劇場公開日 2025年6月6日

「女形と日本、を表現した作品」国宝 Dannyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 女形と日本、を表現した作品

2025年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

ドキドキ

歌舞伎だけではなく、雅楽、舞台、建物、着物、空気......『日本』が凝縮されていて気持ちの基軸の部分からすでに高揚感があふれました。
町の感じ、お祭りの屋台、神社、、勘亭流フォントの垂れ幕...
数秒数分と画面が進むごとに豪華に漂う『和』を味わいました。

歌舞伎を題材にしていますが、歌舞伎というよりは「女形」の物語のように感じました。
男性が一生かかっても到達出来ない女性の心。
それははかなげで可憐で美しく可愛らしく、情念が深く執着が半端なく邪悪でもある。
女性には男性とは違う良い部分も悪い部分もあります。

喜久雄も俊介も、女性的な情念と執着、そして女性特有の卑怯さズルさを持っています。
役者としての魂を持つから情念が深いのか...
それもあるけど、『女形』だからというのもあるように感じます。

だけど、子供も作るし女も抱く。
『男』ではあるのだけれど、、最後に結局、本来一生分かることの出来ない景色(女性の心)を見ることが出来た。
という感じに収束したように感じました。

これは私個人の感想なので、実際は全然そんなことは何も意図していないのかもしれないですが、なるべくしてそういう風な空気が自然と織られたようにも少し思います。

国宝というのは、ある特別な景色を見ることが出来た者がなるものなのでしょう。
女形の場合は、女心に浸り男では味わえない景色を見る者が...なのでしょうか。

これを映画館で観ることが出来て本当に良かった。
日頃の行いが良いのかな。

Danny
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