国宝のレビュー・感想・評価
全520件中、241~260件目を表示
歌舞伎役者の人生は命懸け…凄いものを魅せられた
私は歌舞伎ファンです。好きだったのは八十助(三津五郎)その前にときめいのは若くして亡くなられ辰之助さんでした。
その立場でこの作品を観るととても切ない作品でした。私自身は泣くことはありませんでしたが、グッときたのは2代目半次郎の死に際に息子の名を呼んだりしたところ、
そして曽根崎心中の横浜流星の死ぬ覚悟で演じたお初でした。そこは本当に万感こみ上げます。
吉沢亮の怪演が話題となっておりそれは認める所ですが、横浜流星吉沢亮のお初徳兵衛にはみんな持ってかれました。
歌舞伎指導の鴈治郎の凄さとそれを演じ切った2人を観るとポスター通り横浜流星と吉沢亮の二人の怪演無くして成り立たない作品です。
あまりに横浜流星のお初が佳いので、途中大向うの掛け声が無いのが誠に演出の最大のマイナスポイントに思いました。「あれ?」と何故大向うがないの…とこれが映画である事に引き戻された程です。前半の横浜流星の日常シーンにはあまり良い場面はないのですが、彼自身その浮かれた役が腑に落ちず違和感ある役だったそうなのでそこが原因かもです。現実の歌舞伎役者を思い浮かべて演じられればまた違っていたでしょう。
この作品は吉沢亮の演じる役者が16から70代に人間国宝となるまでの一生をわずか3時間に詰め込んだ作品で描ききらないことの方が多いのです。なので展開の描写について不足を思う皆さんの感想はもっともですが、仕方ありません。
また、私は若手が歌舞伎役者を演じるなんてなんぼのものよ、位の気持ちで観てました。
少年期はいや違うな、と思っていたら確かに上達してきているし、歌舞伎舞踊は全編舞うわけではないものの、大根役者とは思わせぬほどに、しっかり踊っているし、芝居も(声がいかほど劇場で本当に響いたかはわかりませんが)佳い声で歌舞伎らしい芝居、そして現代生活の中でも歌舞伎役者らしい芝居を魅せてくれて、正に怪演、凄いものを魅せてもらったと慄いています。
老齢の人間国宝である歌舞伎女形を演じた田中泯さんはとても歌右衛門さんに似ていらっしゃり、
存在感もある良い役者だとは思いしたが、舞台上の演じる歌舞伎には私は特には心動かされませんでした。恐らく彼の矜持を持つ舞踊と歌舞伎は本質に違いがあるのでしょう。しかし歌舞伎役者の重鎮として見事な存在感でした。
鴈治郎さんは最近拝見していなかったのですが、舞台を降りた現代の場面も良いのですが少しふくよかになられて、しっかりダイエットして長生きして欲しいとおもってしまいました。彼は原作者にも黒衣を渡し小説を作るのにも大きな役割を果たした方で上方歌舞伎を代表する役者の一人なので彼の導き指導のおかげで出来上がった作品です。
歌舞伎役者は良い役者が次々と病に倒れており、悲しみに暮れるばかりです。皆肉体と精神を削って、正に悪魔に操られるかのように芸の道に生きています。原作者もその様な想いと共に作品を作りその世界を多くの人々と共有したかったのでしょう。
継ぐ名前があるかどうかも役者には大きい問題です。ご贔屓に喜ばれるのは役者の息子が見事に成長して役者になること。血筋が大事とは思っていないけれど現実にお子さんや兄弟の初舞台や共演は本当に楽しみなものです。
ただ、一方で本名や新しい名前で活躍する役者も当然いますが、引き立てる師匠たる名題役者がいてこそです。この作品では師匠を亡くしその跡継ぎたる若旦那も家出された部屋子は普通はほかの部屋子になるところなのではないでしょうが、大きな名前を継いで半次郎になったので家を離れる事はできなかったのでしょう。
寺島しのぶさん演じる2代目半次郎(渡辺謙)の妻が息子(横浜流星)が継ぐべき名を吉沢亮のきくちゃんに奪われるのは配役の妙があり過ぎます。(現実の歌舞伎界では甥が菊之助になりましたが、寺島しのぶももしも己が男に生まれていたならば息子に菊之助の名前を渡したかったでしょう。)
2代目半次郎(渡辺謙)も半弥(横浜流星)も糖尿病とは…です。2代目半次郎の最期は大量の吐血でしたが、原作未読ですが、肝硬変による食道静脈瘤破裂かもと医療に詳しい身内に言われました。生活の乱れがあったら肝臓も悪いかも、と。
令和ならば糖尿病から失明や脚が壊死する危険性も十分知られているでしょうに親子2代を襲った病魔は憎いものです。
女性との関係、親子関係等描ききっていませんがそこを描くと5時間は掛かるでしょう。ならばドラマにすれば、という問題ではなく3時間に凝縮したからこそ描いていない部分を想像する余白があります。
吉沢亮の半次郎の人力車でのお練りに「お父ちゃん」と駆け寄る娘になんと言うことができましょうか。嫡出の娘やご贔屓が駆け寄ってもあの様な素振りになるでしょうし、あれが娘にとっては悲しいかもしれませんが、仕事中の親を邪魔しており、内縁の妻の芸鼓のささやかな思惑まで想像します。愛人はこういうものとは思いませんが、あれは仕方ない場面だと思います。
鷺娘の映像演出は美しかったです。クライマックスシーンでしょう。でも、本当の日本の宝である玉三郎さんの鷺娘を知っていると、それに敵う人など居ないのです。
海老反りはやはり全然違ってました。斜めからの見返り美人の様な海老反りでした。なので音楽とカット割り等で美しく仕上げていました。
しかし心の目でここは玉様の鷺娘と変換して鑑賞しました。皆さんも心の目で見たでしょう?
吉沢亮が客席の景色を見て感嘆するのは、歌舞伎ファンにはわかります。
八十助(三津五郎)さんは「昔死ぬ前に『八十助のあの舞台を観れて良かった』と思う人が一人でも居てくれたら嬉しい」と話された事があるのですが、「死の間際に自分の人生や家族の事ではなく演劇について思いを馳せる人がいるものかしら?!」と、その発想に驚きましたが、次第にその言葉が理解できました。
歌舞伎役者はそう思う位、人生命懸けで舞台に立っています。
観客にも命懸けで鑑賞して欲しい位に。
そして一期一会の素晴らしい舞台に出会った時、観客の一人一人は感動に打ち震えます。舞台の感動が観客に伝わる様に観客の感情も舞台に届くはずです。それこそ役者冥利に尽きる瞬間でしょう。
それは玉三郎の鷺娘とそれを観れて感動する観客が居ればその風景が表現できたでしょう。
それを映画俳優や舞台ファンでないエキストラが再現する事は困難です。だから心の目でラストは観るのです。
歌舞伎への想いがあるとこの作品の見方感じ方は違うと思いますが、吉沢亮、横浜流星、そして周りの人々皆良く、間違いなく日本映画史に残すべき1作品だと思います。
マイナス0.5は歌舞伎役者以外が演じる限界分で、そこは皆さん心の目で補っていきましょう。
歌舞伎を観てみたくなった!!
原作未読ですが、めちゃくちゃ良かったです!
とにかく画がずっと美しかったです。
そして、俳優さん達が全員良すぎでした。
前半の高畑充希の切ないキクちゃん想いのシーンとか、
子供時代のキクちゃん達の稽古シーンの汗ばむ身体とか、死に際の渡辺謙とか、最高でした。
歌舞伎とか全く知らないですが、とにかく世襲の世界らしい。よくわからん庶民の僕からしたら、安易に否定してしまいそうになる。生まれよりも実力でのし上がるのがカッコいいっしょ!みたいな。映画内ではちょいそうゆう要素で引っ張ってるとこがあるけど、そうゆうことでもないかなと。
国宝観たら、演技というのは身体を全部使っての表現で、それは顔の造形も含めてのことで、やはり醜男にはあの美しさは出せないという身も蓋もなさがあって。それを守るための世襲なら、遺伝すら芸の道具にするという、世襲ってワードから印象されるダサみとは反対の芸への純粋さがあるのかもと思いました。
とにかく、物語も最高でした。
男の嫉妬も、芸への純粋さも、全部感動でした。横浜流星の曽根崎心中のとこの足出したとこ泣きまくりました。
ちょい物足りなかったのは、みんな結局いいやつ過ぎる。あんなけ嫉妬とか煽られて、好きな女はいなくなり、もっとドロドロエグくなるだろうに、そのドロドロ部分は、8年とか2年とか時間が吹っ飛んでしまうので、割と綺麗なとこしかこっちは観てない気がする。
僕の性格がクソだからでしょうか。
どーでもいいんですが、神社でやった悪魔との取引、、あの時代にあの神社で願うときに、「悪魔」って単語だすかな?ってちょっと気になった。
どーでもいい②
今日、べらぼうで横浜流星が、「お初の徳兵衛です!」って言ってて、さっき映画でやってたやつやん!って嬉しくなりました。
光る君へとべらぼうに出てる人ばっかり出てて、結局NHK大河最強だなって思いました。
横浜流星大好きですが、おしろい塗ったときの顔は吉沢亮の方が綺麗だと思いました。
とにかく、美しい物が好きな全ての人にオススメです。
壮絶で美しい…
半次郎の代役で震えるキクオの『お前の血が欲しい…守ってくれる血が欲しい…』
『逃げるんちゃうで』キクオの熱演を見ることができなくなるシュン坊
悪魔と取引きしてでもガムシャラに歌舞伎を突き詰めていくキクオ改め3代目花井半次郎
最後の娘の『悪魔に感謝だね…』の皮肉混じりの言葉が沁みてくる。
少年期から壮年期を3時間かけて描いているので、なかなか語り尽くせないけど、とにかく吉沢亮と横浜流星は凄かった。
最後の吉沢亮の舞いは本当に美しかった…。
映画という芸術
3時間という長めの映画だったが、美しい男たちが演じる麗しい歌舞伎で、この作品自体が一つの芸術として完成されていた。
歌舞伎はさっぱり何言っているか分からないので、字幕版で観て大正解だった。作品を100%で楽しめた。
結構アップのシーンが多いので、主演の吉沢亮と横浜流星がいかに整ったお顔立ちかを再確認して、この映画の芸術点を高めていると感じた。
ストーリーとしては、血筋の横浜流星、芸の吉沢亮。相棒からライバル、恋敵、そして盟友、親友、最大の理解者へ。女関係もあるけど、この作品は2人の絆が主軸。
淡々と物語は進んでいくので、人の人生を俯瞰して見ている気持ちになる。映画を観る人それぞれで感じ方は異なる気はする。美術館で、絵画を観るような感覚。
少し残念だと感じた点は2点。
一つ目は、吉沢亮の目が若過ぎて、最後年齢がわからなくなる。娘役と同世代にしか見えない。(役者を変えずに演じているから仕方ないことなんだけど)
二つ目は高畑充希と森七菜が顔の系統似ていて、一瞬どっちがどっちだ!?となるので、もう少し違う系統の方だと良かったような。これが、敢えて高畑充希と似た俳優を使っている(吉沢亮が初恋の人に似た人を選んだ)のであればある意味大正解。
家だとダラダラ観ていろんなところ見逃してしまいそうなので、映画館で真剣に観て良かった。
拍子木の音
血脈の苦しみと天涯孤独の苦しみ。
狭い歌舞伎界の中でふたつの星が才能をぶつけ合って戦い、そして心を寄せ合う。
今をときめく吉沢亮と横浜流星の演技が圧巻。
これだけの女形を演じる為にどれほどの努力を重ねたのだろうか。
これでもかとふたりに苦難が降り注ぎ翻弄される。当方としては横浜流星の宿命がより辛く感じた。
見どころは娘道明寺などの舞台本番シーン。
舞台上で通い合う目線、衣ずれの音、舞台上から見た客席。幕前の表情や本番前の通路を早足で歩くシーンなど舞台裏を覗いている気分も味わえる。
映画としてはやや長尺か。
冒頭の抗争シーンは迫力満点で、古き日本映画を思い起こさせられた。
ふたりが大人になってからは表情のアップのシーンが多く、少し表現の繊細さが欲しいかと思った。
観劇はその場の臨場感や役者の迫力を間近に感じそれは良いものだが、日本の歌舞伎はその中でも独特の光を放つ。見ている間は歌舞伎の格調高い日本文化をとても誇らしく思った。
鳥肌が立った。
やはり脚本有りき。これ以上削れば、ぶつ切り感が顔を出し、これ以上足せば、重く飽きてくる。血と才能、生と死、信頼と裏切り。凄く良かったです。与えられた物は全て受け入れる喜久雄、そしてその代償。現実を突きつけられ、奪おう(壊そう)とした女性に逆に救われ、文字通り足掻き続ける俊介。「順風満帆」な人生など何処にあると言うのだろう。此れではない、此処ではない、と思う事は誰でも一度はあるだろう。心の内は誰にも分からない。一皮剥いたら何が出てくるかは、本人でさえも分からないのでは無いだろうか。(一時脱線)
カメラワーク、カット割りが凄い。一体どれほどの手間と時間を掛けたのだろう。そしてラストシーン。是非、映画館で観てほしい。出来れば前の方の席で、スクリーン一杯に広がる映像の美しさに鳥肌が立ちました。
やっとレビュー書きます
これは観るべき映画でした。。。
映画で滅多に泣かないわたしですが、吉沢亮の演技で泣いた。しかも号泣。
ストーリーで泣くのはよくあることですが、演技で泣いた。こんなことは初めての体験で自分でも驚いている(わたしは横浜流星ファンである)
ヤクザの組長の息子の喜久雄。抗争で父を亡くし、歌舞伎役者の当主である渡辺謙に拾われて、歌舞伎の世界に飛び込むとこから始まる。渡辺謙の息子である横浜流星演じる俊介。将来を約束されている歌舞伎界のプリンス。俊介と喜久雄は同じ家で、同じ学校で、同じように稽古をして、良きライバルとして歌舞伎の芸を磨いていく。その姿がバチバチのライバル関係ではなく、お互いを認め合い、時には必要として、一緒になって成長するんです。おもってたのと違った。。。ここが私的、一番よかった、好きな点なんです。
歌舞伎が好きで、稽古はきついがそんなの全然苦じゃない、そんな2人の姿が眩しかった。
青春を捧げて歌舞伎に打ち込む。
そして、父渡辺謙の代役として選ばれた喜久雄。舞台に上がる直前に、震える手で化粧するシーン、ここはほんとに2人の演技に震えた。
そこから歯車が狂い出す。だけども、2人の関係性はそのまま。そして、お互いが苦しみながら時が立ち、最後の曽根崎心中。
俳優2人のとんでもない演技を観せられて、、、、、。
流星くんファンではあるものの、この映画は完全に吉沢亮だった。。。。
そしてエンディングがまた最高。
とんでもない映画を観てしまい、鑑賞から一週間。やっとの思いでここに記録を残すことにします。
歌舞伎がわからなくても大丈夫!
藤娘や鷺娘の早着替えのシーンや、有名処の連獅子・曽根崎心中のシーンは歌舞伎がわからない人でも楽しめると思います!
特に藤娘や鷺娘の早着替えは、ただでさえおーー!!っとなるのに、この映画は視点がとても良いですよね!
役を演じている人側から見る舞台が見れて、とても面白かったです。
可憐でかわいらしい女形と、艶やかであやうい女形なら貴方はどちらが良いですか?!
どちらも良いですね!!
何だか無性にシネマ歌舞伎が見たくなってきました…纏めて上映してくれないかしら。
タイトルなし(ネタバレ)
まー、凄い作品でした。脚本、演出、カット、照明、俳優のお芝居全てがほぼ完璧だったのではないかと思います。
人間国宝になってからが少し残念で、
吉沢さんがおじいちゃんになるところから違和感が出てきて、
そのまま最後までだったので、そこさえクリアできればもう4.5だったとおもいます。でも、3時間飽きずに観させるこの組はすごいの一言!
歌舞伎役者、そもそも大嫌い!
3時間なんて耐えられるか心配でした。
1列目だったし。
いやいや、ふたりの人間の人生の二転三転、
流転劇。。
飽きるどころか、とにかく見逃してはいけない、くらい真剣に鑑賞させていただきました!
ワタシ的には
最初の復讐の顛末、知りたかった。。
森七菜さんの役どころ
必要だったのかな?なんて思ってしまいましたが。
(小説未読のため、実は大切なシーン、役どころななんだろうなあ)
血が欲しかったんだろう。。苦しいね。
3時間で収めるにはイロイロありますよね。
子役たち、光ってましたね!
ぼくのお日さまの越山敬達くん、
俊ぼん役、良かった
もちろん、黒川想矢くんも素晴らしい
吸い込まれました
とにかく
吉沢亮さん、横浜流星さん
素晴らしかった!
だって売れっ子のお二人がお芝居とはいえ、
所作から演技から歌舞伎の稽古など長い時間をかけて表現して見せてくれた
いやー、並大抵のことじゃないですよ。
体力、知力、忍耐力、信念、役者魂…などなど
イロイロな言葉が溢れてきています。
酷評する方もいますが、素人のおばちゃん的には
素直に映画を鑑賞できました。
吉田修一氏、李相日監督、沢山の努力やご苦労の
積み重ねでもありますね!
あした、職場でオススメします
もちろん、2回目も見に行きます。
1回じゃ勿体ない…
血を受け継ぐ意味
妻が【関西歌舞伎を愛する会】に所属してまして 結婚前ですから 30年以上前に南座で初観劇しました。以降、主に上方歌舞伎を中心に年数度、歌舞伎を観に行きます。仁左衛門師はもちろんのこと こっそりと鴈治郎師のファンです。
梨園で 「血」の重要性は門外漢には想像もつかないですが、例えば上方落語での【狐芝居】なんかでも ぼんやりと伺い知れます。実力があり 歌舞伎を人一倍愛していても 血縁がなければ一生端役がふつうです。
本作でも 主人公の苦労は描かれていますが 一方で 横浜流星氏演じる二代目の辛さが涙を誘います。
父が視力低下で苦しみますが、おそらくは糖尿病に伴う眼底出血じゃないか、と勘繰るんですが・・・で、倅も あれだけ細い体躯で 下肢の壊疽をきたす、となると おそらくは 父から遺伝した糖尿病が原因じゃなかろうか、と。
歌舞伎の世界で「血」を受け継ぐ意味。
生物として、人間として「血」を受け継ぐ意味。
二人が互いに相手を羨ましく思う一方で 年月が、遺伝子が 残酷に二人を別つ・・・あれこれ考えさせられる映画です。
覚悟の上に咲く花
鑑賞後、これほどまでに言葉が出てこないことがあったかなというくらい、言葉が出てきませんでした。
脳が痺れているようなジーンとした感じ。
多分、人は凄すぎるものを見た時、言葉を失うんだと思います。
この映画を鑑賞後、「すごいもの観たぞ!これはすぐに感想書きたい!」と思ったのですが、
気持ちとは裏腹に、全然書けませんでした。
今も余韻に浸りながら書いています。
吉沢亮さん、横浜流星さん、本当に圧巻でした。
どれほどの努力をしたら、ここまでの演技、歌舞伎の舞台を表現出来るのか、、、
相当の覚悟と、血の滲むような稽古があったのだろうということは想像できます。
その他の出演者の方々も秀逸で、喜怒哀楽では片付けられない、複雑な人間の感情をこれでもかと浴びせてくれました。
想像を絶する覚悟の上に咲く、役者という花が儚くて、美しくて、それでいて孤独で。
綺麗事だけではない芸能の世界。
とてつもない世界を覗いてしまった、という感じです。
個人的に、大人になった綾乃と再会するシーンが好きでした。
綾乃の言葉で、喜久雄が少し救われたような気がしています。
【2回目鑑賞後、気づいた点】
・万菊さんの楽屋に、病床の枕元に置いていたお人形さん発見!
・万菊さんが俊介に稽古をしてる時、「あなた歌舞伎が憎いんでしょ、それでもいいの、それでもやるの」と言っていたけど、それは喜久雄に向けての言葉だったのでは、、!
・万菊さんが病床で喜久雄に話しかける時「私には分かるんだ」など、今までの「〇〇ですよ」という女性らしい話し方ではなくなっている
・観客の服装の移り変わりで時代がよく表現されていた!
・音楽や美術による、没入効果も高い気がする
日本人として生まれこの映画に出会えた幸せ
日本を代表するハリウッド俳優と、飛ぶ鳥を落とす勢いの2人の若手男優、そして監督が李相日さんとくれば素晴らしい映画になるに決まっていると思いながら観ましたが、期待以上に感動させていただきました。
その理由は、少年たちの演技もさることながら、音響効果(せりふ、音、音楽、効果音などまとめて)と映像が本当に美しかったからで、しかも映画の中で、『二人道成寺』、『曽根崎心中』などの代表的な歌舞伎(の一部)を堪能できたこともあると思います。
映画の中で歌舞伎を観ている観客が拍手するシーンでは、思わず映画館の中では一緒に拍手をしたくなりました。
映画のテーマは、たぶん藝を極めるまでの様々な葛藤にあるとは思いますが、血筋か藝かとか、友情ものとしても観られますし、男と女の話としても、親子の話としても楽しむことができます。
私はバディ物として観ていて、とても感動しました。
最後に出てくる瀧内公美さん、やはりすばらしい演技をされます。
現代の中村仲蔵か???映画「国宝」
歌舞伎界の門閥・家柄にあらがって看板役者にまで上り詰める歌舞伎役者の物語が「国宝」である。このエピソードを聞いて歌舞伎や落語が好きな人なら先ず浮かべるのが「中村仲蔵」の話しである。江戸時代、歌舞伎の家柄では無い家庭で生まれた仲蔵が名題役者になるまでが色々な作品で描かれている。映画「国宝」が話題になった時、「主人公のモデルは玉三郎か?」と言われたが、私は真っ先に仲蔵の姿が浮かんだ。
中村仲蔵の噺は、講談・落語・新劇・ドラマなどで扱われ、新作歌舞伎にまでなった題材で有る。私が先ずこの噺に触れたのは、2000年 日生劇場での公演「栄屋異聞影伝来~ 夢の仲蔵」であった。仲蔵を演じたのは当時の幸四郎さんであった。その後、志の輔さんの落語を聞き、当代の勘九郎さんが演じたドラマ「忠臣蔵狂詩曲 No.5 中村仲蔵 出世階段」を見て、つい最近は藤原竜也さんが演じた新劇「中村仲蔵 〜歌舞伎王国 下剋上異聞〜」を拝見している。私は、余程仲蔵が好きなのだろう。仲蔵は、元々浪人(武士)の子であったが長唄の師匠と舞踊家の家に養子に入り、特に踊りの稽古を母親から厳しく受けた。その後、芝居小屋である中村座で歌舞伎役者としてのスタートを切る。当時の歌舞伎界の階層区分は厳密で、どんなに踊りの上手い仲蔵(当時は中蔵)であっても「稲荷町」と呼ばれる大部屋役者から始め、役者の家柄では無い仲蔵にとっては階層の頂点である「名題」に上がるのは不可能と言える世界であった。そんな中、一時期。ひいき筋から「身請け」・・・一説では男色家のひいき筋・・・をされ役者の世界から身を引くが、それでも夢は諦めきれず中村座に戻る。謂わば「出戻り」である。その為、大部屋では壮絶な「楽屋いびり」にあったりするが必死の演技を当時大看板であった四代目団十郎に認められ名題役者にまで登り詰める。しかし、話しはそれだけでは無い。独自の工夫をこらした仲蔵の演技に反感を持つ座付きの演出家・・・金井三笑の反感をかい、人気の演目である「仮名手本忠臣蔵」の配役で、当時人気の無かった五段目・斧定九郎一役だけという「いやがらせ」に合う。五段目の斧定九郎と言えば、六段目で非業の最期遂げる早野勘平(はやの かんぺい)を引き立てるだけの役とも言える。しかし、仲蔵は素晴らしい工夫でこの段で見物衆や楽屋内を圧倒する。これ以降、五段目は仲蔵のカタで演じられ、二枚目の看板役者が演じる処となった。そんな話しが伝えられるのが中村仲蔵である。
さてそんな事を思いながらの映画「国宝」である。モデルは誰か?確かに、坂東玉三郎さんは、歌舞伎の家柄では無い。東京で料亭を営む家の生まれだ。「国宝」での主人公が「ヤクザの家柄」というのとはかなりの違いはある。更に、玉三郎さんは十四代目守田勘弥と云う大名跡を継ぐ役者の門弟となり、後に養子ともなっている。たしかに「国宝」の主人公・喜久雄も上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎のもとで修行をする。しかし、「国宝」ではその半二郎の息子・俊介とのライバル関係を軸に話しを組み立てるが、一方の守田勘弥には養子玉三郎以外に息子は無く、居るのは2代目水谷八重子だけであり、彼女は新派の女優だ。ただ、大きな意味で玉三郎さんのライバルと目される人は居た。年齢はかなり開くが六代目中村 歌右衛門丈である。但し、何か表立った確執があったとは聞かない。坂東玉三郎が、歌舞伎の世界だけでは無く映画や新劇・創作舞踊・中国劇(崑劇)などに広く手を伸ばして行くこととは対照的に歌舞伎の世界だけで生きる名人成駒屋との違いがそんな憶測を生んだのであろう。映画「国宝」にも歌右衛門丈らしき人間国宝の大看板が出てくるが、既にかなりの年配で、後に歌舞伎界から離れる事になってしまった主人公をもう一度引き戻す役割を担っている。余談だが、この役を演じている田中泯さんがご当人にどことなく似ているのが笑えた。
そんなワケで、この映画「国宝」は実在の人物をそれ程意識して作られた様には見えない。それではストーリーはどうか?私が思い描いていた「中村仲蔵」の様に、門閥以外の人間が腕と工夫を凝らしてのし上がって行く物語と言うよりは、単なる門弟である主人公と歌舞伎の家の御曹司の間に芽生える愛憎劇という感じになっている。そこが、歌舞伎を好きな人間には少し物足りなさを感じる処だ。ただ、一つ一つの歌舞伎のシーンについては十分であった。ロケ地も南座を中心に豊岡の古い芝居小屋や歌舞練場等を使っていて臨場感に溢れ、演目も兄弟弟子であるふたりの女形に相応しい「二人藤娘」や「二人道成寺」・・・、更に上方歌舞伎らしい世話物「曽根崎心中」を持ってくる処も良かった。特に、私は玉三郎さんと八代目菊五郎さんが先代の菊之助時代に演じた「二人道成寺」が大好きだったので、吉沢君と流星君の踊りも興味深く見ることが出来た。その、吉沢君と流星君の歌舞伎の場面での演技だが、これは二人の努力とカメラの力で中々の出来だったと思う。但し、これを本物の歌舞伎役者と比べるワケには行かない。それは、歌舞伎役者に対して失礼に当たる。芝居と映画の違いは、編集とクローズアップである。良いところだけ繋ぎ、見せ場となるシーンをグーッと引き寄せる事の出来る映画と一発勝負のワンカットである芝居とは比べるには無理があると言う事だ。ただ、それでも二人の演技は良かったと思う。
まあ、主人公・喜久雄が花井半二郎を襲名し、「何を成して」重要無形文化財の保持者=人間国宝に成ったかは判然としないが、一つの愛憎劇として見れば・・・「まあ、有りかな?」と思える部分もあった。これを機会に若い人が歌舞伎に興味を持って貰えると良いと思うが、これはまた別の話の様な気もする
3時間
最近のトレンド?
ボリウッド並みに長い作品。
インターミッション欲しかったな〜
子役(といっても16歳の役)に圧倒された。
黒川想矢君。
美し過ぎるわ。
ポスト柳楽優弥?
そしていつの間にか吉沢・横浜コンビに。
歌舞伎の衣装だとどっちがどっちか時々わからなくなり、刺青頼り。
花井家にやってきた東一郎。
血筋は争えるものではない。
東一郎の才能がそれに勝るという残酷な結果。
そこは何となく見えていた展開だが。
その辺までは面白かった。
その後いくつかのスパンがあって二転三転するのだが、そこからがやや長く感じられしまった。
とはいえ、相当練習を重ねたんだろうな〜というのが伝わり、圧倒された。
万菊演じる田中泯さんの迫力が素晴らしい。
でっけー
芸術に命をかける者の人生を解像度高く描いた大作。
ルックバックやアマデウス、ブラックスワンを連想させる内容。芸術に没頭する人の姿からは狂気さえ感じるが、その極められた美しさは人としての常識や倫理を超えて万人に愛されることがよくわかる。
なにもかもを捨て、全てを歌舞伎に注ぎ込んだ東一郎が舞台上で魅せる姿は神秘そのもの。それを完璧に演じ切った吉沢亮は俳優としての境地に至ったと感じさせるほど。
一方横浜流星の演技は個人的にそこまでハマらず。過去作から常々思っていたが、日本人俳優特有の過剰な演技癖が抜けきらない印象。
観客に感動を超えて畏怖の念さえ植え付けるほどの人間国宝を演じた田中泯の存在感が半端ない。放つオーラが違う。
喜久雄の背中に彫られたミミズクの入れ墨の意味"恩返し"が結局どのように伏線として回収されたかが不明瞭だった。
万菊が喜久雄に対して「美しすぎる顔は芸を喰う」的なことを言っていたが、結局この台詞のアンサー的な描写がないまま終わったのはかなり残念だった。
喜久雄がドン底から這い上がる過程がごっそり省かれていたのも納得がいかない。3時間も尺があるのにここを描かないのは意味がよくわからない。
映像や美術は文句のつけようがないクオリティ。主題歌Luminanceも作品の雰囲気に合った綺麗な曲調。
歌舞伎の人はどう思うのだろう?
原作未読のため映画単体としての感想。
役者の気合いと鍛錬には感服しますが、ストーリー。全体的に非現実的すぎて感動が半減。歌舞伎の世界が好きな人にはあまり受け入れられないと思う。血筋がなくても大成する役者はいるけど、さすがに主役に設定がねじ込まれ過ぎてる。女性たちの人物像が全体として薄い、二人の母、二人の妻(一人は内縁)でお腹いっぱい、さらに二人目の内縁、あげく娘は描ききれていない印象でした。
時間がどんどん進んで「◯年後」というのも頭が追いつかない。老け顔メイクもやや甘く感じた。
曽根崎心中はあのまま見せたのに、鷺娘での馬鹿でかい音楽なぜ。
途中から置いてけぼり
映像、俳優陣の演技には文句の付け所がない。
特に歌舞伎シーンは少なくとも素人である自分を騙しきるだけの説得力があった。
演出面で言うと歌舞伎にBGMを被せるのだけは辞めて欲しかったかな。
個人的に感情を震わされたシーンは2つのみ。
東一郎の曽根崎心中を見つめる半弥のシーンと
曽根崎心中を演じる半弥の右足が壊死していたシーン。
これ以外、特に後半は無理やり物語を進めるために奇々怪々な行動を淡々と見せられるだけで置いてきぼり。
東一郎の演技を見て逃げ出す半弥とその姿を見て駆け落ちする春江まではわかる。
花井白虎他界後、後ろ盾を失い台詞のある役すら貰えない中で白虎の残した借金まで抱えて数年間耐えてきた東一郎に対して「春江の顔も見てやってくれ」と言える半弥の厚顔無恥さ。
それを平然と受け止める東一郎。
そして、その後追い出される東一郎を止めることすら出来ない半弥と春江。
引き上げる発言には自分も失笑せざるを得なかった。
土下座して詫びろ。
その後、人間国宝の万菊に引き上げられた東一郎が半弥との二人道成寺を引き受けた理由はわかる。
「歌舞伎を憎んでいても〜」という台詞が事前にあったから。
その後、息子に稽古をつける東一郎。
意味がわからん。馬鹿なんじゃねーの?こいつら。
どの面下げて頼める。なんでそれを引き受ける。
仮にこの映画が人間味皆無な化け物東一郎が国宝に邁進する中でその周囲の人間を描く作品なのだとしたらギリギリ理解できるが、
東一郎は極力感情を表に出さないものの白虎が吐血した際に息子の名前を口にしているのを見て「しんじまえ」と口に出したり、戻ってきた半弥がすぐに役を貰えそうなのを見て慌てて強攻策を取る程度には感情のある人間なんだから尚更それ以外の行動が理解出来ない。
白虎の死後、あっという間に干された筈なのに後先長いように見えなかった万菊に引き上げられた後は特に何もなく異例の早さで国宝に選ばれた東一郎。
常にスポットライトが当たり続けたというインタビュアーの台詞には自分たちは今まで何を見せられてきたのかというクエスチョンマークしかない。
ちょくちょく謎のカットインがあったものの
唐突に最後の最後に出てきた意味不明な「見たい景色」と言う発言と感動要素で娘を出して無理やり終わらせた感じしかない映画でした。
説明し過ぎなのは良くない。
映像から汲み取るのも映画の見方だというのはわかるがそれが突拍子無さすぎると話にならない。
3時間の一本で纏めたのが失敗だったのだろう。
無理やり纏めるならせめて芸姑と娘はカットすればよかったものの。
俳優陣の努力に☆+1で☆3つ。
白虎が倒れるまでのクオリティで最後までやりきって欲しかった。
伝統芸能
が大嫌いな奥さんが観に行き絶賛。ならば観に行こうと。
自分も歌舞伎には全く興味がなく疎い。梶芽衣子特集で曽根崎心中を観たぐらい。3時間は長いなと思ったら体感が短い!即ち引き込まれた!面白い!ダレがなく緊張しっぱなし。
伝統芸能なら東宝でなく松竹と思えばこの内容だと松竹では無理…。
主演は朝ドラ、大河ドラマばかりと言うか下手な役者はいない。
主役2人、吉沢亮と横浜流星はよくあの所作、仕草を身につけたな。
おっぱいポロリはないけど高畑充希や森七菜も濡場があるとは!
どん底から這い上がる人間の半生を描く、まるでロッキーを観たかの様な満足感!
原作にリスペクトはあるのだろうか
とても前評判が高くネットで調べたところ、そもそも小説が素晴らしいとのことで小説を読んだ
個人的にラストはそこまで好きではなかったものの、全編を通して素晴らしかった。
満を持して映画を見た。
何これ?
大作を3時間に収めるので、ある程度端折る事は仕方がない。
そこは腕の見せ所。
それなのに
とにかく不要なシーンを付け足す。
そして必要だと思われるシーンを端折る
父親を殺した人間が、芸の道に斡旋したことをなぜ変える?この存在が無いから話の芯が欠けてしまっている
春江との濡れ場からの結婚しようとの流れ必要?
春江のキクオの一番の贔屓になってペルシャ絨毯買うたる、って小説でのトクジのセリフを春江に変更して、それ言った春江が俊ぼんと結婚したらお贔屓になんかなれないじゃん
キクオが歌舞伎に熱中しすぎて春江を相手しなかったからこそ、裏でシュン坊とできてしまったんだろうに、映画だと春江がただ悪い女に見える。
女将さんの幸子は、初見では親にはなれんし、いつまでも置いとけんみたいな話はするも、どうせ仲良くなるから、今日明日で喧嘩終わらせとき、みたいな粋な言葉をかけたりする
映画以上に人情味のある女将さん
あきことの濡れ場も必要?
親父に殴る蹴るされたら、何をしたか十分伝わる。
子供がお父ちゃんって、追っかけるシーンも要らない
キクオが悪魔に何も要らんから歌舞伎を上手くして欲しいってお願いしたと子供に伝えるシーン
子役の表情がとても良かった。それだけで十分伝わるのに、なぜわざわざ追っかけさせた?
俊ぼんが、何を頑張って復活したか、キクオが何をどうやって復活したか
端折りすぎてて二人の努力が全く伝わらない。
代役の曾根崎心中、ラストの2人での曾根崎心中は、本当に見応えがあり、歌舞伎を知らない人間だけれども、歌舞伎の映像には感動した
それだけに、とにかくストーリー全般が原作から端折りすぎてて、とっても薄く感じた
もっと原作に深い愛情があれば、もっと良い映画になったであろう、
誰か原作を深く愛する監督さんに、上、下の2作で完全版として取り直して欲しい
全520件中、241~260件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。