「馬琴がただの頑固爺いになってしまった」八犬伝 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
馬琴がただの頑固爺いになってしまった
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八犬伝の物語パートと、馬琴と嫁の口述筆記の最終パートがあれば、それで充分に感激出来た感じでした。
◉掌中の珠
若者たちがエイヤっと掌を開いて珠を見せ合うシーンは、物語が昇華していく昂りを思い出させてくれた。やはり子供時代に出会った優れた物語から、身体に染み込んだRPGの遺伝子は強い。あの掌を開く一瞬の超ワクワク。
しかし馬琴が何故か、自己肯定感が低そうな只の老人。空想に身を委ねてしまえる戯作者になど全く見えなかった。役所広司さんがいつも感じさせてくれる、抱えた荷物の重さとか、それを表に見せない優しさとかが、この映画ではなかったように思えました。
◉空中の文字
空中に文字を書いた馬琴の指と、必死に見つめる嫁の瞳が綺麗でした。怒って立ち去ろうとする馬琴と、縋って教えを乞う路の姿が切なくて、私も身を捩ることになる。決して決して、黒木さんファンだからではなくて。物語に取り憑かれたように、それまで読み書き出来なかった女子が物語を綴っていく。月並みな感激ながら、これこそファンタジー。
しかし、馬琴の指の形がもの凄く綺麗でした。
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