国宝のレビュー・感想・評価
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長かったけど日本文化⁉️
役者の方々の演技は素晴らしいものでした。
特に主役お二人の演技が後半心情を吐露する場面で、
役になりきっての言葉に感じました。
俳優誰々ではなく、半ニ郎と半弥が話していました。
歌舞伎のシーンですがお二人とも撮影までに
一年半特訓されたようです。
歌舞伎のことは分かりませんので、
場面に違和感なくしておられたぐらいしか。
特訓であっても一年半という短期間ですので、
評価するなんて本業の方々に対して失礼かな、
というかできないです。
半二郎が半弥の息子に稽古をつけ
終わりに挨拶する時、
吉沢亮さんが正座して手をつきお辞儀する姿が
とても美しく印象に残りました。
半二郎と半弥という役柄はさておき、
横浜流星さん、なんか大変な役柄というか、
あまり幸せになりにくい役柄が多いようにお見受けします。力量がある故にできることだとは思いますが。
吉沢亮さんは最近、コーダ役のを観ました。
(ちょうど今見ていて手話で母と会話しています。
手話、難しいです。これも練習の成果かと)
演技力のある方とは思っていましたが、
本作で遺憾なく発揮されていたように見えました。
子役時代の俳優さんもお二人にどことなく似ている方を
よく見つけて来られたな、と思っていました。
やはり男の友情を絡ませつつ、
一つの物事を追究し極めていくことの艱難辛苦を
描いたのでしょうか。
どんな世界であっても
二人いると比較されてしまいます。
半弥(俊介)の場合同じ部屋子であっても、
半ニ郎(喜久雄)には負けたくない気持ちがある上に
純粋なる血を引く立場にいながら
父のお眼鏡にかなわなかったことは何重にも半弥の
心を打ち砕いただろうと想像できます。
父は、仕事では秀でつつ
息子の気持ちを顧みる気持ちは無かったのでしょうか⁉️
しかし、お披露目会で倒れた時に俊坊俊坊と呼んで‥‥。
厳しい世界故に可愛い息子ながら世襲よりも、
実力を重んじざるを得なかったのでしょうか。
心砕かれつつ苦節を乗り越え再起した俊介、半弥。
力ある後ろ盾を亡くした半ニ郎と立場が逆転します。
追い討ちをかけるように、
刺青やら隠し子やら乗っ取りした、とか、
メディアの格好の獲物にされて役も貰えぬ有様。
以前の俊介と同じような生活をしていきます。
興行の舞台で客に絡まれて心底嫌になる喜久雄。
そんな時、以前見知っていた人間国宝の万菊さんからの
連絡。
驚いたことは、人間国宝であるのに、
あのアパートにしか住めないのでしょうか。
歌舞伎の方かな、と思ってましたら田中泯さんでした。
復帰して半弥と共に
以前のように舞台に立つことができたのも束の間、
半弥が糖尿病で倒れてしまいます。
足を切断しても舞台に立つことしか考えない半弥。
最後の力を振り絞って二人道明寺を演じますが。
糖尿病の怖さをまた知りました。
時が過ぎて60代ぐらいになった半二郎、
人間国宝になりいろいろと取材を受けます。
写真を撮っていた女性カメラマンから、
あの昔、道端の社に拝んでいた時のことを指摘されます。
隠し子のアヤナ?だったようです。
瀧内久美さんでした。この方、イヤな役柄多いな、
このセリフ、ちょっと余計、と思ってたら、
日本一の歌舞伎役者、と言っていたので、
そう来たか、と思いました。
ラスト圧巻の鷺娘、美しかったですね。
❓❓❓
🔴吉沢亮さん横浜流星さんお顔が綺麗で女形ピッタリでしたが、少し身体がゴツくなかったですか。
吉沢亮さんの喜久雄、なぜ刺青入れたのでしょう?
🇯🇵ではマイナスイメージしかつかないし、後に週刊誌に
書かれるし、春江も刺青入れていて半弥の妻、梨園の奥様だけど、大丈夫でしょうか。
🔴寺島しのぶさんちょっと意地悪な女将さん役、
ピッタリ。半二郎が歌舞伎界から追い出されそうで
挨拶に来た時、半二郎の言葉の後、戸を開け出て行くので
何か品物でも渡すかと思ってたら孫に話しかけて💦
地で行っておられるような気がします。
🔴永瀬正敏さん、本作カッコよかったので、もう少し、
出番があれば良かったと思いました。
🔴渡辺謙さん、糖尿病だったのですか。怖い😨
連獅子の練習もされたのでしょうね。
🔴歌舞伎の共演者や箏曲とか黒子とか上下の方とかは歌舞伎の方々でしようか。
考察:
なるほど〜、
春江の刺青は若気の至り、不用だと思ってましたが、
春江が俊介のところに向かったのは、
喜久雄が歌舞伎のことしか考えず、側に居ては足手纏いになるし、とまでは気づいていましたが、
他レビューも参考にして、
ライバルの俊介を見張る必要もあったのかと。
裸にはならないので俊介さえ喋らなければ、
秘密は守れます。
喜久雄と一緒に彫った大切な刺青を背負って
喜久雄をひたすら思い続ける、ということでしょうか。
半二郎の鷺娘を観に来ていましたね。
俊介、かわいそう💦💦💦
補足:
どうしても、ラスト直前の瀧内久美さんの
登場に違和感を感じます。
『ディアファミリー』のラストの有森佳純さん登場とよく似たもので、
あまり顔の知られていない新人を起用した方がスンナリ行くように感じました。
興行でもありいろいろ事情はあるかと
思いますが。
他作品が思いうかぶ
日本版、あるいは男版ブラックスワン
何かを見て明らかにパロってないのに〇〇に似てるって言うの見てる作品が少ないだけって思うけどそう感じてしまってつまんなかったので2.5です。
バイアスなかったら3ぐらいの普通の映画だと思います。
これが邦画の傑作っていうなら今後邦画を映画館で見ることはないです。
とても美しくて良かった!!
まず、序盤吉沢亮の子供のころの役の子がまたうまくて可愛くて良かった!!
やーさんの殺されたところは龍が如くのシーンと被った!(笑)
渡辺謙も渋くてかっこよかった
多分もっと辛くて厳しいのだろうが
かなりまろやか?になってはいると思うが
それすらも想像、妄想して見ているので
全然モーマンタイ
色々な人生模様があり
あーわかるなーという所もあり
吉沢亮くんが屋上で酒を飲んで狂ってるところ
もしかして
この役柄とシーンに没頭しすぎて下の階の人んちに行ってしまったのではなかろうか!?と思った(笑)
けどこのシーンの赤い着物と最後のシーンの赤い着物とでシンクロできて
とても良かった。
流星くんも綺麗で良かった
足がこーなるまでなんで気付かなかったの!!って思ったけど
あそこは原作にかかれているんですか!?
あの役がやりたいってやつ
とかも
ほんとよくて
終始ずっと泣いてた
多分トータル40分くらい泣いてた(笑)
悲しくなくても
綺麗だなっておもって
泣いたりもしてたからね?
役者に思い入れもあるよ!
とくに
吉沢亮くんはフォーゼの時から見てたし
フォーゼのトークショーも行ってるからね!(笑)
生身もみてるけど
あの、若かったころから注目していたが
まさかここまできたなんてね
それもとても嬉しくて良かった。
そしてバンギャだから白塗りというだけで嬉しいしね!!
音楽も良かったなー
最後の歌もあってた!!吸い込まれるような歌で終わって
綺麗だった
涙止まらんかったわ
だが4止まりの理由は
これを買ってまで何回もみるかなーとはならんかな
もう満足した!
でも
見てからずっとあのイナバウアーみたいなやつ真似してずっとやってるよ(笑)
私もあそこまでやってたら
それるようになるのかな?(笑)
もっと長くても良かったかも?
各所で絶賛されているのには、納得の贅沢な映画でしたが、後半の駆け足感は、すでに何人かの方が指摘されている通りだと思います。主人公が人間国宝になるところを結末とするなら、もっと長くないと厳しいのかなぁ、もっとじっくり観たかったなぁと感じました。
今作の尺である2時間55分ならば、吉沢亮さんと横浜流星さんの(擬似)兄弟2人の人間関係にグッと絞り込んで描いてもすごく濃厚な作品になったのではないかなと… なんせお2人がとても素晴らしいので。
(以下、シーンのネタバレあり)
勿論素晴らしいシーンがたくさんありますが、特に、冒頭の料亭での襲撃〜父との別れのシーンが素晴らしいと思います。
父の組の敵対勢力の襲撃のさなか、少年喜久雄の才能を一瞬で見込んだ渡辺謙演じる半次郎が、少年ながら加勢しようと鉄火場に飛び出そうとする半次郎を宝物を抱えるかのように覆い被さって止める。ガラス戸越しの2人の視線の先は、雪の降っている料亭の中庭で、父がたった1人で大立ち回りを演じ、最後には敵の銃弾に倒れる。
永瀬正敏さん演じる組長である父親は、死を覚悟し喜久雄を一瞬見つめる。それはさながら一世一代の大芝居を演じる千両役者のようです。ガラス越しに目線が合う少年喜久雄は、その雪の中での父の最期を見るだけしかできない。のちの喜久雄の人生を決定づけてしまうこの情景は、悲しくもとても美しいシーンだと思いました。歌舞伎役者となり、舞台効果の花吹雪に執着することになる喜久雄の原風景は、まさにここに由来しているのだと思います。
のちに、茶屋デビューをした少年喜久雄が、見上愛さん演じる舞妓に故郷 長崎の事を聞かれ答えます。
「長崎には滅多に雪は降らない…」
それまでの喜久雄の壮絶な人生を思うと、こんな何気ないセリフも喜久雄にとって重いものだと分かります。次回は、雪と桜吹雪という重要なテーマが、映画の中でどう扱われているかに気をつけて観てみたいです。
まさに『国宝』
流行りものには基本的に乗っからないクチなのですが、黒木瞳さんのラジオで李相日監督がゲストの週があって、これは動画配信ではなく大きなスクリーンと良い音響で鑑賞したいなと思い遅ればせながら今になって鑑賞してきました。
日本の映画はアニメが興行収入上位を独占してしまい、実写映画にかつての勢いが感じられず、アニメもクオリティ高くなってきて悪くないけど、歴史ある映画館も閉館するなど大きな節目を迎えていると感じています。
そんな中で3ヶ月のロングランも納得の傑作、日本映画の底力を感じました。
日本の芸能界は任侠、現在の反社とも決して浅からぬ因縁があります。そうした中で任侠の世界に生まれ、歌舞伎の世界に飛び込む主人公の境遇は皮肉的であり、またドラマチックでもあります。
また因縁という点で言えば歌舞伎座の落成を機に少なくない不幸が梨園を襲った事もあります。
何処か作中の襲名式での事件に始まる過酷な運命も、そんな現実の韻を踏んだ描き方とも捉えられそうです。
タイトルの『国宝』には幾つかの意味がかけられているのでしょう。
まず歌舞伎という日本の無形文化遺産という日本が誇る文化・芸能としての"国宝"
田中 泯演じる小野川万菊という"人間国宝"の晩年の慎ましさと変わらない優しい手招きの表現、そして藝を極めた者の執念。
そしてなんと言っても"人間国宝"に至る吉沢亮演じる喜久雄の人生をまるごと舞台にしてしまう大胆さと残酷さ。
作品のポスターなどにも使われている二人の女方、苦難を互いに乗り越えてきた相方の俊介の人生。家名と血と藝の重み。
曾根崎心中の二人の絡み、壊死した足に顔を乗せて、転んでも立ち上がり演じ切る姿と刀で本当に殺してしまうのではないかという二人の泣きながらの演技。
多くの人に支えられ、犠牲にして、悪魔に魂を売っても高みを目指した万菊の晩年の舞台とコントラストになる冒頭の雪景色。
音響も演出も、カメラワークも魅せられました。
安っぽい言い方になってしまうかもしれませんが、この映画を機に歌舞伎に興味を持つ人が増えたら良いなと思います。
2度鑑賞して更に高満足
一度目もあっという間に終わりました。
3時間という中で情報量が多く
人物も多く
1回目は少々消化不良でした。
2度目は
展開が分かっているので登場人物の心情も考えたりできた。
1回目は
隠し子の関わりが理解できなかったが
2回目はラストに続く隠し子との関わりを意識できた。
歌舞伎を観たこともないがとても楽しめた。
そして
歌舞伎に興味をもった。
大切な人と観ると歌舞伎も一緒に観ようとなる。
良い作品を観ることができてよかった。
本当に100年に一度?
普段全く邦画をみない人間です、あまりにもオススメされて見に行きましたが全く良さがわからず、いつ終わるんだろうと思いながら見ていました。
登場人物全員に嫌悪感。昭和の価値観の作品になるのだと思うので仕方ないのかもですが…
才能のある主人公に歌舞伎の血が流れていないこと、育ての親が最期に自分の名前を呼ばないことには同情しましたが、悪魔と取引して人生を捧げた結果酷い目に合っているのは女性だけですよね?
複数の女性や子供の人生壊しているのに、自分だけがすべてを捧げて、過酷な状況になっているような表現で引きました。
お父さんと呼ばれて無視しておいて、成長した娘に才能で免罪されるのもありえない。
歌舞伎の血が流れている側は、飲み歩いたりして真剣に向き合ってないのに選ばれずに逃走。戻ってきても結局血が居場所を作ってくれるし、跡継ぎの息子も産まれて人生イージーモード。
いれたかっただけな濡れ場が邪魔でした。なくても何かあったであろう演出はできますよね。濡れ場がなければもう少し良かったかもしれません。
こちらが100年に一度レベルの作品なのであれば、今後邦画をお金出して見ることはないと思います。
いきざま
2人の歌舞伎役者の「生き様」が凄まじい。対照的な強さと弱さを持つ2人でありながら、2人ともスピリットで生きて演じている。
演じていた役者さんともシンクロするものがありました。吉沢さんも横浜さんも、この作品以前と以後みたいな感じで評価されるようになると思います。
歌舞伎役者には遠くおよばないですが、わたしたち一人一人が懸命に生きることで、たどり着ける場所や見ることがかなう景色もあるのではないか……とも思います。
高畑さん、見上さん、瀧内さんなど、女性俳優さんもとても魅力的です。
日本文化への敬意を感じる作品
予備知識なく見たが凄い映画だった。
歌舞伎という特異な世界に身を置く二人の若者を、今や人気俳優となった吉沢亮と横浜流星が演じている。
正直人気若手俳優のダブル主演という事もあり、人気俳優の人気にあやかろうという浅ましさを感じてしまいちょっと避けていたが、二人の演技は非常に素晴らしく心を打たれた。
特に曾根崎心中は物語の核となる演目であり、指導シーンから師となる渡辺謙演じる半次郎の指導も、見ているこちらにも緊張が走るほどすさまじいものだったが、それに呼応するように演技がめきめきと上達する喜久雄の姿がまた良く、興奮を覚えたものである。
中盤の喜久雄版は「天才」を感じさせるものだったが、終盤の俊介版はまさに俳優生命をかけた鬼気迫る迫力があり、喜久雄版と違った良さに自然と涙がこぼれた。
日本の伝統芸能である歌舞伎は、存在こそ誰しもが知っているものであろうが、実際に見たという人は本当に一握りであろう。私もテレビで一部を見ることがあるだけで、ちゃんと見たことは無い。
しかし本作品はその大部分が知らないであろう歌舞伎という世界に観客を引き込むことに成功しており、魅力的に感じさせることが出来ていると思う。
どうしても主演二人の評価に偏りそうであるが他のキャストも非常に良かった。
子供時代を演じた黒川想矢さんと越山敬達さんの演技も良い。
おかみさん役の寺島しのぶさんも素晴らしかった。
この日本の古典芸能を扱った作品の指揮を執ったのが李相日監督というのにも驚いた。
もっとも、李相日氏の作品は過去にもフラガール、悪人など良質な邦画を沢山撮られている方ではあるが、日本人でさえ過半数歌舞伎の魅力というのを一本の映画として最大限に見せていると思うし、この作品を見て歌舞伎を見てみたいと思った人も多いだろうと思う。
李監督は本当に上手いなと率直に感じた。
歌舞伎の魅力もそうだが、映像が本当に美しく是非劇場で見て欲しい作品です。
原作と少し違う
原作を読んでない方は満足かな?原作を読むと「上下巻を3時間」にはやはり無理があったな。最高の脇役が一切登場しなかったし、父の死にざまが美しかったとの表現はなし、涙のラストシーンは全く違う。でも映画のラストシーンはそれはそれでよかった、私以外の観客さんは号泣してたしね。
美しい、人間ではない何か
3時間と聞いて身構えて鑑賞したが、やはり話題作なだけあって映像の引き込む力がかなりあった。。
喜久雄の少年期から人間国宝になる老年期に差しかかろうかというところまでを追い、人生を一緒に伴走しているかのような視点から見ることができた。
喜久雄が16歳の時に俊介とともに見に行った当時の人間国宝万菊が舞う景色をずっと心の中で追い、最期に舞台で喜久雄自身が同じ景色を見る。
万菊は病床で美しいものがない世界に安らぎを感じていた。喜久雄たちの生涯を追いながら、それは歌舞伎の世界に生きることのストイックさと表裏一体なのだろうと感じた。それほどに美を追い求め、ある種人間らしい幸せを捨てた先に見える景色。
それが人間でもなく人間国宝でもない、"国宝"が掴むもの、そして観客を魅了するものなのだろうか。
演技は素晴らしく感動しました。
何を重視して観るかで評価が変わると思います。
演技はとても素晴らしく、役者さんの魅力が最大限に活かされていると思います。
一方で展開は読みやすく、観ているだけでこうなりそうだなと感じた通りにストーリーが進みました。
読めなかった展開としては、花井半二郎(渡辺謙)が吐血して倒れるというシーン。
なぜ糖尿病で吐血するのか?と気になりました。
中盤までは夢中で観て感動して泣いたところもありましたが、終盤になると気持ちがフラットに戻ってしまった部分があります。
あと後半の歌舞伎のシーンでクラシックな音楽が流れるので、歌舞伎の演技に少し集中できなかったと思います。
歌舞伎そのままのシーンが観たかったと感じました。
美しい映像で楽しめました。
ストーリー自体が長い人生を描いたものなので作品自体も長大なものになっていますが、やはり多くの事を盛り込んでいる分、早いテンポで流れていきます。
かなりの時間が経ってから人間社会のドロドロした様子が始まるのですが、こういう部分は苦手なんでちょっと長く感じました。しかし話の内容から見てまだまだこの作品は長いぞっていうのがよくわかります。
最後のシーンの一言が意外にあっさりしていましたね。
伝統を支えてきた人々
血統が歌舞伎を支えているものの表であるとすれば、血統ではない者や女性という、裏で支えてきたものを主役とした作品である。
歌舞伎の家に生まれることが標準のスタートラインであるならば、それ以外の家に生まれることはマイナスからのスタートであり、さらにもとの家柄が任侠というのであればマイナスの中でもかなり下である。芸能と極道のつながりが深いことは冒頭の場面から示されているが、あくまで表に出てこない裏の話である。本来表には出てはいけない血筋から類稀な才能が生まれてしまったところに妙味を感じた。
主人公の喜久雄は晩年に国宝となるが、作品に出てきたもう1人の国宝である万菊も裏の人物であろう。俊介と喜久雄が歌舞伎の世界に戻るときには手を差し伸べていたが、歌舞伎が必要とする人物を見極めていたように感じた。表舞台から離れた喜久雄を呼び出したのが誰もいない殺風景な部屋であるところに、国宝でありながら表舞台から離れて最後を迎えたであろうことが想像できる。半二郎や俊介が病に侵されながらも最後まで舞台に立っていたこととは対照的である。もしかしたら歌舞伎の家柄出身ではないのだろうか?
男しかいない歌舞伎役者の世界だが、女達もまたそれぞれに役を演じているのだと考えさせられた。喜久雄を慕う3名の女性はそれぞれの役で喜久雄を支えていた。この世界では歌舞伎が中心であり、それをどう支えるかが最も重要であるのだろう。
血が重要であった歌舞伎の世界だが、時代を経るに従い変化も余儀なくされていた。俊介の子は歌舞伎よりバスケットボールに夢中になっていたし、喜久雄にはそもそも息子がいない。歌舞伎の才能には見た目も含まれていると思うが、それを維持する家が続かない。喜久雄が国宝に選ばれた際のインタビュアーの解説では、さも喜久雄がずっと晴れ舞台で活躍してきたかのような話ぶりであった。スキャンダルなどなかったかのような様子だが、世間からすればやはりそのように見えるのであろう。かくいう私もこの作品を見るまでは歌舞伎の世界の知識はほとんど持ち合わせていなかった。伝統を繋いできた人々の壮絶な生き様を学ばせてもらった。
河原での練習風景が好き
吉沢亮美し過ぎんか…と、仕草や指の先に見惚れていました。いや横浜流星も綺麗やったんですが…
決して順風満帆ではない立花喜久雄の人生。まるでカッコウやないか…血に振り回されて可哀想。結局芸やなくて血やないか…のところとか…
喜久雄のことを最初から最後まで真っ直ぐ見ていたのは竹野だけやったなと思う…三代目ってずっと呼んでくれてるやん…
子供の頃の二人が純粋に切磋琢磨している様を見て眩しかったし、そんな二人を、お互いを認めている事を分かっているからこそ衝突する様子は観ていて辛かった。
悪魔にお願いしたものね、そうなるんやろね…と腑に落ちたと思う。
いい対比、血
拾われた子なのに渡辺謙の歌舞伎の役を代役することを渡辺謙から指名された吉沢亮、これをぽっとでの吉沢亮というコソ泥に取られたと思った横浜流星がそっちが取るならこっちも取ると言わんばかりに吉沢亮の彼女をとる。(みんなの意見を見ていると高畑充希の母性が働いたみたいなのを言ってる人もいる)ここの対比から映画が動き出していったと感じる。横浜流星と高畑充希が歌舞伎の店から出る場面と吉沢亮が歌舞伎の舞台から退出する場面からもこの対比が示唆されていると感じる。
また吉沢亮の血に対する執念と絶望が森菜々と横浜流星によってうまく表されていると思った。
悪くはない
吉沢亮の頑張りはすごく伝わって来た。
キングダムの時よりこちらの役柄が合っている気がする。
それより、万菊を演じた白塗りの田中泯。
美しい化け物?だっけ、この人の演技が無ければあの重くドロッとした雰囲気が出なかっただろう。
この映画の重鎮ですわ。
以下、物足りない?と気になったところ。
墓参りで跡目を継がせない事に母親役寺島しのぶが怒りを吐くシーン。
あれは喜久雄を叩くほどにもっと怒り狂う演出をしても良かった気がするなぁ。
他がボヤけるから、演出を抑えめにまとめたのかな?
他にもこの名門家の取り巻き関係者の、血縁以外の者に対するイジメとか、よそ者扱いなんかももう少し壮絶に描いて欲しかったかな。
当たり前にあるはずだし、そういう物に苦労させらせる。
半弥が糖尿病で足を切らねば、の場面。
その状況でなぜにバナナを食べているのか?よくわからなかった。
が、舞台での拍手喝采は光であり何物にも変えがたい魔物であり、それに振り回される役者の執着心は伝わってきた。
それ程でないと芸の道は進めないんだろう。
血筋も、持って生まれた芸の才能も、どうあがいても手に入らない。
そのあたりもよく描かれていた。
この映画からまた再熱している、覇王別姫を観ても思うが、何にせよ、芸能に人権無し、と勝手に思っている。
歌舞伎は世襲。
今回のように、芸に秀でてなくても血筋(ブランド)があればもてはやされるのか。
ならば、歌舞伎通の人達は歌舞伎の芸そのものよりもブランドを観ているのか??
そんな疑問が残りつつ、映画館を後にした。
過去見た邦画では1番の出来
周りから勧められて見に行きました。
横浜流星がお気に入りなので、興味はありましたが、同時期に鬼滅の刃無限城編が上映されていたため、あと、3時間上映もあってもう一つ腰が重かったです。
主人公が人間国宝と呼ばれるまでの歌舞伎役者になっていく物語で、最初の10分見ただけでだいたいストーリーが読めてしまい、少々興ざめな感じで見ていましたが、歌舞伎を実演するシーンがとにかく素晴らしい。下手なのか上手なのか歌舞伎を観たことがない私には分からないのですが、劇中の曽根崎心中を観たとき自然と涙が溢れていました。
これが心震える演技なのかと。
覇王別姫の名前を出さないで欲しかった。
元々見るつもりはありませんでしたが、覇王別姫に影響を受けていると監督が仰っていたと知り見てみました。期待値が上がって、歌舞伎の立女形や真女形など軽く調べて映画を鑑賞しましたが、全然違いました。名前を出さないでほしかったです。
終始、2020年代の俳優が1960年〜2010年代の衣装をきてる感が拭えず、現代風のセリフ回しや髪型で最初の学生時代のシーンなんかは現代の青春映画を観てるのかと思ってしまいました。それでいてこの時代ではいけないという理由が特にないため、没入感がなく最初からツッコむような姿勢で見ざるを得ませんでした。
学生時代に出会った二人が次のシーンではいきなり仲良くなってるところも不思議でした。暴力や規律で徹底的に削られた環境で「芸だけが生きる手段」という切迫感や、その閉鎖的な空間が二人の関係を生み出したというような描写があればまだ感情移入できたと思います。
喜久雄が真女形なら舞台の上だけでなく日常の所作や生き方全てを「女らしさ」に捧げているくらいの作り込みが必要だと思います。そして、真女形が多くの人を魅了するのは、単に生物学的に女に見えるからではなく、実際には存在しない「女」として生きているからだと思います。だからこそ美しいのではないでしょうか?
「悪魔と取引した」という割にその代償や魂を削られてもやってやるみたいな決意や執念深さがいまいち感じられませんでした。「悪魔」=男社会の閉鎖空間での権力関係やそういったものをイメージしていましたが、役を得るために好きではない女と付き合ったという描写だけ。
全体的にキャラクターのセリフによる説明の多様、女性キャラクターが舞台装置的役割でしかなくキャラクターとしての描写が弱すぎたり(男社会だからこそ女性がどう生きるかが描けるのに!)、名門の跡継ぎの妻として入れ墨ある女がテレビに出てたりなど、色々ツッコミどころはありましたし、最後のシーンでは、あぁ、本当に蝶衣は美しかった、レスリーチャンは本当に美しかったって、映画自体に感動するんじゃなくて覇王別姫を思い出して泣きそうになりました。
横浜流星さんの演技はすごく良かったです。女形の時のわずかな口角とか表情とか素敵でした。歌舞伎界に忖度しているのか、闇という闇はなく、芸はこんなに残酷で、でも美しいというところまで突き詰めてほしかったです。
追記
私はこの作品を覇王別姫と比べて、どちらが優れている、劣っているとレビューしたいわけではありません。ただ、監督が「覇王別姫に影響を受けた」と発言していたため、その思想や骨格を受け継いでいるのではないかと期待してしまいましたが、実際には、構図やポスターといったビジュアル面の模倣だけで、作品全体からリスペクトが全く伝わってきませんでした。むしろ覇王別姫の名前が宣伝のために消費されただけのように思えてしまい、ただただ悲しかったというだけです。この発言がなければ、私はそもそも映画館に足を運ぶことも、こうしたレビューを書くこともなかったと思います。(ある意味では正しい宣伝の仕方なのかもしれません笑)
また、私のレビューが覇王別姫と比較していると受け取られてしまった方もいるようで、少し残念に感じます。私は映画自体を観たうえで感じた不満や違和感を中心に書いたつもりです。
覇王別姫は私にとって大切な作品だからこそ、誤解されたくありませんし、このレビューによって覇王別姫が悪く思われることも望んでいません。もちろん、観ていない人を否定したり、観るべきだと押しつけたいわけでもありません。
3時間があっという間に終わった
演技良き、カメラワークも最高。
歌舞伎ってそんなにもうからんの?渡辺謙が死んでいっぱい借金あったみたいなので驚いた。人件費とか稽古場とかの固定費がけっこうかかるんかな?
近所の道明寺でてきて嬉しかった。
最後の吉沢亮の老けていくメイクだけが微妙でちょっと残念。流石にこんな見た目の年寄りがおるか!って言いたい。渡辺謙の老けメイクは良かったのに。
鑑賞日:25/08/26(火)
全540件中、101~120件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。



