占領都市のレビュー・感想・評価
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平面空間とそこに刻まれし記憶をさまよう
まず前提として、これはレビュー星取りなどで易々と評価できない作品である。我々が慣れ親しんでいる映画の枠組みを超え、美術館のインスタレーションを体感しているような気持ちをもたらす4時間越えのドキュメンタリーだ。それも語り口として何かしらの起承転結があるわけではない。観客の目は彷徨う魂のように、人々が事実上の自由を奪われたコロナ禍におけるアムステルダムの街並みを漂い続ける。なおかつ、平面的な空間移動によって静謐に映し出される住宅、建造物、広場に添えてナレーションが淡々と物語るのは、この場所に刻まれた記憶。1940年〜45年のナチスドイツの占領下にあった時代にどんな状況や情景が広がっていたのかを、回想シーンを挟み込むことなく、観客一人一人の中に想像させる試みなのだ。考えるよりもどっぷり感じる映画というべきか。マックイーンの『ブリッツ』(空襲下のロンドンを駆け巡る劇映画)とも比較したい一作である。
こんなふうなドキュメントだとは思わなかった 淡々と進んでいくナレー...
こんなふうなドキュメントだとは思わなかった
淡々と進んでいくナレーション、ただそれだけなのに、
心に重く訴えかける
記録というのはその人が確かに生きていたという証だから、
どの戦争のどんな犠牲者でも、
できることならこうやって残してあげたい
【 demolished 】が、耳に残る
斬新な語り、しかし長すぎる。
三連休でもなければ、とても見る気にはなれない4時間超、251分(途中15分の休憩あり)のドキュメンタリー。ナチス占領下のオランダの数々の出来事を、起こった場所130か所の現在(多くは歴史の回顧でなく、ただの現状)を映しながら、言葉だけで振り返る斬新な構成。ユダヤ人迫害、虐殺や、レジスタンスの抵抗活動、隠れ家の生活、様々な欺瞞や悲劇などのナレーションが現在の平和な生活とダブる。説明の多くが、demolished(今はない)で終わる。ずっと起きて見てはいられなくて、所々ウトウトしながら見たが、つくづく占領などされてはいけないと痛感した。もし日本がこうなったら命をかけても自由を守ろうなどと思うほど若くもないが、占領下では人は肉体的だけでなく精神的に持たなくなるのだと強く感じた。ただ、やはり長すぎるので、星半分は減らす。
demolished
新年初っ端から4時間の長丁場耐えて見ました 15分のインターミッションあり
ナレーション付きでかつてはその場所はナチスの〇〇だったと延々と続く、でも映像は観ていて飽きなかった
関心領域へのスティーブ・マックイーン監督アンサー作品だそうで
こちらは過去何が起こったか気にせず過ごしている人達を描いてるのかな?と思いました
水の豊かそうなアムステルダム
レジスタントが多かったのは予想外だった
ユダヤ人迫害時代の外出禁止はまるでロックダウン
難民、植民地、デモ 戦争は終結しても他国同様多くの問題抱えてるのだ!?
新たな手法で伝えるホロコースト
景観を刷新してもなお立ち上ってくる、都市の随所に埋め込まれた悲劇の記憶をとらえた一作
まず4時間越えの上映時間に躊躇を覚えてしまう人も多いのでは。予告編は、流れる現代のアムステルダムの映像の美しさとそこに被さるナレーションの不穏さがなんとも印象的ですが、本編はこの予告編の形態が4時間以上続くと考えてもらってまず間違いないです。
おそらくマックイーン監督は、あえてアムステルダム各所を捉えた映像の空間配置も、ナレーションの時間軸もシャッフルしているため、明確な起承転結は存在せず、時にどれだけの時間が経ったのか、時間間隔を見失いそうにすらなります。
マックイーン監督が本作で時間をかけて描いたのは、人々が往来し、穏やかに生活する(といっても政治デモが結構盛んだけど)アムステルダムの都市の各所に埋め込まれた、わずか80年ほど前の迫害と流血の記憶です。
作中に頻出する"demolished(破壊された、撤去された)"という言葉が示すように、都市は破壊と再生、そして変質を繰り返す場でもあり、古い記憶は棄却され地面の奥底に埋め込まれていきます。そこには未来への前進という肯定的な側面があることは十分理解できるものの、この言葉を聞くたびに、暗い過去を今と切り離し、抹消してしまいたい、という断固たる都市そのものの強い意思が伝わってくるようで、軽い衝撃が走ります。
そうして清潔で洗練されたアムステルダムという都市の空気を人々は享受しているわけですが、果たしてかつての巨大な悲劇を現実の出来事としては忘れていいのか?とマックイーン監督は問いかけます。本作の時間的な厚み事態が、いかに忘れてはいけない記憶が「歴史化」しようとしているのかを知らしめているようです。
なかなか鑑賞には心構えが必要な作品ですが、こういったかなりの時間を要する作品こそ、劇場で観るべき作品と言えそうです。
映画、と言えるのだろうか?
第2次世界大戦中の1940年5月にナチスドイツの侵攻により占領下におかれたオランダの首都アムステルダムにて、その後5年間でユダヤ人を中心に10万人以上の犠牲者が出たという史実を追い、虐殺が行われたり、その人達が暮らしていた場所を現在の映像とともに英語で紹介した作品。
スティーブ・マックィーン、と聞いて、あれ?もう亡くなったのでは、なんてトンチンカンな事を考えたど素人です。
多くのユダヤ人が住んでいた場所を訪ね、コロナ禍以降のアムステルダムの様子を映像に映しながら、ナチスが駐留していた時に殺されたユダヤ人たちの様子を英語で紹介し、日本語の字幕で見せるという方法だが、途中10分の休憩時間が有るとはいえ、4時間は長いし、同じような内容の紹介で抑揚も起承転結も無いので非常に疲れた。
イギリスのことを、UKと言ったり、ブリテンと言ったり、イングランドと言ったり、英語で使い分けてて興味が有ったが、分けるほどの意味が有ったのかはよくわからなかった。
面白くも無いし、疲れる作品だが、ナチスによるユダヤ人虐殺のアムステルダム版として知っておくことは大切だとは思った。
そして、こういう作品を、映画、と呼べるのかも少し疑問を感じた。
ただし、面白くないからと低い星で評価するような作品では無い気がする。なので、普通の3としておきます。
コロナとホロコースト
コロナ禍のアムステルダムを舞台に、第二次世界大戦時にユダヤ人迫害の舞台となった公共施設や住宅が次々と映し出され、その地で起きたエピソードのナレーションが流れます。
合間合間にナレーションが途切れてコロナ禍中を象徴する映像が挟まれます。
冒頭はコロナ初期のロックダウンにより無人となった町が。
そして市当局による規制に反発する市民を広場から排除する警官隊の衝撃の映像が。
ワクチン接種、ロックダウン下に室内で運動する高齢者たち、規制が緩められて集い、エネルギーを爆発させる市民たち。
そして近年に至るまで続々と建立され続けているホロコーストに関わるモニュメントや慰霊セレモニーの映像。
紹介されるエピソードは保身の為に密告する人たち、権力側に阿る市民たちの行動、対象的に非人道的な風潮に臆することなく自らを犠牲にしてまでユダヤ人を救おうとする支援者たち。それらが年代も、立場もランダムに続きます。
睡魔に襲われなかったかというと、所々記憶が飛んだと言うのが正直なところです。
けれど、現代の町並みを写し、その地で過去に起きた出来事をナレーションで示すという斬新な手法に、思ったよりも退屈しませんでした。
コロナとホロコースト。
撮影の時期は偶然だったのか、何か意図があったのか?
まだ示された内容をどう捉えればよいのか消化できていませんが、お時間があれば一度ご覧になってみてください。
人それぞれの受け止め方があると思います。
美しい風景の奥に
唯一無比の映画体験‼︎
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