劇場公開日 2024年10月25日

「フィクションとリアリズム Fiction and Realism」八犬伝 新米エヴァンゲリストさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5フィクションとリアリズム Fiction and Realism

2024年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

知的

映画は
曲亭馬琴と葛飾北斎のやり取りが中心になる。

「虚」と「実」が
物語の根底にあり、
登場人物は、その間を揺れ動く。

戯作者として「虚」を紡いでいく意味とは?
絵師として「実」描いていくこととは?
その生活は「実」なのか「虚」なのか?

個人的に一番、鳥肌が立ったのは
実パートの
奈落での鶴屋南北と馬琴のやり取り。

時代を超えて、
物語を創作する意味を問う内容で、
馬琴の意見も、南北の意見も
一理あり、
その中で迷いがなく、
はっきり意思を示した
立川談春による鶴屋南北の怪演が際立った。

山田風太郎の原作本「八犬伝」を見ると
この部分は、ほぼそのまま採用されている。

もちろん、「実」とはいえ、この二人のやり取りは
創作だろうけれど、ひょっとしたら
と感じる迫力だった。

この映画だけでなくすべての作品は
「虚」を紡いでいるのだけれど、
その「虚」が果たす役割ってなに?
物語(フィクション)と実生活(リアル)とは?
と創る側も観る側も
問いかけられたような心持ちになった。

The film centers around the interactions between Kyokutei Bakin and Katsushika Hoku

At its core, the story revolves around the ideas of “fiction” and “reality,” with the characters wavering between the two. What does it mean for a fiction writer to spin “fiction”? And for an artist to paint “reality”? Is their daily life itself “real” or “illusory”?

The scene that gave me the strongest chills was the exchange between Tsuruya Nanboku and Bakin in the understage area during the "reality" segment. This scene explores the significance of creating stories across time, presenting both Bakin’s and Nanboku’s viewpoints, each of which has its own merits. Among them, Tsuruga Nanboku, played by Danshun Tachikawa, stood out with his uncanny and unwavering portrayal, firmly expressing his conviction without hesitation.

Looking at Yamada Futaro’s original work, The Eight Dog Chronicles (Hakkenden), this part appears to have been adopted almost as is. Of course, though we may consider this exchange between the two as “real,” it is likely a work of fiction. However, the intensity made it feel almost plausible.

Not just in this film but in all works, we are weaving “fiction,” but what role does that “fiction” fulfill? What is the relationship between story (fiction) and real life (reality)? It felt as though both the creators and the viewers were invited to reflect on these questions.

新米エヴァンゲリスト
トミーさんのコメント
2024年10月29日

共感ありがとうございます。
現在TVでやってる源氏物語にせよ、リアルと創作との折り合いは作家にとって大きな課題なんでしょうね。

トミー
新米エヴァンゲリストさんのコメント
2024年10月29日

ホントですね。
あの一連のシーンは痺れました。

新米エヴァンゲリスト
トミーさんのコメント
2024年10月29日

あんたの世界は有害だ! 今、色んな意味で避けて通れない言葉と思いました。

トミー