国宝のレビュー・感想・評価
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時代のズレのようなものが拭えていない
役者さんの演技には鬼気迫るものがあり、引き込まれる箇所が多くある。だが、なぜか現代で撮影してまーす!というものが映っているように感じる。
カメラの動きも気にあるところが多く、引き込まれてすぐに醒めるという繰り返しがあり残念。冒頭の乱闘シーンでちゃぶ台を振り回して投げつける場面や永瀬さん演ずる親分さんが打たれるシーンも安い刑事ドラマのように映ってしまっている。
歌舞伎というものに支配されて映画というものの見せ方が疎かになっているように見えてしまった。
渡辺謙の存在感がスゴイ!
最後の娘のセリフに違和感
再会した綾乃のセリフが腑に落ちず、最後の鷺娘の舞に集中できなかった。
「あんたを父親だと思ったことはない」と言い放った後に、「お父ちゃん」と言う綾乃のセリフが引っかかった。数十年ぶりに現れ、恨みつらつらであるように思われた娘が、急に態度を変えて和解する流れになった点が腑に落ちなかった。これは、このセリフが現在形であるからわかりにくかったのだと思う。「父親だと思ったことはなかった」と完了形っぽくすれば、色々不満はあるけど喜久雄の演技に感動した、という方向に繋がりやすかったかも。表面的な部分ではここが引っかかった。
それから、「どれだけ周りを不幸にして」というセリフも納得いかなかった。なんとなく、芸を極めるため周囲の人間を顧みない喜久雄の人生を言葉にまとめようという制作側の意図を感じたのだが、数十年間直接的な関わりがなく、喜久雄に振り回された俊介や彰子などの事情を知る由もない綾乃に、総括させる形で言わせているようなセリフに違和感があった。自分ら母子の不幸を直接訴えるセリフならまだ納得できたと思う。
また、私は喜久雄を「芸のために他の全てを捨てた人間」として解釈していたのだが、このラストシーンによって、作品の主題が芸の極致から最後の最後で父娘の感動物語にすげ替えられたような衝撃があった。喜久雄はずっと娘や周囲との和解を求めていたのか?鷺娘を舞いながら娘の言葉を回想する場面からは、喜久雄が娘の言葉に救われているかのような印象を受けたが、最後にあの「景色」に至ったのは和解して救われたからではなく、芸を極めたからではないのか?鷺娘の場面に綾乃のセリフを重ねる必要があったのか、つくづく解釈違いだと思った。結末に和解を持ってくるのであれば、せめて作中に喜久雄の演技を見る綾乃の描写ぐらいは入れてくれないと、急に出てきて何⁉︎となる。原作は読んでいないが、映画オリジナルの結末と知り、まあそうだろうなと。和解を丁寧に描く余裕がなかったのなら、娘は不満をぶちまけて和解せず立ち去り、心の中で父を赦す、くらいの方が良かったとすら思う。
他に気になった点としては、子役の方の喜久雄が人間国宝の演技を見て「怪物だ」と口に出す場面があったが、あそこは口に出さない方がいいと思った。はしゃいでる学生みたいだったし、せめてもっと独り言っぽく言えば違和感なかったかも。このときの人間国宝についても、もっと格の違いを強調して描けないものかと思った。エフェクトはかかっていたようだが。
また、襲名を果たした喜久雄が花井の借金も引き継いだことが示されていたが、にしては女将さんたち冷たすぎないか。正直要らない情報だと思う。
歌舞伎の場面に関しては拙者のようなド素人にもわかるようにエッセンスだけ抽出していていいと思った。こぶしの効いた独特な話し方や専門知識など、素人にはとっつきにくいジャンルの芸能なので。
いろいろ言いたい点はありつつも吉沢亮の演技は本当にすごかったし、情感に訴えてくるすばらしい作品だと思った。だからこそラストシーンに納得いかなかったことが本当に残念だった。あれははっきりいって陳腐だと思った。これを吐き出すために映画.comに登録した。それでも劇場で見る価値は間違いなくあるし、なんならまた見たいと思う。
壮大な人生模様
雰囲気のある映画ではありました。
ヒットしているという情報を聞きつつ、3時間の上映時間に尻込みすること2ヶ月。ようやく観に行きました。
細部まで美意識が行き届いた映画ですね。役者さんの演技はもちろん、時代を表す美術、画面の色合い。観客を吸引する魅力がありました。
が、大絶賛されるほどかと言うと…私にはそこまで響きませんでした😓
歌舞伎の血筋ではなく、ただ芸への情熱(執着?)を異常なまでに持っている喜久雄が、紆余曲折を経て誰にも辿り着けない境地に達する…という筋ですが、演出で描写していきます。悪く言えば説明ほぼなし笑
「今こうなったのか」と観ていれば推測できますが、3時間ある割に場面の切り替わりが早いので何となーくで次の場面に引きづられていく。
なので、必ずしも映画館で観なければならない作品ではないかな、と思いました。
それにしても、吉沢亮さんと横浜流星さんの演技に脱帽です。登場人物を演じるのと歌舞伎の演目の登場人物を演じる。言わば二重に演技していることになるので、撮影中は大変やったやろうなーと感じました。
まさか「仮面ライダーフォーゼ」で2号ライダーとその友達(でしたよね?)を演じていたあの2人がこんな骨太な作品で再会するとは…と妙に感慨に耽りました。
良い作品&深い
歌舞伎わからなくても没入できる良い作品ですね
役者もストーリーも演出も良いですね
悪魔との取引は成功した
ある意味一芸に秀でる者は全てを投げうつんでしょうね
望んだことだけれどコレで良かったのか?
深い感じでした
邦画も洋画ほどの派手さはないけど良い作品多いですよね
原作の小説はどう表現しているのか?読んで見ようと思いました
三浦貴大さんが良い味出してる
一言でまとめると「若向けの作品」である
タイトルそのままだと語弊があるので、補足も兼ねてレビューさせてほしい。
大ヒット公開中のロングラン映画で、周囲の評判もいいという理由で鑑賞。
確かに評価が高い部分も理解できるものの、どうしても腑に落ちないのは監督や作者が何を伝えたいのかが見えてこなかった点。結局、何を描きたかったのだろう。
・世襲制への問題提起?
・芸事に魂を売った人間の生き様?
間違いではないのだが、なんだかしっくりこない。
だが、このしっくりこない感情をあまり見慣れない世界である歌舞伎の煌びやかな部分が覆い隠してしまう。そういう点では、裏で血のにじむような努力も華やかな部分しか観客には見せない点は似ているのかもしれない。
原作を拝見していないが、だいぶカットしているのだろうか?
もう少し内容を精査して丁寧にストーリーを描いてほしかった気もするので、少々残念である。
演目も部分部分に散りばめられている。この切り取り方と入れ込み方が歌舞伎に触れてこなかった層には触りやすい感じをもたらしている。
その反面、役者は本気だ。
『曾根崎心中』の鬼気迫る迫真の演技と、妖艶な『鷺娘』は本当に見ものである!
相当な練習量と、よい振付師がついたのだろうと感じた。
あまりに評判が良くて…
とにかく圧倒された
主演2人の筆頭代表作
最高の作品!
7月上旬、口コミを目にしてどんなものかと思い足を運んだ。期待はしていたが、想像を超えるほどの作品だった。邦画史上最高傑作と呼んでもいいのではないかと感じた。
ストーリーの良さ、美しい映像、心を揺さぶる力、俳優の演技の素晴らしさ――いずれかの要素で最高と思わせる映画は他にもある。だが、この作品はそれらすべてを極めて高い水準で兼ね備え、観ている最中は時間を忘れ、見終わった後には感動と爽快感だけが残る。他に類を見ない完成度の邦画だった。
印象的だったのは冒頭の宴席の場面。役者の演技、カメラワーク、映像の色合い、自然な雰囲気から抗争へ至る展開まで、観客を惹きつける力に満ちていた。この時点で「お、これは期待できる」と思わせる力があった。
その後、父の復讐を実行しようとするあたりまでは手探りの感覚もあったが、本編に入ると一気に引き込まれる。役者、カメラ、映像、ストーリー、いずれも最後まで期待を超える出来栄えだった。
主役二人はもちろんだが、少年時代を演じた役者たちの演技が特筆に値する。彼らが前半を力強く牽引し、違和感なく吉沢、横浜へとバトンタッチしていった流れは見事だった。その後は言うまでもなく、作り手だけが満足することなく、観客を意識したエンターテインメントとして完成されていた。多くのレビューが語る通り、様々な要素が揃った傑作だった。
カメラワークも秀逸で、切り取られても美しいシーン、楽屋に入る場面のように動きを感じさせるシーンが織り交ぜられ、躍動感と美しさが絶妙に調和していた。
邦画史上最高傑作と断言すれば賛否はあるだろう。しかし、自然な感想として「そうかもしれない」と思わせる力がこの作品にはある。もしこの映画を低く評価するのであれば、それはジャンルの嗜好が違うか、あまりに映画を観すぎて純粋に楽しむ心を失ってしまったかのどちらかだろう。
それほどまでに素晴らしく、限りなく完璧に近い映画と感じた。
まさに日本映画界の国宝
映画『国宝』を初めて観た時、あまりの素晴らしさに衝撃を受け、この世界観が忘れられず、気づけば3回も映画館に足を運んでいた。
登場する人物一人ひとりがあまりに魅力的で、彼らの心情を探らずにはいられなかった。
主人公・喜久雄
芸に魅入られ、ついには悪魔と取引した美しき怪物。
芸のためにすべてを捨てる覚悟を持った男。
彼の存在は、芸の神域に踏み込んだ者の象徴だった。
第二の主人公・俊介
丹波屋の血筋とともに、糖尿病という宿命まで背負った男。
喜久雄の存在が、彼に“本物の芸に生きる覚悟”を植えつけた。
苦しみながらも、芸に殉じる姿は胸を打つ。
裏の主人公・春江
この人の生き様には脱帽した。
愛する喜久雄に「結婚しよう」と言われた時、「私は贔屓になる」と返した覚悟。
自分の存在が彼の芸の邪魔になると悟り、悩みながらも俊介の弱さに寄り添い、支え続けた。
俊介を本物の役者に育て、最期には丹波屋の女将として、喜久雄=国宝・五代目花井白虎の贔屓として舞台を見届けた。
彼女こそ、この物語の“影の主役”だと思う。
四代目・花井白虎
御曹司である俊介よりも才能を持つ部屋子・喜久雄を、丹波屋のために認めざるを得なかった。
息子への愛を封印し、当主として苦渋の決断を下す。
それでも息子の再生を信じ続け、病に倒れた姿は切ない。
丹波屋の女将・幸子
愛する息子よりも才能を持つ喜久雄への恐怖と嫉妬。
芸のために彼が必要だと理解しながらも、葛藤を抱え続けた。
その沈黙と眼差しに、芸の家を支える者の覚悟が滲んでいた。
国宝・万菊
血筋がすべての世界で、芸だけで頂点を極めようとする喜久雄の覚悟を見届けた人。
彼の沈黙は、芸の神域に立つ者の“試練”であり、“祝福”でもあった。
まだまだ魅力的な人物が沢山居て、書き足りないが、それぞれの心情があまりにも美しく、深く、
この作品は私にとって、人生の宝物のような映画になった。
ぞっとするほど美しい
歌舞伎を知らなすぎて見るのを躊躇っていたものです。三時間だしな〜とか歌舞伎か〜とと二の足を踏んでいたけど更に一歩踏み出してみて良かった。圧巻だった。
何も知らないがゆえに藤娘や道明寺の美しさに惚れ惚れしていたけど、あとで芸能に詳しい友人に聞いたら『奈落から上がってくるのは化物』、『道明寺のストーリーは蛇になって好いた男を寺の鐘で殺してしまう話』、『鷺姫は父親の行いで今自分は地獄のような仕打ちを受けて踊っている話』とだと聴いてそこまでキクオのストーリーに題目を落とし込んでいるんだ…!と感動しました。
四谷心中の足を見せることも素晴らしかった…!ここで右足の先を見せることに意味があったのだね〜と友人を話していたら『四谷心中は花魁の話だから』『花魁は足袋を履いてはいけないから』と聞いた時も目から鱗…!私なんぞは四谷心中を演じきった後の孤独感と鷺姫を舞い終わった後の孤高感の対比が崇高で綺麗で怖くて息を呑んでいただけだったけどわかる人が観るともっと深いところまで理解できて作り込みに驚くんだろうな。
歌舞伎って面白いなぁと思った。実際に観に行くのはまだ少し若輩感が拭えなくてジタバタしてしまいそうだけどいつか本物を鑑賞してみたいな。
三時間は青年が国宝になるまでに必要で納得の長さだった。でも、お尻はゴワゴワになった気がする(笑)
名作文学のような立派な物語だと勘違いした見方をすると、内容が低俗に...
名作文学のような立派な物語だと勘違いした見方をすると、内容が低俗に感じられるだろう。
妙に高尚な作品に違いないと思っている人が多いようだが、本作は、お昼の連続テレビドラマのような、波乱万丈の純粋な娯楽ドラマにすぎない。
しかし役者たちの熱演・好演で圧倒的な満足感を得られるため、並みの映画ではなくなっている。
歌舞伎の舞台も満足できるように見せてくれる。(この監督は「フラガール」のときもステージの見せ方が見事だった)
話を面白くするための展開が、あまりに都合が良すぎるために、いかにも作り話と感じさせるのが欠点と言えば欠点なのだが、その中で動いている登場人物たちが、脇役にいたるまでみんな魅力的なので面白く観れる。
本作は、あくまで娯楽映画の傑作だ。
3時間も集中力を途切らせずに観れるという点だけでも、普通のことではない。
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