「オーストリア.アルプスの変遷」ある一生 カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
オーストリア.アルプスの変遷
山好きには堪らん山景色であり、
悲しい情景でもある。谷間に生涯を暮らした男の話
アルプス山岳に住むことになった少年エッガーは世界恐慌から、ヒットラー、月面着陸以降の激動の時代を、
こんな山間部に居ながら翻弄され抗うことなく孤高の人生を全うする。
それは、神に依存することではなく、
唯一、愛したマリーとこのアルプスともに生きることだった。
エッガーの口癖は、
足りないものは何もない。
この20世紀は、欲しいものを気ままに求めて、人は見上げて見ていた月まで行き。
見上げていたアルプスの山頂までロープウェイを通し、
アルプスは道路で傷だらけとなり無惨な痕跡が痛々しい。
それでも、国破れ山肌削られたアルプスだけど
マリーの眠るその山懐に寄り添って静かに老婆と同じように天寿して知人に安置され、ほっとした。
彼の足跡は知足だけでなく、
今日のインバウンド観光産業への警鐘とも聞こえる。
今年一番の秀作候補だなぁ
( ̄∇ ̄)
ある一生
オーストリアの作家ローベルト・ゼーターラーの世界的ベストセラー小説を映画化し、
激動の時代に翻弄されながら過酷な人生を歩んだ男の愛と幸福に満ちた一生を、
美しい情景とともに描いたヒューマンドラマ。
1900年頃のオーストリア・アルプス。
孤児の少年アンドレアス・エッガーは、渓谷に住む遠い親戚クランツシュトッカーの農場へやって来る。
しかし農場主にとってアンドレアスは安価な働き手に過ぎず、虐げられながら暮らす彼の心の支えは老婆アーンルだけだった。
アーンルが亡くなるとアンドレアスは農場を飛び出し、日雇い労働者として生計を立てるように。
やがてロープウェーの建設作業員となった彼は最愛の女性マリーと出会い、山奥の小屋で幸せな結婚生活を送り始めるが……。
主人公アンドレアスの青年期を新人俳優シュテファン・ゴルスキー、
老年期を「生きうつしのプリマ」のアウグスト・ツィルナーが演じた。
監督は「ハネス」のハンス・シュタインビッヒラー。
ある一生
劇場公開日:2024年7月12日 115分