劇場公開日 2024年7月12日

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「ある男の人生に立ち会った気がします」ある一生 ゴロゴロさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ある男の人生に立ち会った気がします

2025年1月31日
PCから投稿

泣ける

幸せ

ゼーターラーの原作が素晴らしかった。200ページほどの中編でありながら、その人生の要所要所だけを描き、日々のくり返しにすぎぬ、あいだの数十年をとばしてしまう。
彼の人生は、約80年という時間に制約され、アルプスの山岳という空間に閉じ込められている。そうした時間と空間の限界の中で、彼はしかし抗うことなく、運命を受け入れ、毅然と、歯をくいしばって対峙し続けた。
映画「ある人生」の優れた点は、原作に心からの敬意を払い、すじを忠実に追いながらも、活字の深さ・美しさを、映像のそれで見事に表現している点だろう。
あの雪崩さえなければ、エッガーは今も、愛する妻マリーと子宝に恵まれて、アルプスの山々に囲まれて幸せに暮らしているだろうに……

ゴロゴロ