劇場公開日 2025年6月6日

「ディレクションの重要性が分かる勿体ない作品」国宝 たいがさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 ディレクションの重要性が分かる勿体ない作品

2025年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

私は歌舞伎に関して無知だったが、演者の圧倒的なまでの再現度とドラマの演技、上質(であろう)原作と脚本、緻密なVFXが素晴らしかった。
一方アングルや編集、劇伴などディレクションに関わる部分のクオリティが壊滅的。
その他のほぼ全ての素晴らしい部分が打ち消されてしまっている。
せっかくスコープサイズで映される演技の様子、楽器演奏や歌の様子に圧巻され、感動するも、その瞬間にそれに及ばないスタイルのBGMとダイジェスト編集で涙をキャンセルしてくるのは、歌舞伎へのリスペクトまたは憎しみが欠けているか、あまりにも恐れているためなのだろう。
ドラマも含め、題材も役者もスタッフも観客も信頼していない正に”逃げ”の映画だった。
画コンテも甘く、アドリブも制御できず、望遠のアップが演者に追い付かずとさんざん。
同録(っぽい)音声や(歌舞伎の)音楽もクオリティが高かったのに、残念としか言えない。
「アングルと編集がよければ それなりに面白くもなるよ」
と私の好きな監督は言っていたが、今作はその逆で、ただそこだけ、根幹の要素のせいで傑作のポテンシャルが希釈されてしまった。上映枠の問題もあろうが、もう少し長ければよかったのかもしれない。

たいが
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