国宝のレビュー・感想・評価
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歌舞伎って面白いんですね
うつくしさよりも生々しさが印象的
原作未読、歌舞伎はハマるの怖くて敬遠、だけどべらぼうの横浜流星さんと、PICUの吉沢亮さんのとりあわせに惹かれて鑑賞しました。
公開後初の土曜日朝一の上映回で、150席のシアターがほぼ満席。老若男女、偏りなく来てはる感じでした。
・ほぼ3時間な上映時間はやはり長い…久々に映画で腰が痛くなりました。
それでも尺が足りない大河ドラマなので眠くはなりませんでしたが、原作を端折ってるんだろうなーって脚本の飛躍具合にはところどころ混乱しちゃいました。
・子役で演じる時代の描写が長くて意外に思いましたが、「怪物」が大好きなので、黒川くんの活躍には、おお…!と内心で拍手喝采でした。
・吉沢さんのお顔はひたすら整ってる感がつよいので、黒川くんが育って吉沢さん、ってのがあまりしっくり来てなかったのが、どさ回り時代の喜久雄が屋上で酒瓶呷って踊るあの場面で、急にすとんと腑におちました。幼いころの面影が…!って。
・一番印象的だったのは、紆余曲折を経てからの二人道成寺。
二人揃って一度どん底を味わってからの、蓮の花みたいに絢爛で華やかな舞台が眩しくて。なのに引き映像での美しさよりも、多用される役者のアップでお白粉や口紅の下のなまなましさの方が前面に出てくるところの業の深さというか。
・自身の嗜好的には、悪魔に魂を売って芸を極めていく喜久雄に、名跡も家族も何もかもを奪われていく感のある俊介の悲哀の方がぐっときてしまったのですが。
御曹司のぼんぼんで周囲には愛されていて、それでも本物の役者になりたいと足掻いてしまって、一つの境地に辿りついたかと思ったら舞台に立つための脚も命も奪われていくのほんと残酷で。
横浜さんがインタビューとかでお話になってる重心の高さ、ノーブルな人品のよさが出ていて改めていい役者さんだなあ、と思いましたのこと。
・役者さんでいうと三上愛さん演じる芸妓・藤駒のうつくしさと業がツボ。高畑充希さん演じる春江との関係が昨年の大河での定子と彰子の関係も彷彿とさせられてしまいました。
・総じて、役者のみなさんの演技や衣装やセット、画面のうつくしさや生々しさが興味深かったですが、主題というかストーリー展開には???が多かったので、原作読んでみようかな、と思いました。
うつくしい。
まず出てくる感想は、「傑作だ!」。
本作品、1960年代の長崎から始まり、大阪に舞台を移して2014年のラストまでの約50年間を描く大作。もちろん上映時間も175分と長い。
観る前は、その長さがちょっと不安だったのだが、まったく問題なし。
あっという間の3時間だった。
****
とにかく映像がきれい。特に歌舞伎の舞台を撮った場面は素晴らしい。
この美しい映像がこの作品の肝でしょうね。
そしてその美しい映像に映える吉沢亮のきれいな「顔」。
この作品、吉沢亮でなければ撮れなかっただろうな……
横浜流星も超絶イケメンだけれど、女形の姿では、吉沢亮の存在感が圧倒的。
登場人物のキャラ的には、配役が逆でもよかったのかもしれないが、女形の姿の美しさを見たら納得。素晴らしかった。
そもそも、この作品のテーマの一つは「美しさ」だと思う。
「美しさ」に魅了された人々が紡ぎだす狂おしいまでの物語。
吉沢亮演じる主人公、喜久雄は、実は劇中ほとんど感情の動きを見せない。
彼の感情が大きく動くのは、その尊厳が脅かされるときに示す激しい「怒り」と、「美しさ」に対する強い憧憬だけだ。
それ以外の感情はほとんど描かれない。
彼を突き動かしているのは、「美しさ」に対する強い衝動だけだ。
その衝動が、彼自身と彼に関わる人々の運命を翻弄してしまう。
****
物語の本筋は、吉沢亮と横浜流星が演じる2人の歌舞伎役者の人生をなぞるように進んでいく。
そこに横糸として織り込まれるのが、歌舞伎に関わる女性たちの物語だ。
寺島しのぶ演じる歌舞伎一家のおかみは、歌舞伎役者の妻であり母である立場で、運命の荒波に翻弄される。
この役も、寺島しのぶだからこそ、という快演だった。
おそらくは制作陣が歌舞伎一家の彼女を敢えてキャスティングしたのであろうが、見事に奏功していると思う。
妻であり母である彼女を襲う運命を見事に演じている。素晴らしい出来だ。
また、吉沢亮演じる喜久雄に関わる4人の女性たちも、歌舞伎役者である彼に関わったがゆえの運命の転変に翻弄されていく。
物語の終盤で、数十年ぶりに父である喜久雄に出会った娘のアヤノが口にした言葉がそれを象徴している。
「あなたはどれだけの人々の犠牲のうえに、今の地位に立っているのか」
しかしそれは、「美しさ」で人を魅了するためには避けられないことだった。
だからアヤノは言う。
「でも、歌舞伎役者花井半次郎(喜久雄)の演技を観ると、突き動かされるように全力で拍手を送ってしまう。……お父さん、本当に日本一の歌舞伎役者になったんやね」
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吉沢亮と横浜流星の少年時代を演じた2人の役者にも触れないわけにはいかない。
黒川想矢と越山敬達だ。
黒川くんは、「怪物」で主人公を演じ、その後も映画やドラマの出演が続く注目俳優。
この映画でも素晴らしい演技を見せていた。
女形の美しさでいえば、吉沢亮に引けを取らない。
末恐ろしい才能だ。
越山くんは、『ぼくのおひさま』で主演を務めた、こちらも注目俳優のひとり。
正直、背が高くなって感じも変わっていたから、同じ人物と気づかず、映画が終わってから調べて初めて分かった。
でも、後から納得。あの瑞々しい演技は得難い才能だ。
ちなみに『ぼくのおひさま』は、昨年観た映画のなかで僕の一押しの映画だ。
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間違いなく、今年の邦画の1,2を争う傑作だ。
映像美はもちろん、物語も秀逸。
一番のクライマックス、歌舞伎「曽根崎心中」のラストを描いた場面。
自然と涙がこぼれたし、劇中の歌舞伎の観客と一緒に、思わず拍手を送った。
映画を観ることの醍醐味を味わわせてくれる素晴らしい作品です。
見応えのある圧巻の映画だった
3時間の長い映画ではあるが、最後まで見応えのある映画だった。原作は読んでいないけれど、吉田修一と主演のイケメン2人につられて鑑賞。歌舞伎の女形を演じるのに吉沢亮は適役だ。綺麗な顔立ちが際立った。
まずはかなりの尺を歌舞伎の実際の演技に費やしている。それが歌舞伎には素人の私のレベルには、充分な見応えで、彼らがどれだけ修練したかが伺えた。
そして,テーマである血と才。梨園は血筋が全てと誰もが理解してるし、それゆえに、才能がない息子が産まれたらどうするのかなどと一般人は思ってしまう。とはいえ物心ついた時からずっと修行しているその年月と背負ってきた伝統の重みは簡単には裏切らない。ただ,圧倒的な才能の前には負けを認めざるを得なかった。映画は長い年月の2人の浮き沈みを描いていく。ヨメない展開に引き込まれる。全てを捨てて歌舞伎に向き合った男が手にするラストに涙が出た。
そして,この映画を1番支えたのは、田中泯の演技だったと思う。素晴らしかった。
歌舞伎の悪魔を憐れむ歌
李相日× 吉沢亮×横浜流星「国宝」血筋を重んじる歌舞伎の世界に人生の全てを賭けた男の物語。ロバート・ジョンソンはブルーズのためにクロスロードで悪魔に魂を売ったけど、吉沢亮演じる喜久雄は長崎の冬の夜に父の最期を見た時すでに芸の悪魔と契約していたのかもしれない。
終盤の壮絶な「曽根崎心中」のシーンである人物がつぷやく「こんな風には生きられないな」のつぶやきは映画を観ている人たちの代弁とも言えるけど、ひょっとしたら李相日の思いかもしれないなと考えたりしたな。
あと、吉沢亮と横浜流星は当然素晴らしくておそらく映画賞レースを席巻するんだろうが、この2人を喰う存在だったのが人間国宝を演じた田中泯で、その色気と悪魔性が混在する佇まいは圧巻でした。
傑作
「圧倒される」とはこのこと
至極の超最高傑作! これ以上の作品にはもう出逢えないかも知れない!
(Vol.2)
感じた事が全く書かれていないvol.1を上げて終わったままでスミマセン。
私、病?にて ちょっと横になる羽目に・・・でして。
体調がちょっと戻ったので 続きを。(誰も読んじゃイネェ~ ってか。(;^ω^))
(感じた事)
・圧倒的な歌舞伎の舞台美。緞帳を境に表と裏世界に魅了されます。
そして演目の限りなく華やかで美しい事。見事でたまりません。
・次に予告トレ-ラですね。 ”結局血やん・・・”、ビルの上で悩み踊る喜久雄の姿と、BGMの壮大さ。ここの5秒程みて コレだと思いましたわ。
タイトル ”国宝”って 肩透かしじゃ世間は決して許さない二文字。
非常に作りのセンスが絶妙で良く、掴みは絶大だったと思います。
・チラシは2カット持っており、吉沢さんのカットと、二人道成寺で横浜さんと吉沢さんが向き合ってるカットですね。こちらの向き合ってるカットがとってもイイですね。吉沢さんの右目に朱を入れてるのも 意味アリ気で興味そそります。
・そしてなんと言っても音入れが素晴らしい。
通常歌舞伎の囃子には 大鼓、小鼓、笛〈能管〉、太鼓 など和楽器が全て。その音だけにしてしまうと舞台上の演目は良いのですが、芸人役者の心理心情はこれでは兼ねられない。原摩利彦氏が生み出す音の全てが非常に画にマッチして心地よく観ている側に深く入ってきます。
トレ-ラ見た時に感じた心地よさが本編見てもシッカリとメインで入っており、この点が本作の持つ素晴らしい力点だと感じました。
・主題歌:「Luminance」が上手く心に浸透し エンディングの余韻を創っています。最後に舞台に舞うあの雪。あの景色を喜久雄と一緒に観て そして共に感じる心の流れが 観ている側とシンクロしたと思うのです。その長い長い駆けて来た半生の時間と、たとえ国宝となっても どうする事も出来ない自身から湧き出る淋しさが そこには有ったと感じます。
見事なエンディングを飾る 井口理さんの歌でした。
・喜久雄少年期の 黒川想矢さんですね。何処かで見かけたと?思ったら
映画”怪物”の湊くん。こんなに大きくなっちゃって。しかもイイ男。
彼は頬のホクロと上唇が少し上に反ってる感じが特徴。
確かに 若い時の役は難しかったと思うのですが それに動じる事無く見事に演じ切ってる所がす凄いです。今後の活躍に大いに期待です。
・俊介少年期の 越山敬達さん。彼は映画”夏目アラタの結婚”の刑務所の犯人と文通を遣ってた少年卓斗くんなのですね。
彼も俊介の大事な若い時代の役柄で、父の後を追いかけている姿を立派に演じていたと思いますね。
二人共女形を演技では無くて そのものを遣ってのけていたと思いました。
その意気込みがシッカリ観ている側を十分に魅了していたと思います。
二人共重要な部分だけに配役は良かったと感じます。
・横浜さん演じる息子の花井半弥。映画”正体”で最優秀主演を獲りましたが 私は本当の所あまり良くなかったと感じてました。周りが獲らせてあげたの声があってやっぱりそうなのかと。実は”流浪の月”の彼(中瀬亮役)が好きなんです。あれならあげられるかと。
今作、あの時と同じ監督:李相日さんとでタッグ。
この半弥の難しい心の流れを絶妙に醸し出していたと感じますね。
吉沢さん相手に殴り喧嘩とか。本気で殴ったら吉沢さん顔が吹っ飛んじゃう・・・だからそこはメッチャ手加減でしたね。
決して相手を憎まず裏切らない同志的存在。そして半二郎の息子として その価値観をしっかりと表現出来ていたと思います。
・見事な花井東一郎を演じきった 吉沢亮さんに心から拍手。
凄い凄い~、素晴らしいです。いや それ以上に歌舞伎と言う女形を真正面から激しくぶつかって行ったのが分かります。
今までの出られた作品でもそうでしたが、今作程、非常に魅了された役は無かったと思うのですよ。また一際美しい女形。たまらんですよ。
父を亡くした苦しい少年期から、弟子入りして、初舞台を演じ成功して。
そして運命の代役。三代目に成って行く姿と それらに期待する周囲と同時に囁かれる嫉妬。そして絶望と焦り。
なぜ自分が襲名してしまったのか。血とは何か。あれ程 欲しいと言ったのに。
それを物凄く心の底に感じ取って 激しく傷ついたと思うのですね。
お見事でした。彼に最優秀主演賞を上げたい思いです。
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(Vol.1)
こんな日が来るとは思わなかった思いです。
総てに於いて本当に素晴らしい~ の一言。
圧巻のアッと言う間の175分でした。凄すぎましたわ。
今日は期待の一作「国宝」の鑑賞です。
感動の波動域がかなり高くずっと続いており、観ているこっちもアドレナリンが出っぱなし。見終わった後も感動域が深すぎて元に戻ってこないです。
観た後に車の運転したんだが、こんな運転ヤバく成るの初めてかも。
映画鑑賞直後は お茶でもして心情が落ち着くまで待った方が良いですネ。
興奮冷めやらずです。
また映画の評価指標は★5までなのに ★6枠いる事態になって
本日以降、評価基準を変えないとイケない事態に突入ですね。
という事で、ハシゴでまだ観る予定作全部キャンセルして
レビュ-書いてます。 (こんなの初めて (。・ω・。) )
原作:吉田修一氏 「国宝」
監督:李相日氏
脚本:奥寺佐渡子氏
---------素晴らしい役者陣------------
・立花喜久雄/(花井東一郎)役:吉沢亮さん
・喜久雄(少年期)役:黒川想矢さん
・立花権五郎役(喜久雄の父、任侠組長で殺される):永瀬正敏さん
・立花マツ役(喜久雄の継母):宮澤エマさん
・彰子役(吾妻千五郎の娘、喜久雄の妻):森七菜さん
・吾妻千五郎役(彰子の父、大物上方歌舞伎役者):中村鴈治郎さん
・藤駒役(京都花街芸妓、喜久雄の愛人):見上愛さん
・綾乃(カメラマン、藤駒と喜久雄の娘)役:
・大垣俊介/(花井半弥)役:横浜流星さん
・俊介(少年期)役:越山敬達さん
・花井半二郎役(俊介の父):渡辺謙さん
・大垣幸子役(俊介の母):寺島しのぶさん
・福田春江役(喜久雄の幼馴染み、俊介の内縁の妻):高畑充希さん
・梅木役(歌舞伎の興行会社三友社長)嶋田久作さん
・竹野役(三友社員):三浦貴大さん
・小野川万菊役(人間国宝の歌舞伎役者):田中泯さん
主題歌:原摩利彦 feat. 井口理 「Luminance」
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(流れ展開) (注意)※ハッキリネタバレ書いてます
歌舞伎と言えば女形。
この女形を巡って行く 歌舞伎役者の舞台の表裏世界の話。
長崎の新年会の席で、立花喜久雄は出し物の女形を披露し 来ていた花井半二郎の目を惹いた。所がその席で任侠の父が抗争で目の前で殺される。復讐に行くが失敗する喜久雄。一年程は世間とご無沙汰だったが、父の死後行くところは無し。
世話役の人に連れられて来たのは大阪 歌舞伎役者・花井半次郎の家へ。
喜久雄が女形の才能を持っていた事が半次郎の記憶にあったからだった。
そこで半次郎の息子 俊介と共に必死に稽古に明け暮れて、やがて初舞台を踏む時が来る。人間国宝の小野川万菊にも出逢う事があり その事が後に彼を助ける事になるとは この時の喜久雄は思いもしない。
兄弟のように育つ二人だが、自分には俊介の様な名門歌舞伎役者としてのお家の血筋が無かった。この事がどんなに半次郎の亡き跡目を継ぎ三代目を世襲しようとも
周囲が許さなかった。そして週刊誌が彼の生い立ちを書き立てる。
歌舞伎役者として窮地に陥る彼は 役が欲しくて吾妻千五郎の娘に近づいて結婚するが激怒され梨園を去ってゆく羽目に。
二人は放浪しながら各地の宴会場で女形をして日銭を稼ぐ生活に。
片や俊介は 自分の幼馴染の春江と一緒になり息子がいる。
8年の放浪から家に戻り周囲からも認められていく俊介。
一方 自分には花街芸妓との間に娘の隠し子。
妻との間に子は無し。
梨園から遠ざかってゆく彼であったが、彼を救う手が やがてやって来る。
それが 死にゆく前の万菊である。
彼の一言で、喜久雄は梨園に戻って来た。俊介との再会し、
もう一度 あの歌舞伎の輝かしい舞台(二人道成寺)を 二人で演じる。
世間が二人の復活を待ちわびた日でもあった。
しかし、やがて俊介は糖尿病悪化で足を切断しないといけない羽目に。
苦悩する二人。 しかしその運命から逃げる事無く二人は舞台(曽根崎心中)をやってのけます。そして俊介の死。
あれから16年。白髪になった彼。俊介の息子も歌舞伎界で立派になり。
喜久雄は若くにして ”人間国宝 歌舞伎役者” に成る。
記者会見の日、そっと近づく一人の女性のカメラマン。
彼女は喜久雄の隠された娘であった。しかし出逢って直ぐに名前を当てる彼。
父としては憎む相手ではあったが、舞台を観る彼女は歌舞伎役者として彼を認める存在でもあった。
”悪魔と取引したけど 立派な歌舞伎役者に成れた”
それは一言では言い表せられない程の 犠牲と、後悔との引き換えの道であったであろうと思う。そこに 一筋に役者として生きて来た証があった。
人間国宝としての彼の舞台 (鷺娘)が最後に上演される。
そこに舞う沢山の紙吹雪。その中に 彼が観たかった景色があった。
それは 父の最後を見た時の景色と重なる。
きっと家族への忘れられない深い想いが
そこに在ったのだと感じます。
只今、絶賛公開中!
これは映画館で観るのお薦め。
是非 今の内に
劇場でご鑑賞下さいませ!!
ザ 歌舞伎
大きいことを描くのに必死で、小さなことを疎かにしがちな印象を受けた
大味な出来事の羅列であり、キャラクター主体の映画ではない。主人公が主体性なく状況に翻弄されて終始転がされてばかりいる印象を受けたけど、それも歌舞伎という由緒正しいしきたりや世襲から逃げられないでその道で生きていくしかない仕える身としての雁字搦めを体現しているのだろうか?つまり、"細部に魂は宿る"というように、本当に映画として大切なことが蔑ろにされているような。全て凄いクオリティなのに、どこか薄い。
撮影が凄いし、映画としてのクオリティは否定しようがなくて観ていられるのだけど、それに惑わされることなく観ると展開先行じゃないかみたいな印象。梨園を描くという大義のうえで、敢えてそういう選択をしたのかもしれない。人間そのものを描くというより梨園や象徴する伝統芸能の世界を描く。本作でしたかったこととしてそれで正解なのかもしれないけど、「人間ってこうだよね」的一般論みたいな、大文字・大枠な展開での転がし方ばかりで進んでいる気がして、"喜久雄だから(こそならでは)"みたいな個性となるものをあまり感じられなかった。
もちろん2人のキャラは青年期以降に見えてくるけど、少年期パートが総集編みたいに薄くて、その後も長い年月を描く伝記映画ありがち"濃いのに薄い"を地で行くような印象を受けた。
李相日✕吉田修一。代わる代わる豪華キャストが顔を出すけど結局のところ、吉沢亮も横浜流星2人による、役者の力。イメージングシステムなど巧さはあるものの、李監督のあの否定できない力強さみたいなものが、本作ではあまりに大きな外枠や形式に囚われすぎて希薄だったかも。
血と才、家と芸。美しい顔に自分が食われるさまをよう見とけ。本物の役者になりたい、日本一の歌舞伎役者に。いつも誰かがそこから見ている芸事を極めるうえで、悪魔と取引。つまり、綺麗事だけじゃやってられない。主人公2人の間で、『時計じかけのオレンジ』みたいに同じ展開が繰り返される構成。天国と地獄。嫌になっても、憎くてもやめられない、それでも舞台に上がるしかない愛憎渦巻く厄介な思い。好きや楽しいだけでは続けていけない、一筋縄では行かないもはや執念みたいな。守ってくれる血がほしい、お前の血をコップに入れて飲みたい。嫉妬と友情、というより戦友。そして、赤。見たかった景色に辿り着くまでに払った多くの犠牲、その上に成り立った成功("順風満帆"否定せず安牌「ひとえに皆様のおかげ」発言)。
女性の仕事。寺島しのぶであることに否が応でも感じてしまう必然性。そして、日本でもちゃんとインティマシーコーディネーター。
P.S. あと、糖尿病は遺伝するものだと初めて知った。
勿体ないと感じた。
注意点としては、結構ガッツリ目に濡れ場があるで家族や友人とは見ない方が良いと思います。個人としてはこの点がもっとも冷めました、歌舞伎には詳しくありません。だからこそ日本の文化を感じられると思って見たのですが、男女の関係を示すのに濡れ場で表現するのは勿体ないと感じました。歌舞伎のシーンや演者の葛藤シーンは本当に感動しましたが。登場人物の訳のわからない行動にも、は?とさせられて後半は感動も薄れてしまいました。まず、春江が急に喜久雄を裏切ったのか?俊介に惹かれていたとしてもクズ過ぎる。俊介も突然戻って来て「息子の為だ」仕方ないみたいな感じも癪に触るし、両足切っても同情出来なかった。春江が終始開き直ってる感じも胸くそ悪い。藤駒の娘も最後に父親と思った事はない、と言っていたのに喜久雄の芸に感動してお父さんって呼ぶシーンには?が止まらなかった。俊介が失踪した中、芸で支えていた喜久雄に対して幸子は泥棒呼ばわり。挙げ句の果てに喜久雄に役を演じさせない始末、情は無いんか?登場人物で良かったのは、竹野と彩子ぐらい。あとは、万菊の雰囲気で保てた情緒でした。人間性を生々しく表現したのは、良いと思いますが…年月も飛ぶしイマイチ最後は簡単に国宝になってて、ご都合主義が際立ってしまっていた気がします。吉沢亮や横浜流星の演技はとても素晴らしかったです。個人的な意見なので賛否両論あると思いますが、予告で期待値が上がり過ぎました。
気の遠くなるような紆余曲折を
「順風満帆」の一言で世間がまとめてしまえるようになるほどの時間を経て、追い求めた目標だけが達成される物語。
「国宝」というタイトルはそうやって他の全てを失い続けてたどり着いた場所の名だと思う。
純化された強い意志をもって突き進むスタイルは当作品そのもののあり方と同じで、近年あまり見なくなった(それが悪いとは思わない)演者と制作側の強烈な熱量というものを感じられる傑作。
※気になった点
〇吉沢くんと横浜くん、メイン2人のビジュをもう少しはっきり差別化してほしかった……。一瞬「これどっちや?」となる場面があまりにも多かった。
〇身も蓋もないけどドラマ尺で見たかった。一つ一つのイベントについてこちらが引きずったまま話が進んでしまうし、通しで見せられると「この辺でまたトラブル起こるやろなあ」とパターン読みしてしまう場面が出てくる。
〇一つ一つの演目に意味を持たせるなら、演目を実際に字幕で出してしまうんなら(カットの中で自然にポスターや看板を見せることは可能だったはず)その概要も書いてしまった方が良かった気がする。
当方歌舞伎についてほとんど無知なので申し訳ない。
〇「いい演技」の説得力は正直ない。ぶっちゃけ「これちゃんと詳しい人が見たらめっちゃ不評なんじゃ?」という不安が常に付きまとう。
血のつながり
濃い3時間
没入してしまって歌舞伎のシーンが終わると拍手しそうになってしまった。
実の子の方が可愛いに決まってる!
お互いに歌舞伎から逃げたけど、やはり芸しかないと言うこと。
若干人生を語るのには雑な部分はあったけど、
演技がカバーしていた。
吉沢亮が美しすぎました。
TCXで見れてよかったです。
美しいお姿のクリアファイルでもないのかなぁと探しましたが、売ってませんでした。
これは映画館で見るべき、家じゃ見れない。
ありがとう、国宝
長さを感じさせない力作
長崎のヤクザの家に生まれた喜久雄は15歳の時に新年会を襲われた抗争で組長の父を亡くし、組も解散し、天涯孤独となってしまった。その宴会で喜久雄の踊りを観て才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は抗争の1年後、彼を引き取り、喜久雄は歌舞伎の世界へ身を置くことになった。喜久雄は半二郎の息子・俊介と同級生で、兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていった。そんなある日、交通事故で入院した半二郎が自分の代役に息子の俊介ではなく喜久雄を指名した。その舞台を見事に演じてた喜久雄を客席で観ていた俊介はその場を逃げ出してしまった。その後の2人はどうなる、という話。
まず、新年会にあんなに簡単に親分の所まで押し入られちゃいかんだろ、とは思ったが、刺青の歌舞伎役者というストーリーは面白かった。
舞台や衣装など美術は素晴らしかった。予算使ってるなぁ、と感じた。
歌舞伎って大阪にもあったんだと知れたし、曾根崎心中の中でお初の右足への頬擦りシーンは印象に残った。
喜久雄役の吉沢亮、俊介役の横浜流星とも歌舞伎の演技が素晴らしく、見入ってしまった。半二郎役の渡辺謙、半二郎の妻・幸子役の寺島しのぶもさすがだったし、喜久雄の元恋人で俊介の妻になる春江役の高畑充希は演技は良かったけど、歌も踊りも披露できず、なんかもったいない感じ。
見上愛も出てたし、森七菜は変わらず可愛かった。
"魅せる映画"
おとうちゃん、、
失敗したとです。
人間国宝、歌舞伎、時代設定、
正面突破するのかという驚き、
メインタイトルが終わり、
「失敗したとです」
とミミズクと、この失敗を背負って、
生きるこの子の生涯を観るのか、
と思うと、ここで涙が出てきた。
が、
そのあとは、
評価は分かれるのではないだろうか。
人間国宝なので、
本物のキャストは難しいだろう。
映画なので、
〈本物〉は不要だが、
〈ホンモノみたい〉
〈ニセモノじゃないみたい〉感を、
歌舞伎のディテール、
映画的豪華さのみで担保するには、
難易度が高いシナリオだ。
曽根崎心中の二重三重構造、
道成寺の人間の業を舞に昇華させる事ができるなんて、
坂東玉三郎(人間国宝)か、
音羽屋の一部の限られた役者しか到達し得ない領域ではないだろうか。
(雁治郎さんOKの狙いは理解できる)
その説得力を根拠に話しが進むのか・・・
ミミズクとボンボンの、
自問自答過多の、
葛藤の配分と時間経過等々・・・
そのあたりを、
五社英雄風チカラ技で、
歌舞伎も映画も小説も昭和も、
「愛されてなんぼや」
と豪快に喝破できる観客にとっては、
評価は高いだろう。
全744件中、601~620件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
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