国宝のレビュー・感想・評価
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ファンタジーとして見れば、かなぁ
就職して最初の仕事が歌舞伎でした。
今は亡き人間国宝の方々とも接することが出来たことは、とても良い経験でした。という自分の歌舞伎との関わりをいちおう前置きとして、見た感想です。
舞台や演劇を物語にした映画やドラマあるあるなんですが、稽古初日から舞台を使っていたり(海外ではあったりもするけど)、稽古初日から衣裳を着ていたり、最近では、舞台美術家が本番で小道具を忘れた俳優にキャットウォークをつたって上から舞台に落とすって表現もあったりしますが、実際の舞台、演劇としては「ありえない」と思うわけです。
(そういう意味では、医療でも警察でも弁護士でも、みんな「実際はありえない」のでしょうけれど。)
そんなことを踏まえたうえで、歌舞伎はたいてい、昼夜興行。
二人娘道成寺を演じたのが、昼公演か夜公演は分からないけれど、1時間上演したとしても、他にも演目はあるでしょう。幕間があって、次の演目があるでしょうし。
この映像時(物語時)が初日としたら、次の日も公演があるわけで。
20日間興行としたら、あと19日あるわけで。そこでやり切った感だされてもなぁと思ってしまったわけです。
この激しい舞踊をあと19回、同じテンションで続けるのか。う〜ん。
舞台美術家が小道具持っていく映画は、タイムリープものだったから、ファンタジーと思えたけれど、いろいろと細かく描いている分、ない、ない、ないと思う点が多々あり、それが気になってしまいました。
実際の歌舞伎の顔寄せに初めて参加したとき、「當る平成⚪︎年⚪︎月興行〜〜千穐万歳大入叶〜お手を拝借、よぉ〜(うろ覚え)」みたいな様子で、心の中で、うわっ、映画の中のヤ⚫︎ザの襲名みたいだなと思ったので、反社の部分はファンタジーには思えなかったです。
背中に背負っていてもおかしくないかも(ないでしょうが)。
大絶賛している方が多いけれど、そこまでは……って感じでした。
何が自分にはハマらなかったかは上手くいい表せないですけど、今年イチとまではいかなったなぁ。(147本見て)
描ききれないでしょう
ポスターに感涙の文字があるが泣けた人いるのかな?3時間激しくて凄すぎて涙なんか出なかった。
歌舞伎はめちゃ見てる方です。5月の菊五郎襲名公演で菊之助と玉三郎の三人娘道成寺見たばかりですが、吉沢亮も流星もなんて上手いんだ!! 「親がいないのは首が無いのと同じ」中村獅童もそうなって映画のオーディション受けて有名になってから歌舞伎界にやっと役付きで出演出来るようになったんだよね。
香川照之が歌舞伎界に息子連れて入ったきていずれ猿之助襲名かと私は思ってた右近は主役じゃなくなって、、、愛之助はいずれ仁左衛門襲名するだろうし
血と才能 歌舞伎界だけでは無いけどドロドロがワクワクする
。一緒に観た歌舞伎良く行く友人が「渡辺謙は襲名口上で手が揃って無かったわ ありえんわ」と言うので糖尿病末期だから神経障害出てたからだよと私の私見でおしゃべりしたけど 調べたら事故の後遺症で右手が動かなくなってたと言うことでした。そういうセリフは無かったような〜3時間でも描ききれないよなーと思いました
出石の永楽館行ったことが無いので中が見られて嬉しかった
もう一回見に行きます
「国宝」こそは生きる力を伝える国民へのメッセージ
劇場で観たほうが良いという意見がネット上でかなり多かったので、ちょっとそれに乗せられて映画館へ……。
……結果、「確かにこれは劇場で観たほうがいい」「ここの皆さんが、映画館で観ることを強くおすすめしているのも、間違いではなかった」と、心から思った。だから皆さんにも感謝!
僕は歌舞伎についても詳しくなく、原作も未読。まっさらな状態でこの作品を観た。
しかし、ただ「舞台が美しい」とか「踊りが素晴らしい」とか、そういうレベルの映画ではないと認識した。
この映画が描いていたのは、「情念」でした……。
単に舞台を撮っているわけではなく、登場人物たちの内側から溢れ出る「情念」が、なぜかスクリーン越しにこちらへ迫ってくる。
その圧に、僕ら観客も息を呑んでしまう。
静かな場面では、映画館の劇場全体が凍りついたかのように静まり返ってしまった。
客席の一人ひとりがその張り詰めた空気に呑まれているのがわかる。
それだけ、俳優たちの魂が確かに映画の中に込められている。
吉沢亮氏と横浜流星氏……すごい役者に育っていると思う。彼らの血の滲むような努力が、映画の中で役として熟成され、完全に息づいており、舞台上での緊張感もそのまま、僕たち観客に伝えてくるといった凄味を伴った映画なのである。
気づけば、約3時間という上映時間があっという間に過ぎていた。
そしてエンドロールが終わったあと、自分の魂がどこかへ連れていかれたような、そんなぼんやりとした感覚だけが残っていた……。
僕は力を振り絞って、ゆらりと立ち上がり、劇場の外へ少しよろめきつつも歩いて行った……。
すごい映画を観たあとは、必ずこうなってしまう……。
ネタバレを避けつつ感想を語るのは難しいのだけど、前半は二人の主人公による、嫉妬と友情が入り混じった心のシーソーゲーム。
中盤からは、「舞台に生きるとはどういうことか?」という問いかけが、じわじわと浮かび上がってくる。
役者という生き方は、ときにその者の人生そのものを壊してしまう。
まるで悪魔と契約したかのように、その世界に取り憑かれ、他のすべてが見えなくなっていく。
人生、いい時もあれば……悪い時もあるさ。
言葉にすれば簡単だけど、本人が目の前にした時の辛さ、じっと耐え抜く生き方。
実際に目の前にすると耐え難い現実となる。
映画はその見せ方が上手い。切り取り方がうまい。人生における緊張感が、ぶつ切りで連続してくる。だから瞬きすら忘れるほどだ。
あるものを失って底辺に落ちれば、人から見下され、罵られ、そんな状況に耐えきれなくなった女からはあっさり見放され……惨めな状態。
自分もまさにそんな状態にあるから、すごく感情移入してしまった……。
特に印象に残ったのは、物語の初めに殴り合った相手が、親友になるわけでもなく、ただ見捨てず手を差し伸べる場面。
そこに乱暴だけど偽りのない人間らしさがあって、思わず涙が……。
さらに、ある因縁の再会の場面にも泣かされた。
カメラを向けるとある女性から投げかけられた言葉が、胸に深く刺さってくる。
そのときの主人公は、人生の荒波を越え、もはや神々しさすら纏ったような存在になっていて――そこでも人生を感じて涙がこぼれてしまった。
……他にも心を打たれる場面はいくつもあったのですが、ネタバレになるので控えておきます。
「人には夢がある」「やりたいことがある」と、そう簡単に言うけれど、実際はそんなに甘いものじゃない。
ときには人生を壊すほどの覚悟を持って、それでもなお進まなければならない。
誰かに「たとえ憎しみを持っても、舞台に立ってしまうもの」と言われて、舞台に立ち続けた先に見える景色は、言葉では言い表せない何かであり、それは極めた者だけに見える世界なのだと、深く感じさせられた。
この作品は、人生に迷っている人や、何かに傷ついて希望を見失っている人にこそ観てほしい映画。
観た人の心に、きっと何かを響かせてくれる。
そんな、神々しさすら感じる映画でした。
さらばわが愛、を彷彿とさせる
血筋と才能
圧倒的映像美と残酷なまでの芸の道
見終わって3日経ちますがまだ心が震えている。
とにかく映像が美しい、吉沢亮と横浜流星も美しい。そしてあまりにも残酷でもある。芸のために行き芸の前に夢破れる。劇場の大スクリーンで見るのにふさわしい日本が世界へ誇れる作品。吉沢亮の代表作になるだろうがほかの出演者も素晴らしい。 もう一度見に行きたい作品
芸のためには悪魔に魂を売る
ヤクザの息子の喜久雄は父を殺された後、歌舞伎役者の花井半二郎の弟子のなって東一郎を名乗り、半二郎の跡取り息子の俊介(花井半弥)と切磋琢磨しながら女形として頂点を目指す物語。
約3時間の長尺が気にならないくらい引き込まれて観ることができた大きな要因の一つは素晴らしい映像美があるだろう。
また、吉沢亮や横浜流星などの演技も、踊りや所作が素人目にはすっかり様になっているように映る。
プロットに関しては、あれだけ長編の原作小説をどう映像化するのかを楽しみに行ったのだが、思った以上に大胆に刈り込んでいて、徳次は最初の場面のみ、弁天や辻村はないことになっていたのには若干驚いた。
ただ、それは基本的に喜久雄と俊介に焦点を当てて視点がブレないようにするための工夫であり、その試みは成功していると言えるだろう。
そもそも原作を全部を入れようと思ったら、少なくとも本作の3倍くらいは必要になりそうだし、丁寧に舞台の場面を描いていけば「大河ドラマ」にすらなり得るだろう。
歌舞伎への見識があればもっと楽しめるのかも知れないが、歌舞伎弱者の自分でも十分に楽しめた。
昔、「読んでから観るか、観てから読むか」なんていう角川映画のコピーがあったが、どっちもありな気がするが、自分は事前に読んだ知識で欠けている部分を脳内で補填しながら観ることができていた。
魅せられた人びと
圧巻でした!
特に舞台のシーンはもう最高です。
最後の鷺娘の衣装が白から赤へと変わる瞬間は音楽も相まって、本当に素晴らしかった。
紙吹雪の中、舞う姿も素敵でした。
片足を失った俊介演じる曽根崎心中も鬼気迫るものがありました。
吉沢亮、横浜流星。
数十年に及ぶ歌舞伎役者人生を見事に演じきってました。
女形の小さな仕草や所作を再現しておりました。
世襲制度の良いところ、悪いところも描かれていました。
血に護られつつも重さに苦しむ俊介。
血に憧れながら、ひたすら芸を磨く喜久雄。
大役に抜擢された重圧で震える喜久雄の化粧をする嫡男の俊介は、彼の才能に魅せられていたのだろう。
そして悪魔と契約してでも、歌舞伎役者の頂点に立ちたかった喜久雄は俊介の血に魅せられていた。
お互いに認め合い、17年の時を経て共演した二人は幸せそうだった。
共演者も素晴らしかった。
中でも田中泯の鷺娘は喜久雄と俊介を虜にするのに相応しい妖しさだった。
3時間という上映時間に尻込みしておりましたが、全く心配ありませんでした。
本当にお薦めできる作品です。
ただベッドシーンは不要かな?
映画館はほぼ満席。
そのほとんどが女性でした。年齢層も高めだったので、俳優さん目的というより、作品目的といった感じ。
それでいいの それでもやるの
(人間)国宝
文化財保護法第71条第2項に基づき
文部科学大臣が指定した
宝物や建築物などでない技能などの
「重要無形文化財」の保持者として
認定された人物を指す
人間国宝という言葉は俗称で
法定上は単に「国宝」である
国宝に認定されると助成金が
年額200万円ほど支給される
吉田修一原作李相日監督コンビは
ヒット作「悪人」「怒り」に続き3作目
人知れぬ歌舞伎の世界を
舞台にした人間模様を描いた今作
いんや凄かった
なにせ歌舞伎役者を演じるのは
吉沢亮 横浜流星ら
いつもの俳優というところである
当然梨園の方の指導によって
作られていくのだろうが
実際に檜舞台での演目シーンの
緊張感が半端ないのである
そして撮影
ソフィアン・エル・ファニの
外国人特有のアングル
一体これは何を観ているんだ
という感覚にさせられるのである
歌舞伎が題材なのだから
梨園の歌舞伎役者がやってしまえば
きっとこんな感覚にはならない
それでいて訴えるものが
すさまじい
「鷺娘」「二人道成寺」「曽根崎心中」
有名な演目を「てんどん」する
ことにより得られるそれぞれの思い
の演出など歌舞伎のしている
本質を追求しようとする
素晴らしい完成度でした
親を殺された任侠の息子喜久雄の
女形の才能を見抜き引き取った
花井半二郎が息子俊介と芸を磨かせる
うちにたった7年で生まれた時から
しごいてきた俊介を
半二郎の芸の観点で抜いてしまう
そして突然訪れた半二郎の
曽根崎心中の代役に選ばれたのは
「磨き上げた"芸"で身体が勝手に動く」
喜久雄
「花井の役者の"血"が守ってくれる」
はずの俊介も心のどこかで喜久雄を
認めていたが
演じ切った喜久雄に衝撃と絶望
喜久雄の邪魔にならぬよう
身を引いた幼馴染春江と
失踪してしまう
こうしてこの映画は常に
舞台の上で与えられた
役者の演技の衝撃によってのみ
話が進んでいく演出が効く
やがて半二郎は糖尿病を患い
その名を喜久雄に譲ろうとする
周囲は当然異論を唱えるが
これは俊介の失踪もあるし
芸の側からの英断であった
そして白虎を襲名するが
襲名挨拶の場で壮絶に果てる
週刊誌はスキャンダルに走り
やはり暴かれる自身の任侠の過去
隠し子などで転落していく
そこへドサ周りをしながら
俊介が戻ってきて
若いころの喜久雄に
「その美しい顔に負けない役者に」
と告げていた国宝・小野川万菊の元で
歌舞伎をやり直すことに
立場は逆転してしまう
やはり最後は「血」か?
というと俊介は遺伝か父と同じ
糖尿病に侵され足を切断せざるを
得ない事態に陥ってしまう
ではやはり「芸」か?
というと才のある芸で人は魅せられ
花井家の父から子供に継がれる
道を壊してしまった悪魔の力である
喜久雄も俊介もその苦しみを味わい
迷うところで万菊は
「あなた 歌舞伎が嫌いでしょう」
「でもいいの それでもやるの」
「それが役者なの」
という言葉は響く
役者の演じにはその役者の
人生や過去が乗り移るらないと
出てこないという事か
芸か血か
どれかだけじゃなく
どれも染みるほど苦しみを
味わってきた者こそ
日本一の最高の役者になっていき
国宝級になっているもの
なのかもしれない
不倫や不祥事などのイメージ失墜
だけでバタバタ消えていく
昨今の芸能人
果たして人前に現れていいのは
潔白な聖人だけなのでしょうか
そりゃ限度もあるが
禊はあってもいいと思う
それは芸の肥やしだから
でなければ誰も出なくなる
30年前上岡龍太郎は
芸人なんてものは
売れれば万歳
売れなければあとは哀れ
野となれ山となれ
そもそもまともな商売や
ないんです
最近のテレビ
女性も子供も安心て観られる
テレビなんて目指したら
芸人の居場所はありまへん
と言ってましたが
本当に今そうなってませんかね
もっと「棚」のある世の中で
いいんじゃないかと思う作品でした
見事に演じきり
この作品の真髄に本当に迫った
役者・吉沢亮や横浜流星らの
今後も期待ですな
女性美の表現
大作
久しぶりに大作を観た気分になりました
(内容から原作もあり予想されたような展開で、意外性は一切なかったので気分と言いました)
ということで明らかなのは、日本の伝統芸能の歌舞伎について、それにまつわるあれこれが描かれ興味深さはありました
ただ細部を観るとあり得ないような、雑な点も目立つ(御曹司の失踪から、旅役者に紛れ込んで等)小説だと想像で納得をねじ伏せられても、この時代ありえない話ですね
人間ドラマとしては梨園のドロドロとした関係は割とよくえがかれてはいましたが、身内びいきの独特の社会に対する考察はかなり弱いですね〜
女性が公序良俗を乱すとして、男を女形として舞台で女性を演じさせたいびつな形はいづれ見直しも必要かもしれません
伝統と美の狭間に、対社会として存在するなら変革すべきは、変革した方がすっきりしませんか?それで残したほうがよいと時代が判断すれば、それも尊重すればいいですね
力強くまっすぐで華やかなエンタメ
映画館で全身で浴びるべき映画
軽い気持ちで観に行ったら、3時間泣きっぱなしだった。言葉にせずとも、一瞬の表情から、行動から、仕草から、それぞれの感情が溢れ出ていて、心を揺さぶられ続けた。
特に舞台上での姿が圧巻。息をするのも忘れる勢いで見入ってしまう。迫力、映像美、音楽、役者というよりも魂そのものを目にしているような衝撃を全身で感じた。とにかく映し出される全てに心が共鳴してしまって、勝手に涙が溢れる。
TVやスマホなどでは味わいきれない、細部に宿るとても丁寧な芸術による感動。映画館で見られることの喜びというか、とても贅沢な体験に思えた。
没入感がすごく体感としてはあっという間なのに、数日は引きずる。心に喜久ちゃんと俊ぼんが住みつく。
感情移入しやすい方は特に
・メイク落ちる
・泣きすぎて頭痛くなる
・国宝のことしか考えられなくなる
の状態になっても問題ないって日に見に行くことをおすすめします。
とにかく映画館で見てほしい!!!
順風満帆
脚本、撮影、美術、照明などそれぞれの完成度が高く圧巻の大作に仕上がっている。中でも際立って魅せられたのは、吉沢亮さんや横浜流星さんを始めとする俳優の皆さんの演技力だ。配役と向き合い演じきるために相当な努力をされたことがビリビリと伝わってくる。
異例の年齢で人間国宝になったときのインタビューで順風満帆の人生と評されていた。でも本人にとってはそんなことはまったくない。山あり谷あり、血に翻弄され自分ではどうにもできないことに苦しみながら人生の答えを探し求めていた。自分と近しい人にしかわからない真実。
最後の舞台では、舞台裏を歩いているときにこれまでの演目の小道具大道具が置かれていた。人生を振り返っているようだった。
ストーリーがイマイチ
制限があるが故の美に、なぜこんなにも人は惹かれるのか。
予告編を観て、あまりにもエモーショナルで、本編を早く観たいと思いました。
歌舞伎は一度も鑑賞したことがありませんが、直感が面白い!と告げていました。
期待にたがわず、3時間、夢の中にいるような美しい世界でした。
まず、少年時代の喜久雄を演じた黒川くんが素晴らしい。
そして、寺島しのぶさん!
圧巻の存在感です。
俊介に対する母としての想いも、すごく共感しました。
きっと、ご本人も含め周囲の方々の胸に、一度はよぎったのではないでしょうか。
「しのぶさんが男だったなら、きっと稀代の女形になっていたはず」と。
天皇家の問題しかり、いつのタイミングでこれらの縛りが外れるのかなと思います。
青年期の喜久雄の短気さ、後先考えなさは、人格形成期まで極道の家で過ごしていたから。
父の代役を務めた喜久雄の演技を見て、劇場から逃げ出す俊介と好対照です。
俊介の遺伝子の半分は母親からで、必ず父親の才能を受け継ぐわけではありません。
歌舞伎の家に生まれ、幼少期から鍛錬することで、芸事は引き継がれていきます。
しかし、芸術の世界では、努力は才能を上回ることができないのかもしれません。
俊介が、父親から受け継いだであろう糖尿病で、舞台を降りるのは、皮肉です。
喜久雄の舞台を観ている時に、何度か涙が出ました。
ストーリーや吉沢亮さんの演技に感動したわけではなく、ただ、喜久雄の姿に、心が震えました。
舞台の上で生きて死ぬことを繰り返せば、いずれ妖怪のようになっていくよなと納得です。
もっと晩年の喜久雄も観てみたかったです。
題名に惹かれ、「罪名、一万年愛す」を読んで、作家・吉田修一さんにはまっています。
今読んでいる「パーク・ライフ」の後に、「国宝」を読みます。
そしてもうひとり、「正体」で横浜流星さんの演技に沼りました。
「べらぼう」の蔦谷重三郎もいいけど、「国宝」の俊介の方がささりました。
追いつめられる彼が好きなんて、我ながらサドだと思いますが、今後も応援していきます♪
エンドロールの後、劇場が余韻に包まれた。
すごいとしか言いようがない。
今まで見た映画で一番濃密な3時間だった。人生の中で一番かもしれない。最初からエンドロール終わるまで、隣の席のこと忘れて没頭。
Netflixに頼らなくてもすごいもの撮れるんだ。アイスクリームのように溶けていく日本映画ばかりの中で、歴史刻んだ。
脚本、編集、映画芸術としての舞台、役者の鬼気迫る演技。全てが素晴らしい。
李監督、スタッフ、役者さんのすべてに感謝したい。
芸事を極めるとは
李相日監督の乾坤一擲感、堂々たる作品でとてもおもしろかったです。
私は歌舞伎自体を観たことがない。けれどニュースで梨園の方たちの近況を頼んでもないのに報道したりしている近くて遠い芸能。なにか格式高くなって手が届かないのに国宝までにもなれる、よくわからない存在。それを映画という大衆芸能に落とし込み、その世界を垣間見せてくれた技量に感謝
小道具、ファッション、クルマもキチンと年代に合わせているし、カメラのフォーカスも心情にあわせて寄って撮ったりしている。俳優陣も心血注いでいるな、という覚悟を感じられる。吉沢亮、横浜流星、ともに次世代を担うスターが李監督の洗礼を受けて、また新たなステージにあがったと感じました。
惜しむらくは3時間あっても、まだ描写できないところはあったんだろうな、という気がします。ここらは原作小説で補うのかな
とにかく真っ当な邦画でしたのでぜひ
『百年に一度の壮大な芸道映画』でした!
全1836件中、281~300件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。