が物語の主人公じゃなかったんだ」という発見があり、観てみることに。
八犬伝の話しとしては、ものすごく集約した内容なんだろうけど、充分おもしろかった。さすが現国のテストに出てくるほど有名な作品なだけあるな、と。
もしかしたら「里見八犬伝」を読んだことある人には、省略しすぎで気になっちゃう部分もあるのかもしれないけど、初・八犬伝の私は、やっと里見八犬伝の話がわかったし、滝沢馬琴の事も知れたし、とても面白かったです。
そして、さすが役所さん。
内野聖陽も寺島しのぶも黒木華も良かった。
鈴の舞いの踊り子さん、このキレイな人ダレだっけなってすっごい気になったら板垣李光人くんでした。城主同様、完全に騙されたわ。さすが。
あと劇中劇?の歌舞伎役者さん、中村獅童なのも気づけなかった。本職のお姿見るの、久しぶりすぎ…。
偏屈ジジイの生き様
良いところ
架空の世界で虚実が入り乱れるなかで現実逃避とも理想の追求とも取れるこだわりと気概の発露
やっぱり作り物の世界は美形キャラが必須
?なところ
どこまでが史実なんだろ
自他共に認める偏屈かつ創造力豊かなジジイ二人のお話。シーンの移り変わりには「南総里見八犬伝」のカットがきちんと作られて挟まれていて、二つの映画を見たかのような感覚。つい最近でいうと「フォールガイ」を彷彿とさせますね。どちらも一つの作品としてちゃんと作られているのがわかるので、現実の泥臭さと理不尽さが虚構作品内の大団円を補い合って心地よい。
八犬伝の方は美形細身キャラばっかり生き残ってパワー型マッチョが死んでるのは当時も今も人気の方向は同じかと。原作通りだよな?
館山に行った時に舞台になった館山城に行ったけど本人は行ったことないんか。
リアルと非リアル
馬琴と北斎のおしゃべりがリアル界、そして馬琴が書くファンタジー小説内の非リアルを交互に観進めていきます。
八犬伝のストーリーが非リアルなんですけど、すごくギュッと凝縮してるので展開が早すぎます。でも馬琴と北斎の友人としてのやり取りが楽しくて許せちゃう?
ストーリーは面白いと思うんだけど、ちょっと作者の意図が掴めないところがいくつかありました。それも含めてファンタジーと捉えればいいか。
総じて、好きな役者さんばかりで楽しかったです。私は女性ですが、栗山千明さんの妖艶さに惹かれてしまいました。
虚(八犬伝)か実(馬琴の話)に絞ったら
もう少しどうにかなったのかもしれない。
寺島さん、河合さん、役所さん、磯村さん、内野さん、黒木さん等々、錚々(そうそう)たるメンバーが出演していたのに、宝の持ち腐れで終わってしまった。
映画等の文化を支えてくださっているキノグループには感謝しかないが、この失敗を踏まえて、次にはまた素晴らしい作品を作って欲しい。
とは言え、唯一感動した場面はこの方針だからこその場面だった。
「仁義礼智忠信孝悌」をメロディをつけて言える人には物足りなかったことだろう。
馬琴と北斎トークがたまらない
馬琴と北斎。役所さんと内野さんの演技バトルだけでも見応えたっぷり。これだけでも見る価値がある。
馬琴の部分と南総里見八犬伝の部分が交互に来るが、お得感より中途半端に感じたのが本音。
里見八犬伝自体が有名でどうしても比べてしまうので時間的にも致し方ない。
しかし、馬琴の執念は凄まじかった。流石役所さん。
曲亭馬琴伝
『南総里見八犬伝』などで知られる江戸時代の戯作者 曲亭馬琴(滝沢馬琴)を描いた映画。
八犬士の活躍を描いた里見八犬伝の物語パートと
戯作者曲亭馬琴の半生を描いた伝記パートで構成されている。
CGを使った八犬士と彼らの敵玉梓の妖術の対決はなかなか見応えあり。
そして曲亭馬琴のパートでは友人の挿絵師葛飾北斎や他の同時代の文化人との交流の中で
自らの創作する物語の在り方や方向性に思い悩み、
また良好とは言えない家族関係への苦悩も描かれる。
自分の見た印象としてはメインは曲亭馬琴という作家の半生であり、
その作品の内容を説明する上での八犬伝パートだと感じた。
これらが交互に流れるため「里見八犬伝」として見る場合はややテンポが悪く、
里見八犬伝の物語を見たい場合は他の映像作品を見た方が集中して楽しめるかもしれない。
他方曲亭馬琴伝としては彼の眼の病や家族の問題についてかなり細かく描かれており、
役所広司さんの真に迫る演技ともあいまって彼の人物像をよく描き出していると思う。
里見八犬伝の娯楽作品というよりは作者の伝記といった趣の映画でした。
お路伝
薬師丸ひろ子さん主演の「里見八犬伝」がとても好きな映画だったので興味深く鑑賞。
八犬伝を書き上げるまでの滝沢馬琴の物語だったので劇中の八犬伝は大味でした。
滝沢馬琴の軸の物語は、同時代の画家や作家との交流が描かれているところが面白かったです。
ただ感動するところは少なく、最後に黒木華さん演じたお路が美味しいところを持っていったかも。
葛飾北斎のイメージはだいぶ違ったなぁ〜。
短いレビューでスミマセン。
2024年11月11日
20時15分アポロシネマにて鑑賞。
『抜けば玉散る氷の刃』
1973年、中学2年生の時に見た
NHKの新八犬伝の坂本九ちゃんの
ナレーションを久しぶりに
思い出した。
技ありと技ありの合わせ技で一本
NHK新八犬伝世代としては一応観ておかないとね。
滝沢馬琴の話と八犬伝のストーリー、両方やるって中途半端になるんじゃないの?って思ってたけど、技ありと技ありの合わせ技で一本って感じでした。
間に挟まれる八犬伝のストーリーはダイジェスト版ぐらいの感じでちょうど良かったし、滝沢馬琴の話は如何に長い年月を掛けて制作されたかが分って良かった。
ただ…ラストシーン「パトラッシュもう疲れたよ…」かよっ!ってツッコミ入れたくなった。
ジョンオバニオンの曲が頭の中でまわる
八犬伝といえば子供の頃に観た、薬師丸ひろ子の「里見八犬伝」が思い出される。当時、日本映画の枠を超えたファンタジックな内容とジョンオバニオンのあの曲がとても印象的でした。それもあって楽しみにしていた作品でした。
滝沢馬琴がどのようにして、あの虚の世界を書いて行ったのか。
滝沢馬琴の執筆生活と、パラレルで展開する八犬伝の虚の世界。そこに葛飾北斎も登場してくる豪華さ。
あの長編の物語がどれだけの長い年月をかけて創作されたか、困難な状況の中でどのように完成させたのかがわかりとても見応えがありました。
エンディングは「里見八犬伝」とは違いますが、見終わったら、ジョンオバニオンが歌っていたあの曲が頭の中でぐるぐるまわってました…
虚の世界の正義と現実の世界
曲亭馬琴は原稿料のみで生計を立てることができた最初の作家といわれている。
葛飾北斎、渡辺崋山らとの交流、同時代の作家鶴屋南北の作品との違い、そして馬琴の家族生活、これらは映画では現実の世界として描かれている。
それと並行してファンタジーの虚の世界、南総里見八犬伝が進行していく。
馬琴が28年もかけてわが国最長ともいえるこの戯作を描いたのは何故なのだろう。
期待していた一人息子の早世、理解してくれない妻、老いによる衰えと失明、理想とはかけ離れた現実、それだからこそ正義の虚の世界を描き続けたのだろう。そして亡くなった息子の嫁の献身によって奇跡的にも作品は完成する感動的な場面で終わる。
山田風太郎の原作を読みたくなった。
役所さんの上手さばかりが印象に残る
八犬伝の粗筋に作者の物語を加えた映画。八犬伝の方は粗筋追うにしても、もう少しストーリーを膨らませられたのでは?作者を追うほうも、これでは人間性がわからない。単に真面目な堅物というだけで、見ていて面白くない。混ぜたせいで両方とも中途半端になってしまったようで勿体無い。一番印象に残ったのが役所さんの演技力。やる気を出した時の目の輝きとか、嬉しい表情とか、本当に凄いです。
虚であれど、それを真実と思い貫けは実となるby渡辺華山
兎に角、面白かったの一言です。あっと言う間の二時間半でした。流石役所広司!
それをとりまく人々の演技に吸い込まれて行きます。物語と現実を交互に行き渡り
ますが、違和感が全くなくスムーズに流れていきます。正義がまかり通らない世の中
物語の中だけでも全正義が勝つでいいではないか?自分もそう思います。
出演者の中にも沢山の俳優さんたちが良いスパイスで登場します。北斎の内田さんと
奥様役の寺島さんは最高でした。より馬琴(役所)さんをきわださせていました。
もう一度見たいと思う映画でした。
絵作りが良い
監督がもともとVFX畑の人なので、映像が凝ってて面白かった。一般に邦画は撮影がつまらなくて、平べったい退屈な絵ばかりなのだけど、本作は深い陰影や色使いなど、とてもきれいに撮られてた。
「南総里見八犬伝」という大作を、二時間半に落とし込むにはやや無理があったが、活劇の演出も良く出来てて、娯楽として及第点。
虚も、実も、すべてはファンタジー。
虚としては八犬伝の物語が進行し、実としては馬琴と北斎の掛け合いが描かれる。
ただ、北斎の生涯もそれほどはわかっていないと思うので、すべてはファンタジーと言えるかもしれない。
ハリウッドのヒーローものであれば、正義と悪が闘って、地球を救う、多くの人達を助けるなど、わかりやすい図式があるが、この物語の場合、個人的な恨みと言えなくもなく、里見家が畜生道に落ちず守られたという結論にしかならない部分がある。
その図式なら、それはそれでいいのだが、伏線の部分で大きな犬が出てきて、その犬をかばい、姫は鉄砲て撃たれて死んでしまう。
飼い犬まで、たたったのだろうか。犬は飼い主に忠実なイメージがあるので、玉梓という女の呪いとの闘いにストーリーを絞った方がわかりやすかったのではないかと思う。
犬にとりついたということかもしれないが、犬はやはり飼い主のために闘うのではないだろうか。
CGもきれいで、演技や衣装も悪くないのだと思うが、最後まで感情移入できず、全編を通じて歌舞伎のような演技に、途中から疲れて、もういいかなと思ってしまった。
足や手の汚れなど、細かな部分まで隙がなかっただけに、ちょっとストーリーの中核が足りない気がしてしまう。
まあ、私見になるので、このあたりで…。
戦国ヒーロー戦隊ハチレンジャー!
「南総里見八犬伝」の作者の生きざまと作品の世界を交互に観せてくれます。面白い取り組みですが、結局どちらにも入り込みきれないまま、不完全燃焼で終わった感じ。現実世界には実力派の役者さんが揃っているのに、活かしきれていない。虚の世界はまるでイケメン戦隊モノ的な演出。まっ、8人のヒーローを揃えるとなると、どーしてもあーなっちゃうのかなぁ…。
ウェイトをどちらか一方に置いて深堀りしてもらったほうが、もっと楽しめたかもしれません。
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