国宝のレビュー・感想・評価
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歌舞伎を知らない人にもおすすめ
私自身フラ(フラダンス )を20年余り習っているので人前で踊る事が多々ありますし、最近では琉球舞踊や韓国舞踊も鑑賞しています。
しかし歌舞伎自体、鑑賞した事がないので「演者」としての勉強にもなると思いましたし、評価なので観に行きました。
長時間でしたが、内容・演技共に良かったです。
特に、田中民さんの演技が素晴らしかったです。
何度も観られている方がいらっしゃるのも納得です。
面白かった。
歌舞伎に疎いけど面白く観れました。
まずは役者さんが凄いと感じました。
吉沢亮さん、横浜流星さんは特に役を演じるのに相当な苦労があったと思われる。
コレはW主人公と言っていいのかな?
部屋子、跡取り、双方に葛藤があり上手く描けていたのではないかと思う。
実際に歌舞伎を観せられるシーンが何度もあるが、妙な緊張感に包まれました。
歌舞伎用語を知らないので調べながら書いてるので間違ってたら申し訳ないけど、衣装を一瞬で変える「引き抜き」というものがあって、ソレをやるためにはタイミングやそれに合わせての準備も舞台上で行われていて大変な苦労の上に成り立ってるなと感じた。
ただ、自分の理解力が乏しいのか今ひとつ「何」に重きを置いて描きたかったのかが分からなかった。
どちらかと言うと人間ドラマの方が強かった。
原作小説を全て表現するのは難しいから仕方ないですね。
あとよく分からなかったのが、長崎から喜久雄を追って来た春江の心理がよく分からない。
そりゃ、喜久雄も一層歪むわなって思う。
喜久雄の一番が歌舞伎で自分は2番になるからって思ったからなのか?
そんで一番になれなかった者同士が惹かれ合ったというか半ば傷の舐め合いみたいな関係に思えた。
そこが描かれないせいで春江の戦犯度数が上がってると思う。
でも求婚時に断った時のセリフからは春江自身が歌舞伎界に影響を持ってないので、そんな自分と結婚しても何もできないからっていうのもあったのかな?
でも後に何食わぬ顔で戻ってきて(映画では描写がないだけ?)平然としてる節があって面の皮が厚いとしか言えない。
あと、二代目半次郎が血吐いて倒れたとき最初奥さんが毒盛ったのかと思った。
〜ここから余談〜
歌舞伎界に対して、あまり良い印象を持っていないが少しだけ変わった気もする。
言葉は悪いけど、観たあとの感想の1つに「呪い」みたいなものと感じた。
そしていつの世も、子供は小さい頃は親のやってる事に翻弄される犠牲者なんだなと思った。
この映画を観たからと言っておいそれを良い印象まではならかった、そして歌舞伎を観てみたいと言う気持ちも生まれなかった。
血に翻弄された人生
血に翻弄された人生。ヤクザの子に生まれたこと。芸事の世界では正統の嫡子でないと超えられない壁があること。
血には勝てないと壁にぶち当たりながらも、それを芸で乗り越えていく。
ただその道の途中で、どれだけの人が泣いてきたか。
気になったこと。
親を殺したヤクザに復讐しに行って、失敗して、その後生きていけるの?あと少年院に入ってたの?少年法だと銃刀法違反と殺人未遂でも1年で出てこられるの?
春江(高畑充希)は元々何?同級生?幼馴染?いつの間にか出てきたな。
親分(永瀬正敏)がちょっと軽かった。髪型も似合ってないし。
彰子(森七菜)は離婚したんだよね。最後の娘の言葉にあった「あなたがここまで来るまでに、どれだけの人が辛い思いをしたか」(正確で無くてすみません)の1人だよね。まさか出てこなくなっただけということはないよね。
喜久雄の「景色を見たかった」はもう少し早く出てきても良かったのでは。あのセリフが出てから、ラストまでが早かった。
メイクが崩れた状態で、屋上で踊っていたシーンはジョーカーを思い出した。
「国宝」という題名から
お堅い映画を想像してましたが、国宝も歌舞伎も映画の内容にはあまり関係のない、物語りとしておもしろい映画でした。
追記1
ララポートの映画館に行ったのですが、満席だったので他の映画館で観ましたがこちらもそこそこ混んでました。
すごい人気でした。
追記2
寺島さんてああいう役が定番というか、ちょっと当たり前?ちがう人がよかったな。
結局は血か信用、芸の優劣は同じ土俵に上がってこそ
3時間10分、トイレにいくのを我慢しても引き込まれる力のある映画だった。
役者の表情、舞台の演技、所作、美しさは素晴らしい、私の乏しい語彙では言い表せない。二人の高校時代は青春という感じも良かった。けど、横浜演じる御曹司が吉沢演じる主人公の女形の芸に打ちのめされ、2年程、歌舞伎の世界を離れ音信不通の間に育ての親の名を主人公が襲名するが、直後に育ての親が亡くなり、同時に任侠の一門出身や背中に刺青が有る事、隠し子が居る事などがスクープされ後ろ盾を失っている主人公は干される。
(名門の名を襲名までした
そして、役欲しさに歌舞伎の大物の娘と男女の仲になるが、大物にバレ、娘が勘当された為
歌舞伎の世界に居れなくなり、ドサ廻りの日々が始まる。逆に戻って来た御曹司は名門の復活ともてはやされる。これが主人公が御曹司に向かって吐いた時期は違うが、「俺が一番欲しいのはお前の血や!!お前の血をコップ一杯に飲みたいわ」や「結局は血やないか、芸なんか関係ないわ」に集約されるのかと思った。じゃ、最終的に人間国宝になる主人公はどう復活するのか?(原作未見です)と思ったら、主人公に対して厳しく見ていた女形で人間国宝になった重鎮の引きで歌舞伎の世界に戻る事が出来た。この辺りなんか割り切れない部分はあるが。後、下卑た話だが大物の娘を演じた森七菜があんなに胸大きかった?と吉沢との濡れ場が結構大胆だったと思った。
歌舞伎の映像美は圧巻
惜しい。
こういう形で歌舞伎の世界が映像化されたのは初めてではないだろうか?その迫力は凄まじく、演じる2人の熱演も素晴らしいの一言。印象的な場面も多く、実の息子を差し置いて師匠の代役に抜擢された主人公が、本番直前に恐怖のあまり口走るセリフなどは、まさに鳥肌もの。
だからこそ、脚本の荒さが目についてしまう。前半の修行時代はともかく、中盤以降は場面ごとの飛躍が大きすぎて、登場人物の心情が伝わらない。主人公が極道出身という極めて特異な要素も、途中で没落させる「ための」単なる伏線にしかなっていない。どん底時代に救いの手を差し伸べた田中泯(役名忘れた)が、そもそもなぜあのタイミングで主人公を呼び出したのか、全てが説明不足なまま強引に時代だけが進んでいく(そういえば途中でどん底時代に一緒になった女の子、結局どこに消えたんだろう?唐突に現れていつの間にかいなくなってた...)最後に再会する娘との会話も、本来であれば「芸を極める事の業の深さ」という、この作品の根本テーマを象徴する場面のはずが、そこまでの重みは一切なく、単なる「ちょっと良い話」にまとめてしまっている。
結局は豪華な娯楽作品に過ぎず、その娯楽の作り込みが甘い、と言わざるを得ない。歌舞伎の映像が圧倒的なだけに、結局は歌舞伎というコンテンツが持つ歴史と伝統の重みに寄りかかっただけの作品になっている気がする。「美とは何か」「その為に人はどれだけ業を背負えるか」といったテーマをもっと掘り下げていたら、傑作になったかも知れない。
最後にもう一つだけ苦言を言えば、晩年の主人公の老けメイクがあまりにも適当すぎる。今どきいくら日本映画とはいえ、もう少し何とかなるだろうに、何で朝ドラレベルでお茶を濁そうとするかな....だから日本映画はダメなんだよ。もっと本気でやれよ、まったく。
想像したよりクリーンな世界だった
田舎の平日午前の映画館。
いつもはほぼ貸切なのに、本日は券売機に長蛇の列(平日にこんなの初めて!)。しかも、どうも不慣れな高齢のお客さんが多いようで、なかなかスムーズに流れない。
上映10分前に到着しちゃったので(これ、ヤバいかも!)と思ったけど、まあまあの席も取れ、なんとか本編の上映開始には間に合い鑑賞。
一番大きなスクリーンで、6割くらいは埋まってる(平日にこんなの初めて!)。
平均年齢は高い。劇場鑑賞に慣れていない層が多いのか、上映中にカバンの中をゴゾゴゾゴゾゴゾしてカサカサ包装のお煎餅を何度も何度も音を立てて開けては食べたり、携帯の着信音を何度も何度も鳴らしたり、ツレ同士で話す客なんかが近くにいて不愉快だった。
年配が多い客層だとありがちなの?
作品は、時間を忘れさせる面白さ。
事前の情報収集はせず「なんだか綺麗な俳優さんが二人も出る、芸術系のお話なのね」程度の認識。PG12だし、BL要素やら”セッション”的なドロドロやらがあったりするのかしら(ワクワク)とゲスい想像をしていました(恥)。
しかし実際には、二人ともなんだかんだ言って”育ちがいい”設定だからでしょうか。全体的にはドロドロとした描写はほぼ無く、サラリと上品に楽しめる耽美な青春(?)映画という印象。
主人公二人の心根も関係性も美しく、少年時代の役者さんたちの演技も良かったです。
映像も綺麗です。
万菊(田中氏)の登場で「あーこのおばあちゃんみたいな国宝老人が、若くて美しい若者を食い物にして・・・」と想像したけど、そうじゃなかった(ゲスくてすみません)。
やさぐれてボロボロになった喜久雄(吉沢氏)が屋上で踊るシーンでは「ここで絶対、飛び降りる!」と思ったけど、そうじゃなかった(ゲスくてすみません)。
「美しいだけで終わらない」「何があっても表現し続ける」という、ガッツというか生命力というか、世俗にしがみつく胆力が現世での成功には大切なんでしょうか。
劇中では、歌舞伎を見たことがない私でもちょっとは知っているような有名作品や、なかなかに面白い演出の演目がたくさん演じられていて、衣装も所作も美しく、小道具や舞台演出も面白い。裏方さんのお仕事もうかがえて、プロフェッショナルな世界。
歌舞伎にも興味がわきました。今度観に行きたいな。
喜久雄(吉沢氏)も俊介(横浜氏)も、後半にいくに従って女形としての美しさや凄みに磨きがかかっていく感じ。
俊介(横浜氏)と喜久雄(吉沢氏)の最後の演技は凄みがあってちょっと泣けました。
心根が美しく、親友二人のザ・青春って感じ。
と書いてみて気がついたけど、これ、二人とも年齢的にも役者としても「青春」ではないはずなんだど、そう感じちゃうのはなんでかな。劇中の二人の立ち位置を考えると、本当ならもっと重厚で厚みがある脚本の方が正解なんだろうけど。
でもまぁ、わかりやすくて嫌いじゃない。
そして、喜久雄(吉沢氏)の最後の演技は、妖艶で美しく女性以上に女性らしいカットがたくさんありました。
お二人とも、お稽古たくさんしたのでしょうね。素晴らしい役者魂だと思いました。
劇中では、どの階層の女性も「男社会の中の女」という立ち位置で、”あーそんな感じでそんな扱いなんだなー”、”これ「教皇選挙」の時と同じ感じだわ〜”と思いました。
竹野(三浦氏)が良かったな。最初は喜久雄(吉沢氏)に殴られてたけど、結局、最後まで見捨てずに伴走し続けた歌舞伎ファン。
冒頭に記述した他の観客の無作法を差し引いてあまりある面白さでした。
歌舞伎の演目とかを公式HPで勉強してからもう一度鑑賞しようかな。
話題作という評判に釣られて鑑賞(笑)
前知識がほぼ無いままで観ました!
吉沢亮君のお初、魂がこもっていて圧巻でした!
主人公2人のジェットコースターのような人生に打ち震えました!
高畑充希ちゃんや森七菜ちゃんの掘り下げた女の本音な部分が気にはなりましたが、それを差し置いても素晴らしかった!
しかし、人間として国の宝と認められるようになるには、悪魔に魂を売るような生き様が必要なのか...
そして、毎朝「よーいドン」で認定されてる方々も...そんなわけ無いやろ(笑)
こんな歌舞伎ならもっと観たい
約3時間の長尺だが中だるみ無し
とにかく舞台のシーンのカメラワークが凄い。
昨日から上映が始まったF1のオンボードカメラのような臨場感。映画だからこそ体感できる迫力。
これは鑑賞後に実際の歌舞伎を観に行きたくなるのは納得。
主演の二人の舞台上の演技がすごい。
曽根崎心中が2回出てくるがいずれも甲乙つけ難い熱演だった。
ただ老けや病気で死にかけてるはずのシーンになっても二人の溢れ出るパワーで全くそんな風に見えなかったところはご愛嬌だった。
舞台以外のシーンでは、本来役者のエゴで家族も顧みていない、というシーンがもっともっと積み重ねられた上での人間国宝→娘との再会となるはずが、美男美女揃いのためか基本皆んないい人過ぎて嫌らしさが感じられなく、結果終盤の話の流れやセリフが浮ついて感じられたのが残念だった。
まあ映画としては話の結末に違和感を感じるほどに舞台シーンに振り切った、話は原作を改めて読んで感じてくれ!ということなのかもしれない。
とても上質なエンターテイメント映画だった。
歌舞伎の魅力
❶相性:上。
★歌舞伎の魅力
❷時代と舞台
1964年(東京オリンピックは10月開催)新年:長崎⇒1965年:大阪⇒1972年⇒1973年⇒1986年:大阪、京都⇒1989年⇒1995年⇒2014年:東京(喜久雄が人間国宝に選出)。
★私が社会人になったのが1964年。
❸主な登場人物
①立花喜久雄〔芸名:花井東一郎〕(✹吉沢亮、30歳)〔少年時代は黒川想矢、15歳〕:この世ならざる美しい顔を持つ。長崎の任侠の一門の生まれ。15歳の中学生の喜久雄は、父親が組長を務める立花組の正月の宴席の余興として歌舞伎を踊る。それが、客として訪れていた花井半二郎の目にとまる。その夜、突然始まった抗争によって父親が殺される。喜久雄は、背にタトゥーを入れ、仇討ちに挑むが失敗し、長崎を追われる。上方歌舞伎の名門の長で看板役者・花井半二郎は、喜久雄を引き取り、跡取り息子の俊介と共に歌舞伎役者としての修業を積ませる。喜久雄は、世襲の歌舞伎界の中で才能を武器に、稀代の女形として脚光を浴びていき、俊介を差し置いて三代目半次郎を襲名する。しかしその重責とプレッシャーにより、心のバランスを崩してスランプに陥るが、上方歌舞伎の当主・吾妻千五郎の娘・彰子の支えを得て復活する。そして、糖尿病のため両足を切断して義足となった俊介を励まし、一緒に舞台に立つ。最後は人間国宝にまで上り詰める。
②大垣俊介〔芸名:花井半也〕(✹横浜流星、28歳)〔少年時代は越山敬達、15歳〕:上方歌舞伎の名門の御曹司として生まれ、看板役者・花井半二郎を父に持つ。生まれながらに将来を約束され、歌舞伎役者になることが運命づけられてきた。喜久雄の親友・ライバルとして共に切磋琢磨していき、京都の歌舞伎座で共演するチャンスを掴み、喜久雄は花井東一郎、俊介は花井半弥として人気を博す。しかし、俊介には正当な後継者たる自負があり、喜久雄には才能だけでは越えられない血筋の壁があった。交通事故により大怪我を負った半二郎が、代役に選んだのは俊介ではなく喜久雄だったため、二人の仲に亀裂が入る。俊介は春江を連れて、歌舞伎の世界から姿を消し、旅芸人となり放浪するが、春江のサポートを得て立ち直り、舞台に復帰し、人気役者となる。しかし、糖尿病で両足を切断することになる。両足義足となった俊介は、喜久雄の励ましを得て、一緒に舞台に立ち、「日本芸術院賞」を受賞した後、帰らぬ人となる。
③花井半二郎(✹渡辺謙、65歳):上方歌舞伎の名門の当主で看板役者。逸早く喜久雄の女形としての才能を見出し、抗争で父親を亡くした喜久雄を引き取る。息子の俊介同様に歌舞伎役者として育てながら、自身も役者としての地位を確立することを志す。
④福田春江(✹高畑充希、33歳):喜久雄の幼馴染で一緒にタトゥーを入れる。喜久雄を追って上阪し、ミナミのスナックで働きながら喜久雄を支えるが、歌舞伎一筋の喜久雄の為を思い身を引く。後に俊介と結婚して子をもうけ、花井の家を支えていく。
⑤大垣幸子(✹寺島しのぶ、52歳):半二郎の後妻、俊介の実の母親で、上方歌舞伎の名門を支える女房。初めは喜久雄を引き取ることに反発するが、喜久雄の役者としての才能に気づいて育てていく。
⑥彰子(✹森七菜、23歳):歌舞伎役者・吾妻千五郎の娘。スランプとなった喜久雄のことを慕い、結婚し、復活させる。
⑦藤駒(見上愛、24歳):喜久雄が京都の花街で出会う芸妓。まだ無名の喜久雄の役者としての才能を予見する。喜久雄の子を出産する。
⑧竹野(✹三浦貴大、39歳):歌舞伎の興行を手掛ける三友の社員。世襲の歌舞伎に対して、冷ややかな態度をとる。温泉街で妖艶な芝居を見せる俊介と出会い、復帰のチャンスを与える。
⑨梅木(✹嶋田久作、69歳):歌舞伎の興行を手掛ける三友の社長。喜久雄と俊介を若い頃から見込んで、様々な大舞台を用意する。
⑩吾妻千五郎(✹中村鴈治郎、65歳):上方歌舞伎の当主。彰子の父。歌舞伎指導も担当。
⑪小野川万菊(✹田中泯、79歳):当代一の女形であり、人間国宝の歌舞伎役者。若い頃の喜久雄と俊介に出会い、2人の役者人生に大きく関わっていく。
⑫立花権五郎(✹永瀬正敏、58歳):喜久雄の父親で長崎・立花組組長。組同士の抗争によって命を落とす。
⑬立花マツ(宮澤エマ、36歳):長崎・立花組組長の権五郎の後妻。血は繋がらないが、喜久雄をヤクザの世界に巻き込まないように尽力する。
⑭徳次(下川恭平、20歳):立花組の住み込み舎弟。喜久雄とは兄弟のように育てられ、喜久雄が花井半二郎に引き取られた際にも同行して喜久雄をサポートする。
⑮女性カメラマン(✹瀧内公美、35歳):人間国宝に選ばれた喜久雄を取材する。最後に喜久雄と藤駒の娘であることが明かされる。
❹まとめ
①任侠の家に生まれながら、歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げ、人間国宝に選ばれるまでになった男の激動の物語。
②歌舞伎の奥深さ、美しさを描く物語は1964年から始まり、70年代、80年代、90年代へと進むが、サクセスストーリーではなく、人物(主人公以外に関連する人物も含む)の努力、成功、歓喜、葛藤、苦悩、挫折、転落、復活、狂気、得るもの、失うもの等々、プラス面とマイナス面とをバランスよく描いている点に説得力がある。
③一番の驚きは、上方歌舞伎の名門の当主で看板役者の二代目半二郎(渡辺謙)が、ピンチヒッターとして、跡取り息子の俊介(横浜流星)ではなく、父がヤクザの喜久雄(吉沢亮)を選んだこと。血筋ではなく才能を選んだのだ。この時点では、三代目半次郎を継ぐのが喜久雄か俊介かはまだ未定であるが、喜久雄が一歩リードしたことは確かである。落胆して家を去る俊介の気持ちがよく分かるが、選ばれて張り切りと戸惑いの両方を持つ喜久雄の気持ちも分かる。そして、苦渋の決断をした半二郎の気持ちも分かる。上手い脚本である。
④本作には、幾つかの名作歌舞伎が登場する。それ等の内容を知っていれば、本作の理解と感動がより深まったのではないかと思われるが、残念ながら門外漢である。
⑤しかし、演じた吉沢亮と横浜流星の踊りには感動した。圧巻・絶品・見事である。大勢のキャラとエピソードが登場するので、中には共感出来ないこともあるが、この2人の熱演を観られただけで十分である。
⑥舞台の魅力も伝わった。
⑦歌舞伎のことは全くの素人である私だが、若干の接点はある。
ⓐ現役時代、銀座の歌舞伎座から徒歩5分の目的地に出張することが数十回あり、要件が早めに終了した時に観た公演が2回あった。
ⓑ名古屋の中日劇場でも歌舞伎公演があり、1回観ている。
★上記3つは30年以上前だが、今では内容は覚えていない。
ⓒ中日劇場では、ジャンルは異なるが、市川猿之助(三代目)の「スーパー歌舞伎」の全作を公演していて、その全部を観た。
★こちらの内容は今でも覚えている。
⑧本作を観て、「秀でた芸術を生み出すには、並外れた努力と、既存の概念に囚われない発想と、既存の価値観に挑戦する決断力等が必要なこと」がよく理解出来た。美しく感動的な芸術の裏には、芸術家の葛藤や、苦悩や、たゆまぬ探求心があるのだ。
★長嶋茂雄や大谷翔平等、超一流のスポーツマンも同様と思う。
⑨原作は上下2巻720ページの長編で、本作も175分の長編だが、近年流行りの前後編に分けて2本にするのではなく、1本にまとめた力量は見事である。
熱演&長い映画
歌舞伎の世界を全く知らない私が鑑賞!
冒頭から引き込まれまくりの展開!
圧巻の演技と歌舞伎の美しさ!
のですが!長い!!!長すぎる!!!
特に後半に関しては熱演する歌舞伎の演技はほぼフルなので、美しいんですけど長い。申し訳ないんですけど終盤はトイレ行きたいし、お尻痛いし、いつ終わるんだろうと思って観ている自分もいました。
吉沢亮闇堕ちエピソードももう少し短く縮められたんじゃないかと思う。
でも結構な熱演爆発なのでカット出来ないよなぁ。
タイトルなし(ネタバレ)
家族で鑑賞🎥
絶対映画館で見たかったので、
行けて良かったです!
大迫力で、音楽、映像とてもいい。
吉沢亮の演技がとても魅了されました✨
歌舞伎一筋で生涯それしかいらないって
思える喜久雄が、羨ましいなって思いました。
命かけて、努力したことが
人生にあるのは素晴らしい。
歌舞伎って素晴らしい日本舞踊ですね。
楽しみました
踊りの謡のシーンがたくさんあり歌舞伎に疎い身には楽しくみることが出来ました。経験者や目利きにはまた違う感想があるのやもしれません。
物語の筋や展開がどうというより血やしきたりといった世界を垣間見ることが主眼の作品。
説明も最低限でノイズが少ないのも良かった。
寺島しのぶさんや渡辺謙さんらの大阪弁は…調子がズレてたなあ。舞台が上方なのでその言葉を使ったのでしょうが…関東弁でも良かったのかもね。
あと昭和40年代の大阪はあんなに綺麗な街ではありませんでしたよ。リアリティラインとか気にする部分ではないのですが、NHKの朝ドラみたいな画面に感じました。
懐かしい街並みを再現することには力を割かなかったのかも。
残酷なシーンもドサ回りのコミカルなシーンも田中泯も再起もすべては舞台を際立たせるため。
ミュージカル映画のように気軽に楽しめました。
糖尿病は怖いな
3時間という長さをまったく感じさせない映画でした。1時間は歌舞伎のシーンかな?当方、歌舞伎はあまり得意ではないですが、吉沢亮と横浜流星の二代イケメン人間国宝のビジュアルのおかげなのか、歌舞伎のシーンは見入ってしまった。とにかく美しい。その一言に尽きる。
ストーリーはテンポ良く、飽きるタイミングはなかったです。途中、ジョーカーをオマージュしているであろうシーンもあったりと常に惹きつけるシーンがつづいた。
ふたりともダークサイドに落ちるも、交互に復活し、最後に完全体で大復活。意外にこのストーリー展開っていままでなかったかも。最後の娘のシーンは読めてしまっていらないなぁと思ってしまいましたが、それ以外はどれも魅力的なシーンでした。映画館で観るべき映画です。観て本当によかった。
歌舞伎通ではないと楽しめないのかな
みなさんの、特に評価の高い方の書かれていることが、残念ながら実感できなかった。確かに両主役の演技は目を見張るものがある。最初の国宝(田中)の演技もCGを1回つかっているが、優美な感じがすごく出ている。それでも3つ指摘したい。春江は俊介と出ていくが、何故、春江が出て行ったのか、そこがしっかりと書かれていない。また、半次郎(渡辺)が逝去したとしても急に落ちぶれるのは何か、丁寧ではない。さらには、喜久雄が復活するのも他力(国宝の力?)となり、見ている人の喜びが少ない。
これは、本を読んでないものの感想なのかもしれないが、主人公が芸のみに生きていくところの研ぎすまれ方(悪の模様だが、カッコ良さ)が見たかった。私にとっては、もう少し丁寧にわかりやすくしてほしかった。時間が短かったのかな。ただ、あっと言う間の3時間だった。正直、映画館でなかったら、ギブアップしていた。
才能か、血か(世襲か)、遺伝か
約3時間と上映時間は長いですが、ちょっと展開が早すぎて、見てる側に多少の補正が必要になります。
ただ、原作小説がなかなかの長編であるらしいので、そこは致し方ないとは思います。
「オレにしかできないお初をやる」
俊坊のこの台詞・覚悟は個人的に刺さりました。
糖尿病で倒れる2代目半次郎
同じく糖尿病で倒れる半弥
世襲か?遺伝か?
世襲が慣習だとしたら、遺伝は逃れられない運命。
慣習は逃れられるけど、運命からは逃げられない。
俊坊は一度、歌舞伎から逃げたけど、遺伝の糖尿病からは逃げられなかった。
すごく切なかった。
一方で、才能を開花させるにも、本人にはどうしようもできない運命のようなものがあります。
よく言われるのが「縁」というものです。
運命は受動的ですが、縁は能動的な要素を含んでいるような感覚です。
喜久男は干されてる間も演じることを止めませんでした。止めなかったことが再起の縁を引き寄せました。
記者から、「史上最年少で人間国宝になり、順風満帆な軌跡でしたがどうでしょう?」みたいなことを聞かれますが、
喜久男はひと言「関わってきた皆様のおかげです」と答えます。(北島康介の「なんも言えねぇ。。。」を思い出しました笑)
上映時間の3時間はこのひと言に集約されているようで重さを感じます。
「オレにしかできないお初をやる」
「関わってきた皆様のおかげです」
そんな人生を歩んでみたい。
喜久雄を取り巻く女たちに憤る
歌舞伎のシーンはとても良かったです。
ただ2人の関係性の描写や、転機となるエピソードの内容描写があっさりし過ぎていて、原作を読んでいないと物足りなく感じるのかと思いました。
しかし、後々思い返すと余白がある分、色々と想像させられました。私は特に、喜久雄に付いてきた春江が俊介と駆落ちしてしまうのが許せませんでした。春江はただ目の前で弱っている男がほっとけなかっただけで、うまくいっていない男を支えるのが好きなだけの女だと思いました。喜久雄を追ってついてきて、喜久雄からの結婚しようかという言葉も断って日陰の女として支えるような事を喜久雄に言っておきながら、いざ目の前で俊介が弱みを見せると簡単に乗り替える女です。喜久雄だって頼れる親も歌舞伎仲間もいない不安の中なんとか己を奮い立たせ頑張っているのに、親や周りの環境に恵まれている俊介がうまくいってないからといって喜久雄を捨てて俊介に付いていき、子供まで産みいけしゃあしゃあと戻ってきました。俊介も喜久雄の女を奪っておいて悪びれもなく春江にも会ってくれと喜久雄に言います。俊介は戻ってきても母親や歌舞伎界に歓迎されます。喜久雄は俊介が出て行ったあと、誰からも支えて貰えず独りでたえてました。もし、春江が側にいてくれたら、春江が喜久雄のプロポーズを受けて結婚していたら、俊介に乗り換えなければ俊介も出て行ったとしてももっと早く戻ってきていたかもしれない。そう思うと春江が憎くてたまりません。
それと、芸子の藤駒も身勝手だと思います。最初から2号さんで良いといい喜久雄に真剣に向き合わず娘を産みます。娘はもちろんどうして父親が自分たちを大切にしないか疑問を持ち父親を憎みます。でもそれは母親の藤駒の責任だと思います。最初から正妻になる気もなく2号さんでいいからと喜久雄にいいよったからです。(自分では相応しくないという理由より芸子を辞める気はなく正妻になる覚悟もなく喜久雄という甘い汁だけ吸いたいという風にしか見えない。)子供はそんな母親の事情とは関係なく父親を求めます。そこで父親に相手にされず父親を憎んでしまう。でもそれは藤駒の身勝手さが生んだものなので喜久雄に怒りをぶつけるのはお門違いだと思います。
だから、喜久雄にいいよりながらも真剣に向き合おうとしなかった女たちに憤りを感じます。もし、喜久雄がきちんとした家庭を持ち妻や子に支えられていたら、もっと違う結果になっていたと思う。彰子へ汚い手も使いたくて使ったんじゃない。そうせざるを得ないまで追い詰められていたんだ。(彰子もその後どうなったか分からないので気になった。)
ただ男女の愛情ではなく喜久雄と俊介の2人だけの感情、簡単なライバル関係ではない絆には魅せられました。
邦画魂
出演者の俳優魂をひしひしと感じることができた。
初っ端から永瀬正敏に圧倒される。
少年時代を演じた2人の将来がとても楽しみ。
田中泯化け物。
血反吐はやりすぎじゃない?って思った。
少年時代も別の俳優使ったんだから、晩年も特殊メイクじゃなくてピッタリな俳優使ってほしかった。
でもそうなるとラストの歌舞伎シーンが微妙になるのかな。
前半面白く観てたけど後半つまんなくなってきた。
細かい内容も知りたいので原作読んでみる。
芸を極めるということ
3時間飽きさせないテンポ感でもっと描いて欲しい部分もあるくらいで、切り詰めて切り詰めての3時間なんだと思う。歌舞伎の世界に復帰できた理由に関わる部分や人気絶頂の演目も見てみたかった
人間国宝の芸を見たことがあるわけでもないので何とも言えないが、芸に魂を売ることの意味。あらゆることが芸の肥やしになると言われる世界で、血筋の理不尽さに葛藤することや、芸のために他者を利用すること、婚外子を作ること、義兄弟の将来を奪ってしまうこと、仲直りをすること、義母の心無い言葉、義父の執着、自分の才能に溺れること、挫折、あらゆる経験が芸に反映されて、老人といわれる年齢の男性が若い娘を演じる際にこれまでの自身の経験や自分が傷つけた女性のことを思い出すように演じることで細部に神が宿る。そうゆう歌舞伎の世界があることを描いた作品なんだと思った。だからこそ国宝になれたのは全ての人をおかげなんだと本気で思っている、婚外子のことも最初からわかっていたけど芸のために必要な過去であった。ここで謝ったりするのは自分の芸の到達を否定することになるので、謝ったりはしないけど人のおかげで到達できたことを理解しているし感謝している。そうゆうことと解釈した。
別世界すぎて共感とかはできないけど、綺麗事じゃない世界の美しさ、儚さを感じて納得させられた。
病室での曽根崎心中の練習シーンと結婚式場の屋上のシーンが個人的にはベストアクトだった。
全440件中、321~340件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。