国宝のレビュー・感想・評価
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前評判で期待し過ぎたかな
邦画における空前のヒット作と言われ、メディアでも大きく取り上げられて、監督や主演俳優たちのインタビューなども多く流れていたので、初期の混雑がおさまったタイミングで観に行ってきました。
前評判で期待し過ぎたせいか、期待ほどではなかったなというのが正直な感想。主演2人の歌舞伎シーンなどは確かに素晴らしいと感じました。ただ、歌舞伎にそれ程、関心も造詣もない人間からすると、歌舞伎シーンが多すぎて、最後の方は少し飽きてきてしまいました。
そして最も残念だったのは、ストーリー展開。閉鎖的な伝統芸能の世界に生きる人たちの心模様を描いた人間ドラマなのだから、もう少し深い人物描写があると良かったです。ストーリー展開が少し雑に感じる場面も何箇所かありました。(主人公の恋人の唐突な翻意、師匠が舞台上で倒れた際に口にする言葉…など)
海外の人や歌舞伎に全くアクセスする機会のなかった人が、日本の伝統芸能の世界を垣間見るには良いのかも知れません。しかし3時間がとても長く感じられました。
正直なところ、最近観た3時間もの(「宝島」や「韓国ミュージカル ON SCREEN」)ではそんなことはなくて、アッという間の3時間でしたが…
国宝
『鷺娘』の演目は確かに心震える演目です。
李相日監督の作品は
心震える作品が多いのではないかと
個人的には感じ
大変体力を要しおじけることもありますが
やっぱり観てしまいます。
この映画のコアのひとつとなる!?
『鷺娘』という演目は
もうひとつ違う軸を提供してくれているのではないかと
個人的に感じます。
それは
20年以上前に京都の南座で
坂東玉三郎さんの『鷺娘』をみたからかもしれません。
正直、人間業ではない
芸!?に我が目を疑いました。
そうしますと
この映画の重要な役どころのひとつは
あらためて
田中泯さんとなるのかもしれません。
あれ以来
川辺に白鷺を見ると気になってしまいますが
宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』をみて
その後は青鷺も気になってしまいます。
川辺で佇む青鷺はもはや
初老の老人です。
白鷺は娘で
青鷺は老人。
もはや完全に
映画『国宝』の感想を離れていますが
田中泯さんの映画の内外の在り方をみて
また、ひとつこの映画の別の出入口があるのかしら!?と
脱線しました。
よい映画を
ありがとうございます。
生き様を醜く美しく描き切った
1人の男の人生を描き切るタイプの映画
時系列はそれゆえに長めで、1つ1つのイベントは意外に淡白に、何年後、何年後、と進んでいく
思いつくあたりでは、
市民ケーン、スカーフェイス、アイリッシュマン、ラストエンペラー、ウルフオブウォールストリート、ソーシャルネットワーク
などと同じ構造
好きな構造
(ただどうしても長く・暗くなってしまうものだから、映画好きは好きでも今の日本でこんなにヒットするとは正直びっくり)
ただ今回は芸術的な美しさや迫力が、映像や音楽からひしひしと伝わってくるところがある
その分かりやすさと凄みがヒットした理由なのかも
大抵こういう構造の話は、男が何らかの高みを目指して(大抵は地位や名誉、富など目指して)、あらゆるものを犠牲にしながら人生を過ごし、最終的に孤独や虚無感で終わるパターンが多い
それゆえにその当初の目的よりも、何らかの別の大切さ(rosebudのような、愛のような)があったのではと示唆する
ただ今回は目指しているものが、芸術の美しさ。
歌舞伎という芸能の素晴らしさ、高揚、その先の景色。
それを決して映画内で否定しない。
あらゆる犠牲のもとでもその価値を疑わせない。
視聴者をもその虜にさせる。
主人公の感じる執着に、視聴者も願ってしまう。
ブラックスワンをはじめとするダーレンアロノフスキー作品を一生という時系列で描き切ったとも取れるし
芸術への価値観としてはセッションをはじめとするデイミアンチャゼル作品にも似ている。
一つ一つのシーンとして印象的なのは、登場人物たちの死に様
ヤクザの父も壮絶に、しかしその肉体の迫力のもとに死んでいく
渡辺謙も生への執着を見せながら、強烈なインパクトを残して死んでいく
横浜流星も人生のピークで華々しく散るように死ぬ
万菊も静かに、みすぼらしく、しかしそれ故に印象的に死んでいく
吉沢亮だって、万菊とリンクさせるように描かれているのだから、きっとこのまま孤独に死ぬことになるのだろうと示唆される
良い作品
これが日本でヒットしたというのも何だか嬉しい
凄まじい演技と演出。
周りの強い推しの声におされ、映画館に足を運ぶ。
確かに、これは、映画館で見るべき作品。
そして、人間の生き様を描いたもの。
役者の演技、表情も凄まじいものがあるが、
息遣い、足音、緊張感の演出にも、強いこだわりを感じる。
伝統芸能を背負う者達の、重圧をも感じることができる。
観ているものの感情に強烈な印象を植え付ける。
個人的に、
「血がほしい」といった彼の表情と心境、
化粧が崩れた状態で舞う屋上のシーン、
様々な経験を得た二人が揃う花道のシーン、
が、印象に残っている。
主人公2人の演技に賞賛の拍手を送りつつ、
伴侶の支え、周りの助けの有難さにも、
改めて、感謝したいと思える作品。
日本人が今見るべき映画
「内容に引き込まれる」
役者は舞台の上が全て
私的、弱点と凄みを感じさせる、今年の代表的な作品の1つだと
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作の映画『国宝』を面白く観ました。
ところで個人的には、李相日 監督の作品は、多くの作品で弱点と凄みがあると感じて来ました。
おそらく、今作を絶賛する人がほとんどでしょうから、まず私的感じた弱点から‥
今作の映画『国宝』に私的感じた弱点は、1つ目は、主人公・立花喜久雄(吉沢亮さん)が、花井半二郎(渡辺謙さん)のトラック事故により花井半二郎の代役で「曽根崎心中」を演じるのですが、その時に観客にいた大垣俊介(横浜流星さん)と福田春江(高畑充希さん)の関係性に疑問を感じた所です。
大垣俊介は、父・花井半二郎の代役を演じられなかったいたたまれなさで、主人公・立花喜久雄の「曽根崎心中」の観劇から中座します。
そして、福田春江も、観客席から中座した大垣俊介を心配して追って観客席を後にし、その後、大垣俊介と福田春江は駆け落ちし、歌舞伎の世界から(一旦)いなくなります。
ところが、1観客の私は、主人公・立花喜久雄と幼馴染だった福田春江が、彼にとって重要な花井半二郎の代役の「曽根崎心中」の舞台に集中せず、大垣俊介の方に気を取られ大垣俊介の後を追った、彼女の心の動きに違和感を持ったのです。
その理由は、主人公・立花喜久雄と福田春江の関係性はそれまで描かれて来た代わりに、大垣俊介と福田春江の関係性(モンタージュの積み重ね)がほぼ描かれてないのが理由だと思われました。
これは、李相日 監督が、女性との関係性の積み重ね描写にそこまで関心が薄いのが理由だと、僭越思われました。
例えば、映画の終盤で、三代目・花井東一郎となった主人公・立花喜久雄は、カメラマンとなった娘・綾乃(瀧内公美さん)と再会します。
そして、娘・綾乃の父への語りは感動的な場面だったと思われます。
しかしながら、娘・綾乃が、自分と母・藤駒(見上愛さん)を捨てた父・三代目・花井東一郎を非難する時に、観客は、母・藤駒の、捨てられて苦労した沈痛な表情のモンタージュを思い起こすことは出来なかったと思われます。
なぜなら、母・藤駒から向けられた、主人公・立花喜久雄への関係性と表情を、それまでしっかりと描いてなかったのが理由だと思われました。
観客はその代わりに、娘・綾乃が父・三代目・花井東一郎(立花喜久雄)を非難している時に、三代目・花井東一郎が同様に苦労をさせた、彰子(森七菜さん)の表情をそこに重ねたと思われるのです。
李相日 監督は、様々な登場人物のそれぞれの立場から作品を描くというより、(もちろん全てではないですが)主要な登場人物からの一方的な描写で描き通すスタイルがあるように感じて来ました。
なのでその弱点として、福田春江と大垣俊介との関係性や、娘・綾乃の母・藤駒からの立花喜久雄への関係性の、描写の欠落が起こってしまっていると思われたのです。
あとの細かい今作の弱点としては、広いロケシーンで、ピンボケとはいえ、遠景に現代的な建物や構造物や車などが映っているのは気になりました。
李相日 監督は、”全てやり直せ!”と暴君的に振舞っても許される立ち位置に既にいる監督だとは思われます。
出来れば、このレベルの作品であれば、遠景の背景は全てCGで描き直す要求をして欲しかったとは思われました。
そして例えば、花井半弥(大垣俊介)の義足の足先が動いてしまっている場面もあったと思われたりもしましたが、李相日 監督ならその点で周りに完璧さを求めることも可能だったと思われます。
また、歌舞伎のシーンでは、扇子の位置や手や首の角度に至るまで、互いにシンクロするレベルでの要求が可能だったのではとも思われました。
それほど、李相日 監督への期待値の高さがあり、国宝の歌舞伎という題材ではなおさらあったように思われました。
しかしながら今作に私的感じた弱点はそれぐらいで、あとは圧倒される場面と映像とそれぞれの俳優陣の圧巻の演技の数々の積み重ねの凝縮があったと思われます。
上で、様々な登場人物のそれぞれの立場から作品を描くという意味では、李相日 監督には弱点があると書きましたが、逆を言えば一方で、主要な登場人物の描き方の強度と凝縮さは、圧倒的な今回も凄みがあったと思われます。
その迫力は、特にそれぞれの役者陣の演技に関しては、特に主演と助演の男優賞は、今年、今作が総なめにするのではないかぐらいの驚愕さがあったと思われます。
圧巻の演技と迫力の場面の積み重なりにより、結果的には今作は(私的感じた弱点など遥かに超えて)傑作だ、との評価をせざるを得ない、重さある優れた作品になっていたと、僭越思われました。
役者の演技に加えて映像と音楽もとてもすばらしかった。泣けた。しかし...
役者の演技に加えて映像と音楽もとてもすばらしかった。泣けた。しかし刺さったがハマらないというか、決して楽しい作品ではないのでこれがハマる層はごくピンポイントの層だけではと感じた。少なくとも家族には面白かったとは伝えられなかったしお薦めもしなかった。
というのも観賞後にスッキリしなかった。
ストーリー展開の不自然さや心情表現に物足りなさを感じた。(小説は未読)
行動描写や情景描写は多いが、特に脇役の心情はそこまで描写していなかった。監督が「見て感じる作品」と言っていたので敢えてなのかもしれないが、少なくとも私は登場人物の気持ちがどっちつかずに感じる箇所がいくつかあった。「見て考える作品」なのか、、、?
いやいや、明確にしてほしい。伝える工夫はしてほしいと感じた。
スライドショーのように場面を次々と見せられた感覚で、人の心の動きを感じたい私には向いてなかったのかも。昔の映画のような作りだが、昔のはもっとちゃんと心情が伝わっていたと思う。
白塗りをしていると横浜流星と吉沢亮がどっちかわからなくなる場面もあり、そういう部分でも満足できなかった。
ここまで奥が深いとは
騙されたと思った(F1からの国宝は失敗した、という話)
あの日、友達とF1を観たあと爽快感でいっぱいだった。
「(F1)面白かったね〜」と、二人とも観る前より遥かにテンションが上がっていた。大満足なのは、多くを語らなくてもわかった。そして友達は「国宝はとにかく、踊りがとっても綺麗だった〜国宝も絶対観た方がいいよぉ」と国宝を勧めた。それで調子に乗って、翌日に朝イチで国宝を観に行った。ほぼ満席で最前列まで埋め尽くされていったので、「木の上の軍隊」みたいに、凄いことになってる感があった。
しかし、F1でドーパミンが出てフワフワした感じだったのに、国宝の湿っぽさというかドロドロ感、救いのない話もあって、一気に真逆のダークサイドに引き摺りこまれたのだった。一週間くらいはF1の高揚感にひたっておくべきだった。それが今年の夏の過ちで、10月なのにまだ引きずっています。
「踊りが綺麗だったぁ」と目を輝かせていた友達に悪気は無いんだよね…。確かに踊りは綺麗だったよ、でも、踊りだけじゃないよね。監督が描きたかったものは。もっと解釈が欲しかった。友達に騙された…でも国宝に関しては調べなかった私が悪い、それに尽きる。
才能のある主人公(吉沢亮)が努力も惜しまず真面目に稽古に励んで、血筋を蹴散らし、死にそうなプレッシャーも乗り越え、大好きな芸の華を咲かせる。と、ここまではいい話しなのに、悪魔と契約し友達(横浜流星)の大切なものを奪って、そして愛してくれた女達が不幸になるなんて。で、やっぱり悪魔に蝕まれて落ちていくんだよね〜、自業自得。でも落ちるとこまで落ちて行ったら可哀想って思えてくる。そしたら人間国宝(田中泯)に救いあげられて、改心して真の人間関係(友情)を築いて成功する。っていう王道のストーリーで感動させられるという。
田中泯さんの最後、控え室みたいな簡素な部屋に煎餅布団みたいな…。悟りを開いてたけど、それがいちばんぐっときたかな。
瀧内公美さんは重要な役割を任されてましたね。ぽつぽつと話す記者で、もしや捨てられた娘やあらにと思っていたら、横顔で瀧内さんだとわかった時は「うわぁ」と思って、娘の感情が入って来て泣けました。
騙されたのは、ただ単に綺麗なだけではない。人間の醜い部分と美しさは紙一重ってことか…うかつだった。踊りが綺麗なだけではここまでの現象は起きないよね。
「踊る大捜査線」も超えるんだろうなーーー。
俳優陣の演技も圧巻で、総合的に素晴らしい映画であることは言わずもがなです。
20年変わらなかった、私のベスト3が入れ替わった。
なんとなんとなんと、これは邦画の金字塔とも言える作品になるでしょう。 観終わって、身体じゅうをうねりのように駆け巡る渦のようなものに圧倒されて、しばらく席を立てませんでした。
私ごとですが、交通事故で1ヶ月歩けなかったため、公開から1ヶ月経って、ようやく観に行けました。なので、映画.comへのレビューも、じっくりと自分の中で反芻した上で投稿しようと思い、二度目の劇場での観賞後、投稿しております。
いや~、しばらくこれを超えてくる映画は、おそらく登場しないだろう。 あらゆる要素がいずれも素晴らしい。脚本も演出もすばらしい。芸術性が素晴らしい。主演・助演は言うに及ばず、いずれの役者も素晴らしい。使われる音楽も効果音も素晴らしい。そして何よりカメラがとにかく素晴らしく、一瞬のスキもなく濃密な空間と張り詰めた緊張感を映し出している。
年100本ていど(しか)映画を見ている(見れていない)中で、心に訴える映画はどれも必ず「画の中に怨念にも似た感情の発露」が映り込んでいると思わせる。この映画もその部分が素晴らしい。しかし、それだけではない。 あらゆる要素が、高い完成度で融合し、長編3時間をまったく感じさせないほど、テンポよくこれに関わるあらゆる人々の怨念と心情を高いレベルで融合させた、完成度の高い映像として描き切れている事に驚愕しかありません。
もう20年以上、私の邦画・洋画ベスト3は固定されてきましたが、いよいよその順位が入れ替わりました。
日本アカデミー賞の予想をすれば、作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、助演男優賞は、間違いない。カメラ、美術、録音、いずれも入るでしょう。女優陣はあまり重要な役回りではなかったので、入らないでしょうが。
凄い映画を観たなと感じる作品
圧巻の一言
まさに圧巻の一言です。日本映画の本気と覚悟を観たと感じました。トイレもあって上映時間の長さがかなり気になりましたが、結果作品に没頭しててあっという間に終わった感じでした。特に舞台から客席へのカメラアングルは鳥肌ものでした。一瞬ドキュメンタリーかなと思わせるくらいのストーリーです。少しだけ、ん?って思わされた部分は、襲名披露の時の吐血のタイミングと、最後の娘だったあのくだりはかなり無理があったのと、それと全体的に主役の二人の関西弁が少し違和感はありましたが、作品としてはレビューを書く10月の地点で今年観た映画の満足度や面白さはダントツです!主役の二人は今後他の作品に力を出せるのかなと心配になるくらいの演技でした。まだ上映しているので観ていない方は是非一度!
全2342件中、161~180件目を表示
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