「短い棒にするには無理あり」八犬伝 えふいーねこさんの映画レビュー(感想・評価)
短い棒にするには無理あり
人形劇「新八犬伝」を別にしたら、八犬伝の映像化最高傑作は常に、「まだ作られてない新作」という蜃気楼を追ってるようなものだな、と思います。
持って回った言い方になってしまいましたが、今作は、虚実どちらのパートもわるくはないけど、なんか色々勿体なくて、あらためて八犬伝映像化は難しいのだな、と思いました。
本当に八犬伝をガッツリ映像化するなら、何しろ原典が長ーーいので、連続ドラマシリーズのほうが向いてると、ずっと思っているのですが〜。
ゲーム・オブ・スローンズ並に時間と予算と手間暇かけたら、間違いなく世界に売り出せるコンテンツになるはずです。
巨匠萩尾望都先生が作劇術を語った言葉に、「長編は長い棒で、短編はその棒の切り口を見せるもの」というのがあるのですが、映画はなんだかんだ言って、棒よりも切り口を見せるものではないかと思うのです。いくら約めても、切り口がはっきりしないと「短い棒」になるだけではないかと。
今作は、切り口としたらもしかして、代筆者となったお路の視点から見た実の話が一番ドラマチックだったかもしれません。お路視点の話が観てみたいです。
付記
昭和のオタクが集まって人形劇や八犬伝の話題が出ると必ず、「新八犬伝のビデオ(録画)をちゃんと残さなかったNHKを、ワシは一生許さん」という話になります。5年に一度は必ず言ってる。これからも言い続けます。
いつも共感&コメントありがとうございます!
「まだ作られてない新作」という蜃気楼・・・すごい絶妙な表現で納得してしまいました。
超長編フィクションだということもあるから、映画化、ドラマ化するにしても馬琴の意図を汲み取りながら、いかに脚色するのがが難しいかを物語ってますね~