「日本語吹き替え版が監督の望んだ姿では?」占領都市 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
日本語吹き替え版が監督の望んだ姿では?
80年近く前のオランダ・アムステルダムにおけるナチスの蛮行を描く作品ですが、当時の記録映像も生き延びた人へのインタビューも一切出ず、現在の街や人の姿がひたすら映されるだけです。そして、その住所番地やそこで暮らしていた人の名を詳細に述べ、その人がどんな目に遭ったかをナレーションが淡々と語り続けます。ユダヤ人もレジスタンスの人々も非道な運命を辿っています。
観る者は、ナレーションが語る当時の人々の嘆きと、現在の平和な映像のギャップを自分の想像力で埋める事が求められます。これはホロコースト映画としては新しい挑戦的なアプロ―チです。しかも、この淡々としたお話が4時間10分も続きます。観終えた時には、その時間以上の疲労感を覚えました。
但し。僕は外国映画は必ず字幕版で観るのですが、本作の場合は、映像も(字幕)情報も視覚からのみ入るのでかなり目が疲れました。本作は、目は映像に没入させ情報は耳から得るのが適正なバランスなので、これだけは日本語吹き替えでこそ作者の狙いが観る者に届いたのではないでしょうか。
ちなみに、アムステルダムは、アンネ・フランクが身を隠していた街でもあります。
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