国宝のレビュー・感想・評価
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期待し過ぎたところがあり…
観たい観たいと思い続けて1ヶ月半、壮大な期待を持って臨んだ鑑賞だったのもあり、それを超えることがなく終幕を迎えた。役者の演技力も全体の構成も演出も最高だけどストーリー展開としては心が震えるとかグッとくるところがあまりなかった。でも歌舞伎には大いに興味を持った!
吉沢亮と横浜流星が競う美
原作とは違う。でも満足度はかなり高い
評判通り、劇場で観て本当に良かった。上下巻の原作、歌舞伎役者の50年の歴史を3時間におさめると、省略される部分は仕方ないと思う。
それでも、昭和の西日本の、重くて濃密すぎる家族の雰囲気が、リアルに伝わってきた。
柄物いっぱいの洋服も、一昔前のクローゼットが再現されているようで楽しい。
芸だけを求め、最後はたった1人、別の世界に立っている喜久雄の空気を、美しいと思うことが不思議だった。
吉沢亮の、孤独であること自体にも興味がなさそうな、虚無の表情は良かった。
冷んやりキリッとした清潔感と、角がない柔らかさが同居している存在が、国宝なんだなと感じる。
小説を読むのとは別の、映像で体験するいろいろな感情が十分に味わえて、本当に良い作品だと思った。
私たちの世代が生きている中で、1番有名な日本映画になるような気がする。
ー「景色」というのは、全てをも犠牲にした人間が何か一つを極めた先で...
ー「景色」というのは、全てをも犠牲にした人間が何か一つを極めた先で見られるものだ。「芸」以外のものを犠牲にし、「悪魔」とまで取引をして日本一の芸者になった喜久雄は本当に幸せだったのだろうかー
私は「歌舞伎」という日本に古くから伝わる伝統芸能に触れたことも、目にしたこともなかった。この映画を観るにあたり、私と同年代を含む多くの人が「歌舞伎を見たくなる映画だった」と評していた。3時間という長尺の映画を鑑賞したことがなく、最後まで座っていられるのか不安だった。しかし、そんな不安とは裏腹に、3時間はあっという間に過ぎていった。映像も音も大変に繊細で、綺麗で、それぞれの登場人物の心情や表情を大きいスクリーンで観ることで、自分もその作品の一部なのではないかと錯覚させられた。
この映画に役者として演じている俳優たちはみな、顔が綺麗なのは当然のこと、演技力がピカイチだった。それがまた、私たち視聴者の心を揺さぶり、それまで見向きすらしたことなかった歌舞伎の世界に片足を出そうかという思いにさせたのだろう。
歯車が狂い始めたのはどのあたりだろうか。映画鑑賞後、友人が「俊介の血筋が不幸を招いたのね」と言っていた。確かにその通りで、努力でのし上がった喜久雄と違って、初めから歌舞伎役者の名の下に生まれ育った俊介は一度は失踪したものの、父亡き後には歌舞伎役者として再び戻ってきた。それに引き換え、喜久雄は半二郎就任直後に歌舞伎の世界から干されている。
糖尿によりこの世を去った父同様、俊介も若くして糖尿にかかり、歌舞伎役者として舞台に立ち続けることが難しくなっていく。「遺伝」してしまった「血」は、俊介にとっては自分の歌舞伎役者としての人生を保証するものであったのと反対に、喜久雄が喉から手が出そうなほど欲しがったものだ。
映画鑑賞後、私たちは「この映画を一言で表すなら」と、「一番可哀想な人と一番残酷な人は誰か」という話で持ちきりだった。単なる「ヒューマンドラマ」や「成長物語」と謳うにしては、この映画の良さは何一つ伝わらない。人に勧められるに値するキャッチフレーズがなかなか思い浮かばない。私がそこで出した答は「人生と犠牲」だったが、それだけではネガティブな印象になってはしまわないだろうか。結局、その問いに対する私たちの答えは出ないまま解散してしまった。では、「一番可哀想な人と一番残酷な人は誰か」に対して、一番可哀想なのは、森奈々演じる彰子なのではないだろうか。喜久雄のいわば「道具」にしか過ぎないように感じた。喜久雄が歌舞伎の世界に戻るために彼女をものにしたのにも関わらず、俊介が歌舞伎役者として活躍する今、小さな劇場等で自分たちの力で営業をして出向くしかなかった。森奈々はそのどれにもついて行くが、2人の関係に「愛」があるとは見受けられなかった。彼女は都合の良いように利用され、そして喜久雄の元を去っても未練すら抱いてもらえない可哀想な存在だった。森奈々はインタビューで以下のように語っている。
「表現を追い求める先にあるものが楽園への道とは限らない。それでも人生を賭ける理由がこの世界にはある」と。
喜久雄の「悪魔との取引」は成功して、最後には「国宝」として日本一の歌舞伎役者になった。それまで、歌舞伎以外の全てを犠牲にして。喜久雄が娘のあやめと再開するインタビューのシーンで語った「未だ見ぬ景色」は彼が「国宝」となって舞台に立った頃、ようやく現れた景色だ。それが彼にとってのさらなるスタートラインとなっただろう。
ようやくスタートラインに立つことができた彼は、幸せだったのだろうか。原点でもある「景色」を見させてくれたかつての「国宝」のように、喜久雄も死ぬ間際には「綺麗なもの」が何もない質素な部屋で生涯を終えるのだ。
まずこの時代に歌舞伎役者というものを題材に人気若手俳優を起用したの...
チュニジア人カメラマン
歌舞伎への積もる思ひは、果敢なき
日本人であるので、この題材は観ておかなければいけないと思い、本作を観ました。
原作未読 歌舞伎・梨園の緒事情を ほぼ知りませんが、
本作を鑑賞後に、坂東玉三郎さん演じる「鷺娘」と人形浄瑠璃「曾根崎心中」を配信で、観させていただきました。
本作では、喜久雄と市駒との関係が、少し薄い気がしたのが残念でしたが、
これ以上作品を膨らませると、4時間超え映画になってしまうので、致し方あるまい
義兄弟を扱った映画は多々ありますが、義兄弟故(ゆえ)に、"ひとつ"しかないものを、2人で奪い合う宿命に成るが、
本作での、他に類を見ない"唯一無二な展開"は圧巻な脚本でした。 <原作賞><脚本賞><監督賞><作品賞>
この大作を演じた 吉沢 亮さん、横浜流星さん、のおふたりの演技は、
歌舞伎役者そのものの域にまで達しており、実に見事でした。 <主演賞><助演賞>
映画の撮影も、無理なライティングをせずに、やさしい光の中に、的確なカメラ配置を行った撮影は素晴らしかったです。<撮影賞>
「ずっと見たい景色」とは、男が女方を演じる歌舞伎において、更にその先にある域は人間でもない 孤高の白鷺(国宝)であり、下手(しもて)の非人間世界なのではないでしょうか。
この無双な映画を観たら、並ぶ映画は在りません。
よって、歌舞伎を扱ったドラマ「タイガー&ドラゴン」を観ると、本作と同じに、うまい"枕の扱い方"に注視する事が出来るでしょう。
ここ数年で一番の傑作邦画
歌舞伎映画でここまで人が映画館に足を運んでいるのが嬉しい
「歌舞伎」という文化遺産というテーマで、一般大衆をこれだけ沸かせることができたのがすごい。目を見張るその映像美は、『アデル、ブルーは熱い色』の撮影を担当したソフィア・エル・ファニの魔法もあったか。歌舞伎への情熱と愛を感じる。
最初の雪の中のシーンから、心震える。今作の1番の好きなポイントは、セリフに頼らずに歌舞伎を通して、語られるそのストーリー。言葉では表しきれない複雑な思いをスクリーンから感じることができる。特に「曽根崎心中」のシーンには、感情を揺さぶられずにはいられない。
ストーリーライン的には、驚きがなく確かに単純なところがあるが、それでも歌舞伎に興味がない層にもその3時間飽きさせないというのが今作の力か。
前回、ここまで満席の映画館を見たのはいつだろう。やはりみんなでこう映画を楽しめるのが何より嬉しい。
表情がいい
歌舞伎のことはほとんど知りませんでしたし、時間的には長い映画でしたが出演陣と映画の中の役者の熱量が非常に高く感じられ目が離せなかったです
体感は2時間くらい
そりゃ、年末の不祥事は(そこまでのものでもないけど)あっという間に解決させるわ
こんないい映画、見なけりゃ
ストーリーは細かく言えばよくわからないところがちょくちょく見かけられましたが、そんなところを深掘りしてたら5時間を超える映画になってしまうだろうかと
人間のひたむきさ、努力する姿、ずるさ、傲慢さ
とても人間の良さも悪さも描かれていて良かった
人間の汚さを(私にとってはですが)美しく表現されてる感じがしました
印象に残ったのは
大抜擢され、楽屋で手が震えるところと、あの台詞
化粧を代わりにしてやる表情
悪魔に魂を売ったベッドの上でのあの表情
どれもこれもたまらん
歌舞伎のことを知っていれば舞の素晴らしさとかわかったかもしれないですなぁ、そこは力不足の客ですまん、と思う笑
でも、2人とも美しいなぁとは思ったです
これから、ババンババンパイアに行くんだけど、どんな気持ちで観ればいいの?笑
飽きさせない長編…ただし私は
原作のダイジェスト、でもとても面白かった。なぜ、女が来るのか、出ていくのか、そうなることの理由が観客の知識と経験に任されるところが、いいのか悪いのか。
ツレの女性の感想として、とにかく吉沢亮が美しいとの声があるが、男の私にはそれは分からない。脇役、四代目鴈治郎が出てくるだけで上方歌舞伎の雰囲気がピリッとしまる。この役が二代目であればいうことなし。叶わぬ夢だが。さらに歌舞伎界ではないが、田中泯の演技が素晴らしかった。彼の演技だけでも、もう一度見てみたい。
…
ここからは余計なコメント。
時代考証が甘い。都市の景色、人々の服装、髪型、努力はしているが、リアリティを損ねてしまう。主人公が私と同世代。そして大阪と京都。戦後日本の時代の変化と街の有りようをもっと緻密に描いてくれたら、ストーリーにさらに没入できたのだが。
圧巻!あっという間の3時間でした!
我慢の3時間でした
とにかく脚本と演出が良くない。
映画らしい映画だとは思えませんでした。
最初の子役から、踊りの良さが出ていないのに、「美しい、大したものだ」とセリフで全部説明して、どんどんシーンを繋げていく。
歌舞伎や文楽、演劇をよく見るので、必要以上に厳しい見方になってるのかな?と思いましたが、未経験者が上手く踊れないのは当たり前だと思うのです。
でも、映画なら演出とか編集で魅せるものじゃないでしょうか?エピソードが詰め込まれすぎて、余白のようなものがないのです。
これは俳優ではなく監督、演出部の問題だと思いました。
ファーストカットから違和感があって、主人公が白粉を塗られて、感触にビクッとするのが、どうも一瞬遅く、無理に誇張されているような気がする。
その後の物語が、病気や死、子供ができるなどと、ずっと即物的で残酷で、人の心理が細かく描かれてなくて、脈絡がない。
美術も映像も粗い。道成寺というのは僧が大勢後ろにいる演目のはずなのですが、素舞台のようなところで、役者が走り回っていて、小劇場のように見えてしまった。曽根崎心中の台詞回しも義太夫の発声になっていないし、芝居の内容が踏まえてあるようには見えなかった。
歌舞伎を知らない人に、親しんでもらえるチャンスかもしれないのですが、残念なのは、江戸や上方の粋人のユーモアの結晶、みたいな部分はまったく取り上げられず、ドロドロした生々しいお家騒動、スポ根的な価値観とばかり結びつけられている。
役者を精神的に追い詰めてるのをアップで撮って、真に迫った演技と見せかけているような感じ。役柄に個性や深みがないから、俳優も演じる内容がなくて、素を出すしかない。
苦しそうで、正直、見てるのが辛かった。
フィクションではなく、歌舞伎に挑戦する俳優のドキュメンタリーとして楽しめばいいのかもしれませんが…歌舞伎も映画も、もっといいものだけどな…と思いました。
ファンタジーだから、人間国宝をどさ回りやドヤ街のイメージと結びつけ、悪魔に魂を売った、などと設定してもいいと思うのです。しかし実際の人間国宝の方々がされるような地道な努力や、伝統を継承しようという思いに目が向けられないのも残念でした。
人間国宝に限らず、人としての品や知性がないと、いい役者にはなれないですよね…個々の俳優たちではなく、あのフィクション世界のキャラクターたちに、それがあるとは思えなかった…。
ヤクザ映画としても、七十年代の東映映画なんかとつい比べてしまうと、演出や様式美の面でもう少しなんとかできないのかと…。
イケメンが出てればなんでも良いって訳じゃなくて、自分は映画を見たかったです。そりゃ見方はそれぞれですし、これだけ人気のある作品ですが、宣伝を過信してはなりません!と注意喚起。
……
最初に書いた記事がわかりにくかったかと思ったので、加筆しました。個人の感想です。
日本の伝統芸能のお稽古事を続けていますが、感動を強要するようなものではなく、見る人を自分自身に出会わせてくれるような、懐の深さやおおらかさを感じます。その上で矜持や美学もあります。
それぞれの見方、考え方があって良いと思っています。
邦画としては良作だけど
話題のこの作品(傑作!!!)。いつ?どこで?誰と?どのような関心を持って臨むか?
やっとこさ観れました。
シアターにとってよいのか?悪いのか?
梅雨時は従来の1か月前に訪れ、本作の幕開け6月はすでに灼熱地獄の日々。
ウィークデーはなかなか都合がつかず、ウィークエンドにどこで?どの時間帯に?と悩みます。暑い最中の外出は憚られる。我知らずドライブインシアターをググっていました(笑)
結局、日中は日差しで溶けてしまいそうなので💦、多少なり日影ができる夕刻を選択しました。
我が家は、皆それぞれ単独行だったのですが、一緒に観てすぐにでも感想を楽しむべきだったと悔みました。
いやぁ、驚きました。なんたる映像美。そして、吉沢亮、横浜流星はこの時代を代表する最高峰のアクターと思いますよ。
スゴイわ。この若さでてっぺん取れるわ。やはり、シアターで観ないとダメな作品でした。とくに後半ですね。前半はちょっと・・・。
しのぶさん、鴈治郎さん、謙さん、泯さんもスゴイな(とくに田中泯さんですね!!!)。
最近はネトフリやアマゾンの機会もありますが、初見がテレビ画像ではもったいないですね。
歌舞伎の世界に飛び込んだ男を描くために、歌舞伎のような舞台を見せはしますが、実際の歌舞伎舞台とは違います。俳優陣はそれなりの努力で「らしさ」を表現し、カット割りで伝統芸能の魅力をコンパクトに表現している作品です。
そこに魅せる男の生きざま。素敵ですね。血筋の話は玉三郎さんか・・・。
タニマチも芸能界(+スポーツ界)あるあるの話ですね
原作は未読ですが、ホン(脚本)が素晴らしいです。
トレーラー(予告編や宣伝用の動画)がいくつもあるので見ておいた方がよいと思います。ロンドンのグローブ座と比べても遜色のない、我が国の無形文化遺産である歌舞伎の世界を垣間見れるのではないでしょうか。
シアターでは若いカップルがたくさん鑑賞していました。これも素晴らしい!!
閑話休題、ほぼ週7日デイタイムは忙しいと、いつシアターに行けばよいのでしょうか?終電から逆算するのかもしれませんが、20時台の開演まで待つのはちょっと厳しいなぁ。シネコンってこんな商売だったっけ?当初の川崎チネチッタとはちょっと違うような・・・
それと、スタッフロールでとても驚いたのは配給が東宝???なんでーーー???
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