「涙」国宝 もんくーるさんの映画レビュー(感想・評価)
涙
夫がたまには映画が観たいと言うので、それならこんなに話題になっているのだから観ておこうかと、今頃観に行って来た。
…最初から涙でした。15で目の前で親を殺され、復讐を企てるも成就せず、身寄りも失くし、一度会ったことがあるだけの歌舞伎役者の元に身を寄せる…
自分で選んだ訳じゃない、ヤクザの家に生まれたことも、その抗争に巻き込まれて親を失くしたことも。
「覚悟が違う」
もう帰る家もない、血の繋がりもなく、それ故手を差し伸べてくれる人もない、そこで生きていくしかない。
血筋に胡座をかいてるボンボンとは
「覚悟が違う」
私自身、15で養子に出た。もう生家には帰れない、慣れない場所で、ここで生きるしかないんだと、覚悟ともその時は思わなかったけれど、のほほんと生きている周りの人間とは訳が違った。後に、その時精神的に自立してしまったんだね、と言われたが、なるほど、そう言われればそうだったかと。
そんな風に、たぶん人とは違う観点かもしれないが、最初からあの世界に引き摺り込まれてしまった。
歌舞伎の知識もほとんどないので、良し悪しは分からないが、充分に人の心を掴んで揺さぶるパワーがあったと。原作未読ですが、予備知識はなくとも十二分にあの世界を楽しむことができ、理解できない夫との間に溝が…笑
最初のシーンから覇王別姫のあの二人を思い出したんですが、やはり監督がそれを観た衝撃が本作に繋がったそうで。改めて名作なのだなぁ…と。
細かいこと色々言われてる方もおられますが、梨園の悪い?風習等全て、それ現実なんでしょ?それをそのまま描いていていいんじゃないかと。著者は物凄い取材を重ねて小説書いたそうなので。
どんなことにも光があれば必ず影がある。歌舞伎なんて特殊な世界です。だからこそ残って来た芸能かもしれない。
そして私は、何の才能も持ち合わせていなく、鍛錬も修行もしておりませんが、最後に喜久雄が辿り着いたずっと探していたあの景色、分かるような気がしますよ…
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
