八犬伝のレビュー・感想・評価
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丁寧に作り込まれた一つ一つのピースを組み合わせたような作品。戦隊ヒーローものの原点を知った!
作中に様々な要素とストーリーが パズルのピースのように散りばめられていて 全体がビミョーなバランスで まとまっているようないないような… ちょっとチャレンジャーな作品だった しかし! その一つ一つのピースの作り込みは すばらしい まず、江戸時代パート 馬琴の作家として作品を生み出す苦悩や 北斎との交流はもちろん軸だが 江戸時代の人々の暮らしや市中の様子 歌舞伎の芝居に至るまで 当時の生活感を違和感なく再現していて 見事だった そして、八犬伝パート VFXを駆使した映像がよかった 城の屋根での乱闘シーンは迫力あり! どちらのパートもしっかり作り込まれて いるだけに 集中して見ていると パッと話が切り替わってしまう そこで、盛り上がった気持ちが リセットされてしまうのは ちょっと残念だった 八犬伝の完成度の高さには 今更ながら、馬琴の実力と情熱を感じた 八犬伝、おもしろい! 日本の戦隊ヒーローものの原点ここにあったー! また 八犬士の若手俳優陣と役所広司、内野聖陽、寺島しのぶといったベテラン年配俳優陣の 演技の対比も新鮮だった 特に寺島しのぶ! 文字も読めず、夫の仕事の価値もわからず 夫と一緒にできることもない 嫁が夫の手伝いを始めたのを見て 「チキショー」と言い残して死ぬ 哀れな下町の女をうまく演じていて印象的だった
虚文の功罪
28年かけて八犬伝を紡いだ滝沢馬琴の映画でした。 主演の役所浩司、北斎役の内野聖陽お二人の演技が見事でした。 時より挟まれる八犬伝の映像が少しチープでした。 丁寧に一流の役者さんで作られた映画なので評価4であるべきですが、予告編通りのものでしたので3.5としました。 立川談春師匠の怪談の様な語りが観れました。 奥さんの寺島しのぶは怖かったです。 偉人の配偶者は.....な人が多いと言われてます。 NHKの人形劇で見た八犬伝を思い出し懐かしいかったです。
本家本元を観たくなる
数十年前に原作を読んでいたけれど、八犬士の大冒険と玉梓が怨霊の怖さの方に注目して読んでいた。馬琴と北斎のやり取りは記憶になく今作品を観られて良かった。八犬士の活躍場面はワクワク感があり、出来ればも少し観させて欲しいと思うほど。物語の虚の雰囲気がとても良いと思った。馬琴と北斎の実の場面は生々しい夫婦と親子の関係が描かれる。息子役の磯村優斗が着物の上からでも分かるほどで病身がリアルに映った。馬琴の八犬伝にかける執念と家族の想いは想像を超えていた。伏姫役土屋太鳳さん今作でアクションシーンがない(当然だが)のは残念。
フィクションとリアリズム Fiction and Realism
映画は 曲亭馬琴と葛飾北斎のやり取りが中心になる。 「虚」と「実」が 物語の根底にあり、 登場人物は、その間を揺れ動く。 戯作者として「虚」を紡いでいく意味とは? 絵師として「実」描いていくこととは? その生活は「実」なのか「虚」なのか? 個人的に一番、鳥肌が立ったのは 実パートの 奈落での鶴屋南北と馬琴のやり取り。 時代を超えて、 物語を創作する意味を問う内容で、 馬琴の意見も、南北の意見も 一理あり、 その中で迷いがなく、 はっきり意思を示した 立川談春による鶴屋南北の怪演が際立った。 山田風太郎の原作本「八犬伝」を見ると この部分は、ほぼそのまま採用されている。 もちろん、「実」とはいえ、この二人のやり取りは 創作だろうけれど、ひょっとしたら と感じる迫力だった。 この映画だけでなくすべての作品は 「虚」を紡いでいるのだけれど、 その「虚」が果たす役割ってなに? 物語(フィクション)と実生活(リアル)とは? と創る側も観る側も 問いかけられたような心持ちになった。 The film centers around the interactions between Kyokutei Bakin and Katsushika Hoku At its core, the story revolves around the ideas of “fiction” and “reality,” with the characters wavering between the two. What does it mean for a fiction writer to spin “fiction”? And for an artist to paint “reality”? Is their daily life itself “real” or “illusory”? The scene that gave me the strongest chills was the exchange between Tsuruya Nanboku and Bakin in the understage area during the "reality" segment. This scene explores the significance of creating stories across time, presenting both Bakin’s and Nanboku’s viewpoints, each of which has its own merits. Among them, Tsuruga Nanboku, played by Danshun Tachikawa, stood out with his uncanny and unwavering portrayal, firmly expressing his conviction without hesitation. Looking at Yamada Futaro’s original work, The Eight Dog Chronicles (Hakkenden), this part appears to have been adopted almost as is. Of course, though we may consider this exchange between the two as “real,” it is likely a work of fiction. However, the intensity made it feel almost plausible. Not just in this film but in all works, we are weaving “fiction,” but what role does that “fiction” fulfill? What is the relationship between story (fiction) and real life (reality)? It felt as though both the creators and the viewers were invited to reflect on these questions.
八犬伝を創り出した滝沢馬琴の作家としての信念と生き様
予告編で大好きな八犬伝という言葉を見て蘇った過去の記憶に導かれて鑑賞した。 本作は、八犬伝の作者である主人公・滝沢馬琴(役所広司)の八犬伝創作活動パートと、八犬伝物語パートが同時進行していく。地味な実の創作活動パートと派手な虚の物語パートがバランス良く同時進行できるか心配になったが杞憂だった。実と虚を見事に融合した壮大で奥深い作品に仕上がっている。 創作活動パートは、演技巧者の俳優を揃え主人公の作家としての生き様に迫っている。主人公が八犬伝の原稿を友人の葛飾北斎(内野聖陽)に見せ興味を持った北斎が挿絵原案を書くというスタイルで進行する。生真面目で緻密な主人公、豪放磊落な北斎という性格の異なる二人の作品の実と虚の議論は原稿の進行とともに深まっていく。特に鶴屋南北も加わった作品の実と虚の議論は印象深い。現実に起きないからこそ勧善懲悪を虚として描く主人公と、どんな辛い現実でも直視しようとする鶴屋南北の激論は、読み手に何を伝えるかという作家としての信念のぶつかり合いであり迫力がある。見せ場だった。 主人公の創作活動は28年に及ぶが、創作意欲は衰えず最後は失明しながらも息子の妻・お路(黒木華)が口述筆記して完成に至る。なぜ、そこまでして彼は八犬伝を完成させたのか。それは八犬伝が彼の作家としての信念である勧善懲悪という虚の世界を描いた最高傑作であると確信したからである。八犬伝を通して読み手に実際には経験できない勧善懲悪の醍醐味を味わって生きる糧にして欲しかったからである。 物語パートは最新映像技術を駆使して見応えがある。運命の珠に導かれた八犬士の出会い、そして里見家の滅亡を企てる怨霊との壮絶な戦いは圧巻の迫力。八犬士は若手俳優構成なので、新感覚のアクション時代劇の雰囲気が爽快。尺の都合でダイジェスト版になっているが、詳細追加すれば単独作品としても一級品だろう。 しかし、本作は敢えて創作活動と物語を一つに纏め、物語は作家の渾身の創作活動と信念によって生み出されることを強調している。今まで観てきた八犬伝より心に響く作品になっている。
虚と実の並走
虚像と現実。映画の中でも語られるが、正義が勝つとは言えない、正直が報われる世界とは言えない現実は、つらいのだが、虚像の中だけでも正義が勝つ、正直が報われる物語があるべきだと。 また、好きなので仕事にする、できるではなく、生活するために仕事をしてる。など考えさせられるセリフが多々ありました。 八犬伝の物語も楽しかったですが、このパートだけでも映画で観てみたいと思ってしまいます。
エンタメ的には楽しめた
八犬伝のストーリーが作者の創作過程に沿って展開されていく。八犬伝を知らない人でも楽しめる構成でちょっと長めの映画だけれど,飽きずに楽しめた。 作者側のストーリーは役所広司と内野聖陽、寺島しのぶに黒木華とくれば完璧な布陣。素晴らしい緊張感でこの映画の柱だった。 一方,八犬伝側のキャスト達,若手というのはあるものの時代劇をやるにはちょっと役不足。皆かっこいいのだけれどやや残念だった。そんな中,栗山千秋の演技は光るものがあった。
八犬伝パートがちょっとしょぼい…
八犬伝パート(虚の方)が、もっとファンタジーであって欲しかったなぁ。 里見の殿様が途中出てくるところなんて、家臣一人かい!落ちぶれたとはいえ、殿様だよ。 もっと、手下(キングダム的なCGでもいいので)を引き連れてきてよ。あと、唯一いた家臣、ぼーっとし過ぎ。殿の前では、もっとSPぶりな目つき必須。 なんか、「尼子一族の底力を見せてやる!」(うろ覚え)って言いつつ、一族総勢6人かよ!ってずっこけた「たたら侍」をふと思い出してしまいました。 クロマキーガンガンで、背景レインボーで、2.5次元的でもいいので、もっとファンタジーにして欲しかった。 四谷怪談部分にあれだけ予算使っているのだから、そこを半分にしても、ファンタジーに予算を割いて!(ていうか、南北の部分は、忠臣蔵と四谷怪談って実はこういう意味なのよって言いたいだけじゃないか?って思ってしまいました。歌舞伎を見ている人ならみんな知っているであろうことなのに) 八犬伝パートがもっと豪華だったら、走り方や歩き方や刀裁き、殺陣なんぞ気にならないと思うの。ファンタジーって思って見られるから。 あと、「殿!最上階へ!お逃げください」みたいなせりふがあって、「最上階って!マンションか!」と思ってしまった。天守閣じゃないのかな。3階、4階っていうのも、あんまり時代劇では聞かないけど、それは火縄銃の言い訳と同じなんだろうな。 馬琴パートが説明せりふが多いこと以外(あと歌舞伎パート)は、いい感じの映像だっただけに、虚構部分がなぁ、もっとファンタジーであって欲しかったです。
八魂を 瞼で描く 虚実の姿!
昔、新八犬伝という人形劇をTVで見ていた記憶がある。プリンプリン物語よりも5年も前の事である。
”~ 仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌 ~ いざと成ったらタマを出せ!”
良く口ずさんだものだったな。
男は八つもタマは無いけど2コはあるw
各タマの呼び名が、
”エンザ-キ-イ-ガ-・リャンガ-コ-テ-”(王将)とよく似てるが
これらとは決して違うw (末尾だけやん似てるの)
今日は「八犬伝」を観に行きました。
でもこの映画は ”南総里見八犬伝”がメインでは無く、あくまでこの作品を書き上げた 曲亭馬琴(滝沢馬琴)の半生を追って綴っている。
28年をも歳月を掛けた大作の物語ではあるが、馬琴本人も途中で両目が全く見えなくなってしまい、手助けしていた長男を病で若くに亡くし、そして我が妻をも先立たれてしまうのである。亡き家族の中、息子宗伯の妻・お路が口述筆記を行う事で漸くこの大作が完成されたのである。
そうまでして成し遂げた思いに、きっと本人の心の中には
鶴屋南北との出会いが深く絡んで居たのかも知れないと思う。
真の正義とは何か。江戸後期に生きた馬琴に 長く続いた天下泰平の終わりを感じていたのかも知れません。
勧善懲悪をハッキリと描く事で人々の心の不安(安心)と真っ直ぐな生き方を照らしたかったのかもと思います。
監督・脚本:曽利文彦氏
--------豪華な俳優陣------
滝沢馬琴:役所広司さん
葛飾北斎:内野聖陽さん
宗伯(鎮五郎 病気の長男):磯村勇斗さん
お路(長男の妻):黒木華さん
お百(馬琴の妻):寺島しのぶさん
七代目市川團十郎:中村獅童さん
三代目尾上菊五郎(お岩):尾上右近さん
鶴屋南北:立川談春さん
(八犬伝 物語登場)
伏姫:土屋太鳳さん
浜路:河合優実さん
里見義実:小木茂光さん
玉梓(怨霊):栗山千明さん
仁:犬衛親兵衛:藤岡真威人さん
義:犬川壮助:鈴木仁さん
礼:犬村大角:松岡広大さん
智:犬坂毛野:板垣李光人さん
忠:犬山道節:上杉柊平さん
信:犬飼現八:水上恒司さん
孝:犬塚信乃:渡邊圭祐さん
悌:犬田小文吾:佳久創さん
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(特に感じた所)
・宝刀:名刀村雨の斬った後の露飛沫がもっともっと光る感じで欲しかったかもです。近頃 鬼滅の刃の見過ぎかも知れませんがw
・芳流閣の決闘が素晴らしい。見事な捉えたアングルに拍手。
犬塚信乃と犬飼現八の戦いが中々の見応え場面であった。
こう言う場面演出が、チャンバラでもまだまだイケルじゃんて思うのよね。
・宗伯(磯村勇斗さん)の 父の腕の中で死にゆく所。
迫真の演技に本当に死ぬのかと そう感じる程に。素晴らしい。
益々の磯村さんのご活躍を応援しております。
・”畜生~” 声上げて死す妻、お百(寺島しのぶさん)のその思い。
この心の奥底からの声は凄いものを感じた。
我が人生、妻として、女としての無念さを見事に表現していたと感じます。
総合的に、八犬伝側の物語進行と、馬琴側の創作進行とが 少しごっちゃに見えてしまう所がとても惜しい所でしょうか。
もう少し色目を変えた編集の方がメリハリ付いたかと感じます。
八犬伝側は十分に楽しめた内容と思いますが、流石に八人は誰が誰?に成ってしまってる感は否めない点でしょうね。
しかし 今をトキメク若い俳優陣の活躍、これはとっても見物ですね。
八つのタマタマに
ご興味ございます方は
是非劇場へ どうぞ!!
深みと派手さの両方がよかった
滝沢馬琴の現実世界は演技のうまい役者で固めてひたすら深みのある物語に仕上がっていたし、八犬伝のほうは若さ弾けるアクション活劇に仕上がっていたし、その対比もメリハリがあっておもしろく、長い時間の映画なのに最初から最後まで夢中になって観られました。 CGが子ども向けの戦隊ものレベルだったのがちょっと残念だったけど。 それにしても、八犬伝の物語はやっぱり面白い!
期待していたぶん、やや残念。馬琴と北斎の実話パートは豪華顔ぶれ、さ...
期待していたぶん、やや残念。馬琴と北斎の実話パートは豪華顔ぶれ、さすがの役作りと熟練した演技で、深い会話劇にそれなりの見どころがあったが、それとギャップがあり過ぎたのが八犬士の虚構パート。2.5次元舞台のような表面的で派手な演技に、『ゴジラ-1.0』を見習って欲しい安っぽいCG。このギャップ、わざとなのか…?下手な演技がとくに目立ったのは水上恒司と小木茂光。若手男子俳優たちはこれからに期待するとして、小木さんて、こんな下手だったっけ?個人的には『きのう何食べた?』のケンジ(内野)とジルベール(磯村)の共演が、あまりにも2人の役柄が違っていて面白かった。
予告編どおり
もっとも映画で観たい原作の1つ「南総里見八犬伝」に関する映画なので、楽しみに観ました。 山田風太郎医師の原作「八犬傳」は、未読だが、 日本で最初と言われている 副業を持たない純粋な小説家:曲亭 馬琴(滝沢馬琴)氏を語っても、誰も興味を持たないが、永い章回小説「八犬伝」の切り抜きを 張り合わせて入れ込む事により、 江戸後期の文人の生きざまを見事に映画・小説化できていました。 本作を観ていて、月代・火縄銃・武具・衣装等での考証が気になったが、それはあくまで"虚の世界" 江戸時代にあって、作者があえてSF娯楽作品に徹している事が素晴らしい。 実の世界での考証は、文句はないが、最晩年に過ごした 新宿区四谷信濃仲殿町は、下級武家屋敷街だったのだが、竹藪が多く、そんなに田舎ではなかったと思うのだが。。。 撮影はしっかりしています。 八犬伝を扱った作品は、「宇宙からのメッセージ(1978年)」「里見八犬伝(1983年)」とみてきたが、 子供の頃観た NHK「新八犬伝(1973年-1975年)」が、1番面白く、今でも8個の字は主題歌として覚えています。 馬琴について、じゅうぶん魅せてくれたので、 次に観たいのは、今回の役者をそのまま使った「南総里見八犬伝」だ。 2時間では表現しきれないので、 ネットフリックス等の動画配信で、全106冊の章回小説を 最低でも3シーズン30話位 可能ならば9シーズンにまとめて、製作して欲しい。
虚と実
魔界転生や忍法帖の山田風太郎原作の作品。 物語「南総里見八犬伝」の「虚」の世界と 原作者「曲亭馬琴」の「実」とを行ったり来たりする構成。 「八犬伝」パートはうまくダイジェストにしてあるので見やすい。(親兵衛編はめんどくさい) が、途切れ途切れになるので、ちょっと集中が欠ける部分も。 どっちもやりたいのはわかるが、話が散漫になってしまい薄くなった印象を受けた。 「馬琴編」と「八犬伝」を2部(作)構成でもよかったか。(それだと「馬琴編」が地味な仕上がりになるかも) キャスティングは豪華。 「八犬伝」パートは若手を多く起用。演技はともかく(笑)、原作に近いイメージの俳優であったと個人的には思う。(特に毛野は女性をキャスティングしがちなので辟易していた) 八房デケェなw
企画的に失敗だったか
邦画界随一の名優役所広司の作品なのでそれだけで観賞は決まりなのだが、役所以外にも内野聖陽他、名だたる名優のキャスティングを見て楽しみにしていた。 【物語】 時代は約200年前、江戸時代後期。 滝沢馬琴(役所広司)は自宅で親しい友人の浮世絵師・葛飾北斎(内野聖陽)に構想中の物語の冒頭を語り始める。たちまち魅了された北斎は、馬琴に頼まれ話を聞いて思い浮かんだ場面をその場で絵にする。馬琴はその絵でさらに構想を搔き立てられる。 北斎は物語の続きを聴くために足しげく馬琴のもとへ通い、一方馬琴も北斎がイメージしたシーンをその場で描くのを見ることが大きな楽しみになっていた。 悪が横行する世で勧善懲悪を貫く八犬伝は、出版されると世間で大人気作品となる。長大な物語は20年を超す歳月書き続けられるが、終盤に差し掛かる頃には年老いた馬琴は視力を失い、ライフワークとして書き続けて来た物語を完結することが危うくなる。 八犬伝は、安房里見家当主義実が不用意な発言から敵方の嫁玉梓(栗山千明)に大きな恨みを買い、玉梓が里見家にかけた犬に纏わる呪いを解くため、運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いを描く物語。 馬琴の執筆生活描写の間に八犬伝のダイジェスト的シーンが挿入される。 【感想】 ちょっと期待ハズレだったかも。 不覚にも前半ウトウトしてしまったせいもあるかも知れないが、そもそも最初から引き込まれればウトウトしない。と言うと「他人の性にするな」と言われてしまうか(笑) 本作で良かった点を言うと、役所広司、内野聖陽という二人が演じる馬琴と北斎の対話シーン。その部分は、期待通りでとても良かった。だから思うのは、この2人の絡みのシーンをもっともっと観たかった。 八犬伝のエッセンスを、単なるあらすじ説明にはせず、あたかもこれだけで1本の「南総里見八犬伝」実写化作品が制作できるキャスティングと撮影を行い、挿入シーンとした贅沢な構成。八犬伝をまともに読んでない俺には八犬伝がどんな話か分かって有難いことではあった。が、しかし、やはり半端だ。 前述のとおり、役所・内野の演技をもっと観たかったという満たされない欲求が残るし、八犬伝実写化作品として観たら、満足できるものではない。 そりゃあ、そうだろう、馬琴が28年掛けて執念で書き上げた八犬伝が作品の1時間ちょっとで描き切ることはできまい。 俺としては、八犬伝のあらすじはアニメか何かでサラサラと説明してもらって、馬琴の執筆生活、北斎初め周りの人間との関係、さらには息子、嫁、母親との関係をより深く、時間を掛けて描いて欲しかった。寺島しのぶ演じる妻生百なんか、あの描写だけだと悪妻にしか見えない。 馬琴の墓参シーンを観れば、お百が馬琴を支えたことは想像できるが、描き切れていないと思う。 ひと言で言えば、役所と内野がもったいなかった。
「虚」と「実」
馬琴と北斎の「実」の部分と、八犬伝の「虚」からなる話。
馬琴は「虚」の為に様々な「実」を犠牲にする。「虚」に取り憑かれた男。
圧巻はやはり鶴屋南北とのやり取り。何が「虚」で、何が「実」か?この辺りは「ジョーカー フォリア・ドゥ」や「ルックバック」とも繋がる。
そして、年老いてなお、溢れる創作意欲。こな辺りは胸に迫る。
しかし「八犬伝」パート。「虚」の為、敢えて大きな芝居をしているのは良いとして、何だか安っぽい。本来人を魅了すべき物語が端折ってるのは仕方ないとしても、魅力を感じない。
また、八犬士がシュッとした二枚目とゴツいパワーファイターの2種類しかおらず、皆同じ様で見分けが付かない。それも盛り上がらない理由のひとつか?
そもそも、正義と悪をしっかりと描くという馬琴だが、里見が正義に見えないのも問題か?既にそこで揺らいでいる。
そして、何と言っても、時間が長い。
#八犬伝
いい作品ではある
ある程度、作品の内容についてはレビューなどを読んでいて理解して視聴いたしました それ以上のものではなかったかなぁ ちょっともったいない感は否めない せっかく八犬伝をやるならば全編を映像化してほしいという願いもあります 南総里見八犬伝という規模感からして今の日本では難しいのであろう 過去のOVAシリーズも中途で終わってしまって 残念な思いをしました だからこそ期待してたんですがねぇ
面白かった
《虚》と《実》が入り交じる近世文学アクションファンタジー。
《虚》パートの映像は個人的には迫力を感じて好きでした。展開に関しては、元々が江戸時代の文学なので現代人の価値観で色々言うのは違うかな、当時はこれがめちゃくちゃ面白かったんだろう、という感じです。
《実》パートでは、家庭のことや読者の声に振り回されつつ、強い意志で筆を持った馬琴の心の揺らぎが上手く表現されていたと思います。
玉梓と信乃が対峙した場面から移った《実》パートが少し長く、その後の《虚》パートであっさり玉梓が倒されてしまうのは少し物足りない感もあります。しかし、最後の場面は馬琴が失明してからお路が筆を執って二人三脚で書き上げたものであり、この一場面を書くのにもきっと途方もない苦労があったんだと思わせられました。
私は俳優さんにはあまり詳しくなく、キャストに関する事前情報もあまり調べていなかったので、わあすごい可愛らしい方〜と思って見ていたら板垣李光人さんだったのが一番驚きました。
《虚》パートと《実》パートが入れ替わることで2つの物語が同時並行で進む形の作品となっていましたが、それぞれに別の面白さがあったことで終始飽きることなく観ることができました。
切なくも素敵な物語
いつも前情報を見ずに鑑賞するので、見てみると思っていたのと違いましたけど、とても面白かったです。スケールが大きかった分、シーンごとの雑さがあったり、展開が強引だったり突っ込みたいところは多々あるけれど、それらをひっくるめて評価できました。こんな風に実世界との葛藤に苦しみながら生まれた創作の世界はどれほど大切なものか。痛いほど伝わってきました。 8人の剣士たちも上手かったし、アクションも見ごたえがありました。本当は八犬伝の世界観だけを壮大に描いているものを期待していたので、最初の方は葛飾北斎が出てくるたびにテンションが下がっていましたけど、ラストは切なくて、あたたかかったです。なるほどなぁ、虚と実の結びつきはそりゃあ簡単な事じゃないけど、あり得ない夢というエンタメの世界に生きる力を見出している人はいっぱいいます。私もそうだけど。しょせん創作だという揶揄する人は多くいるだろうけど、立派な道義だと私は思うのですよね。八犬伝ファンには色々と物足りなさはあるかもしれないけれど、物語としては満足いく作品となっていました。ぜひ♪
デカワンコ?
最初に犬の八房を見て、でかいな~と思いました。 それはさておき、世代的に薬師丸&真田版「里見八犬伝」(1983)が大好きなので、どうしても比較してしまうのですが、公開を楽しみにしていました。虚と実の世界ということですが、この時代にファンタジー活劇を作り上げ、後世まで語り継がれるのは、やはりすごいですね。 滝沢馬琴の半生を描いたものとして見ると、興味深くて面白かったと思います。 長い年月をかけて創作する中での苦労、家族、葛飾北斎との交流や、大名の召喚を断るなど性格は頑固な人だったのかな?などと想像します。 でも、八犬伝のお話を楽しもうとして見ると、話を執筆してる途中なためにエピソードごとに場面が馬琴側に変わるので、没入しかかるのにブチッとそこで切れてしまう感。 あと、八犬士の個性はあんまりなかったですね。俳優さんが有名無名とかそういうことではなく、皆一様に似たような印象でインパクトがなかった。 渡邊君と板垣君はわかりやすかったのですが、8人の持つ役割が活かされてなかった。 1983年版はもっとおどろおどろしさがあったり、人物像がわかりやすく展開もスピーディーだったのに比べ、なんというかきれいにさら~っと終わってしまうような印象でした。ひとり、またひとり朽ちていく…ていうあの切ない感じがないからかもなあ。それは主題ではないのでしょうけど。 とはいえ、俳優さんたちはみな役にあってて良かったです。栗山千明さんはナイスですね。板垣君も最初女性に見えたし、役所さん内野さん寺島さんのベテラン勢は流石でした。 塩野君推しのおばちゃんとしては、映画で初めて見れてうれしかったです。 【追記】感想は人それぞれ。年代によっても見方も知識も違うでしょう。知らない事を、教えてくださるのじゃなく押し付ける方、ご自分のページでお願いします。
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