劇場公開日 2025年6月6日

国宝のレビュー・感想・評価

全1625件中、601~620件目を表示

5.0歌舞伎の映像、世界観に引き込まれました

2025年7月2日
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鑑賞方法:映画館

歌舞伎は見たことがありません。
でも世襲や芸に奔放される様が切なくて、でも結局それしかなくて。
出演された皆さんの役が濃く、永瀬さんや渡辺謙さん田中 泯さんの存在感。吉沢亮さん、横浜流星さんの綺麗なお顔が本当に活きた素敵な作品でした。
私にとって、すごく素敵な、良い作品だったから最後は自然と笑顔になっていました。

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じじお

5.0鼓の音と共に映画の世界に引き込まれました

2025年7月1日
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鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

知的

メディアで絶賛される映画なので、半分疑って見に行ったのですが、良かったです!

映画によっては時々寝ることがあり、この映画も3時間なので、寝るかも?と思って行ったのですが、3時間とは思えない展開に、圧倒されました!

これぞ映画!という展開で、重厚感があり、展開が面白く、勿論 役者たちが素晴らしく、日本の歌舞伎の世界が良く描かれていて、鼓の音と共に映画の世界に引き込まれました

畑は違いますが能楽の宝生流の藤井雅之氏から、「謡を謡える人はそうはいない」と聞いたことがあるのに、吉沢亮・横浜流星氏共に、上手な謡で感心しました

一門でもない外部者が歌舞伎の世界に入る物語ですが、大学時代に新たに能楽の世界に入った藤井雅之氏の事も、参考になっているのかなとも思ったのですが、そうでもなかったです

しかし監督の、李相日氏恐るべし!でした 今後の活躍を期待できる監督でした!

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jazz須磨

5.0伝統それは美しき残酷

2025年6月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

吉沢くんと流星くんが壮絶美しい。見惚れる。歌舞伎が美しい。妖しい夢のようだ。血が流れる。赤い残酷だ。残酷な血の運命。

3時間、ずっと涙ぐみながら観ていた。

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隠し

5.0日本版セッション

2025年6月29日
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鑑賞方法:映画館

顔だけでみせるシーンがたくさんある

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かつ

5.0圧倒された3時間

2025年6月29日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

見終わった後、面白かったという感覚はありませんでした。(もちろん面白くなかったという感覚もありません)
ただ、ただ登場人物の人生を描いた物語、映像、音楽に圧倒された時間でした。
3時間とは思えないくらい時間が経つのが早く、満足度の高い時間でした。
どれだけ恵まれた境遇を持っていたとしても、どれだけつらい過去をもっていたとしても、人生は順風ばかりでも、苦境ばかりでも無く、山あれば谷もある、だから生きている実感を持つことができるのでしょう。それはこの物語で語られる国宝級の人物だけの話では無く、誰しもが同じで、、、自身についても明日からもしっかりと頑張っていこうと思える映画でした。
歌舞伎の音楽とバックグラウンドの音楽がとてもマッチしていて映像を盛り上げます。歌舞伎の独特な雰囲気が色濃い作品ですが、主人公とその周囲の人たちの激しくて、情熱的・情熱的で、悲しい物語もしっかりと楽しめます。
美しい歌舞伎の世界、その華やかな裏側の役者と周りの人たちの壮絶な人生にどっぷりとつかれる作品でした。

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tomojun

4.5人生いろいろ

2025年6月29日
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鑑賞方法:映画館

怖い

幸せ

ドキドキ

吉沢亮すごない?
女形を極めてしまった。生身の女性よりはるかに、女という概念を体現している。見とれました。
その生き様も人生そのもの。人間ってこんなふうですよね、と納得の鑑賞体験。

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satsuん

5.0滅多に⭐️5はつけませんが!

2025年6月29日
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鑑賞方法:映画館

本作に明確な悪役はいない。でも絶望に打ちひしがれている人はいる。だからこそ心の持って行きかたがとても難しい😨

喜久雄は歌舞伎役者としては国宝級だが、家族に対しては誠実な人間とは言えなかった(悪魔の契約のくだりとかね)
でもあの世界でトップを目指そうとするとそうなるよな〜って思うし‥

こんな心を乱された(いい意味で)のは初めてで、それが⭐️5の理由です!出会えて本当によかった

あと主演の吉沢くん、すごいですね‥!
たぶん彼以外では務まらなかったと思います
ちょうど予告やってるババンババンバンバンパイアとのギャップも😆

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おおかみ

5.0きっと思い出し続ける映画

2025年6月28日
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鑑賞方法:映画館

スクリーンに吸い込まれるような圧倒的な没入感。
いろんな意見があるが、この作品に感動し、深さに気づける感性が自分にあってよかったと思う。ずっと覚えていたい映画体験。
本当に良かった。

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nmn

5.0観終わった後の余韻が半端ないです!

2025年6月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

斬新

とても素晴らしい映画でした。3時間があっという間でした。出演してる方々の演技力が凄すぎてどんどん引き込まれました。吉沢亮と横浜流星の女形が圧巻の美しさで、その姿を観ているだけで涙が出ました。久々にいい映画を観ました。この映画は是非大きなスクリーンで観て欲しいです。

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まりあ

5.0心が震える。期待を超えてきた

2025年6月28日
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鑑賞方法:映画館

素晴らしい。本当に素晴らしい作品。
原作は知らなかったが、脚本も良く、監督はもちろんのこと、撮影のカメラワークもとてもよかった。吉沢くんの表情をよく捉えていて、より感情が私達に伝わりやすかったり、臨場感が得られやすいような撮影をされていたように思う。
そして何より、吉沢亮くんと横浜流星くんのお芝居、歌舞伎の仕上がりが本当に素晴らしく美しかった。
極道の一人息子から、世襲の歌舞伎の世界に入り、全てを捨ててひたすらに芸を磨く。それぞれが苦しみもがきながら上り詰めていく…

心が震える作品に久しぶりに出会ったように思う。
この作品の良さをしっかり体感するには映画館のスクリーンでの鑑賞がおすすめです。

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TOMO

5.0芸を極めし者の物語。

2025年6月28日
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素晴らしい物を見た。
その美しさに圧倒された。
外見ではない。
魂の美しさに心惹かれた。
同じ芸をひたすら何十年と繰り返し、命をすり減らしながら芸を極めに極め上り詰める。
美は細に宿るというが、まさしくこんな作品を指すのかもしれない。

私は歌舞伎など一切知らない。
それでもこの作品には胸に突き刺さる演目が幾つもあった。
それは舞台の表と裏。
過去から現代に至るまでの歴史の中で生き続けた2人の女形の人生と時に重なり、時に離れ、時代を超えて継承されていく。

2人の友情
愛情
怒り
憎しみ
嫉妬
憂い
悲しみ
喜び

全てが交錯し混ざり合ってのあのラスト
もう何も言うことはない
完璧だ

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ジョイ☮ JOY86式。

5.03時間で終わってしまうのか、と名残惜しい素晴らしい作品でした

2025年6月27日
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泣ける

楽しい

是非映画館で!というのはハリウッドのエンタメ作品に当てはまることばかりではないことをこの映画で知りました。
映像の美しさ、時に迫力、これは映画館のスクリーンで見てほしい作品です。

3時間は長く感じず、むしろ、ああ、もう終わってしまうのかと名残惜しく感じるほど。

2回ある曽根崎心中はそれぞれが素晴らしく自然に涙が出ます。震えるほど緊張していた喜久雄でしたが、幕が上がれば役に入りこんでいる姿と迫力、幕がおりたあとにふと覚めた表情、素晴らしい。
俊介の曽根崎心中も命懸けの芸で心打たれ、さらに足にすがりつくシーン。

他にも色んなシーンや表情が今も胸に残っています。
田中泯さんは芸術の域ですね。

きっと明日になったらまた見に行きたくなる、そしてたぶん近々行くことになるでしょう。
本当に素晴らしい作品でした。
原作も読んでみようと思います。

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Tkykskngy

3.0一生をかけて芸を極める人は凄い。ただ長い

2025年6月26日
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名選手名監督にあらずという言葉があるように、選手として凄くても教えられない人はいる
そういう意味では歌舞伎等の伝統芸能は素晴らしい
一方、鑑賞する側も観る目にかんしてはどのように引き継いでいるのか?は疑問
伝統芸能の凄みは正直わたしにはあまり違いが分からないので、今回も曽根崎心中の一部以外は凄いのか?どうかが判断がつかなかった

レビューの点数はかなりいいのでこういう映画が賞を取るのだろうが、わたしには3時間は長く感じたので、周りが時計をみるためにちょくちょく明るくなったり、老夫婦の小声の話やポップコーンの音が気になった

かなりの実力派の俳優が参加されているので、演技は素晴らしい
ケン・ワタナベのそれは伝統芸能そのものと感じた

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ダルメシアン07

5.0圧倒的な熱量と執念が結実

2025年6月25日
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興奮

スタッフとキャストの熱き思いが結集して、その思いが聴衆に十二分に伝わってくる。
そんな瞬間を初めて経験した。なぜか涙がとまらなかった。
渾身の力をふりしぼって創ったという実感が、これほどまでに押し寄せてくる作品には早々出会えないだろう。

黒子を3年経験して原作を書き上げた吉田修一。『曽根崎心中』、『娘道成寺』の美の世界を如何なく表現しきった横浜流星、吉沢亮。世襲に呪縛された男と歌舞伎の名家に拾われた男の歪な友情。女形の人間国宝役を前衛ダンサーの感性で舞った田中泯。彼らがもたらしてくれたのは、執念以外のなにものでもない。
『曽根崎心中』は、中村勘九郎と市川右近の若手コンビが演じ、『娘道成寺』は、かっては坂東玉三郎、尾上菊五郎が演じたらしい。でも、そんなことはどうでもよい。全体の一部を切り取った芸であったとしても、瞬間の美しさは人の心を打つ。

歌舞伎を見たことがない僕らでも、そこに人間同士の葛藤や厳しい稽古を、はるかに超越した伝統芸の極地を感じる。「美しい」意外にあてはまる言葉が見つからない。演者と聴衆が一体化した瞬間。喝采は鳴りやむことはない。圧倒的な熱量にぐーのねもでない。日本アカデミー賞作品賞の最有力候補とみた。

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ジョー

5.0みんな美しすぎる!!

2025年6月24日
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鑑賞方法:映画館

歌舞伎の世界の厳しさを描いた作品でもあり、青春映画のようでもあり…人間の妬みや嫉妬などを描きつつ、、それを上回る美しさの世界を見せつけられました✨
横浜流星も吉沢亮も本当にため息出る美しさで、二人の踊る二人藤娘、なんと瑞々しいことか✨
そして、少年時代の喜久雄のなんと美しいことか!!
今まで歌舞伎の女形の方の映像を見てもなんとも思いませんでしたが、この少年時代の喜久雄の美しさには圧倒されました✨

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もけけ

5.0日本の美満載

2025年6月24日
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ほんと美しかったです。
おそらくはと思ったけど、公開したくない人達がいたんじゃないのかと
歌舞伎は日本の美を詰め込んだようなもの。
はかなくて、力強くて、みんなの息があって協力していかないとできないし、ある意味職人芸の集大成のような。
着物や舞台の美しさとか、うっとりしますね。
役者さんもそれを壊すような人は使えないわけで、ちゃんとそこに応えるだけのものも兼ね備えてて。まあ、その筋の人からはツッコミどころはあるんでしょうけど、それもねじ伏せる事ができるだけの。
人気が出てお客さんが増えれば悪いことはないですもんね。
美しさに感激してしまいましたね、
けど、やはり伝統芸だし、テーマとして、GIFTとしての才能は、ご先祖から血筋として受け継がれた世襲からが大きいけれども、全くそうでないところから見つかることもある。
それを見つけた時に、血筋じゃないからと排除しようとするのは、家を守るというと聞こえはいいけど、
文化や芸術って、本当に感動させる力のある人っているのでそういう人がやるべきだと思いますね。
今外国人問題とかあるから
生まれて育ったルーツは大事だけど、そこに差別が生まれたり、固執するのは違うと思うので
とにかくいいものを作る、良い世の中にする、
そこを外さずやるべきではと思いますね。
美しいって、結構、深いというか、大事じゃないかと思いますね。

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jaiko

4.0長くない

2025年6月24日
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李相日監督はいつも凄い映画を作る。吉沢亮と横浜流星はかなりの時間をかけて歌舞伎役者の役を作り込んだのだろう。もちろん渡辺謙や田中泯はもの凄い存在感を出しているが個人的には瀧内公美の演技に最も感銘を受け感動した。この人、サ道の女性カフェオーナーから敵まで魅力的な女性を幅広く演じていて今回は過去最高のお芝居でした

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tomクルー

5.02001年歌舞伎の旅

2025年6月24日
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映画は観客の想像力で完成する。
観客は敵ではない。
監督がやるべきことは、
観客を味方につけ、観客を信頼し、
映画に、戦略的に観客の想像力に委ねる余白を作ることだ。
そのためにディテールでは手を抜かない。
そして良い音楽を使う。
この映画はそれが出来ている。

唐突な展開や欠落した心理描写は、観客の脳内で補完され、それぞれの観客固有の物語を生み出す。
イケメン俳優の資質とは相反する、歌舞伎の退廃的でストレンジな美しさは、観客の想像力で創り出せる。
主人公が全てを犠牲にして求めたレベルの「景色」は、スクリーンではなく、観客の脳内でしか再生できない。
ほとんど観客に丸投げのようにも取れるが、キューブリックほどではない。
映画は、観客を味方に付ければ勝ち。

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田中

5.0初めての歌舞伎に、この映画を

2025年6月24日
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本物の歌舞伎は観たことがなく、お家制度についてもよく知らない素人ですが、ぐっと引き込まれました。
歌舞伎に関しては、最小限の歴史的背景が冒頭に文字で示される程度で、あとは役者たちの演技を通して、その世界の華やかさと厳しさが自然と伝わってきます。

物語としては、家に生まれながら芸を継ぐ者と、家の外から芸に惹かれていく者。
2人の青年が切磋琢磨しながら成長していく中で、ある出来事をきっかけに、それぞれが「自分にはないもの」の重さに苦しみます。
対照的な立場で歩む2人の姿には、それぞれに同情したくなるような厳しさがあり、世界の外にいる者には計り知れない重圧の中で、葛藤と覚悟を繰り返していることが伝わってきました。

舞台のシーンもとても美しく、目を奪われる瞬間がいくつもあります。
主演の吉沢亮さんと横浜流星さんは、見た目の美しさだけでなく、歌舞伎の所作や空気感を表現するために、相当な努力を重ねられたのだろうと感じました。
歌舞伎にまったく触れたことがなかった私でも、「生の舞台を観てみたい」と思えるほど、強く惹かれる作品でした。

フィクションではありますが、今も歌舞伎界で活躍されている方々も、多かれ少なかれこのような思い悩みを抱えているのではないか――と、つい想像してしまいます。
日本の文化の一端を知るという意味でも、とても学びの多い作品でした。

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観たい日は休みます

4.0若き喜久雄(黒川想矢)にMVPを

2025年6月24日
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泣ける

公開3週目だし、既に語り尽くされ気味な話題作なので、気になった細かい雑感だけ列挙します。
👘
1. 魂を売る前から悪魔に魅入られていた天才
 主人公の台詞にあるし、最終盤に娘からも投げ付けられるので、本作は悪魔に魂を売った喜久雄(吉沢亮)の物語にも見える。しかし、少年時代に趣味で演じた女形で、プロの歌舞伎役者(渡辺謙)を惹きつけてしまう程、ほどばしっていた才能こそが全ての始まり。部屋子になった後も、厳しい鍛錬が楽しくて仕方ないと嬉しげ。天賦の才を持つ者に、惜しまず努力されてしまったら、最強すぎて太刀打ちできない。少年・喜久雄の才と歌舞伎愛に説得力を与えたのは、間違いなく黒川想矢の眼差しと立ち振舞。「怪物」(2023)でも爪跡だらけだった黒川君の今後に、期待しかない。
🌸
2. 天才は何処でも輝く、ただ輝きの意義が解る観客は必須
 最も印象的だったのは、彰子に手を出して歌舞伎界を追放された喜久雄が、ドサ回り先でボコられる件。彼がどこまで本気で演じていたか、多少は手を抜いていたか、定かではないが、あんな環境でも喜久雄は、観客の一人の目を惹きつけ恋心さえ抱かせる。歌舞伎に関心がなくても、女形の意味を理解していない観客でも惹きつけてしまう、喜久雄の才は本物だろう。
 加えて、ボコられてボロボロになって屋上に佇んでいても、自然と体が舞始める。公演の予定などなくても、日々の鍛錬を止められない。「歌舞伎嫌いでしょ」と万菊(田中泯)に指摘された俊ボンとは真逆に、喜久雄には歌舞伎しか居場所がない。役者を極める道しか、目の前に延びていない。
👘
3. 順風満帆っっって!?
 最終盤、最年少で人間国宝になった人生を、順風満帆と称される。苦しい場面中心に観させられた観客としてはツッコミ処。ただ、同じ様な雑なまとめ方は、我々も普段からやっていそう。成功した結果だけみると、億万長者の実業家も、売れている芸能人も、「順風満帆」な人生を羨ましく思えるが、人には言えない苦難を経験して来た者もいるだろう。他人の人生の一断面を聞き知っただけで、その人の人生を総括できると思い込むのは、愚かなのだろう。
 本作でも、万菊は人間国宝になってからの姿しか描かれない。引退後の狭い借家が、万菊も歌舞伎の上達につながる事以外は切り捨ててきた役者バカだった事を彷彿とさせる。とは言え、万菊に人生も喜久雄以上に波乱万丈だったのかもしれない。質素な老後だけから、淋しい人生だったと決めつけるべきではないんだろう。少なくとも、狂気を秘めた田中泯の演技は、何らかの賞で報われて欲しい。
🌸
4. ほぼ満点な前半(青春篇)、徐々にテンションが落ちる後半(花道篇)
 語るべきテーマが後半に詰まっている事は分かる。それでも、自分は喜久雄と俊介の絆が深まっていく前半が楽しくて仕方なかった。師匠の交通事故で代役を勤め上げるまでか、名跡を襲名するぐらいの処で映画が終了していたら、満点評価だったかもしれない。後半も、義兄弟の絆を感じるシーンは堪らなかった。
 しかし後半に入って、「昭和元禄落語心中」と重なる展開(a-c)が相次ぎ、名人の最期まで似ていた事で少し冷めた。
a. 切磋琢磨する幼馴染Aが、幼馴染Bの恋人と疾走し、子を儲ける
b. 人気が出てきた若手が背中の入れ墨(元任侠)報道で失速
c. 年を重ね名人に成長した主人公が、公演中に倒れて絶命
 ※八雲は漫画では主要人物だが、ドラマでは主人公
パクリだなんだと責めるつもりはないが、ありガチな定番展開を面白くは感じなかった。
👘
5. 血筋に拘るなら...
 個人的にミスリードだったのが、序盤のド派手な父の死が、喜久雄の人生に殆ど影響しなかった事。任侠の家に生まれなければ、彫り物を背負わなかった可能性は高いが、それ位しか彼の後半生に活かされないのは肩透かしだった。
 血統を重んじる歌舞伎界で、血統の拠り所がない不安を語るシーンは印象的だが、血統をテーマにするなら、任侠エリートの息子に生まれた血が、喜久雄の人生に与える影響も描いてほしかった。無論、殺人犯の子も殺人を犯すだとか、反社の子も必ず反社になるみたいな偏見は好きじゃない。ただ、性格や行動傾向にある程度遺伝的基盤があるのも事実なので、任侠の親分に上り詰めた父の精神的特徴が喜久雄にも現れ、彼の人生を後押ししたり、邪魔したり、みたいな描写が欲しかった。

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LittleTitan
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