国宝のレビュー・感想・評価
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エクスタシーを見るための超絶しんどい映画
吉沢亮って凄い役者だったんだな。あんな風に今にも死んでしまいそうな悲しい舞、今にも人生を投げ出してしまいそうな絶望的な笑い方が出来る役者さんだったんだ。希望と絶望の連続で疲れ果て、孤独でも辛くてもまた同じ場所に戻り、求めるものを探し続ける姿を見ているのは本当にしんどかった。やめられないんだよ、わかる、辛い世界なのに戻るチャンスがあったら戻るの、麻薬と同じ。パフォーマー、芸術家、表現者みんなそう。続けていくのは本当に辛いのに、舞台の上に立って100%以上のパフォーマンスが出来た時のエクスタシーを知っているから。これはそのエクスタシーを見るための映画。吉沢亮と横浜流星によって何度も畳みかけてくるそれに心の底から拍手を送りたい。実際一度、映画の中の観客と一緒になって拍手をしそうになってしまった。
平日のレイトショーで若い観客が多かった気がするけど、エンドロールが始まっても一人も立つ人はおらず、終わってもすぐに立ち上がる人は少なかった。そのくらい会場中がエネルギーを消費しながら世界観にしっかりと浸ることが出来たんだと思った。エンドに流れてきた曲が喜久雄の叫びのように聞こえた。
長い
もうそろそろ終わるかな〜(終わってほしい…) と5回は思った。
邦画に多い演出の、セリフや効果音無しの表情で魅せる手法は、個人的には好きだけど、多用されすぎて後半飽きてしまった。またか…という感じ。
最後に娘が出てくるシーン以降も、いまいち必要性が分からない。その前の喜久雄と俊介の曽根崎心中が良かっただけに、それを超えてこない最後のシーンは必要?
そのへんをバッサリ切って、もっと喜久雄と俊介の和解とかをクローズアップしてほしかった。
喜久雄が俊介と春江をあまりにアッサリ許しすぎて…
結婚を考えた相手と親友が同時にいなくなったと思ったら父親が亡くなった途端急に戻ってきて、今度は自分が追い出されるんですよ?
その時の喜久雄は言葉に出来ないほどの屈辱を感じているはずです。
なのに拳を一発食らわせる程度で、その後も呼ばれたらあっさり戻ってくる。いつの間にか二人藤娘を一緒に演じている。
この時に私の感情が追いていかれてしまった。
小説を読んだらもっと補完されているのかな?
歌舞伎の映像、世界観に引き込まれました
いろいろスベった凡作。
まず良いところ。女優陣はみんな立派ですね。少年喜久雄役の子役もすごい。あと異様な存在感を発散する田中泯そして渡辺謙。中村鴈治郎のイヤーな大物役者っぷりもさすが。この人はそれこそ血筋のせいで徳兵衛しかやらせてもらえないけど、九平次をやってもハマると思う。
が、カメラと編集と照明がとことん凡庸なのです。それは要するに監督の感覚が俗で凡だってことで、『流浪の月』で観客を感嘆させたあの見事なショットは要するに監督の手腕ではなくカメラマンの力量だったことを本作は証明してしまいました。
まず冒頭の料亭へのカチコミシーン、永瀬正敏はざらりとした印象を残して見事だったけど、画角のセンスと編集のスピード感が鈍くて緊張感も緊迫感も欠いている。寄りが甘いし引きがぬるい。以後、万事がこの調子で、いちいち隔靴掻痒感がのこります。
舞台上での歌舞伎役者の所作などを俳優ががんばって稽古したところでサマにならないのは、まあ仕方がない(田中泯の鷺娘ですら微妙にハズしているのに、現代の若手俳優にできるはずがない)。それでも、曽根崎心中の口説きを吉沢亮がはじめて見せるシーンは、なかなか迫力のあるショットになりかかっている…のに、そこにキセルのUPやら鈍いクロスカッティングやらを混ぜてスポイルしてしまっている。
男優二人は、おそらく才能ゆたかで意欲十分なのですね。だから稽古場での所作は、おおっと思うようなショットがいくつもあります。それを活かせていないのは監督と脚本の責任。
脚本は、とくに中盤以降が御都合主義なバタバタ展開で、中途半端なショットがそれをさらに助長していて、白々と見ていました。その頂点として現れる「人間国宝」であるはずの女形による鷺娘シーン。これを呆れずに見ていられる(それどころか賞賛する)映画評論家は、歌舞伎も文楽も能もちゃんと見てこなかっただけです。
そんなわけで、別に失敗作ではなくがんばって撮っているし俳優もそれなりに演じているのですが、監督の凡庸すぎる力量のせいで、締めるべきネジをことごとく締め損なった凡作、という結果に終わりました。
吉沢亮と横浜流星
国宝
凄い映画だった。吉沢亮、横浜流星の二人の役者としての技量を感じた。歌舞伎の演目、道成寺、鷺娘、曽根崎心中など、それぞれ演ずるのも大変だったろうし、女形としての素振り、声色など、よくぞここまで極めたものだと感動した。クライマックスに近いところで、曽根崎心中のお初を演ずる横浜流星の声に体が震えるような感覚に陥った。吉沢亮演ずる喜久雄が娘と再会し「悪魔との約束」の台詞が活かされるあたりも考えたストーリーだった。渡辺謙、寺島しのぶ、田中泯、永瀬正敏、高畑充希など錚々たるキャスト、それぞれが素晴らしい味を出していたと感じた。もう少し盛り上がった場面でおさめることもできたのかな、やや長いなと感じたが、二人の俳優の飛躍を予感させる映画だった。
鼓の音と共に映画の世界に引き込まれました
メディアで絶賛される映画なので、半分疑って見に行ったのですが、良かったです!
映画によっては時々寝ることがあり、この映画も3時間なので、寝るかも?と思って行ったのですが、3時間とは思えない展開に、圧倒されました!
これぞ映画!という展開で、重厚感があり、展開が面白く、勿論 役者たちが素晴らしく、日本の歌舞伎の世界が良く描かれていて、鼓の音と共に映画の世界に引き込まれました
畑は違いますが能楽の宝生流の藤井雅之氏から、「謡を謡える人はそうはいない」と聞いたことがあるのに、吉沢亮・横浜流星氏共に、上手な謡で感心しました
一門でもない外部者が歌舞伎の世界に入る物語ですが、大学時代に新たに能楽の世界に入った藤井雅之氏の事も、参考になっているのかなとも思ったのですが、そうでもなかったです
しかし監督の、李相日氏恐るべし!でした 今後の活躍を期待できる監督でした!
だから?
お二人の研鑽の跡は大変よく分かるんですが、それって見えてしまったら駄目なのでは?
お稽古に1年半かけた、ということらしいですが、でもそこまで。歌舞伎役者をなめてはいけません。
きっと歌舞伎の裏側の景色や歌舞伎役者の壮絶な営みを描きたかったのでしょうが、それって本物の歌舞伎をNHKがドキュメンタリーで撮影したほうがリアルで良かったのでは?と。
それを誇張して表現しているだけの映像で、薄っぺらい。
ストーリーは。。。凡庸です。次の展開が手に取るようにわかってしまい嬉しいような悲しいような。
途中で(暗い中で)腕時計をみて「あぁあと一時間もあるのか」と思いました。
正直3時間が長かったです。
絶賛されてる方、とぅいまてん。
俳優陣の演技は本当に素晴らしい 役作り大変だったんだろうなと心配す...
あっという間の3時間
国宝級の役者さんたちが素晴らしい
私にはまあまあ長い
芝居はすごいが話はあっさり
日本映画好きが好きな芝居が見られます。
もっと言うなら「芝居がすごい」と言いたい人向けの映画。
もちろん確かに芝居はすごいの一言。
ほぼ全員がハマり役で、上手な森七菜さんの演技が1ランク下に感じてしまうぐらい。
一方、話としては、荒いところは多々ありました。
終わりに近づくに連れてダイジェスト感が増してきます。
重要なファクターだったヤクザの息子という設定はいつの間にか忘れられてすんなり人間国宝になります。
テーマ相応の厚み
初見はレビューも感想も見ない方が絶対良い。
役者、映像美、撮り方、本当によかった。ストーリーも歌舞伎を除けば大衆が見やすいものであると思います。特にストーリーの流れはとてもよかった。喜久雄が血を求めるあまり落ちぶれて、竹野によって引っ張りだされ復活する一連が特に。
この映画は良くも悪くも役者ありき。絶対に一度観て損はない。
私は歌舞伎の知識がない。歌舞伎の上手い下手も全くわからない。ただ、それでも退屈しなかったのは圧倒的に顔がよかったからだ。あの綺麗さがなかったら私のような人間が見たらだれていたと思います。監督が顔で選んだ、という言葉はちゃんと選考理由の1つでしょう。役名のない役者さんや、一瞬の出番しかない役者さんでも演技が上手いので人間ドラマのストーリーがちゃんと面白い。
これは多分歌舞伎知識のない人間だからこその気になった点だと思う。
最後の娘とのシーンの会話の説得力が描写不足のしわ寄せになったのがもったいなかった。
喜久雄のせいで女性陣がどう不幸になったのかもう少し描いてほしかった。その雑な扱いが現わしているといえば納得はできるけれど、見たかった気持ちが大きい。
その割に渡辺一家の描写は丁寧だったので喜久雄はずっと余所者で厄介者という印象が抜けなかった。多分、芸に秀でていない私は喜久雄にも俊介にも共感できないので、母親の方で共感したかったのだと思う。しかしずっと嫌な印象しかないので墓参りの寺島しのぶの怒りの演技も、今まで我慢してたのを吐き出したかのような演技が、ずっといびってたのに?になってしまった。多分喜久雄が友達でもこの母親は陰口言ってるんだろうな、で終わったのが残念。もう少し母親の出番が少なかったら勝手に想像して共感できたと思う。描写のバランスって難しいんだなと。
ただ歌舞伎の知識があれば演目で補ってた部分かもしれないとも感じた。原作をちゃんと読んでからもう一度映画を見ると違った感想になるかもしれない。
よく役者さんは演じたと思うし、吉沢亮さんの台詞に頼らずとも目や表情で伝えてくる演技がとてもよかった。わかってはいたが田中泯さんは別格の存在感で喋るだけで空気が変わるし、三浦貴大さんと森七菜さんも好きな役者になった。少年時代を演じた役者さんも永瀬さの好演も印象的だった。
俳優さん達はみんな素晴らしくて演技を見るだけでも価値がある。
気になる点はあれど観てよかったし、ストーリーも面白かった。何度も観たいと思わせる圧倒的に「美しい」映画だった。
歌舞伎版明日のジョー、ゴッドファーザーもしくは
素晴らしい大力作で、絢爛豪華。誰かの投稿にもあったが、確かに2時間×2の前後編にしたら、もっと分かり易く観客に納得感のある作品になったかもしれないが、3時間弱全く飽きさせず、歌舞伎役者の数奇な一代記を一気に完結させたのは大変立派だと思う。おそらく来年初めの映画賞も数多く受賞するであろう大作と思います。また、何よりもロングランヒットし、多くの方が映画館を訪れるだろうことは何よりも喜ばしい限りです。ただ、この作品に勝手に100点満点で点数をつけるなら89点です。80点でキネ旬ベストテンに入るかも、85点でベストテン確実、90点でトップかも、95点で自分がトップと考える作品と勝手に考えています。
足りないとしたら、何となく、本作は明日のジョーのような感じしたからかも。キクオがジョーで、トシオが力石(根性のない力石ですが)、二代半二郎が段平(端正なおじさんですが)の感じがしてしょうがなかったからかも。挫折するとドサ回りに落ちるところも何となく。幼い娘に芸のために悪魔に魂を売ったと語るが、その内面には深くは入らない。勿論それでも良いが、もっとあそこから、もう一段恐ろしい芸の闇を描いても良かったのでは。原作未読のため、ないものねだりかもしれません。最後のインタビューで順風満帆と問われ笑ったが。
でもゴッドファーザー的な家族の愛憎劇でもあり、タイガー&ドラゴンの様に歌舞伎演目と話の内容が、かなりシンクロしつつ、でも下品にはならず、堂々たる大河作品に良くまとめたと思います。
男の友情を超えたドラマ
歌舞伎の道を究める女形2人。
美しかった。
梨園の血を恨む半弥とその血を渇望する東一郎お互いの苦しみを理解しながらも、時に憎しみ、哀れみ、惹かれあう。この二人のつながりがたまらなく切なかった。半弥の最後の舞台では2人の絆の強さが強烈に伝わってきて、涙が止まらなかった。映画の締めくくりの東一郎の舞台は、東一郎が求めている景色があり、それは東一郎の父親が殺されるときの風景だったり、半弥との舞台風景だったり愛する人たちの一番命を燃やす瞬間だったんだろう。 この映画に出てくる女優たちは、梨園の女のように本当に脇役だった。 正直、森七菜の存在はいまいちだった。梨園のお嬢にも、甘やかされたお嬢にもみえないし、東一郎に寝取られるくらい軽い女にギアチェンジしてくれたらもっと面白かったかな。ドラマの森さんと変わらない。そこだけ減点。
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