「虚と真実が交錯した作品」八犬伝 やままさんの映画レビュー(感想・評価)
虚と真実が交錯した作品
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①ファンタジーな八犬伝(虚)
②滝沢馬琴の生涯(実)
が交互に織りなす不思議な作りをした映画。
①の部分はCGありまくりの、ファンタジー時代劇
②の部分は名役者たちが演じる時代劇
で、場面転換があればすぐに気付けるレベルで系統が異なる。八犬伝パートから現実パートに行くと月日が過ぎていて、馬琴の置かれている状況にも変化があり、また、馬琴自身も段々歳をとっていく。
八犬伝パートはイケメンたちが前向きに闘う勧善懲悪なストーリー、端折られてはいるが、ちゃんと一人一人仲間を見つけて…というワクワクする展開はちゃんとある。どちらかと言うと、若者向けのような印象。
現実パートはさすがの役所さんと内野さん!部屋で会話したりやりとりする中での変化を自然に演じ、お互いが段々を老いていく姿も見事演じている。
印象的だったのは、馬琴の奥さんが、お嫁さんを睨んで死ぬところかな。「女」であることから、家族なのに夫と息子の絆に入り込めない、手を出してはいけない聖域だと思っていたのに、それに事情はあれどもお嫁さんが踏み入れているのを見て、死に際に、お嫁さんのようにしたかった想いと、お嫁さんに対しての嫉妬の「ちくしょう」という言葉だったのかな…と推測。
最後はこの交錯していたストーリーが、一緒になって…というよくある展開だが、それが自然で、馬琴の表情に思わず涙しそうになった。
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