国宝のレビュー・感想・評価
全2152件中、1741~1760件目を表示
すごい映画を魅させてもらいました。
なんかすごい映画を魅させてもらいました。
仕掛けの多い脚本の面白さもさることながら、吉沢亮さんと横浜流星さんの演技には凄みさえ感じました。少年時代役も含め他の演者も全員良かった。
実際の歌舞伎は数回観ただけで詳しくはなかったのですが、この映画を観てその芸術性にとても興味が湧きました。
吉沢亮は日本の宝かもしれない
今期いちばんの注目作。ひと昔前には各映画会社これくらいの気合いの入った大作をぶち上げていたものだ。そんな公開前から日本アカデミー賞はもらった、というような3時間作品にカンヌ選出までついた盤石な触れ込みでの公開。
歌舞伎で人間国宝になる男のそこに至るまでの人生。『アマデウス』が160分で『さらば、わが愛 覇王別姫』が172分、『グッドフェローズ』が142分。『SAYURI』が146分、で、こちらが172分。アート作品が描かれなくてはいけなくなるとやはり時間を取られる。観た感じでは上映時間ほどの多くのものが描かれている訳ではなく、ある意味大仕掛けというかダイジェスト的という感じがした。とはいえ、吉沢亮と横浜流星のまさに「熱演」(通常好きではないけど)は歌舞伎という題材の中ではスポ根のように溶け込んでいて、特にいつもは熱過ぎてなんとかならないかと思う横浜流星の演技も、題材と李監督の、言葉悪く言うと「大袈裟」な世界観の中ではピタリと収まってるのがいい。そんな中でも吉沢亮は他者にのまれない芝居(『ぼくが生きてるふたつの世界』に続いての世代を飛び越える主演を演じた)を展開していてさすが。
ぶっちゃけ歌舞伎はそれほど観たことないのでそれに関してあーだこーださないのだけど、特に違和感なく観れてるので凄いのだと思う。とは言え、ある意味魂こもってる分、海外のこういった一代記としての細部がかなりもっさりしていてもったいない。時間の余裕があればもう少し各登場人分の人間としての幅が描けたろうに、と思う。栄光と転落を交互に繰り返し、すべてを背負って舞台に立つと言うコンセプトですべてが詰まったクライマックスの芝居、となる前のエピソードの描き方が硬い、重い、しつこい、というのはいつもの李監督作品に関して思うことなのでまあ個人的な趣味だろう。これは素直に吉沢亮を堪能できればいいか。
天晴れ!
映像で魅せる映画
恐ろしい映画だった…。
執念、執着、全てを捨てて芸に挑む姿。
3時間、ずっと魅せられっぱなしだった。映画とは映像で語る芸術だと思い知らされた。
そして観終わった後、「ブラック・スワン」を観た後に近い感触を得ていた。
大作であり、傑作だ。
#国宝
女形の美
私は映画を観る前に、原作を読みたくないタイプなのですが、この映画に関しては、楽しみ過ぎて我慢できず読んでしまいました。やっぱり、映画は尺の問題で、どうしても端折ったり変えないといけなくなるので、原作を先に読んでしまうと物足りなくなるからです。
確かに、映画『国宝』も、かなり大胆に登場人物やエピソードを削ったり変更していて、先に原作小説を読んでしまった身としては、物足りない部分が結構ありました。(小説でお気に入りやった徳ちゃんの出番が無いのが、悲しかった…)
凄く嫌がられるでしょうけど、この映画、前編後編ならもっと良かったのに…と思います。
この原作の小説、かなり面白かったのですが、出てくる歌舞伎の場面は、小説だけだと、歌舞伎を観たことがない人はイメージし辛いところがあるだろうなと感じていました。
映画では、もうちょっと登場人物のエピソードとかあればなと思いましたが、歌舞伎の「女形の美」に説得力を持たせるには、小説のエピソードを削ってでも歌舞伎の場面をしっかり見せることが必要だったのだと思います。
この作品のテーマのひとつである「女形の美」の表現としては、歌舞伎の場面がしっかりあったところと、もうひとつ、歌舞伎役者を使わなかったというところが、良かったのではないかなと思います。
みんなが知ってる俳優の吉沢亮と横浜流星が、この映画のために訓練を積んで絶世の女形になっているということを観る側は分かっているので、過酷な修行に裏打ちされた女形の美を感じることが出来るんだと思います。もし、本物の歌舞伎役者がやってたら、どれだけ綺麗でも、観る側がもともと知ってしまっているので、映像でしかも短い時間の歌舞伎の場面で、身震いするほどの美しさを体現することは出来なかったんじゃないかなと思います。
歌舞伎役者じゃない2人だから、いくらもともと綺麗な顔してるとは言え、こんな美しい女形になるなんて!って圧倒されるし、ここまで綺麗に魅せれるようになるという女形の「芸」の凄さの一端を感じることが出来たのではないでしょうか。
この映画のおそらく難しかったであろう取捨選択の中、映画で小説から変更していて、これは良かった!と思った場面は、俊介が足を失った後に『曾根崎心中』をやるところでした。その前に、喜久雄もお初をやりますが、喜久雄のお初は可憐で切なくて本当に美しいお初。一方、俊介のお初は、喜久雄よりももっと生々しくて狂気すら感じるお初。
まぁ、俊介がお初をやった時は足を切った後で、片方の足も壊死してる時だったので、違って当たり前と言えば当たり前なのですが。
ただ、歌舞伎ファンとして、歌舞伎の面白いところのひとつに、同じ役を違う人がやると、まったく違ったものにもなることがあるというのがあって、これはライバル関係でもある喜久雄と俊介の芸を、一瞬で分からせるいい場面だったなと思いました。
普通役者は「違う人になる」ことが仕事ですが、吉沢亮さんも横浜流星さんも、喜久雄と俊介になった上に、女になって、最終的にはちゃんと喜久雄と俊介のお初になってたのは凄いですね。
本当に凄い演技だなと思いました。
そういえば、これも歌舞伎役者を使わなかった理由かもしれません。例えば、中村壱太郎さんは綺麗だけど、歌舞伎をやったらきっと半二郎じゃなくて壱太郎になってしまうでしょう。
「血」なのか「芸」なのか?
これは、この映画のもうひとつのテーマだと思います。
個人的には『「血」の方だと下手な間違いは無い』というのが答えだと思っています。
舞台上でたった一人で踊ったり芝居をしている役者を観た時に、舞台の広い空間を圧倒的なオーラと芸で、無駄にだだっ広い空間だと思わせない存在感は、やはり御曹司として小さい頃から真ん中に立つべくして育てられた賜物なのかなと思います。
ですが、とてつもなく凄い「芸」があれば、それを凌駕することも知っています。
もし「血」ばかりでは、歌舞伎はもう無くなっていたか、細々とやってる伝統芸能になっていたかもしれません。坂東玉三郎さんなど圧倒的な「芸」と美しさで真ん中に立つ人が出てきて新たな「血」が生まれるからこそ(玉三郎さんにお子さんはいませんが、例えば今の團十郎の曾祖父さんはもともと歌舞伎の家の人ではないみたいな)、歌舞伎が続いているのだと、この映画を観て思いました。
最後の場面。
『鷺娘』を踊る喜久雄。「歌舞伎」に恋をした門閥外の喜久雄が最高の女形となり、「きれいやなぁ」と言ったのは、その愛する歌舞伎の全てに向けて言ったものかもしれません。
あと、やっぱり歌舞伎ファン的には、この人とこの人がこの登場人物のモデルやろな〜とか、思いながら観るのも楽しかったです。
万菊さんがシュークリームくれたり人形飾ってるのとか、歌右衛門さんへのオマージュやろし、『曾根崎心中』で徳兵衛やってた生田庄左衛門役の人は、なんとなく仁左衛門さんに似てたし。
まぁ、一番気になってたのは、どう見ても荒事しか似合わなさそうな渡辺謙さんが、女形をやるのか?!というところでしたか、連獅子しかやらなかったですね。渡辺謙の女形は…うーん…だいぶデカいなぁ…笑
という感じで、お初と徳兵衛が心中した曽根崎村の隣の映画館で、よい映画を観ることができました。
大河ドラマか!!
歌舞伎役者がスキャンダル起こしても、何度となく復活してくるのを不思議な思いでみてたのですが、なんとなく納得させてくれる今作。主人公級が皆、大河ドラマ常連だからか、思わず蔦重!!…てなっちまうのはありがた山の寒烏…ですが、山場と思われる代役選びはサラッと描かれます。そのかわり、オンナ関係はなかなか生々しい。コレは結構リアルなのではないでしょうか?オンナは強し。
とはいえ…歌舞伎、恥ずかしながら、今年初めて鑑賞させて頂いたら…なんとまぁ非日常のキラキラした世界の面白さよ✨幕あいに食べるお料理屋さんのお弁当といい日頃の憂さを忘れさせてくれます。この映画でも舞台のシーンでは素晴らしい美しい映像を見せてくれてます。
それほど心を動かされるストーリーではなかったですが、歌舞伎を1本見に行ったと考えると充分いい映画だなぁ〜と思いました。
75点
映画評価:75点
【才能と血筋】
古ければ、古いほど血筋が優遇され、
令和の時代とは相反している。
勿論、才能なんかがなくても
努力すれば、それなりのものは完成する。
だけど、成り上がってくるやつらは
才能と努力と運を持っている。
じゃあ、それに対抗するには
血筋やら、家柄やら、環境や権力を使って圧力をかけるしか勝ち目なんかない。
今回のストーリーは、
歌舞伎を舞台にした
純粋な若者二人によるものでしたが。
それでも、
才能に嫉妬したり、
血筋に嫉妬したりしている。
文化やら、伝統を重んじる世界だからこその
ジレンマなのかもしれないですね。
でも、それは今回どうでもいい!
そんな事よりも大切な事は主役の二人が一生懸命、そして真摯に練習したんだと感じられた事。
そこに心震わせたし、感動した。
ストーリーも渋くて良かったけど、
主役二人の真剣さに勝るもの無し!
興味なかったですが、
歌舞伎を見に行きたくなりました。
そう思わせた時点で、
この作品は素晴らしかったということです。
人間国宝とは、
その努力と才能を人生かけてきた
運が味方した人なんですね。
本当に凄いです。
尊敬しました。
主役の二人を尊敬しました。
ただ、ストーリーとしては、
3時間あっても足りてないと感じるくらい
どこかにありそうな設定で、そこまで凄くはなかったです。ですのでストーリーへの過度な期待はやめましょう。
両雄の勇姿を見る作品だと思って頂ければ、
ガッカリしないと思います!
ps.前情報を見ずに映画館に行ったものですから、
これは……ノンフィクション?と錯覚しかけました。
【2025.6.11観賞】
PG12(閲覧注意)映画です
高評価レビューが多く、注意喚起も見当たらなかったので、観に行ってきました。
歌舞伎の映画ということで油断していたのもあります。
でも、
PG12は、暴力的な表現や性的な内容が含まれている場合があり、小学生には不適切とされるものに付けられます。
実際、冒頭から父親が銃殺される場面あり、その後も、殴る蹴るや厳しい指導、中盤以降は病気による吐血、足の切断等、凄惨な場面が散りばめられています。
私は、血を見るだけで気分が悪くなる体質のため、途中から気分が悪くなってしまいました。
美しい歌舞伎の舞台と、凄惨な場面とのミルフィーユを3時間、何とか耐えましたが、行くかどうか迷っている方で、血や暴力に弱い人はやめておいた方がよいです。
以上、注意喚起でした。
あっと言う間の約3時間
人の執念を描いた映画だと思う。
それでもいいの それでもやるの
(人間)国宝
文化財保護法第71条第2項に基づき
文部科学大臣が指定した
宝物や建築物などでない技能などの
「重要無形文化財」の保持者として
認定された人物を指す
人間国宝という言葉は俗称で
法定上は単に「国宝」である
国宝に認定されると助成金が
年額200万円ほど支給される
吉田修一原作李相日監督コンビは
ヒット作「悪人」「怒り」に続き3作目
人知れぬ歌舞伎の世界を
舞台にした人間模様を描いた今作
いんや凄かった
なにせ歌舞伎役者を演じるのは
吉沢亮 横浜流星ら
いつもの俳優というところである
当然梨園の方の指導によって
作られていくのだろうが
実際に檜舞台での演目シーンの
緊張感が半端ないのである
そして撮影
ソフィアン・エル・ファニの
外国人特有のアングル
一体これは何を観ているんだ
という感覚にさせられるのである
歌舞伎が題材なのだから
梨園の歌舞伎役者がやってしまえば
きっとこんな感覚にはならない
それでいて訴えるものが
すさまじい
「鷺娘」「二人道成寺」「曽根崎心中」
有名な演目を「てんどん」する
ことにより得られるそれぞれの思い
の演出など歌舞伎のしている
本質を追求しようとする
素晴らしい完成度でした
親を殺された任侠の息子喜久雄の
女形の才能を見抜き引き取った
花井半二郎が息子俊介と芸を磨かせる
うちにたった7年で生まれた時から
しごいてきた俊介を
半二郎の芸の観点で抜いてしまう
そして突然訪れた半二郎の
曽根崎心中の代役に選ばれたのは
「磨き上げた"芸"で身体が勝手に動く」
喜久雄
「花井の役者の"血"が守ってくれる」
はずの俊介も心のどこかで喜久雄を
認めていたが
演じ切った喜久雄に衝撃と絶望
喜久雄の邪魔にならぬよう
身を引いた幼馴染春江と
失踪してしまう
こうしてこの映画は常に
舞台の上で与えられた
役者の演技の衝撃によってのみ
話が進んでいく演出が効く
やがて半二郎は糖尿病を患い
その名を喜久雄に譲ろうとする
周囲は当然異論を唱えるが
これは俊介の失踪もあるし
芸の側からの英断であった
そして白虎を襲名するが
襲名挨拶の場で壮絶に果てる
週刊誌はスキャンダルに走り
やはり暴かれる自身の任侠の過去
隠し子などで転落していく
そこへドサ周りをしながら
俊介が戻ってきて
若いころの喜久雄に
「その美しい顔に負けない役者に」
と告げていた国宝・小野川万菊の元で
歌舞伎をやり直すことに
立場は逆転してしまう
やはり最後は「血」か?
というと俊介は遺伝か父と同じ
糖尿病に侵され足を切断せざるを
得ない事態に陥ってしまう
ではやはり「芸」か?
というと才のある芸で人は魅せられ
花井家の父から子供に継がれる
道を壊してしまった悪魔の力である
喜久雄も俊介もその苦しみを味わい
迷うところで万菊は
「あなた 歌舞伎が嫌いでしょう」
「それでもいいの それでもやるの」
「それが役者なの」
という言葉は響く
役者の演じにはその役者の
人生や過去が乗り移るらないと
出てこないという事か
芸か血か
どれかだけじゃなく
どれも染みるほど苦しみを
味わってきた者こそ
日本一の最高の役者になっていき
国宝級になっているもの
なのかもしれない
不倫や不祥事などのイメージ失墜
だけでバタバタ消えていく
昨今の芸能人
果たして人前に現れていいのは
潔白な聖人だけなのでしょうか
そりゃ限度もあるが
禊はあってもいいと思う
それは芸の肥やしだから
でなければ誰も出なくなる
30年前上岡龍太郎は
芸人なんてものは
売れれば万歳
売れなければあとは哀れ
野となれ山となれ
そもそもまともな商売や
ないんです
最近のテレビ
女性も子供も安心て観られる
テレビなんて目指したら
芸人の居場所はありまへん
と言ってましたが
本当に今そうなってませんかね
もっと「棚」のある世の中で
いいんじゃないかと思う作品でした
見事に演じきり
この作品の真髄に本当に迫った
役者・吉沢亮や横浜流星らの
今後も期待ですな
才能の見返りは……
衝撃的な入り口から始まってちょっと面食らいました。
ヤクザや入れ墨やらがでてくるのが苦手なので、ちょっと個人的には苦しかったです。
…しかし周りの人たち、自分が窮地に陥ったら(嫌なことがあったら)すべて喜久雄のせいなんかい!
喜久雄は周りに流されてただけなんじゃないのかい!才能があっただけなのに!
理不尽だわ。
才能があったらそれ以外は手にしちゃいけない法則でもあるんかい。
俊ちゃんだけ得してずるい!って思いました。
印象に残ったのは、曽根崎心中を喜久雄がやる場面。
「俊ちゃんの血が欲しい」と緊張で震えながら気持ちを吐露するところ、すごかった。
その後、曽根崎心中の演目中に、俊介が劇場をあとにする所。
一緒に苦しくなってしまいました。
迫真の演技ってこういうことなんだなと納得。
ストーリーのメインである歌舞伎の演目については、とっても有名どころで素人の私でも知ってるものでした。
知らなくてもなんとなくわかる感じで、これを機に歌舞伎を見たいと思う初心者もでてくるかもしれないですね。
あとは…やっぱり原作読んでいくんだったなと反省しました。
内容知ってたらもっとストーリーにぐっと感情移入できたかも。
お隣の席の方泣いてましたけど、私はそこまででもなかったです。
3時間があっという間
とんでもない名作でした
恥ずかしながら歌舞伎を見たことはありません。
そういう意味では、ヤクザの息子であったキクオと同じ立場での鑑賞でした。
カチコミによって親を失い、細い縁を頼って辿り着いた歌舞伎の家。
そこには同い年の御曹司シュウくんがおりました。
2人は切磋琢磨して女形の技術を磨いていきますが、渡辺謙演じる父親は、大勢の予想を裏切って、実の息子ではなくヤクザの息子に襲名させます。
そこから起きる波乱万丈。
要所要所で挟まれる歌舞伎の演目はどれも息を飲む美しさ。
特に目を惹かれたのは鷺娘です。
純白の衣装を翻しながら舞う様は正に鷺そのもの。
しかし国宝の眼力たるや凄まじく、けして美しいだけではない、恐ろしい迫力をも持ち合わせています。
キクオはその迫力に魂を奪われ、「何を失ってもいいから歌舞伎が上手くなりたい」と悪魔に願います。
そして願いは叶う。
お望み通り、すべてを失いながら。
糖尿病で瀕死の体を引きずりながら曽根崎心中を演じきったシュウちゃんと、その脚に縋りつくキクオの対比は涙無しでは見られませんでした。
凄まじく、素晴らしい映画でした。
これを映画館で見れたことに心から喜びを覚えます。
映画予告で、よくある音楽コンサートやバレエなどのリアルパフォーマン...
映画予告で、よくある音楽コンサートやバレエなどのリアルパフォーマンスを収録して映画にする、その歌舞伎版だと勘違いし、観に行くつもりはなかったのですが、そうではなかったようで観に行きました。(横浜 流星氏推しもあり)
歌舞伎世襲社会に対するアンチテーゼなのか、いやいや私のような歌舞伎を知らない人間に向けた異世界への誘いなのか、はたして・・・・。
前半は抗争で死亡した任侠組長の息子・立花喜久雄(吉沢 亮)と、歌舞伎名門の子・大垣俊介(横浜 流星)の二人の青春成長物語。互いに励ましあい、競いながら、やがて二人で晴れの舞台にて舞う姿にすがすがしさを感じます。また、演出も演題名が表示されて素人には親切ですし、スペクタクル系洋画のような壮大な音楽と歌舞伎のお囃子音が互いに邪魔をせず、引くところは引き、出るとこは出てと、全体を通じて大変良い音楽構成でした。(エンドロール時の音楽も良し)
中盤からは「世襲」を軸に物語は転じていきます。実子・俊介を推す母・幸子(寺島 しのぶ)と、芸で喜久雄を推す父・半二郎(渡辺 謙)との確執・葛藤は周りを巻き込みつつ、仲良くやってきた二人の関係を微妙にしていきます。芸能で歌舞伎だけでしょうか、こういった世界。他所を遮断し、実子を小さい頃から稽古積ませば、そりゃあ二番のいない「一番の芸人」になります。でもこの話で喜久雄は、任侠社会とはいえ組織の頭に成り上がれる才覚を持つ人間の「非凡な血」を持っているわけで、その非凡な血が歌舞伎世界に入り込み、その才を開花させれば、簡単に世襲社会は混乱します。(ですからこのように一本の小説が書けてしまうわけですが。。。)
そして終盤、小野川万菊(田中 泯)の芸や芸人に対する目利きが(とはいえこの方の舞踊は迫力がありスゴイ)二人の悩める若者を正しき姿へと導きます。そして同時にこの少子化社会やパワハラ、セクハラ、様々なエンタメの発展など、現代社会が歌舞伎に襲いかかる懸念からをも救う道を示した。そう感じます。「国宝」というタイトルは主人公・喜久雄ではなく、小野川 万菊に当てたものと想像します。
吉沢 亮さん、横浜 流星さんにおいては、当作品に向けて大変な努力で正に「芸を積まれた」のではと思います。リスペクトの思いで劇中ずっと観させていただきました。素晴らしかったです。
歌舞伎をよく知っている方なら言わずとも必見の一本でしょうか。そして歳取っても歌舞伎を観に行く機会は無いだろうなと思っている私にも楽しめた時間でした。
魂の演技
壮大な物語ですね
流星さん好きになりました❤️
今まで横浜流星さん出演作品、人気先行型で演技がついてきてないって思い大河を含め敬遠してましたが…
今作の流星。
流星演じるチャラチャラした歌舞伎界のボンボン俊介(私が思う流星そのまま)が、演技の為に悪魔に魂を売った喜久雄扮する吉沢亮に敗北。
のち、俊介もまた命を擦り減らして演技に打ち込んでいくさま
吉沢亮、横浜流星ともひと皮もふた皮も剥けた素晴らしい演技でした
あと…すずちゃんも頑張って欲しいな
全2152件中、1741~1760件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。