国宝のレビュー・感想・評価
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役者の凄み、作品のパワー。
芸事を極め「国宝」にまで辿り着く男の半生を描いた映画。
極道の跡取りとして生まれ、親を亡くし、才能を見出され、歌舞伎の世界に飛び込む。血筋が重んじられる世襲の世界にあって、芸を極めるため、全てのものを犠牲にする覚悟で悪魔と契約を結ぶシーンが象徴的。歌舞伎という身近なようで縁遠い世界。人としての生業。血統というお守りと呪い。色んなものを背負いながら、舞台に立ち続ける姿を見ることになる。
印象に残るのは、圧倒されるような映像美。鳥肌が立つ場面が序盤からたくさんある。見たことのない映像や構図。感情を盛り上げる効果的な音楽。役者の表情。さすがの李相日という感じ。
個人的に特に印象に残ったのは、少年時代の主人公を演じた役者のキラキラした表情。そして、人間国宝の女形役者を演じた田中泯の人間離れしたような存在感。
主演の吉沢亮や横浜流星の舞台上での所作についても、正直歌舞伎の演技の良し悪しは素人には分からないが、多くの鍛錬を積んだことが伺えた。
個人的に好きなシーンは、代役の本番前、1人緊張で震えが止まらない主人公の手を握り、代わりに化粧を施す控室の場面かな。映画全体で舞台裏を映す場面がとても多く、知られざる歌舞伎役者の素の顔を垣間見ることができる。
そして何よりも、ショート動画や倍速再生が受けるこの時代に、3時間を超える映画を劇場でじっくり鑑賞する体験の貴重さ(さすがに最後は疲れてきたが、観る価値は十分にあった)、それをこれだけヒットさせる作品の持つパワーに驚いた。
無常
知り得ない世界の中に人間らしさを感じました。
生まれた血筋。見つけられた才能。
なりたい自分になりたくて、欲しいものを掴もうとすると得られず、欲しいものを得ると大切なものを失う。
華やかな世界だからこそ光と影がより濃くあることを改めて感じました。
努力し何かを手にすることが出来ても満たされない。
満たされてしまうとそこが最終地点になってしまう。
鍛錬の積み重ねが極みを求めること。
それが形となって表せたとき何かが大きく変化する。
継承というものに感銘を受けました。
そして自分の表現の素晴らしさを感じました。
人は孤独です。
何者かになりたくてもがき、精進して極みに近づく者、才に恵まれ突き進む者は特にそうなのではないかと感じました。
人生とは運命とは残酷だが奥深い。
狂気の演技に飲み込まれる
圧巻の映画
凄絶の一言
2人の歌舞伎役者の数奇な運命と絡み合う人生がとにかく凄絶の一言。
吉沢亮さんと横浜流星さんお二人の演技に圧倒され、田中泯さんの鷺姫に魅了され、歌舞伎の魔力に気圧された3時間でした。
特に吉沢亮さんの憑依っぷりは凄まじく、気が早いかも知れませんが、日本アカデミー主演男優賞は吉沢さんで決まりではないかと思いました。
ただ、主役お二人とも顔がキレイなので、女形としてインしている時には途中でどちらがどちらかわからなくなったのは自分の眼力不足を嘆くこととなりましたが(汗)
吉沢亮さんは例のお酒絡みの出来事でフェードアウトにならず、本当に貴重な役者さんを失うことにならなくて良かったと痛感しました。
決してハッピーエンドではありませんが、バッドエンドでもなく、観終わったあとも不思議な余韻に浸ることになりました。
1つヒントとしては、曽根崎心中の概略をおさえておいてから観ると、より一層楽しめると思います。
お二人にハグしたい!
この演技、国宝級
圧巻の演技に震えた!
上方の歌舞伎ではないとか、歌舞伎役者としての力量などいろいろ気になる人も多そうだけれど、この映画は喜久雄と俊介を通して吉沢亮と横浜流星という俳優の演技に酔いしれる為の作品!その意味では最高傑作!
175分という上映時間をもってしても原作をけっこう省略しないといけないのは当然で、むしろストーリー全体のバランスよりも喜久雄と俊介、この2人にどこまでも焦点を当てることで、映像だからこそ伝えられる迫力や美しさを表現することに成功している。
バストアップショットを多用し、僅かな表情の機微を映し出すことで引き込まれていく。
全編を通して息を飲むような芝居の連続で、長さを全く感じさせない。原作を忠実に映像化しただけではこうはならなかったはず。
終盤に、喜久雄と俊介がお初と徳兵衛に重なって見えた瞬間が間違いなくこの物語のピークで、スクリーンで観た瞬間に鳥肌が立った。
映像美はいいけどストーリーは…
歌舞伎は某沢歌舞伎で見た程度。
「これ、観たことあるやつ!」ってなれたのが嬉しかった。
一度あそこまで上り詰めた役者が地方であんな扱いされるか?と思ったけどたしかに歌舞伎役者の顔まで知らない人も多いもんね…。歌舞伎で挫折したなら、顔がいいんだし俳優やればいいのにと思った。
喜久雄と俊介の言語化できない絆がよかった。手が震える喜久雄に俊介が化粧をしてあげる場面は印象的で綺麗だった。喜久雄が血筋をうらやましく思う一方、その血のせいで糖尿病になり役者人生を終えてしまうのはなんともいえないな…。
春江は自分の存在が邪魔になると考え身を引いたと思われるが、あそこで結婚していたら、喜久雄は孤独な人生を送らなかったかもしれないと思うと本当に喜久雄のためになっていたのか疑問。まあ芸のためなら悪魔と取引するくらいだから、春江と結婚していても同じような人生になたのかな。
彰子はこの映画の世界観に合ってない気がする…。役者の問題なのかそういう役柄の問題なのか。アンチではないです。
吐血恐怖症の人は見ない方がいいかも。あんな感じで舞台で吐血したら清掃代(最悪修繕…?)はどれくらいかかるんだろう、と思ってしまった。
なぜこんなに
圧倒的傑作
圧巻の演舞
最後の光景
歌舞伎の悪魔と契約し歌舞伎の神が微笑む映画。簡単に言うと芸のためなら女房も泣かす🎵の歌の通りに生きたらこうなりますよって事かなぁ。最後の光景が見たくて歌舞伎の悪魔と契約したんでしょうが、一般ピープルの私がそんな事怖くてできるはずもなく、だからこそ最後の風景を見る主人公に共感するんでしょう。普通の人は見た事ないんですからね。
完全なる勝者や完遂者だけが見る世界。どうなんでしょうかねぇ。私はクーラーの効いた6畳の部屋でエヤコン温度を24度の微妙な温度に保ちながら、自分で作った麦茶をすすりながら安心安全に暮らしたいですね。
PS:少し考えを整理しているときに思った事。あの光の先、それはかつて父親の宴で演技を披露した時に戻るって事かも。最高点に達してみた風景は初心って事でしょう。
ストーリーも良かった
人間国宝
これは人生ベスト5入り!
公開前から気になっていた作品。忙しい日々が続き、なかなか観に行く暇が取れなかったけれど、世間の評価がどんどん上がっていったこともあって何とか時間作って鑑賞することに。
いや、これは…無理矢理でも時間作って観に行った甲斐がある超良作でした。
昨今、ストーリー展開勝負や豪華CG勝負、俳優の演技勝負など色々なジャンルの映画があるように感じていますが…
この作品はワンカット毎に演技、BGM、映像角度など総合的に見て、非常に美しい作品に仕上がっていたように感じます。多分、色々な映画を観ている人ほどその美しさを感じれるように思います。私が観た作品の中では「生きる Living」が最も近いでしょうか。あの作品は静かさを主体とした美しさがありましたが、こちらは生命力溢れる美しさがありました。
鑑賞中、鳥肌が立つシーンが4,5回くらいありました。特に終盤はずっとゾクゾクしていたような…
世間の高評価も納得の作品でした。
観るかどうか迷ってる人は観るべし
すごく話題になってる映画だな〜どんなもんだろと思って観に行きました。
観た後の余韻がすごいです。
いろんなシーン、いろんなセリフが頭の中で繰り返されてなかなか日常に戻れません。
メインの2人の子ども時代をしっかり描くので、吉沢亮さんと横浜流星さんはなかなか出てきませんが子役の子たちも素晴らしかったです。
2人川辺で演目の練習してるとことか「こういうシーンがもっと観たい!」と地団駄踏みたい気持ちになりました。
映画って、普通は公開された時に人がワッと入ってそこから徐々にお客さんが減っていくのですが、この作品はどんどん増えてます。人にオススメしたくなる映画です。
映像が美しいし、俳優さん達の演技は素晴らしいし、良いセリフも(ネタバレ無しなので内容は割愛)たくさんあるし、吉沢亮と横浜流星の演じるキャラの関係性などなど、面白い要素が満載です。
行くかどうか迷ってる方はぜひ観てください。
距離感が良い
美しかったとにかく美しかった。主演二人の変転がファウストものの風情をともないながらサスペンス映画のようにどんどん引っ張ってってくれた。上映時間の長さは全く感じず、観終えた後には至高のディナーを完食したような幸福感を得た。中でも、近過ぎず離れ過ぎず、歌舞伎との距離感が快かった。役者、監督、カメラマン、役者…みな梨園とは縁遠い、鴈治郎と寺島しのぶ以外は。その鴈治郎が歌舞伎を指導しつつ脇を固め、実際に梨園を裏から支える寺島しのぶの存在感が、物語を重層的に引き締める。
『曽根崎心中』『道成寺』『鷺娘』…演目自体を深追いせず、テーマに直結し、一番美しく美味しいエッセンスを見事に抽出映像にしている。歌舞伎ファンを惹きつける所以だ。そこで吉沢亮、横浜流星らが躍動している。
これが松竹が創り、勘九郎や七之助、玉三郎が演じたら…敷居が高くなってしまうだろう。
他にも高畑充希、森七菜、見上愛…女優陣の若き才能も魅力的だった。
凄みの緊張感が終始続く名作
他の映画での予告を見て、この作品を知りました。ネットとラジオで「凄い」とだけ聞いて、どう凄いかの情報を聞かずに観賞。
あっという間の3時間だった。。。。
一分の隙がなく、終始緊張感を感じるけど、嫌な緊張感ではない。でもその緊張感のことを言語化出来ない。
歌舞伎は一度だけ観劇したけど、歌舞伎を知らなくも楽しめる。でも、知っているとより一層楽しめるだろうと思う反面、歌舞伎関係者やコアなファンがどこまで納得出来るか。。。。
一番印象的なのは「小野川万菊」役の田中泯さん、化け物ですね。演技・・・なのに演技ではない・・・化け物。全てを見透かしたような表情、手招き本当に恐ろしいです。
でも、一点だけ疑問なのが、万菊は人間国宝なのに何故最期がひなびた旅館なのか???
「Perfect Days」でも存在感有りすぎるくらいの出演をされていたのが印象に残っているので、凄い方です。
次に印象的なのは「花井半二郎」約渡辺健さんとその妻寺島しのぶさん。もう、文句無し貫禄十分な重厚な演技です。
そして、その次に吉沢亮と横浜流星が自分的には凄いと思ったのですが、彼らのキャリアから、ここまで素晴しい演技と存在感を示すということは、相当な努力と思考と葛藤の積み重ねがあったのだろうと想像できます。役柄と全く同様に、もの凄い重責ですよね。引き受けきったと思います。
そして・・・ビックリしたのが永瀬正敏さん、エンドロールで「え???いたの???何役??」と調べたらヤクザの親分さんでしたか・・・・いやぁ~~それほど判らないほど役になりきっていたと思いました。
この作品で「歌舞伎を見に行こう」と思う方が沢山増えるような気がします。でも「芸事に全てを捧げる」役者さんが存在しても、物語のような波瀾万丈なシチュエーションはまぁないでしょうから、理想と現実のギャップに戸惑う弊害も出てきそうな気がします。(実際の観劇ではカメラークもBGMもないので)
「原作を読んでみたい」人も増えるでしょうね。私も原作小説買いました。
この作品を見ていて、モーツァルトとサリエリの「アマデウス」とJAZZを極めるため狂気のステージに没入していく「セッション」が思い浮かびました。あとは「JOKER」かな・・・犯罪は犯さないけれど、どん底を味わった感情が弾けて、覚醒する様がオーバラップしました。
李監督の手腕でしょうね。彼の描くイメージを周りのスタッフとキャストがちゃんと受け取り形にしていくチームワークの勝利ですね。
最後に、3時間の大作ですが全くダレないどころか、もう一度スクリーンで見てみたい(派手なアクションなど無いけれど、スクリーンで見た方が世界観にグっと引き込まれます)し、この先何年経っても色褪せることのない、名作であり大作だと思います。
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