国宝のレビュー・感想・評価
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確かに面白かったんだけど…
美術のセットも凄く画面全体にエネルギーを感じる凄い作品ではありました。
歌舞伎てこういう世界なんだな。と教養を得た気分にもなれます。ただ、一旦集中力が途切れてしまうと続きを見るのはしんどくなるかな。映画で見るからこそ迫力で楽しめたと思います。歌舞伎ファンに限らず、歯を食いしばって舞台に挑むっていう所はスポ根が好きな人も楽しめそうですね。
生き様を醜く美しく描き切った
1人の男の人生を描き切るタイプの映画
時系列はそれゆえに長めで、1つ1つのイベントは意外に淡白に、何年後、何年後、と進んでいく
思いつくあたりでは、
市民ケーン、スカーフェイス、アイリッシュマン、ラストエンペラー、ウルフオブウォールストリート、ソーシャルネットワーク
などと同じ構造
好きな構造
(ただどうしても長く・暗くなってしまうものだから、映画好きは好きでも今の日本でこんなにヒットするとは正直びっくり)
ただ今回は芸術的な美しさや迫力が、映像や音楽からひしひしと伝わってくるところがある
その分かりやすさと凄みがヒットした理由なのかも
大抵こういう構造の話は、男が何らかの高みを目指して(大抵は地位や名誉、富など目指して)、あらゆるものを犠牲にしながら人生を過ごし、最終的に孤独や虚無感で終わるパターンが多い
それゆえにその当初の目的よりも、何らかの別の大切さ(rosebudのような、愛のような)があったのではと示唆する
ただ今回は目指しているものが、芸術の美しさ。
歌舞伎という芸能の素晴らしさ、高揚、その先の景色。
それを決して映画内で否定しない。
あらゆる犠牲のもとでもその価値を疑わせない。
視聴者をもその虜にさせる。
主人公の感じる執着に、視聴者も願ってしまう。
ブラックスワンをはじめとするダーレンアロノフスキー作品を一生という時系列で描き切ったとも取れるし
芸術への価値観としてはセッションをはじめとするデイミアンチャゼル作品にも似ている。
一つ一つのシーンとして印象的なのは、登場人物たちの死に様
ヤクザの父も壮絶に、しかしその肉体の迫力のもとに死んでいく
渡辺謙も生への執着を見せながら、強烈なインパクトを残して死んでいく
横浜流星も人生のピークで華々しく散るように死ぬ
万菊も静かに、みすぼらしく、しかしそれ故に印象的に死んでいく
吉沢亮だって、万菊とリンクさせるように描かれているのだから、きっとこのまま孤独に死ぬことになるのだろうと示唆される
良い作品
これが日本でヒットしたというのも何だか嬉しい
凄まじい演技と演出。
周りの強い推しの声におされ、映画館に足を運ぶ。
確かに、これは、映画館で見るべき作品。
そして、人間の生き様を描いたもの。
役者の演技、表情も凄まじいものがあるが、
息遣い、足音、緊張感の演出にも、強いこだわりを感じる。
伝統芸能を背負う者達の、重圧をも感じることができる。
観ているものの感情に強烈な印象を植え付ける。
個人的に、
「血がほしい」といった彼の表情と心境、
化粧が崩れた状態で舞う屋上のシーン、
様々な経験を得た二人が揃う花道のシーン、
が、印象に残っている。
主人公2人の演技に賞賛の拍手を送りつつ、
伴侶の支え、周りの助けの有難さにも、
改めて、感謝したいと思える作品。
私的、弱点と凄みを感じさせる、今年の代表的な作品の1つだと
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作の映画『国宝』を面白く観ました。
ところで個人的には、李相日 監督の作品は、多くの作品で弱点と凄みがあると感じて来ました。
おそらく、今作を絶賛する人がほとんどでしょうから、まず私的感じた弱点から‥
今作の映画『国宝』に私的感じた弱点は、1つ目は、主人公・立花喜久雄(吉沢亮さん)が、花井半二郎(渡辺謙さん)のトラック事故により花井半二郎の代役で「曽根崎心中」を演じるのですが、その時に観客にいた大垣俊介(横浜流星さん)と福田春江(高畑充希さん)の関係性に疑問を感じた所です。
大垣俊介は、父・花井半二郎の代役を演じられなかったいたたまれなさで、主人公・立花喜久雄の「曽根崎心中」の観劇から中座します。
そして、福田春江も、観客席から中座した大垣俊介を心配して追って観客席を後にし、その後、大垣俊介と福田春江は駆け落ちし、歌舞伎の世界から(一旦)いなくなります。
ところが、1観客の私は、主人公・立花喜久雄と幼馴染だった福田春江が、彼にとって重要な花井半二郎の代役の「曽根崎心中」の舞台に集中せず、大垣俊介の方に気を取られ大垣俊介の後を追った、彼女の心の動きに違和感を持ったのです。
その理由は、主人公・立花喜久雄と福田春江の関係性はそれまで描かれて来た代わりに、大垣俊介と福田春江の関係性(モンタージュの積み重ね)がほぼ描かれてないのが理由だと思われました。
これは、李相日 監督が、女性との関係性の積み重ね描写にそこまで関心が薄いのが理由だと、僭越思われました。
例えば、映画の終盤で、三代目・花井東一郎となった主人公・立花喜久雄は、カメラマンとなった娘・綾乃(瀧内公美さん)と再会します。
そして、娘・綾乃の父への語りは感動的な場面だったと思われます。
しかしながら、娘・綾乃が、自分と母・藤駒(見上愛さん)を捨てた父・三代目・花井東一郎を非難する時に、観客は、母・藤駒の、捨てられて苦労した沈痛な表情のモンタージュを思い起こすことは出来なかったと思われます。
なぜなら、母・藤駒から向けられた、主人公・立花喜久雄への関係性と表情を、それまでしっかりと描いてなかったのが理由だと思われました。
観客はその代わりに、娘・綾乃が父・三代目・花井東一郎(立花喜久雄)を非難している時に、三代目・花井東一郎が同様に苦労をさせた、彰子(森七菜さん)の表情をそこに重ねたと思われるのです。
李相日 監督は、様々な登場人物のそれぞれの立場から作品を描くというより、(もちろん全てではないですが)主要な登場人物からの一方的な描写で描き通すスタイルがあるように感じて来ました。
なのでその弱点として、福田春江と大垣俊介との関係性や、娘・綾乃の母・藤駒からの立花喜久雄への関係性の、描写の欠落が起こってしまっていると思われたのです。
あとの細かい今作の弱点としては、広いロケシーンで、ピンボケとはいえ、遠景に現代的な建物や構造物や車などが映っているのは気になりました。
李相日 監督は、”全てやり直せ!”と暴君的に振舞っても許される立ち位置に既にいる監督だとは思われます。
出来れば、このレベルの作品であれば、遠景の背景は全てCGで描き直す要求をして欲しかったとは思われました。
そして例えば、花井半弥(大垣俊介)の義足の足先が動いてしまっている場面もあったと思われたりもしましたが、李相日 監督ならその点で周りに完璧さを求めることも可能だったと思われます。
また、歌舞伎のシーンでは、扇子の位置や手や首の角度に至るまで、互いにシンクロするレベルでの要求が可能だったのではとも思われました。
それほど、李相日 監督への期待値の高さがあり、国宝の歌舞伎という題材ではなおさらあったように思われました。
しかしながら今作に私的感じた弱点はそれぐらいで、あとは圧倒される場面と映像とそれぞれの俳優陣の圧巻の演技の数々の積み重ねの凝縮があったと思われます。
上で、様々な登場人物のそれぞれの立場から作品を描くという意味では、李相日 監督には弱点があると書きましたが、逆を言えば一方で、主要な登場人物の描き方の強度と凝縮さは、圧倒的な今回も凄みがあったと思われます。
その迫力は、特にそれぞれの役者陣の演技に関しては、特に主演と助演の男優賞は、今年、今作が総なめにするのではないかぐらいの驚愕さがあったと思われます。
圧巻の演技と迫力の場面の積み重なりにより、結果的には今作は(私的感じた弱点など遥かに超えて)傑作だ、との評価をせざるを得ない、重さある優れた作品になっていたと、僭越思われました。
騙されたと思った(F1からの国宝は失敗した、という話)
あの日、友達とF1を観たあと爽快感でいっぱいだった。
「(F1)面白かったね〜」と、二人とも観る前より遥かにテンションが上がっていた。大満足なのは、多くを語らなくてもわかった。そして友達は「国宝はとにかく、踊りがとっても綺麗だった〜国宝も絶対観た方がいいよぉ」と国宝を勧めた。それで調子に乗って、翌日に朝イチで国宝を観に行った。ほぼ満席で最前列まで埋め尽くされていったので、「木の上の軍隊」みたいに、凄いことになってる感があった。
しかし、F1でドーパミンが出てフワフワした感じだったのに、国宝の湿っぽさというかドロドロ感、救いのない話もあって、一気に真逆のダークサイドに引き摺りこまれたのだった。一週間くらいはF1の高揚感にひたっておくべきだった。それが今年の夏の過ちで、10月なのにまだ引きずっています。
「踊りが綺麗だったぁ」と目を輝かせていた友達に悪気は無いんだよね…。確かに踊りは綺麗だったよ、でも、踊りだけじゃないよね。監督が描きたかったものは。もっと解釈が欲しかった。友達に騙された…でも国宝に関しては調べなかった私が悪い、それに尽きる。
才能のある主人公(吉沢亮)が努力も惜しまず真面目に稽古に励んで、血筋を蹴散らし、死にそうなプレッシャーも乗り越え、大好きな芸の華を咲かせる。と、ここまではいい話しなのに、悪魔と契約し友達(横浜流星)の大切なものを奪って、そして愛してくれた女達が不幸になるなんて。で、やっぱり悪魔に蝕まれて落ちていくんだよね〜、自業自得。でも落ちるとこまで落ちて行ったら可哀想って思えてくる。そしたら人間国宝(田中泯)に救いあげられて、改心して真の人間関係(友情)を築いて成功する。っていう王道のストーリーで感動させられるという。
田中泯さんの最後、控え室みたいな簡素な部屋に煎餅布団みたいな…。悟りを開いてたけど、それがいちばんぐっときたかな。
瀧内公美さんは重要な役割を任されてましたね。ぽつぽつと話す記者で、もしや捨てられた娘やあらにと思っていたら、横顔で瀧内さんだとわかった時は「うわぁ」と思って、娘の感情が入って来て泣けました。
騙されたのは、ただ単に綺麗なだけではない。人間の醜い部分と美しさは紙一重ってことか…うかつだった。踊りが綺麗なだけではここまでの現象は起きないよね。
「踊る大捜査線」も超えるんだろうなーーー。
俳優陣の演技も圧巻で、総合的に素晴らしい映画であることは言わずもがなです。
圧巻の一言
まさに圧巻の一言です。日本映画の本気と覚悟を観たと感じました。トイレもあって上映時間の長さがかなり気になりましたが、結果作品に没頭しててあっという間に終わった感じでした。特に舞台から客席へのカメラアングルは鳥肌ものでした。一瞬ドキュメンタリーかなと思わせるくらいのストーリーです。少しだけ、ん?って思わされた部分は、襲名披露の時の吐血のタイミングと、最後の娘だったあのくだりはかなり無理があったのと、それと全体的に主役の二人の関西弁が少し違和感はありましたが、作品としてはレビューを書く10月の地点で今年観た映画の満足度や面白さはダントツです!主役の二人は今後他の作品に力を出せるのかなと心配になるくらいの演技でした。まだ上映しているので観ていない方は是非一度!
とにかく長かった
大物ヤクザ組長の息子が人間国宝になるまでの一生。
途中、途中の歌舞伎演出には引き込まれるが上映時間がとにかく長く感じた。
しかしながら吉沢亮と横浜流星の歌舞伎と演技には圧巻でした。
芸の為に犠牲にするものが多すぎる。
10代で背中にミミズクのもんもん
私見ですがthe昭和でした。
あっという間の3時間
複数の友人に薦められて鑑賞しました。今をときめくイケメン俳優が女形に扮する...というだけでも話題性はあるよなぁと思いつつ観たのですが、ストーリーは分かりやすいし、映像は文句なしに綺麗で、とても洗練された映画でした。長編小説の映像化って難しいのに成功してる稀な例。吉沢亮さんはハマリ役ですね。
ラストの「お父ちゃん、いい役者にならはったね」
という娘のセリフは要らないのではと思いました。少し安っぽい映画になってしまう気がして。
登場人物に感情移入はできるのに映画的カタルシスを感じなかったのはなぜなのかな?
ドラマというより、美しい絵を見た感じがします。ちょっと不思議に思ったので原作も読んでみます。
そういう決着の仕方をしますか
中盤までは、血なのか、芸なのか、みたいな葛藤が強く押し出されていて、これがどういう決着に至るかが気になって、凄い面白かった。
お父さんが亡くなった辺りからは、結構チープな方向に向かっていって、芸側が挫折して、逆転人生になって、また復活みたいなのはありきたりが過ぎて、そんな方向に向かうのかとがっかり。
最初の問題提起も結局、一番強かったのは糖尿病であり、それも血の遺伝要素で皮肉めかしているのだと思うけれど、スッキリする決着ではなかった。
でも適度に説明しない作り方とか、あえて口元にソースつけたまま撮るのか、みたいなワンカットに対するこだわりがビンビンに伝わってきて、そういう部分は観ていて映画の力を感じる。
歌舞伎を観たいと思わされる作品
とにかく出てくる俳優さんの圧倒的な存在感、演技が素晴らしかったと思う。特にメインのお2人の歌舞伎の部分、素人目に観てもどれだけ努力されたのかと思わされる。壊死した足を撫でる場面が心中へと向かうところも胸に刺さった。舞台には魔物が住んでいるのだろう。様々なものを捨てても掴んだラストも悲しみと共に救いもあった。内容的にも、このラストは現実にはありえないと思うと、これが歌舞伎界ではどう受け取られるのだろう?と興味深い内容だった。ただ、あくまでも好みの話をするならば、青年時代の2人の役者さんもとても良かったので、もっと青年時代の2人の歌舞伎での成長や2人の取り組み方の違いが分かりやすく表現されてほしかったし、歌舞伎に取り憑かれる様がもっとドラマチックに表現されてほしかった。2人の栄光と挫折の繰り返しも、ちょっと長く感じた。でもこれは私の好みの話で、この作品を観るならばテレビやスマホの画面ではなく映画館で観るべき映画だと思う。
3時間
良かった点
①人間国宝の爺の「芸に身を捧げてきた人間らしい異質さ」
②歌舞伎の演出の華麗さ、見たことない人間にも伝わる魅力
悪かった点
①ともかく冗長な暴力シーン、色気シーン(男性の裸含む)
②前半あれほど語られてた努力の要素がどこかへ消えた、呆気ない主人公の復活
③周囲の人物が舞台装置と化すご都合主義、特に隠し子に最後あれを言わすのは尊厳の否定に等しい
④「芸に身を捧げた」割には凄みを感じない主人公
作りがTVドラマの拡張版に過ぎず、作り手のこだわりや思い入れが微塵も感じられない無味乾燥な出来上がり。
取捨選択をできなかった結果が3時間という長さに過ぎず、これで絶賛してる人はマトモな「お話」を観てこなかったのだろなと。
観客が、
・若い男の裸を見たい女性
・分かりやすい劇を摂取したい高齢者
に偏ってたのも、当然の帰結かと。
修羅の道は、人を捨ててようやくスタートライン。
■まだ見てない君へ
感想以降はネタバレなので見ないよう。
気になるよな。分かる。
この映画の人気レビューは結構当てになるよ。
それ見て行く気になったら見に行くと良い。
あと病んでる君。
見に行くな。そういう時に見ていい映画じゃない。
もし病んでる状態で見に行きたいなら、一つだけ。
この映画から何かを得ようとするんじゃない。
いってらっしゃい。
■前置き
前から噂だけは聞いていた国宝。
ついに見た。
正直、女形の役に取り憑かれて、自分の人生も女形に引っ張られるとかいう安直な物語を想像していたのだが、安直なのは私の方だったらしい。
■感想
見る前から長そうだなという印象はあったが、実際はそれ程長く感じられなかった、なんて感想が多く見受けられる。
個人的には、後半はもう少し畳み掛けても良かった様な気がする。
飽きたとかではなく、
「半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名し、演目が始まるまで」
がピークに見え、その後は落ちて上がるの繰り返しの「一般人の日常」を見せられている気分にさせられたのだ。
何か一つの人生の終わり、死後の世界を見せられているような感覚。その感覚が何とも遣る瀬無かった。
また、後半の「喜久雄のサイコ感」が、役者特有の異質な物ではなく、そこら中に転がっている無気力な若者達が持つ様な、「浅はかなサイコ感」であったのも、後半に魅力を感じなかった要因の一つである。
これに関しては、同じ人間なんだから、そらそうやろ、と言われればそれまでなのだが、「プロの役者」に、得も言われぬ様なカリスマ性を求めてしまう感覚は、皆にも理解出来るのではないだろうか。
次に肝心の歌舞伎。
歌舞伎に関しては何も知らない。知識で言えば本当に一般人以下だ。
その上で、感じ取れるだけの物を得ようとして、2シーンだけ響いたものがあった。
一つ目は、化け物爺さんの演目。
そこかよ、と、浅はかに思われるだろうか。安心して欲しい。恐怖を感じさせようと音楽が流れ始めてからの演技ではない。むしろそこらは全然顔が映らなかったのでガッカリした。
注目したのは、演目の始まりの部分。
何の調味料も無い状態の爺さんに、鳥肌が立った。
人生で始めて、ちょっとだけ思わされた。
「妖か?」と。
あのお爺さんは誰なのだろう。歌舞伎を全く知らないが凄い人なのだろうか。無名の役者だったとしても、あの演技にはとても引き込まれた。この際、名声の有無はどうでもいい。
ただ素晴らしい、と思った。
二つ目は分かりやすい。
半二郎の病室での一幕。
自身をビンタした後の喜久雄の演技だ。
分かりやすくこちらに響かせようと演出してきて腹が立って、「響かんぞ」と構えていたが、あれは見事だった。
何と言っても目だ、鼻だ、口先だ、顎先だ。
そして、声だ。
あれは素晴らしい。
.....ただ他の演目は響かなかった。
客の中には喜久雄の演目中にすすり泣く方もいたが、私にはその感覚がイマイチ分からなかった。
「我が子が沢山努力や苦労を上で、形にしようと頑張る姿に泣けた」とかそういう感覚なんだろうか。
ならまだ理解は出来る。
「演目中の役者の姿に自分を投影して」とかだったら、すまないが普通に腹が立つ。おこがましい。
彼の歩んだ人生は誰にも歩めないし、それ故に誰も彼の人生を参考にする事は出来ない。
強いて言うなら、覚悟を決め過ぎると、人生どうなるのか、
覚悟という言葉を、我々がどれ程浅はかに浪費してきたのか、
それらは何となく学び取れるだろう。
修羅の道は、人を捨ててようやくスタートライン。
そんな事を感じさせられる作品だった。
■総評
国宝がいて、歌舞伎があった。
ただ、そこに人はいなかった。
あくまで、彼は国宝なのだ。
人ではなく国宝なのだ。
あくま、で。
■自由欄
外行きの感想はこれ位にして、後は浅はかに行くとしよう。
まず、雰囲気だ。
いいじゃないか。とても好きだ。やはり昭和中期あたりのセットは大好きだ。
そして歌舞伎。
こんなにも感情が読めるものなのか。正直舐めていた。
映画の内容抜きにして、歌舞伎がとても好きになった。
必ず見に行こう。あわよくばレビューしよう。
良い映画だった。
良い三時間だった。
3時間上映の長丁場だけど映画館で見たほうがいい!
原作は同名の小説を下にしたもの。
ちなみに読んではいない。
あと歌舞伎にも詳しくはない!(笑)
ロングラン上映を聞きつけてやっと足を運んだ!
大作だね!正直、上映時間としては長いのだろうが、
見てみるとそんな長さを感じることを忘れるくらい、
心に残る・心に刺さる作品だった。
出来ることなら、映画館で観ることをオススメする。
まぁ、どんなにつまらない作品でも映画館で観ないと、
正当な評価はできないと思ってるのであるが!
衝撃的シーンはいくつがあるが、あえて1つだけに絞るなら、
田中泯さん演じる小野川万菊が鷺娘を演じてるシーンだ!
主人公たち(吉沢亮・横浜流星)が高校生の頃に観劇して、
主人公が歌舞伎にのめり込むことになったところだ。
既に人間国宝となっていてお爺さんに近い役どころなのに、
妖艶に踊り切る姿が印象的だった。
もちろん、吉沢亮・横浜流星・師匠の渡辺謙も
相当訓練したのであろう。
素人目には、歌舞伎役者ってこんなんだろうなと
思わせる程度には演じていたのだと思う。
もちろん、詳しい人の厳しい視点で見れば、
ツッコミどころはあるのかもしれないが、
大抵の人にとっては十分なのではないだろうか?
波乱アリのサクセスストーリーは、
最近多い波乱なしのサクセスストーリーに比べて、
見応えがあるな!と思った。
森七菜演じる彰子はどうなった?とか、
気になる点もあるけど!(笑)
ここのコメントにPROが6人も投稿してるのも
注目度が高い作品なのだろう。
森七菜・高畑充希・見上愛など、今を彩る女優が
出演しているのも個人的には👍️な感覚だ。
わたしは刺さらなかった
映像、美しい
演技、美しい
きくおさんの人生、ひとりよがり
森七菜さんの役のひとはあの屋上のシーンでお別れになったのかな?
隠し子の娘のことも忘れていないと言いつつ何もしていないようだし、芸事ばかりでひとを幸せにしない、役者って不幸だなと感じた
渡辺謙の役どころも自分勝手で好きになれない
女が振り回される勝手な話だと感じた
シンプルに観ないと損
特別な理由やこだわりが無いのなら、是非映画館で観てほしい作品。大満足。
歌舞伎に馴染みがないとか演目や用語がわからないとか、三時間長いとかその程度の理由なら、じゃあとにかく観た方が良い。
血がある血がないという重要テーマがあるが、主人公に流れている血とは冒頭の亡き父のものであり、主人公が生涯通して見たかった景色とは雪の中で散った父の姿(もしくは父が見たであろう最期の景色)かと思う。彼は命をかけて「見得を切り」その生き様を息子に残してくれた。
からっぽの喜久雄が、芸をどんどん吸収して成長していく一方で実は周りの人の幸福をどんどん食べて最強のモンスターになっていく様子が恐ろしくて美しい。格が違う、吸い取られる、とでも直感したのか早々に離れていく春江の本能が素晴らしいし、そこに空いた穴にタイミング良くはまるような弱った俊介の演技が良かった。
ストーリーに口を出すのは論外だけど俊介を女方にしたのはお父ちゃん正しかったのかな?と思ったりもする。役者さんの骨格が男性ぽいから余計に、最初から立役/女方だったら運命は違っていたのかなとifを妄想したくもなった。(化粧した顔が、吉沢亮のつるっとしたフェイスラインが完璧すぎるものの対照的に笑顔を見せて愛嬌で勝負する横浜流星も可愛かったけども)
人間国宝万菊さんは出てくるだけで空気が冷えるような、でも主人公達に温かい重要な役。他ジャンルの方らしいですが、目線、手招き、何と言っても台詞まわしというか語尾の調子?が素晴らしかった。骨の髄まで女方が染み付いたみたいな演技が凄い。
ストーリー的には竹野という男がなんだかんだ見届け人という感じで良いキャラだった。
ところで落語心中という別作品が好きで、構図がよく似た話だなと思ったので、国宝の原作と共にそちらも再履修したくなった。
なんかすごい感じだった
原作読んでないので誰のせいかわからないですけど、ストーリーはちょっとぐだぐだかな・・・
でも見ててなんかすごい・・・と思えた。だてに130億を超えないよな、みたいな。自分的には何度も見たいタイプの映画ではないけどリピートする人がいるのもわかる。朝9時半の回だったけど、客層が若もんから老人までめちゃ広かった!
自分的には導入部の15分くらい?が一番刺さったな。吉沢亮の少年時代の子が出てくる場面がほんと衝撃的に・・・なんだろ。かっこいいとゆーかきれいとゆうか。これからどんな話が展開するんだろ?みたいなわくわく感。渡辺謙と一緒に、え?何これ?いったい誰?みたいなリアクションしちゃうよなー。
芸術!!
1ヶ月前以上に観に行ったこの作品。
見応えという言葉では足りないくらいの重厚感のある作品でした。
3時間はあっという間!ではなく、しっかりズシンとくる3時間に感じました。
まず、歌舞伎役者が本業ではない主演のお二人が、映画として世に出せるまでの努力をされたことが目で伝わってくるようでした。
言葉が見つかりませんが、汗と血と涙が本当に感じられる作品に思いました。
歌舞伎を今まで見たことがありませんでしたが、この映画をきっかけに興味が湧きました。作品名がテロップでも写し出されていて、きっと知識があればもっと楽しめたんだろうなと思います。
映画によって日本の文化を広くひろめる、興味を持ってもらうことに、文化継承のための価値を感じました。
渡辺謙さんの食事中のシーン、ご飯をかき込むところやため息をつく間合いなど、本当に何気ない仕草が日常そのままで、それを当たり前に表現するのってすごいなあと思いました。
画面は本当に美しく、作品全体が一つの芸術作品に思いました。
映画館で見ることができてよかったです。
飽きることなく面白い 音響に迫力
3時間飽きる間が全くなかった。少し始まったところでアメリカ映画のセッションようなテーマかなと思ったらやはりそうだと思った。芸術を極める人は魂を売る。
映画館で観たが故に歌舞伎の伴奏に迫力り。物語は同じ母として寺島しのぶに感情移入。とにかく役者も衣装も何もかも豪華で贅沢な3時間でした。ストーリーは映画だけでは説明不足的な箇所が多い。さらっとしてる。故に凄い映画なのは感じるが物語的な余韻が殆どない不思議さ。他の映画だと暫く考えたりするけぢこれは特に考えない。 一番知りたいのはお爺さん国宝が最後ドヤガイの宿屋のようなところにいたこと。それは小説で補えばよいかと。小説まで読んで完成かな。長い小説を上手く3時間でまとめた脚本家もすごい。 小説だと音も衣装も分からないのでまずは映画館で観るべき一品。
何度見ても同じように新鮮で、もう一度見たくなる
何度見ても同じように新鮮で、もう一度見たくなる。
初めて見たときは喜久雄の絶望的なまでの孤独を感じて怖くなった。
2回目に見た時は、ここまで歌舞伎という芸能が今に残っていることに深く感慨を覚えた。
そして今回、我ながら不思議なことに「舞台の上では男ばっかりだな」と思ってしまった。
これは長い歴史がそうさせたもの。
舞台の表だけではないシーンを見て、芸だけに邁進できる環境はこれしかないのか、と思わずにいられなかった。
曽根崎心中の舞台で喜久雄と俊介が舞台で支えあうのも、男女ではあり得ない光景のように思えた。
友情というよりはとにかく芸、芸、芸、それだけが伝わって空恐ろしい気持ちになった。
また、舞台の外では軽やかながらも生きている人間らしいずっしりとした重量感をもつ喜久雄や俊介が、舞では人外のような存在になっていることもまたこの世界の恐ろしさと凄みを体感した。
70年代、80年代、90年代
人間国宝になった男の半生記。
前提として自分は歌舞伎をTVでしか見た事がないです。あまりにも話題なので一度は見ておこうと思い鑑賞。
【良かった点】
❶それぞれの時代の風景が懐かしかった。
メイクが現代風だったのが唯一残念でしたけど。
車、洋服、アパートの階段、カーテン、ランプシェード、灰皿、折りたたみテーブル、扇風機。
小物類へのこだわりが時代を表現していてとても良かった。
架空のワイドショー番組なんかも昭和感あって良かった。
❷伝統古典芸能、血縁だけが相続してきた技術。サラブレッドの息子 vs 才能があると見込まれて住み込みで弟子入りする事になった元ヤクザ組長の息子。
この対立構図は世界的にも普遍的なテーマであり、誰もが共感しやすかったと思う。
殴り合いするシーンはかなり面白かった。面白いというのは少し変だけど…。
それまで表面的に取り繕っていたのが決壊して腹の中の気持ちをぶち撒けてたのは良かったと思う。
❹スポンサー社長の付き人を殴る所
凄く良かった。キクオの個性が良く表現出来てた。
❺舞台&衣装が美しい。歌舞伎座の中を見れたのが良かった。思っていたより狭くてびっくりしたけど。
【良かった脇役陣】
いや本当に脇役が素晴らしかった。
✦ヤクザ新年会
全員素晴らしかった!
このシーンのみでご飯5杯いけます
永瀬正敏、宮澤エマ夫婦が絵になること。
✦主役の子供時代演じた2人。
この頃は見た目にも2人のキャラクターがしっかり撮れていてちゃんと区別がついていた。
✦キクオの最初の相手男役徳次
この子、もっと見たかったな…。こういう男らしい顔の少年俳優は今貴重だと思う。
✦人間国宝の万菊姐さん
最後まで女形の人間国宝の妖怪っぽさをよく表現出来ているなと思いました。
✦歌舞伎スポンサー三友社長、嶋田久作
いや〜この人の存在感、まだ健在ですね!大好き。一気に空気が昭和になる。居るだけで画面が映画になる、数少ない俳優さん。この方の演技が見れて凄い嬉しかった!貴重な映像。
✦俊坊の母幸子、寺島しのぶ
いや最高!
面倒くさい子供連れてきてまぁ…仕方ないわね、という梨園の妻の顔と自分の息子をもっと贔屓してよ、という母の顔をとても分かりやすく自然に演技されてて素晴らしかったです。特に墓参りのシーンは全方位にキレ散らかしてて笑ったけど「ごもっとも!」と拍手したかったわ。
✦キクオの最後の女アキコ、森七菜
梨園育ちの世間知らず、よくいるダメンズに引っかかる天真爛漫お嬢様。90年代の流行りである自立した女に憧れを持つタイプ。
凄く分かりやすくて3人の女の中でも一際輝いて見えました。彼女だけは見間違い起こさなかったw
アキコの父役も良かったです。
彼女が父にタンカ切って駆け落ちしたものの、最終的には彼女から「もうやめようよ」と冷静に判断したのは感動的でした。
【あまり良くなかった点】
✦メインキャラ4名見分けつかない問題
主役の2人が似過ぎててどっちがどちらかわからない。メイクしたらなおさら。もう少し顔の違いや背丈の差がある俳優が良かったかな。
藤駒、春江も見分けが難しく、春江はもっとヤクザの女です!っていう個性強めの顔を持った女優さん使ってほしかった。例えるなら昔の土屋アンナ的な人が良かったと思う。(土屋アンナみたいな顔の役者が令和にいるのかはしりませんが)
藤駒と付き合っていた事も知らず、突然子供出来てて驚いた。
これ恐らく外国でも言われると思うわ…、絶対あちらの人々は見分けつかないだろう。
全体的にこのような急な時間スキップが多くて、観客に説明する気はないんだなーと思い、最終的には歌舞伎CM、PVとして見てました。
✦娘との再会
キクオと芸姑・藤駒との間に出来た隠し子、綾乃との再会シーン。
このシーンもう少しなんとかならなかったのかな〜…とモヤモヤ。
若い頃は海老蔵みたいだったキクオが晩年は中村勘三郎みたいな落ち着いた大人になってるのも微妙に違和感。
でも原作がそういう終わり方なんだろうし、そこは映画に求めても仕方ないかも
【総評】
キクオの50年間を一気に振り返るムービーで楽しめました。
しかし映画としての構成は期待した程ではなかったです。まぁまぁかな。
しかし、歌舞伎という伝統芸能を世界へ紹介するには丁度よかったと思う。
ドキュメンタリーに近い感じに楽しめました。
全566件中、41~60件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。






