国宝のレビュー・感想・評価
全213件中、201~213件目を表示
鬼気迫る演技
久しぶりにCM以上の迫力ある作品。
華やかな歌舞伎の世界の舞台裏。2人の女形は本当に美しい!
世襲制度や
あらゆる仕事の裏の世界、
歌舞伎の世界だけでなく
人の営みの縮図のようだった。
と思ったら原作は以前も面白いと思った吉田修一さん。
血の繋がりがないのは‥田中泯の台詞が頭から離れない。
吉沢亮、個人的に顔が綺麗なだけの役者さんというイメージだった。ごめんなさい。まるでイメージが変わってしまった。
鬼気迫った演技が素晴らしかった。
女性以上に気高く美しい。踊りにどんどん引き込まれる。神のような領域。
周りのとりまき女性達が残念なのだが、それもまたこういう世界にリアリティがあるのかもしれない。
【”積恋雪関扉、二人道成寺。そして曽根崎心中、鷺娘。”任侠一家に生まれながら歌舞伎に魅了された男と名門の家に生まれた男の歌舞伎と心中した如き人生を描いた作品。吉沢亮さんの女形の舞は壮絶な美しさです。】
■任侠一家に生まれた喜久雄(長じてからは、吉沢亮)は組長の父(永瀬正敏)を、正月の宴で自分が”関の扉(積恋雪扉)”を舞った後に、討ち入りで射殺される。
その後、上方歌舞伎の名門の当主、花井半二郎(渡辺謙)の部屋弟子になり、歌舞伎役者の道を歩み出す。半二郎の鬼の様な指導の元、喜久雄と半二郎の息子、俊介(長じてからは、横浜流星)と芸を磨く日々。
喜久雄は東一郎を襲名し、俊介は半弥を襲名し、女形コンビで”二人道成寺”で人気を博す。だが、半二郎は糖尿病の悪化で襲名披露の際に吐血し、入院。半二郎が代役に息子半弥ではなく、東一郎を指名した事から、半二郎の妻(寺島しのぶ)の怒りは炸裂し、喜久雄と俊介の関係もこじれて行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、2時間55分のマアマア長尺な作品だが、二人の男と複数の女達の30年の関係性を描いているために、脳内フル回転で観たためか、体感2時間であったし、結構疲れた。
疲れた理由は、喜久雄と俊介に絡む女性が複数居て、描き方が少し粗い気がしたからである。
■だが、俊介を演じた横浜流星と、特に喜久雄を演じた吉沢亮の白粉を首筋から上に刷毛で塗した女形の所作と舞は見応え充分であり、且つ二人の毀誉褒貶の人生の描き方が凄く、魅入られたのである。
更に言えば、二人の毀誉褒貶の人生の節目節目に、”積恋雪関扉”、”二人道成寺”、”曽根崎心中”、”鷺娘”といった歌舞伎の有名な演目が、彼らの人生を表したかの如く嵌められている、作品構成の秀逸さも、凄いのである。
俊介は名門の跡継ぎながら喜久雄の芸には劣るが故に(と言っても、今作でも頻繁に舞台になる京都の南座で数度歌舞伎を見ただけの素人には、違い分からず・・。)喜久雄の晴れ姿を観た俊介は長きに亘り姿を消し、喜久雄も又、舞妓(三上愛)との関係や、他の一門の統領の娘(森七菜)と良い仲になった事と、背中に彫った刺青が暴露されたスキャンダルにより、歌舞伎の表舞台から姿を消し、ドサ回りの日々を送るのである。
■花井半二郎の死により歌舞伎界に戻った俊介は、再び花形になり、喜久雄はヒラの役者として、歌舞伎界に戻るのである。
俊介は父と同じく、糖尿病のために片足を失い、残った一本の足と義足で”曽根崎心中”で再び共演するシーンは凄い。俊介の残った片足の足先も壊疽しつつある中、”お初”を演じる、その足先を全身で支える喜久雄の姿・・。
・劇中、二度出演する人間国宝の女形を演じた田中泯さんの演技は凄かった。一度目は人間国宝として堂々たる女形の声音と所作が、二度目は零落れてボロイアパートで煎餅布団に横たわりながらも”ここは、綺麗なモノが無いでしょう。だから、ホッとするのよ・・。”と呟く姿は、今作の陰のMVPだと思ったな。人間国宝の称号の光と影を表した人物だと思ったな。
・そして、喜久雄と俊介が出会って30年が経ち、俊介はもういない。
喜久雄は人間国宝に史上最短で成り、その記念の舞を披露をする前に彼の写真を撮る女性カメラマン(瀧内公美)。彼女は、喜久雄が若い頃に慕って来た舞妓の娘であり”貴方は、悪魔だわ。周囲の数々の人達を足場にしてのし上がって・・。けれども、貴方の舞には引き込まれるのよ・・。”と呟き、涙を流すのである。
<人間国宝になった喜久雄こと、東一郎は再び舞台下の”奈落”から華やかな舞台にせりあがり、紙吹雪の舞う中、一人”鷺娘”を舞い、亡き父と同じように雪の中で静に横になり、息絶えるのである。
今作は、任侠一家に生まれながら歌舞伎に魅了された男と名門の家に生まれた息子の、歌舞伎と心中した如き人生を描いた作品なのである。>
■付記
多くの作品で、歌舞伎をテーマにした秀でた耽美的世界を描き、私に届けてくれた故赤江獏さんに感謝いたします。
あなうつくしや、あなおそろしや
吉田修一原作、李相日監督とくればそれだけで「観たい!」と思えるというのに、主演は吉沢亮。これで期待するなと言う方が無理だ。
期待しすぎるとむしろ物足りなく思えてしまうことも多いのだが、「国宝」は期待を超えて余りある最高の映画だった。
まず、歌舞伎のシーン全てが良い。
「国宝」を成立させるために、絶対に歌舞伎のシーンは外せないのだが、その全てで想像を超える演技を見せてもらった。
まだ役者になる前である喜久雄の「関の扉」。
歌舞伎役者の家に生まれた運命を内包する「連獅子」。
喜久雄と俊介が二人切磋琢磨して踊る「二人藤娘」「二人道成寺」。
芸の道に生きる覚悟と重なる「曽根崎心中」。
ともに人間国宝である万菊と喜久雄の「鷺娘」。
特に序盤、万菊の「鷺娘」で圧倒的存在感に打ちのめされた。楽屋のシーンが万菊の初登場シーンなのだが、後々まで田中泯だと気づかなかったくらい、所作からして徹底的に「小野川万菊」という稀代の女形として存在しているのである。
手まねき一つで「女」を感じさせる柔らかさ。作中で三浦貴大演じる竹本のセリフに「あの婆さん、いや爺さんか」というのがあるが、本当に性別を超越して存在しているように思われた。
次に、映画の圧が凄い。
李相日監督の映画は、人物にどんどん寄っていってその人生に深く切り込んでいく。それがカメラワークにも出ていて、今回アップのショットがとても多かった。
化粧や衣装の下に隠された「役者」を撮る、という強烈な意志がショットに表れていたのだと思う。
目の潤み、息遣い、唇の震え。そういうものに、喜久雄や俊介の生き様を感じさせる。
それもまた演技のはずなのに、ギリギリを攻めて剥ぎ取り過ぎない絶妙な塩梅で表現されている。
約3時間、長丁場の映画であるのに、全く長さを感じさせず、むしろ矢継ぎ早に展開していって喜久雄の人生が芸事に圧縮され、何もかもを犠牲に昇り詰めた先に、誰も見たことのないものを求める美しさと恐ろしさ、恍惚と孤独に胸を打たれた。
とにかく、演技陣の力がこの作品を名作足らしめていたと思う。
主演の吉沢亮は言うに及ばず、俊介を演じた横浜流星は血の残酷さを様々な面で見せてくれた。俊介のお初が、俊介自身と重なる。歌舞伎と、役者と添い遂げるには「死ぬしかない」と。言わば俊介の心中相手は歌舞伎だったのかもしれない、と思わせるに充分だったと思う。
歌舞伎監修としても参加されている中村鴈治郎さんのインタビューで、「歌舞伎に興味を持って頂けたら」というのがあったが、観終わって一番最初に思ったのが「歌舞伎観に行きて〜!」であったことを考えると、鴈治郎さんの思いは確実に届いている。
少なくとも私には。
役者魂を間近で感じられる大画面で堪能したい、美しくも物悲しい最高の一本だ。
…血筋
…女形歌舞伎
喜久雄(吉沢亮)は
花井半次郎(渡辺謙)の息子
俊介(横浜流星)の血を飲みたいと
言っていたほど憧れる血筋
世襲として受け継がれる世界である
喜久雄は役者として踊りは一級品
半二郎に見出だされ三代目に
襲名もできたが…
吉沢亮の端麗な顔だちが女形が似合う
襲名されても血筋が一番の歌舞伎の世界で
生きていくのは並み大抵なことではなく
何をもってここで踊り続けるのか
"国宝"となってからもわからない
静まった
舞台の上から"まばゆい"光を浴びながら
光の奥を見つめる半二郎
舞台に立って"極"めようとする
人だけが見ることができる"光"
人生をかけて芸に生きた証し
三時間近い作品にも関わらず
吉沢亮、横浜流星のそれぞれの苦悩
と女形の見事な演技
他、渡辺謙さん
俳優さんたちの見応えある
重厚な時間でした
早着替えはテンションが上がります
吉沢亮の顔の表情と踊りに…感服です
よくやった!
映画で使う部分だけとは言え、歌舞伎役者に見えるレベルまで習得したのは、感服しました。東宝の作品ですが、歌舞伎の世界の話で舞台裏の話がいろいろあるから、松竹制作では却ってやり辛いのかも知れません。舞台のシーンで大向こうがあればもっと実際の歌舞伎に近づけたと思います。
ひとつ気になったのは、ガタイが良く立ち役専門に見える二代目がお初をやる予定だったことですね。
追記
舞台での演目については、どこが使われるか分からないので、部分的ではなく一段通しで踊れるように稽古したそう。ここまでしたことは、この映画だけでなく、彼らの今後の演技ためにも大きく役立つでしょう。
吉沢亮・・・天性の歌舞伎の女形
藤娘の扮装をした吉沢亮のあまりの美しさと日本舞踊の上手さ。
16歳時には仮面ライダーだったのに、その変身(ヘンシーン)が、
歌舞伎の役者で、しかも大成功の変身でした。
吉沢亮の、
女形の声音の美しさ、張りは10年鍛錬した本物の歌舞伎の女形を
軽々と超えて見えます。
(恥ずかしながら、銀座の歌舞伎座にはたつたの一回行きました。
(滞在は6時間ですから、全くの素人ですが、
(たまにテレビの中継を見るる程度です)
でもですが、吉沢亮さんの、なりきり振り、その上手さは素人目に
完璧に見えます。
3時間の上映時間もまったく緩みがなくて、あれよあれよの瞬く間。
喜久雄(15歳は黒川想矢)が、藤娘を新年会の余興で踊るのを
見ていたのが、歌舞伎の大御所・花井半二郎(渡辺謙)。
半二郎は一目で喜久雄の日舞に圧倒されるのですが、
ヤクザが押し入ってきて、父親(任侠の親分=永瀬正敏)は、
その場で殺されてしまうのです。
そして一年後。
半二郎に引き取られて実子の御曹司の俊介(横浜流星)と、相弟子のように
半二郎の厳しい稽古を受ける事に。
めきめき力をつける喜久雄。
運悪く半二郎が交通事故で大怪我をします。
その代役に半二郎が指名したのは、なんと喜久雄だったのです。
そして30歳の時、3代目花井半二郎の襲名をしたのは、
実子の俊介ではなくて、喜久雄だったのです。
(ここに因縁の喜久雄と俊介の確執が生まれるのです)
★★一説には喜久雄のモデルは坂東玉三郎、ではないか?
とも言われていますが、もちろんフィクションで、原作者の
吉田修一さんが、
「歌舞伎役者で人間国宝」に上り詰める
血筋のない人物・・・というコンセプトのもとに
描かれた小説と推測します。
近年、片岡愛之助さんは実家が工場だと聞きますし、香川照之も
離婚して女優の母に育てられ40歳過ぎから実の父親の
超有名歌舞伎役者に弟子入り歌舞伎界に入られています。
中村獅童なども実の父親が歌舞伎役者を嫌い廃業したので、
正統的な世襲とは言えないかもしれません。
歌舞伎役者が、ミュージカルに出る、
アニメの声優をする、映画では異彩を放ち、
演劇(芝居)に出る・・・などなどクロスオーバーの活躍が目立ちます。
音羽屋(尾上菊五郎など)の娘である寺島しのぶは、
渡辺謙の女房役を演じていますが、
近年、女性ですが、歌舞伎座に出演しています。
新しい波は確実に押し寄せていますね。
父親・半二郎の代役を立派に務め上げる喜久雄の凄さに、
ショックを受けた俊介は、そのまま舞台の座席から去り、
姿を隠してしまいます。後を追う喜久雄の恋人の春江の姿が。
しかし父・半二郎の死後、俊介も歌舞伎の世界に戻ってくるのです。
横浜流星も良いです。
ちょっと驚くようなショッキングな見せ場があり、歌舞伎役者に
適正の薄いようでやる気のない俊介も、晩年で
凄い執着心を見せてくれます。
横浜流星もさすがの花形役者!!
「曽根崎心中」のお初は鬼気迫る圧巻の演技でした。
ファンを楽しませてくれます。
芸を極める、
(私生活を犠牲にしても、
(悪魔に魂を売っても、
などの台詞が出てきますが、
凡人には見ることのできない景色を見る喜久雄は
人間国宝という頂きに上り詰めた
稀有の天才、
努力の人でした。
一芸を極めた人は、やはり感動的で
ラストは込み上げるものがありました。
雪吹雪のなか「鷺娘」を舞う喜久雄の姿は
芸に生きる喜びとつよさに溢れていました。
圧倒的な表現力に心が動く
原作は未読です。
上映時間が3時間近くあるので、どうなるかと思いましたが、長さを全然感じさせないほど、素晴らしい映画でした✨
ボキャブラリーが乏しい私なので、どう表現していいのかわからないけれど、心をギュッと鷲掴みされてしまうほど、出演者の表現力に圧倒されてしまいました。
特に、喜久雄役の吉沢亮と、俊介役の横浜流星がそれぞれ演じた「曽根崎心中」のお初は、瞬きや息をするのを忘れてしまうほど凄かったです。
舞台の中に引きずり込まれる感覚でした。
文字では伝えてられないです。
ぜひぜひ映画を観て欲しいです😊
歌舞伎役者の血を継ぎ、将来を約束された俊介と、孤独で芸事を極めることでしか、上を目指せない喜久雄。
ふたりの違った苦しみと絶望感、また演じる充実感や幸福感を見事に表現しています。
本当に「手招きして、見たことのない世界へ連れて行ってくれる」そんな感覚でした。
この2人はこんなに凄い演技をする人だったの?
って失礼ながら思ってしまいました。
任侠一家の息子が、歌舞伎の世界の頂点に立つという設定は、無理があるとは思いますが、そこは小説なので(笑)
私は歌舞伎は一度も観たことがないので、演目については良くわかりませんが、「曽根崎心中」の他にも色々な演目が出てくるので、歌舞伎を知ってる方は、より楽しめるのではないでしょうか。
演目どれも素晴らしいので、俳優さんの努力が感じられます。稽古に1年半かけたそうです。
やはり俳優さんは凄いですね。
真似できないです。
映画の中で命を削ってまで、歌舞伎に人生を捧げる人たち、映画にかける俳優さんと重なって見えました。
半二郎や俊介、そして喜久雄、ここまで自分の全てをひとつのモノにかける生き方は、私には到底できないです。
女優さんたちも、皆さん素敵でした。
寺島しのぶは、さすが梨園で育った方ですね。
観て良かったと思える映画でした。
壮絶な人生を乗り越えて、頂点に立った時、
喜久雄はどんな景色を見たのでしょう。
自分の位置からは見えぬ景色を目指した壮大なドラマ
原作は未読ですが、昨年から吉田修一の最高傑作が映画化されると聞いていて、かなり注目していた映画です。原作は全く知らないので、あやふやな個人的な感想です。
全編にわたって、歌舞伎の場面がかなり入っているので、けっこう長いなあという印象でした。
極道の子として生まれた喜久雄が、歌舞伎の名門の花井家に引き取られるが、歌舞伎の跡取りとして間違いないと思われていた俊介を差し置いて、歌舞伎を継ぐことになるとは、ゆめゆめ思っていない景色だったと思います。時折、差し込まれる紙ふぶきの風景が効果的でした。
日本の世の中は、政治家等もほぼ世襲制ですが、本当に実力のある人が跡を継ぐのが望ましいと思います。
俊介もこの跡継ぎを恨むのではなく、俊介なりに
歌舞伎を努力していく姿はとても好感が持て、良き友であり、良きライバルだなと感心しました。途中で私は、俊介が喜久雄に報復するのではないかと思っていましたが、見事にはずれました。
『国宝』級映画
【あらすじ】
幼い時任侠の世界で育った喜久雄は、父の死をきっかけに歌舞伎の世界へと足を踏み入れる。そこで出会ったのは花井家の御曹司・俊介。歌舞伎界の伝統─血筋─を覆すべく、孤軍奮闘する喜久雄であったが、任侠の出ということもあり...
3時間もある映画であるが、無駄なシーン、削ぎ落とせるシーンが見当たらないほどに完成されていた。最近公開され、同じく3時間弱あったミッションインポッシブルは終始アクションのための映画という印象であったが、本作は完成されたストーリーの上に歌舞伎の美しさがあり、双方が互いを生かしあっているような映画であった
まず、登場人物の心情が事細かに描かれている。歌舞伎界に生きる人々の"人間らしさ"、そしてそれに巻き込まれていくスポンサーや舞妓の人たちまで、全員の感情が入り乱れている様が生々しくも感じられた
また、キャストの人たちの圧巻の演技。
渡辺謙や吉沢亮、横浜流星らは言わずもがなであるが、特に黒川想矢の演技には目を見張るものがあった。是枝監督の『怪物』の時から、その表情や眼力には光っているものがあったが、それが今作でも存分に発揮されていた。
そして、歌舞伎のシーン。
吉沢亮ら演じる女形の美しさには、ついうっとりしてしまった。演目も無造作に選ばれているのではなく、きちんとストーリーと関連しており、歌舞伎初心者の私でも注目すべきポイントなどが分かりやすい作りになっていた
残念だった点は2つ。
1つ目は、最初俊介が喜久雄をライバル視していた後に急に仲良く練習していた点。普段の稽古を経て仲良くなったのだろうと想像することは簡単だが、せっかくだからそこも描いて欲しかった
2つ目は、女性キャラクターが多い点である。舞妓の見上愛、スナックで働く高畑充希、そしてご令嬢の森七菜という所謂"ヒロイン(この映画においては、そのような扱いではないが)"にあたるキャラが少し多かったように感じる。そのせいで、似たストーリーを繰り返してる様な印象に若干なっていた部分があった
だが総じて、演技力、ストーリー、歌舞伎の美しさなどが絡み合った『国宝』級映画だったとは間違いなく言えるだろう
歌舞伎版、ガラスの仮面
乱暴な言い方をすればこんな感じ。
マヤが喜久雄(吉沢亮)、亜弓さんが俊介(横浜流星)ですね。
2人の実力は拮抗していて、互いが光と陰のように対になり、幾度となく立場を替えながら話は進みます。
大切なのは芸なのか血縁なのか、というテーマは梨園ならではでドラマチック。
跡目争いから男2人のドロ沼愛憎劇になるのかと思いきや、そこは回避してそれぞれの信念のもと、芸道を極める境地に着地。(そんなところもガラスの仮面ぽい)
3時間近くの長丁場でしたが、全く退屈しませんでした。
ステージ裏話ものって劇中劇が面白くないと興醒めしますが、今作は歌舞伎の舞台のシーンが大変美しく臨場感があり画面に釘付け。
何より、俳優さんたちがホンモノの歌舞伎役者にしか見えない。
主演のお2人は撮影前に一年半かけて稽古をしたそうですが、たった一年半で発声も舞踊も完璧な女形になるとは…すごすぎませんか。
吉沢亮さんも横浜流星さんも素顔が美しいので、これはハマり役ですね。
特に吉沢さんは一見好青年なんですがちょっと暗い目つきで何考えているかわからないところがあるので、任侠倅の闇を抱えたこの役にぴったりだったと思います。
劇中で演じられる演目。
(歌舞伎シーンにタイトルのキャプションが出るのが親切)
連獅子
二人藤娘
二人道成寺
曽根崎心中
鷺娘
当方、歌舞伎に関しては素人のため華麗な舞台を楽しむだけで終わってしまいましたが、内容がわかればもっとストーリーを深く味わえたかもしれません。
曽根崎心中のシーンとか、内容を後で調べたら号泣必至じゃないですか…
これを機に、伝統芸能に親しんでみようかな。
どうでもよいですが、梨園の妻を演じた高畑充希さんが故・小林麻央さんにしか見えなくて困りました。
絶対、狙ってキャスティングしてますよね…
良かった😎
吉沢亮さん、横浜流星さんの演技も良かった。歌舞伎見たことあまりないけど、演技であそこまで出来るのは凄いのかな😀
血の繋がりか 技術か
悪魔に魂売らないと一流にはなれないのかな
主人公は人間的には褒められる人間やないけど
技があれば上り詰められるんかな
まあ凡人の私には無縁の世界ですが笑
天才にしかみえない景色があるんかな
歌舞伎だけやるってまあストイックやな。
寺島しのぶさんや高畑充希さん見上愛さん達女優陣の演技も良かった。
個人的には、万菊役が印象に残りました😎
ちょい時間長くは感じたけど楽しんでみれました。
要るべき場所。
1964年の長崎、…劇終わりに乗り込んできた組織との抗争で組長でもある父を亡くし、その敵対組織に復讐から1年後、歌舞伎の名門当主・花井半二郎に以前に見てた劇で才能を買われ世話になることになる16歳立花喜久雄の話。
半二郎から花井東一郎と名付けられた喜久雄、半二郎の息子・俊介(半弥)と日々稽古をするなか半二郎と半二郎の妻・幸子はこの2人を女方へと考え、…後に女方で開花する東一郎と半弥だったが。
歌舞伎=市川海老蔵イケメン、尾上右近=レトルトカレー好き、尾上菊之介=グランメゾン東京に出てた黒服シェフ位の知識しかなく歌舞伎知識は全くない私でしたが楽しめた!
ザックリ書けば日々の稽古で身に付けた技術で前に進む東一郎、歌舞伎一家の家に生まれ敷かれたレールで生きる半弥って感じですかね、半二郎の事故で巡ってきた半弥を差し置きの半二郎の代役となった東一郎、…その事で崩れた関係性、代役で時の人となるが雑誌スキャンダルで転落と見せていくけど。
天と地を繰り返しながらも、自分の居場所、“歌舞伎”の道で生きる東一郎と半弥の生き様と歌舞伎俳優の裏側(稽古)を見たようで面白かった。
歌舞伎ならではの発声と所作、この難しい役をこなした吉沢亮さん横浜流星さんが凄いの一言!「流浪の月」から知り好きになった李相日監督の見せ方の技術は流石だね!
娘が悪魔と交わした契約は、彼の人生を弄んだのだろうか
2025.6.6 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(175分、G)
原作は吉田修一の同名小説
歌舞伎の女形として才覚を認められた二人の青年を描いたヒューマンドラマ
監督は李相日
脚本は奥寺佐渡子
物語は、1964年の長崎にて、立花組の宴会に呼ばれる歌舞伎役者の半次郎(渡辺謙)が描かれて始まる
組長・達雄(永瀬正敏)の息子・喜久雄(黒川想矢、成人期:吉沢亮)は、彼の前で「積恋雲関扉」を披露する
半次郎は彼の才覚に声を失うものの、その演目が終わるや否や、別の組の刺客がその宴席にカチコミをかけてきた
それによって達雄は殺されてしまう
半次郎は喜久雄を部屋子にして、自分の元で育てることになった
半次郎には一人息子の俊介(越山敬達、成人期:横浜流星)がいて、当初は喜久雄の存在を疎ましく思っていた
だが、ともに稽古に励む中で友情が芽生え、いつしか唯一無二の親友となっていく
半次郎は二人を女形として組ませてデビューさせることを決め、「二人藤娘」を披露することになった
興業主の三友の社長・梅木(嶋田久作)は二人の才能を認めるものの、社員の竹野(三浦貴大)は血縁社会における部屋子の存在を訝しんでいた
物語は、喜久雄と俊介が一大ムーブメントを起こす様子が描かれるものの、半次郎の交通事故によって、様相が一変してしまう様子が描かれていく
半次郎は代役に喜久雄を抜擢し、その成功によって俊介は家を出て行ってしまう
俊介の不在によって、喜久雄が次代の半次郎になったが、俊介の母・幸子(寺島しのぶ)の胸中は穏やかではなかった
その思惑とは裏腹に喜久雄はスターへの道を駆け上がっていくものの、半次郎の死が全てを変えてしまう
彼の死によって再び注目を浴びることになった俊介は表舞台に戻り、同時に喜久雄の出自がリークされて転落してしまうのである
映画は、上下巻の原作を3時間にまとめたもので、歌舞伎のシーンを含めて見応えのあるシーンが多かった
だが、メインが喜久雄と俊介の友情になっていて、恋愛関連はかなりざっくりとしたものになっている
また、国宝の女形として登場する万菊(田中泯)との邂逅もピンポイントに思えて、死の間際に俊介を呼び戻した経緯は謎だったりする
彼がいなければ喜久雄は成長できなかったと思うが、こういった人間関係はかなりざっくりとしたダイジェスト感があるので、歌舞伎のシーンの没入感には遠く及ばなかったように思えた
映画にはいくつかの演目が登場するが、ビジュアルで感じられるので事前知識はいらないように思える
キーとなるのは「曽根崎心中」くらいなので、この演目に関してはあらすじくらいは知っていた方が良いかもしれない
テーマとしては、血縁と才能を取り上げていて、血縁が紡いだもの(病気)と、才能が繋げたもの(文化的遺伝子)が対比となっている
だが、人生において、歌舞伎で生きていく上では血縁の方が大事で、それはその家にストーリーがあるからだと思う
贔屓さんはその家の物語をリアルタイムに観て応援してきた世代なので、才能よりも優先するものがある
そう言った意味において、歌舞伎という世界は特殊な世界なのだが、喜久雄が部屋子から成り上がり、彼の一家の物語が生まれていくのならば、それはいずれは認められていくものなのだろうと思った
いずれにせよ、歌舞伎に詳しい人が見たら本職と比較して粗が見えるのだと思うが、そこまで馴染みのない人が見る分には問題ないと思う
個人的にはざっくりとしか知らなくても付いていけると思ったので、歌舞伎のことは知らないから避けようとするのは勿体無いと思う
個人的には、二人が最後に演じた「曽根崎心中」のシーンで終わっても良かったと思ったので、最後の綾乃(瀧内公美)との再会と赦しは不要だったように思えた
彼女をキーキャラとして登場させている意味はわかるので、それならば「彼女が悪魔と交わした取引」というものを明言しても良さそうに思う
おそらくは、喜久雄の契約以上に綾乃の契約にも重さがあったと思うので、それが描かれなかったのは残念だなあと思った
全213件中、201~213件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。