国宝のレビュー・感想・評価
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歌舞伎という知らない世界
横浜流星さんが好きで見た。
歌舞伎かあ...全然知らない世界なんだよな、しかも3時間ぐらいあるの?途中眠くならないかな?と心配したけどそれは杞憂だった。
生い立ち境遇も違う2人の人生と運命に
目が離せず引き込まれた。
歌舞伎のシーンは圧巻。吉沢亮と横浜流星すごい!
....語彙力のなさが悔しい。
この映画は映画館で観るべし!
それほどすごい映画だった。
今期一番の映画
原作未読。知人に勧められて鑑賞。とても良かった…。父親の死、盟友との別れを乗り越えて舞台に立つ喜久雄の生き様がよく描かれていたと思う。
個人的には俊介に感情移入してしまった。初めの曽根崎心中で、自分の感情を押し殺しながら喜久雄を励ますシーンに胸を打たれた。最期は糖尿病で両足が壊死…。血筋の問題上、実子にあそこまでのアクシデントがないと、喜久雄が日本一に上り詰めるのは難しいだろうから仕方ないのだが残酷すぎる…。それでも強くあろうとする姿に感動してしまった。
勢いで原作も買ったので読もうと思う。
頂点に立つ者だけが見られる景色とは
極道の家に生まれた男が歌舞伎町で頂点にのし上がっていく物語、ではなくて歌舞伎の世界に魅入られた者が、ライバルとなる兄弟と切磋琢磨し、遂に人間国宝になるまでの壮大な物語。
主人公の喜久雄のモデルは五代目坂東玉三郎だろう。喜久雄は本作の最後に「鷺娘」を演じるが、これは喜久雄が十代の頃に見た万菊の「鷺娘」を見て魅了され、万菊のような歌舞伎役者を目指した点も玉三郎が女帝と呼ばれた六代目中村歌右衛門の「鷺娘」にあこがれて彼自身も演じたというエピソードとまんま同じ。
組長の父を失った喜久雄は歌舞伎の名門花井に引き取られ、息子の俊介と共に時にはライバルとして時には兄弟としてともに歌舞伎の稽古にはげみ成長してゆく。
いずれ屋号を継ぐのは息子である俊介。世襲が習わしである歌舞伎の世界ではそれが道理であった。しかし運命の歯車が狂いだす。
花井は怪我をした自分の代役に喜久雄を選んだ。それはただの代役に過ぎなかったが、喜久雄の曾根崎心中での芝居を見た俊介はその力の差を見せつけられて家を出る。
俊介の血に嫉妬していた喜久雄、喜久雄の芸に嫉妬していた俊介。彼らは跡目を継ぐ時が来るまでは良きライバルであり良き兄弟だった。しかし歌舞伎界の習わしにより彼らはたもとを分けることとなった。
二人歌舞伎を演じた時の彼らはともに輝いていた。二人の信頼関係そして拮抗する芝居の才能、それらが合わさり相乗効果を生んで二人歌舞伎は観客を魅了した。一人の人物を二人で演ずる二人役をこなした二人はまさに二人で一つだった。しかしそんな二人は皮肉にも歌舞伎界の掟により引き裂かれてしまう。
俊介は去り、残された喜久雄は跡目を継ぐ。しかし、いくら芸を磨いても喜久雄の不安はぬぐえない。自分にはどうしても欠けている花井の血。彼はその不安をぬぐうために悪魔と取引をする。
そして彼の不安は的中する。襲名披露で吐血した花井は帰らぬ人となる。後ろ盾を失った喜久雄は主役の座から遠のき役者としてくすぶっていた。そして先代が残した借金だけが重くのしかかった。
そんな時、行方をくらましていた俊介が歌舞伎界に復帰する。それと入れ替わるかのようにスキャンダルに見舞われた喜久雄は歌舞伎界を追われる。
まるで二人は陰と陽の関係。片方が眩いライトに照らされたら片方は影に追いやられる。かつて二人歌舞伎を演じていた時の均衡の取れていた二人をつないでいた糸は断ち切られ、片方は糸の切れた凧のようにさまよい始める。
しかしそんな二人を再び運命の糸が繋ぎ合わせる。人間国宝の万菊の手回しにより喜久雄は再び歌舞伎界に返り咲くのだ。
あの頃のように二人藤娘を演じる二人は再び輝きを取り戻したかに見えた。しかし、運命は喜久雄に微笑む。悪魔と取引した喜久雄に。
皮肉にも喜久雄があれだけ欲した花井の血は息子俊介に病をも受け継がせた。再び二人の均衡を取り戻そうと自分の自信を奪うきっかけとなった喜久雄が演じた曾根崎心中のお初を演じた俊介、二人の迫真の芝居で均衡は取り戻されたかに見えた。しかし死が俊介に舞い降りる。
一人残された喜久雄はやがて頂点に上り詰め人間国宝となった。悪魔と取引してでも、兄弟から屋号と名跡を奪い取ってでも、周りの人間を不幸にしてでも上り詰めたかったその地位で見られる景色とはいったいどんなものか。
それはけして物理的にその位置に立ったところで見えはしない。人生をかけて芸の道を貫いた者にしか見えない景色。
万菊もその景色を見続けていたに違いない。彼はここにはもうきれいなものはない、やっと楽になれる、そう言い残して喜久雄を歌舞伎の世界に呼び戻した。彼は喜久雄を自分の身代わりにしたのかもしれない。彼がいるところから見えた景色。その景色に魅了されたものはもはや芸から逃れることはできない。彼はそこから逃れるために喜久雄を差し出したのかもしれない。
万菊が喜久雄を差し出したのは歌舞伎の神なのか、それとも悪魔なんだろうか。どちらにせよその景色に魅了された者は命尽きるまで歌舞伎から離れることはできない。
憎むべき歌舞伎、しかし芸をやめることはできない。歌舞伎役者とはそういうものだ。復帰した俊介にかけられた師匠からの言葉が印象的。我々凡人はとてもそんな生き方はできない。
歌舞伎役者として頂点に上り詰めた者、それは歌舞伎の神に見初められた者なのか、それとも悪魔に見初められた者なのだろうか。
喜久雄と俊介、二人のその時々の人生を反映させるかのように演じられる歌舞伎の舞台は物語とリンクしていてとても見ごたえのある作品に仕上がっていた。三時間の上演時間が短く感じられるほど満喫できた。
すべて芸の肥やし
横浜流星と吉沢亮ならきっとやってくれると期待通りでした
歌舞伎は安い席も有るらしいが、とてもお金が掛かると聞いていたので関心ないので(幕の内弁当もお高いらしい、確か歌舞伎発祥)勿論鑑賞眼はさっぱり皆無だけど2人の指先までしなやか艷やかな演技素晴らしかった 歌舞伎界からオファー来るんじゃないの?と思った
肝心のお話は入れ替わり立ち代わりスランプの様子や藝妓さん遊びなんかはあるあるだよね、実は奥さんが大変な処なんかはあんまし無くてあんまり刺さらなかった
しかし日本独自の伝統芸能でこれだけ芸術的な映画が出来るということには、邦画の可能性を感じた
映像美!
理由はともあれ、いかにも順風満帆ではないか?
血統を重んじる伝統芸能の歌舞伎の世界で、血統の縛りを超えて、芸の才能の力で立身出世し、人間国宝にまでなるヤクザ一家の生まれのひとりの男の物語である。歌舞伎の世界は皆親類どうしで世間が狭く、芸も子へと受け継がれていくが、そうした伝統や常識を打ち破る圧倒的な才能が存在した。
しかし、歌舞伎がわからない、観たことがない私のような素人の目にはその才能は如何程のものがわからない。そこまでの才能が何だったのか分からずじまいでありもやもやする。なぜ歌舞伎一家の出の横浜流星はだめで、孤児となり引き取られた吉沢亮のが優れていたのか?わからない。
原作には描かれているのだろうが、冒頭にはじまる長崎のヤクザたちの抗争がどのような理由で起きたのか分からずじまいである。主人公は、両親を失い、どういうわけか冒頭のヤクザたちの抗争の場にいた大阪の歌舞伎役者の一家に引き取られる。
幼馴染の男友達はなかなかの演技だったのに暴力団事務所に主人公と一緒に殴り込みしたあと消えてしまった。幼馴染の女の子はどこの出で、主人公を追って大阪についてきて、いつの間にか高橋充希になっているのである。
大阪の歌舞伎一家をささえるパトロンの嶋田久作はいつの間にか消え、歌舞伎に興味のなかった鞄持ちの男(息子?)がなかなかの存在感を増して主人公のピンチを救い最後まで出てくるがあの人は何だったのか?いつ歌舞伎界を応援するようになったのか?不明である。重要に見える人物が理由もなく消え、一方で大した人物にみえないものが重要だったりするのだ。
最大の不明は、人間国宝となることが決まり記者会見のあとの写真撮影で、京都の芸姑との間にできた娘がカメラマンとして出てくるところ。
いきなりあなたを父親としてみたことはなかったと身の上話をし始めるが、周りの者はなにをしているのか?娘は、あなたは、いろんな人を犠牲にして国宝にまでなったのですというが、映画を観る限りでは、犠牲になったのはカメラマンの娘とその母親くらいだろう。それ以外は迷惑をかけている人は出てこない。あなたの歌舞伎を観ると本当に感動する、おとうさん、という娘は自分を捨てた父親に和解の意を伝えるがいかにも唐突だなぁ。人間国宝の会見の場でこの場違いなやりとりは不思議であれ、ドラマ性をもつことはなかったと思う。
人生の悲喜こもごもを背負ってついに人間国宝にまでなった感動の演舞で幕を閉じる。歌舞伎の世界は確かに大変かもしれないが、それがあまりよく伝わらなかったのと、ヤクザの家の出で、親を失ったという大きな苦難以外は、才能ある順風満帆な人生だったように見えてしまうのだが。あの平凡な記者のインタビューと同じ感想になってしまう。
そんなに絶賛しなくても…
世間であまりにも絶賛されていることに驚きました。
初心者が舞踊をがんばっているな、とは思いましたが、とにかく歌舞伎に見えない。
「国宝」と名前をつけテーマとして描くからには、ちゃんとしてほしかったです。
未経験であれだけやればすごい、という評価を見かけますが、プロの仕事として、努力賞でいいとは思えません。
よかったと思えるのは、横浜流星さんの演技(義足のとき)に凄みがあったことくらいでしょうか。
あと単純に疑問なのですが、一度人間国宝になった人があんな末路をたどるものでしょうか??(不勉強で申し訳ないです…)
いろいろと納得のいかない作品でした。
最高。この一言に尽きる
無理を乗り越える芸の道
歌舞伎という、時代も価値観も現代と異なる江戸時代の話で現代の観客を感動させて美に酔わせるとか・・・
男が女を演じる、また老いた者も年若い女性の役を演じるとか・・・
そんな虚構で人を酔わせるという「無理」なことを現実のものとして叶えるために、歌舞伎役者は芸を磨く。年少の頃から芸の道に生きることを余儀なくされ、日夜休みなく厳しい稽古にあけくれる
そんな苛酷な芸の道、全てを捨てて芸に生きる・・・、それもあって吉沢亮演じる喜久雄は順調に興行もかかり、襲名もしたが、風向きが変わり、役もつかなくなりさらには歌舞伎界を離れ、うらぶれた旅館の舞台のどさ回りまで落魄れる。努力したから、芸に打ち込んだからといって芸の神様いや悪魔?から愛されるとは限らない
いま流行りの仕事とプライベートのバランスを取る、いわゆるワークライフバランスと対極の世界。ワーク(芸術作品)のために自分の人生も周りの者たちの幸せも全て捨てて打ち込む、それが芸の世界なのだ。芸の偉大さの前に人間の人生や幸せなど小さすぎるものなのだ
この映画の上映された2時間50分、その苛烈さを味わい続けた時間だった。
歌舞伎界の出身でもない吉沢亮と横浜流星、その2人に歌舞伎役者としての踊りや所作が違和感なく感動させる、それがこの映画の最大の「無理」で、それを役作りした2人こそ苛烈な芸の世界の犠牲者であり成功者だったのかもしれない
吉沢亮の間違いなく代表作‼️と言っても過言では無いのでは‼️
任侠の一門に生まれた、吉沢(喜久男)は、抗争で父親を亡くし、天涯孤独になってしまい、歌舞伎の名門、半次郎(渡辺 謙)に見出され、部屋子として引きとられ歌舞伎の世界へ
そこで半次郎の息子、俊介(横浜流星)と兄弟同様に歌舞伎を教わりながら育てられスターダムにのしあがる物語‼️
いやぁ‼️凄い‼️映画🎞️でした✨自分は歌舞伎は知らないけど。。。歌舞伎がいかに、繊細で難解なお芝居なのか?が伝わり、その歌舞伎の舞台の空気感が、すさまじく緊迫してるのがわかりましたΣ('◉⌓◉’)
そこに、跡取り問題や、二人の切磋琢磨して歌舞伎道を極める姿が、歌舞伎を通して実に情緒豊かに描かれています。
吉沢亮さんの演技が半端ないです‼️凄い‼️驚愕‼️Σ('◉⌓◉’)‼️名演ですね👑
横浜流星さんも凄い演技‼️渡辺謙さんも貫禄抜群の演技‼️サスガ👑
寺島しのぶさん、永瀬正敏さんの助演も、素晴らしい✨
歌舞伎の事、知らない人でも、見れば楽しめる映画🎞️だと思います。是非‼️みなさん、大きなスクリーンで「国宝」の世界へLets go✨
邦画魂
出演者の俳優魂をひしひしと感じることができた。
初っ端から永瀬正敏に圧倒される。
少年時代を演じた2人の将来がとても楽しみ。
田中泯化け物。
血反吐はやりすぎじゃない?って思った。
少年時代も別の俳優使ったんだから、晩年も特殊メイクじゃなくてピッタリな俳優使ってほしかった。
でもそうなるとラストの歌舞伎シーンが微妙になるのかな。
前半面白く観てたけど後半つまんなくなってきた。
細かい内容も知りたいので原作読んでみる。
「国宝」を観て
当初、その日観たい映画がもう一本あったので、「二本観ようかなぁ」くらいの気持ちだっのだが、当日が近づくにつれて「私の体力では多分観れんだろ」と、いう気がしてきていた。
前日は早く寝て、身体も心も整えて臨んだのだが、にも関わらず私は完全にうち抜かれており、何に打たれたのか、何に撃たれたのか、何に討たれたのか、何に射たれたのか分からない。ただただ涙が流れた。
私の生き方を問われているようだった。
吉沢亮さんは理解しているつもりでいた。素晴らしい俳優だと知っているつもりだった。
その考えを遥か高く飛び越え、激しく困難で険しく鋭いひとりの男の人生を生きていた。
貴方はどれだけの高みを目指すのか。
李相日監督の作品を観るのは初めてでよく知らないのだけれど…
すべての出演者が鋭く描かれており、もう女性陣に関しては、素晴らしいとしか言いようがない。愛し愛されることを求める人。愛することだけを求める人。愛されることだけを求める人。standing ovationである。
歌舞伎のことは、ほぼ知らないのだけれど、吉沢亮さんと横浜流星さんの舞台のシーンは圧巻である。
田中泯さんには平伏してしまった。
とにかく、観なければならない映画である。
芸に魂を捧げた役者の覚悟とすごみ
偶然長崎の任侠の親分の息子立花喜久雄の演技を見て惚れこみ女形の歌舞伎役者として弟子に迎えた歌舞伎役者の花井半二郎(渡辺謙)。
彼の跡取り息子花井俊介と共に日々の厳しい修行に堪えながら互いにライバルとして芸の精進に切磋琢磨していたが、ある事を転機に彼らの関係に変化が――
厳しい修行に不満を述べながらも跡取り息子としてその血筋で将来を約束された俊介。
天性の芸の才能を見出されて自分の居場所はここにしかない、と芸を磨き続ける喜久雄。
2人の踊りの所作1つにもわずかな差が感じられるのがすごい。
時に友として時に芸のライバルとして彼らの関係は少しずつ変化しながら成長していく。
自らの魂を悪魔に売ったかのごとく芸の精進のために他のすべてをささげる役者の狂気とすごみ。
その分家庭をはじめ多くの物を犠牲にしてしまう。
そんな覚悟のこもった舞台だからこそ人々を魅了してやまないのだろう。
芸に賭ける覚悟と生き様に息を吞んでしまう、そんな凄みを感じる作品でした。
歌舞伎界に生きた男達の波乱万丈・栄枯盛衰…アカデミー賞・最有力候補作品
日本の伝統芸能である、歌舞伎の世界を半世紀にも渡って駆け抜けた男達を題材にした、吉田修一原作の映画実写化。これまでに2度ほど、自分も歌舞伎鑑賞をしたことがあるが、その時は、それほど感慨にふける程ではなかった。しかし、本作を通して、歌舞伎の現代に通じる芸術演劇として迫力や美しさ、そして醍醐味…、一方でその裏にある、稽古の厳しさや世襲への蟠り等、自分の知らなかった、歌舞伎の世界観に魅了された。
3時間にも及ぶ長時間上映だったが、全くその時間を感じさせなかった。それは、主人公・喜久雄(花井東一郎)とライバル・俊介(花井半弥)の運命が、二転三転する中で、それぞれが、歌舞伎役者としての誇りと名誉、命を賭けて立ち居振舞う姿にある。特に、クライマックスの『娘道成寺』と『鷺娘』の舞う姿は、映画を観ている事を忘れるほどの臨場感と共に、感激と感動によって胸を熱くなり、何筋もの熱いモノが頬を伝ってきた。
喜久雄と俊介のライバル2人が、幼い時から厳しい稽古の中を、切磋琢磨して芽生えてきた友情と信頼。一方で、真っ当な血筋の上に成り立つ歌舞伎界の世襲に置かれた者と、外道の血筋だが、芸の実力を兼ね備えた者。その両者が世間からの板挟みの中で、ライバルとして苦悩し、底辺に堕ちた所から這い上ってくる、ヒューマンタッチのドラマとしての面白さもある。その2人の役者人生が、『曽根崎信重』『鷺娘』『娘道成寺』の歌舞伎演目の内容とリンクして、より物語を感動深いものにしていた。
そして何より、本作の素晴らしさは、今や日本を代表する若きムービースターである、喜久雄(花井東一郎)を演じた吉沢亮と俊介(花井半弥)を演じた横浜流星の2人の演技にある。主役の吉沢亮は、「これまでの役者人生の集大成の演技であった」と語ってるように、難しいとされる歌舞伎に挑戦し、女形の発声から所作、そして演舞と、素人目には、長年、歌舞伎の世界で生きてきた役者の様に、観る者の胸を熱くする素晴らしい演技を見せてくれた。吉沢と横浜は、この作品完成まで、かなりハードな稽古を乗り越えて、役者としての魂と情熱を注ぎ込んできたことが覗えた。
脇を固める出演者も、半弥の父であり芸の師匠である花井半二郎には渡辺謙、その妻には、正に公私ともにも適役の寺島しのぶ、東一郎の幼馴染で、半弥の妻となった女には、高畑充希、そして、老齢の先輩・万菊には田中冺が演じ、この田中が漏らす女形の一言一言が、とても重みのある意味ある言葉となって、心に染み渡っていく。
少し早くはあるが、作品内容や役者達の演技からも、そして、伝統芸能である歌舞伎をもちーにした点においても、来年の『日本アカデミー賞』の作品賞、男優賞、助演男優賞の最有力候補作品だと思う。歌舞伎を知らなくても、感動を味わいたい方は、是非、ご覧ください。
邦画産業の到達点として
栄光の影で涙を流す人たちがいる
上映時間が3時間と聞いて尻込みしてましたが、周囲の方から「観た方がいい!」とお勧めされ鑑賞。
吉沢亮さん、今年度の日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞獲るんじゃないでしょうか。横浜流星さんも、助演で。
本当に2人のお芝居が素晴らしかったです。
喜久雄と俊介、2人の対比が面白かった。
喜久雄は芸の才能を持って生まれたが、歌舞伎の血を受け継いでいない。
俊介は血こそ受け継いでいるが、才能では部屋子の喜久雄に劣る。
春江が俊介について行ったのが最初理解出来なかったけど、喜久雄と一緒になっても幸せになれなかっただろうからあれで良かったんだと思う。
春江はわかってたんじゃないかな。
喜久雄は芸の為なら悪魔に魂を売る事すら厭わない男で、実際家庭を顧みなかった。
襲名披露の時、駆け寄ってきた娘を無視する喜久雄。あれでもう藤駒さんも諦めたんじゃないかな。見ているこっちも凄く心が痛かったです。
捨てるなら最初から子供なんてつくるな!と思ったけど、もしかして男児だったらまた違ったのかな。
何にせよ歌舞伎役者としては素晴らしいけど、1人の男としては全然だめ。役のために彰子に手を出したり、最低最悪。
よく彰子は喜久雄を捨てずについていけたな。
でも最後彼女の姿が見えなかったから結局ダメになったという事だろうか。
人間国宝となって、捨てた娘と再会。
「貴方を父親と思った事はない」「どれだけの人間を犠牲にしてきたか」娘は喜久雄に言うが本当にその通りだと思った。
それでも、喜久雄は何を犠牲にしても、生涯孤独になったとしても日本一の歌舞伎役者になりたかった。
ラストシーン、1人きりで舞台で舞う喜久雄。
見たかった景色を見る事が出来た彼はきっと幸せなのだと思う。でも、独りだ。
彼もいつか歳を取り、独りで寂しく死んでいくのだろう。
その時何を思うかな?
捨てていった家族を想い涙するのだろうか。それとも歌舞伎役者としての輝かしい日々か。
きっと後者だと思う。
タイトルなし(ネタバレ)
北九州のヤクザの息子・喜久雄(黒川想矢)は、目の前で父親を殺されてしまう。
復讐にも失敗し、身寄りを失った喜久雄を引き取ったのは、上方歌舞伎の名門・花井半二郎(渡辺謙)だった。
半二郎には俊介(越山敬達)という息子がおり、後々は俊介に「半二郎」の名跡を継がせたいと考えていた。
長じた喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)はライバルとなり、互いに芸を競い合う関係となったが、ある日、事故に遭った半二郎は、自身の代役に喜久雄を指名した。
それも名作「曾根崎心中」のお初の役である。
喜久雄の芸に打ちのめされた俊介は歌舞伎界を去り、「半二郎」の名跡は継ぐことになった・・・
といった物語で、ここまでが中盤。
とにかく、力作。
観終わっての感想は「疲れたぁ。吉沢亮、凄い」。
ですが、中盤、血筋か芸かで両者の明暗のドラマは「ステレオタイプで飽きちゃったわぁ」というのが正直なところ。
人物設定が過剰過ぎて、物語の底が浅くなった感じがします。
長い原作を3時間に収めようとしたのでしょうが、ダイジェスト感というよりも、ドラマ部分は嘘臭さ目立ってしまったかもしれません。
喜久雄と俊介それぞれのドサ回り、歌舞伎界への復帰・・・と同じ展開が続くのも難点。
原作は脇において、人物設定を刈り込んで、最終的に「芸事心中」「芸に魂を売り渡した男たち」に収斂するあたりを際立た方がよかったかもしれませんが、それだと物語にメリハリがなくなっちゃうのかしらん。
と、余計なことを考えたりもします。
なお、吉沢亮も凄いが、受けて立つ横浜流星も凄い。
結果として、舞台シーンは、吉沢ひとりのシーンよりもふたりのシーンの方がいいと思いました。
吉沢亮の凄みは、舞台の外、ドサ回りのビルのテラスの鬼気迫るシーンにあらわれています。
そうそう、途中で、ちょっと「つまんない」と思ったのは、歌舞伎シーンの見せ場重視・連続だったからかも。
なんだか、アクションてんこ盛りの大作映画を観ている気分になったんですわ。
凄まじいものを見せられた I witnessed something incredible.
予告編だけ見て観に行こうと思い観た。
芸の世界の華やかさと裏腹の業の深さ
その魅力に引き込まれっぱなしだった。
吉沢亮さん演じる喜久雄の状況で
芸を生涯の仕事とすることはどういうことか
光の部分と闇の部分が巧みに描かれていて
3代目桂米朝が桂米團治師匠から聞かされた
「芸人になる以上、末路哀れは覚悟の前」
を思い出す場面もあった。
劇中で使用された演目が
物語の起点、始まりと終わり、継承を
意味するように配置されているのにも
唸ってしまった。
演者が舞台から見る風景の画角も絶妙で、
そのリアルさに鳥肌がたった。
道成寺、曽根崎心中は
多少なりとも別の形で関わりがあったので
背景を知らないわけではなかった。
でもそんな事関係なく、
2回出てきた劇中の曽根崎心中では
違う意味で涙が止まらなかった。
1回目は横浜流星さん演じる俊ぼんの心持ちで、
ライバルに対する感動と嫉妬、挫折がないまぜになって
2回目は、俊ぼんと喜久雄の
二人の気持ちが痛いほど伝わってきて
涙が止まらなかった。
特に2回目の曽根崎心中の実際の台詞と
二人の状況が重なりすぎて、
気持ちが揺さぶられっぱなしだった。
虚構とリアルが重なった稀有な瞬間を映像化している
数少ない名シーンだと思う。
個人的には
歌舞伎の台詞にリアルタイムで心を揺さぶられたのは
初めてかも知れない。
終劇後、流れた主題歌、
どんな女性歌手が歌っているのだろうと注視していたら
King Gnuの井口理さん!?
歌舞伎の女形を意識したのか?
と最後の最後まで、気持ち揺さぶられ
唸されっぱなしぱなしだった。
素晴らしい映画、物語でした。
原作も読んでみよう。
I decided to watch the film after just seeing the trailer.
The dazzling world of traditional performance art is deeply entwined with profound human struggles. I was captivated by its allure from beginning to end.
Through Yoshizawa Ryo’s portrayal of Kikuo, the film masterfully illustrates both the light and shadow of dedicating one’s life to the arts.
There were moments that reminded me of what the third-generation Katsura Beicho once heard from Katsura Yonedanji:
“If you’re going to be a performer, you must be prepared for a sorrowful end.”
The play used within the film were placed in such a way as to signify the story’s beginning, end, and legacy — a structure that left me deeply impressed.
The visual perspective of the stage from the performer’s point of view was strikingly realistic — it gave me goosebumps.
I already had some familiarity with Dōjōji and Sonezaki Shinjū from past encounters, so I wasn’t entirely unaware of their background.
But honestly, that didn’t matter — even without that context, I couldn’t stop crying during the two Sonezaki Shinjū scenes in the film.
The first time, I was overwhelmed by the inner turmoil of Shunbon, played by Yokohama Ryusei —
his awe and envy toward a rival, and the sting of defeat all blending together.
The second time, I was completely moved by both Shunbō and Kikuo —
their feelings came through with such painful clarity that I couldn’t stop crying.
Especially during that second Sonezaki Shinjū scene, the overlap between the actual lines from the play and the two characters’ circumstances was so intense,
it shook me to the core.
It was one of those rare moments where fiction and reality merged — and the film captured it with stunning precision.
I think this was the first time I’ve ever been so emotionally stirred by kabuki dialogue in real time.
And after the story ended, the theme song started playing —
I was curious which female singer it was… and it turned out to be Satoru Iguchi from King Gnu!?
Was he channeling the essence of a kabuki onnagata (female-role actor)?
Right up to the very end, I was emotionally shaken and deeply impressed.
It was a truly magnificent film and story.
I definitely want to read the original novel now.
どこがどこまで!
これは映画なのでお芝居です、が!
どこまでがお芝居でどこまでが本気なのか最後まで困惑させられました。
お芝居、演技なんだけど演舞のシーンはまるで本物のドキュメンタリーみたいで3時間という長時間があっという間の作品でした
私は歌舞伎の世界は全く知りません
世襲だとか厳しい稽古とか全然わかりませんがこの作品を見た後で僅かながらに垣間見れたのかなと感じました
世襲のため、血の結束というか幼い頃から稽古に明け暮れてその世界に染められていく
部外者が入ればまたそれはそれで大変な世界…
どんな世界も色々ありますが歌舞伎の世界は想像以上の厳しさなのですね
私だけかもしれませんが離れた娘に忘れたことはないと名前を告げるシーンは涙が止まらなくなりました
人間国宝になろうともこれまで生きてきた証は変わらない
私も恥ずかしくない人生を全うしたいと思います
全2150件中、1601~1620件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
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