国宝のレビュー・感想・評価
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これは、ただの歌舞伎映画じゃない。血と芸に生きる魂の物語。
単なる「歌舞伎映画」ではなく、その背後にある血の継承や芸に捧げる狂気と孤独を描き出した、奥行きのある人間ドラマだった。
吉沢亮と横浜流星の歌舞伎役者を演じた二人の演技は、しなやかで鋭く、強烈な存在感を放ち、美しい所作のひとつひとつに、魂の叫びが宿っていた。
一方で、物語の構成にはやや詰め込みすぎな印象もあり、感情が追いつかない瞬間もあったが、無駄を感じるシーンはほとんどなく、物語は濃密に進んでいく。
観終えた後の劇場に漂う静けさと余韻に、「この世界からすぐには戻れない」という感覚が残る。
これは間違いなく、人間の激情と静寂を同時に味わえる、稀有な映画体験だった。
• 世界へ入り込む度:★★★★★
• 感情ゆさぶられ度:★★★★☆
• エネルギー消費度:★★★★★
• 配信でも観ます度:★★★★★
• 人にすすめたい度:★★★★★
【制作エピソード】
印象的な吉沢亮が演じる喜久雄が屋上で舞うシーンは、実はほぼアドリブである。当初は夜の照明下で撮影する予定であったが、急きょ夕暮れ時の30分間に変更された。監督は40人のスタッフの前でリハーサルを行わせ、森七菜との即興芝居の中で、吉沢が予定にないセリフを発し、感情のままに舞った姿に対し、監督も「見事だった」と絶賛している。
美しく、恐ろしい映画
歌舞伎には詳しく無かったのですが、表舞台に立つ人たちの計り知れない努力や葛藤、執着が描かれていてすごく興味を惹かれました。
主演の吉沢亮さんの表情、仕草、声などがとても演技とは思えないほどで、吉沢亮さんでないと出来ない役だったのではないかと思わされました。吉沢亮の演技を観ているという感覚がなく、本当に一人の人間の人生を観ているようで、馴染みのない歌舞伎という世界の出来事もリアルに感じられました。
田中泯さんは、要所要所で人間国宝という圧倒的な存在を見せつけ、底知れない不気味さと女形の妖艶さが印象的でした。
黒川想矢くんは、後から調べて15歳と知って驚きました。15歳でどうしてこんなに色気のある演技ができるのか…怪物の時もそうでしたが、本当に惹き込まれる不思議な魅力のある演技でした。
3時間という長い時間でしたが、実力者の俳優陣が集まっていたからこそ、気持ちが途切れること無く成立した映画のように感じました。
最後のエンドロールの井口さんの歌声まで素晴らしく、終わった後に思わず拍手をしなくていいのかと思ってしまったほど、圧倒的な作品でした。
観る者を惹き込む圧倒的完成度:奇跡の作品
「素晴らしい作品だと噂に聞くけど、歌舞伎にまったく興味ないし、知らないしな…しかも3時間もあるし。」
自分もずっとそう思って敬遠していた。
もし同じような気持ちで観ることをためらっている人がいれば、その気持ちを乗り越えてぜひ観てほしい。
3時間という凝縮された時間の中で、壮絶な男の人生を擬似体験できる。
何も知らない自分の歌舞伎のイメージだと、おごそかで緊張感のある雰囲気、姿勢を正して静かに観る…みたいなものだと思っていて、映画自体の雰囲気もそういうテイストかなと思っていた。
だが、冒頭のシーンでそのイメージは崩された。
「え?いきなりそういう展開!?」
思わず身を乗り出さずにはいられなかったが、思い返せばそのシーンを境に物語に引き込まれていったのだと思う。
先ほど「擬似体験」できると言ったが、この作品、気づけばまるで文字通り自分がその場に居合わせているような感覚に陥るのだ。
BGMが流れ始めて、「あ、今自分は映画を観ているんだった」と我に返るシーンが多々あった。
そのくらい物語の中に引き込まれる、いや惹き込まれる、か。まるでスクリーンの向こう側の世界に行っていたかのように。(この不思議な感覚は「没入感」みたいな言葉では表しきれない)
ここまで惹き込まれる作品となっているのは、シナリオや出演者の演技、音楽、美術など、作品におけるすべてにおいて高い完成度を誇っているからに他ならない。
演技と言えば、主演の吉沢亮、横浜流星が役作りを完成しているのは言うまでもないが、人間国宝を演じる田中泯の演技には圧倒された。
これは歌舞伎を演じているシーンの話だけではない。
何でもない普通の会話のシーンがとてつもなく重みを持っているのだ。
その沈黙や間合いに、言葉以上のものが伝わってくる。まさに人間国宝。
観ている自分は唾を呑むことすらできなかった。
そして国宝のタイトルバックに合わせて流れてくるテーマ曲にも鳥肌が立った。
またシンメトリーな引きの映像が挟まる箇所も、まるで美しいスチール写真を見ているかのようだった。
登場人物それぞれの気持ちの揺れる様が、痛いほど伝わってきた。
これ以上はもうやめておこう。
本作を観終えた今、「歌舞伎を観に行こう」とまでは思わないものの、「歌舞伎についてもっと知りたい」という好奇心が自然と湧いてきた。歌舞伎に詳しい人はもちろん、まったく知らない人でも物語に引き込まれ、十分に楽しめるのは間違いない。むしろ、知らないからこそ新たな世界への扉が開かれる感覚を味わえるかもしれない。
圧倒的な完成度と深い余韻を残す、まさに“国宝”の名にふさわしい、奇跡の作品と呼ぶべき傑作。
舞台を観ているような臨場感
非常に豪華な作品でした。任侠の家系に生まれ、歌舞伎役者の芸養子となった男の挫折と栄光の物語。赤い衣装から白い衣装への早変わりのシーンは息を呑むほど。ただあまりにかけ離れた歌舞伎役者の世界は一般人には入り込むことができず、物語を追うだけになってしまったのは残念でした。これは自分の問題ですが。親の趣味で踊っていた少年が養子として受け入れられるのが少し疑問でした。喜久雄は元々芸道に興味があったと言うことでしょうか。
横浜流星や寺島しのぶの葛藤は手に取るように伝わって来ました。特筆すべきは田中泯さんでしょうか。ご本人もこの年齢で女形を演じるとはと仰ってましたが、さすがの所作でしたね。
捨て駒にされた森七菜が気の毒でしたが、とにもかくにもこれだけの役を若い役者2人がよくこなしたと思います。やはり俳優とはすごい仕事だと思いました。薄い感想で申し訳ないです。
うーん。
素晴らしい
ハンパない虚無感
公開一か月 平日昼間 満席
作品は素晴らしいが時代錯誤な価値観
「国宝」
原作、監督を思いを
役者吉沢亮、横浜流星が歌舞伎役者を1年半かけて体現
素晴らしい
努力を思うと、短い1年半でよくここまでと驚嘆
歌舞伎の舞台、舞台から見る客席
圧巻
子役、周りの役者も素晴らしい
物語としては
選ばれたい者は悪魔と取り引きをするのだな
そのいくつ先を国宝として栄誉を得た幸せな人生とするなら
人間の幸せは何か
国(その世界)を支配したい欲を持つ者は人間を棄てるのか
繰り返すが
何かを極めるために自分の生命を差し出す人間、周りの生命を犠牲にする人間
それを国宝とするなら国の宝は物である
魂を賭けて人生を棄て国宝になり永遠の命を得た
血統、芸
何を捨てて何を得るのか
自分が魅せられて、やらずにはおれないもののための人生
棄てる者の生命・魂をどう背負うのか
それを棄てることで得た美しさは生命の讃歌にはならない。
自分と家~梨園だけの世界
選ばれた者の物語
男社会の肯定
ホモソーシャル
まだ描き切れてないタブーもあるだろう
#映画
#国宝
歌舞伎役者という業を背負う人生
ヤクザの息子と梨園の二代目御曹司と言う、対照的な二人の修羅のような歌舞伎役者人生を描く年代記で、見応えのある作品でした。主役二人の美しさはもとより、芸への情熱、血との葛藤など様々な要素を詰めながら濃厚でいて、どこか透明でクリアな世界が魅力的です。それを実現しているのが、舞台の役者を舐め回すような見事なカメラワークです。カメラが役者と共にせりで上がってきて満員の客席を役者の視点で捉えるシーンは、思わず息をのみました。観客からの押し寄せるような期待感、それを受け止める役者の高揚感が、芸にこだわる役者の業につながるような気がしました。一方で、年齢と病気で容色が衰えた顔、傘を取るしわだらけの手、白粉でも隠せない変色した足などをカメラは全く容赦なく映し出します。撮影監督は、なんとソフィアン・エル・ファニと言う外国人の方で、びっくりしました。役者では、吉沢亮、横浜流星の二人の役作りが素晴らしかったです。脇を固める渡辺謙、田中泯も業を感じさせる演技でした。
うーん
まず、僕はあんまり好きじゃないです!
でも内容はすごかったし、ある年代の歌舞伎という極東の謎芸能を切り取った一代記としては筋がとおっていた。等々、何一つ文句の付け所がないのだが、なんなのだこのなにかこうなんだか感は。
あえて言語化するならば、ボヘミアンラプソディではフレディマーキュリーとともに観客たちにもスポットライトが当たっていた。「一曲一曲が俺たちアメリカ人を救うのだUSA!USA!」みたいな圧があった。
国宝にはそれがない。国宝は俺たちを救ってくれない。僕たちにとっては所詮、天上人達の祭りに過ぎないのだ。それが現実だし、その素晴らしさも解る。しかし、ではあのドサ周りシーンと、芸の肥やしとして去っていった女たちへの冷たさはいただけないのではないか。娘にちょっと苦言をもらった程度では僕は許せないもんね。
そういうことだ!
久しぶりに
壮大かつ納得のいく傑作を見ました。まず制作費と準備に膨大なものをかけているのがひしひしと伝わる。そこまでして仕上げたい李さんの覚悟とこだわりが。ここまで長くなるのは、一つも妥協せず、省略せず、全てを見せたかった。そして一つも無駄なシーンがなく、見逃せない映像の美しさ、台詞、全てにおいて完璧すぎてため息が出る。間違いなく吉沢亮と横浜流星の代表作になるのだろう。舞台のシーンは圧巻。なぜか涙が出た。この俳優達‥どんだけ血の滲む稽古をしたの??!!器用すぎ!!!子役もいい。稽古の汗の滴るシーンなど、子供かと目を見張るほど艶っぽい。そして数ある李さんの傑作の殿堂入りも塗り替えた。やはり圧倒的存在感は田中泯。日本を代表する一流俳優。まさに人間国宝。
ヤクザの血の素人が、人間国宝になるまでの壮絶な人生。全てを捨て、悪魔に心を売り、本物の芸を手に入れた。幸せかどうかは重要ではない。それが彼が選んだ道だから。そう。到底こんなふうには生きれない。
諦めかけてたけど無理して映画館で見れてよかった。
役者の本気がすごかった
観てすぐ書いてりゃ良かった。
素晴らしかった
原作は吉田修一の同名小説。
昨年の映画化発表直後に読み、公開が楽しみだった。自分の周囲でも評判が良く、公開から10日以上経過した本日は、予想通りパンフ完売😵…てな状況。
長崎の極道の家に生まれ育った喜久雄が、歌舞伎役者として生き、人間国宝になるまでの物語。
二人の役者がとても素晴らしかった。女形だから映える話かもしれない。
友達であり、ライバルでもある二人。華やかな舞台の裏の苦悩。相手を認めながら己の力に苦しむ俊介と、三代目半二郎を襲名しながらも血筋に適わぬ喜久雄。沈んではまた浮上する二人の対比が見事だった。
そして、花井半二郎が喜久雄を見込んだのと同じように、多くの観客が吉沢亮という俳優に魅せられたと思う。
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