「じいさんとじいさんがわちゃわちゃしている」八犬伝 callさんの映画レビュー(感想・評価)
じいさんとじいさんがわちゃわちゃしている
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じいさん(天才)と、じいさん(天才)が、バカ話をしている。
その会話が妙に心地よい。
虚と実を織り交ぜて映像に落とし込む、そのテンポも良い、
100冊以上の大長編になった里見八犬伝はこう書かれたのであろう、という話で、
おそらく冗長な部分を極力削りに削ったであろう脚本家の努力が思われる。
ちょっと気になった点がありまして、
四谷怪談と忠臣蔵のシーンで「四谷怪談は忠臣蔵の裏返し、忠臣蔵という実を虚があざ笑う」というニュアンスの言葉が出てきます。
この言葉に、ものすごく引っかかっているのです。
実はこの映画そのものが曲亭馬琴の「実」を、里見八犬伝という虚があざ笑うという仕掛けを施されているのではないか、という疑惑です。
でなければ、鶴屋南北のシーンそのものがいらなかったのではというくらいです。
里見八犬伝という勧善懲悪が、悪事を働かない(でも偏屈)馬琴とその子の実をあざ笑っているという意味なのかなと思っていましたが、なんかもう一歩後ろにありそうな気がしています。なんだろう。
ともあれ、この映画そのものも2時間を大幅に超える大長編です。
じっくり腰を据えて見られる力作だと思います。
ラストのシーン。
あの演出にするのはべったべただと思いますが、それでも泣けてしまいました。
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