「エキストラに参加して」国宝 重村牧男さんの映画レビュー(感想・評価)
エキストラに参加して
かなり遅くなりましたが、今年話題のこの映画について書きます。
実際は公開してから1週間以内に観たのですが、
もうパンフは完売の状態で、これだけで人気作品だということが手に取るように分かりました。
エキストラで京都東映撮影所へ行ったのは、去年の秋前。
まだ暑かった頃です。
どうしても監督の作品に参加してみたかったので、
無理矢理入り込みました。
メイクとヘアーセットをして、観客席端の前から5番目くらいにスタンバイしました。
待ち時間はかなりありましたが、ひとりが好きなのでまぁまぁ楽しめました。ロケ弁もいっぱい出ましたし。
監督により映画の作り方は異なるのですが、
李監督の演出力はさすが名監督だけのことはあります。
最初、助手の方からサクッとこんな場面ですという案内はあるのですが、それだけではフワッとした感じしか皆さん掴めませんでした。
その後、監督が補足というか、場面の真髄の説明がありました。
この舞台がどういう経緯で行われるのかという案内があり、
横浜流星さんの演技力と相まって、
リハ含め4回涙が自然に流れてきました(映ってないけど)。
美しさは吉沢さんですが、横浜さんは演技力が半端ないです。
それより上回ったのは田中泯さんの化け物。
映画では誰をも食うインパクトでした。
さて撮影ですが、監督は丁寧な作り方をします。
同じシーンを各角度で、更には手だけとか、音だけとか何テイクも撮るんです。
編集もたいへんそうですが、演じる役者さんもワンテイクではすまないので、
同じ感情を何回も演じるのは、並々ならぬ苦労だった事でしょう。
完成された映画は、その完璧さの賜物でしょう。
芸術的に美しい。
でもよく比較されているようですが、
京劇を題材にした『さらばわが愛〜覇王別姫〜』と比べると生死や激動の時代背景がない分、やはり生チョロい。
長い原作をコンパクトにまとめたせいか、
どん底に落ちた登場人物達がいとも簡単に這い上がってきている。
また李監督としてもベストではない気がする。
吉田修一氏との相性はいいはずなのですが、『怒り』ほどの閉塞感もない。
『フラガール』ほどの昭和の汚なさもなく、ただ昭和が美しくみえる。(衣装や髪型が大変そうだったのは見てましたが)
全世代に対応しこれだけ話題になり、丁寧に作られた作品であるから、
各賞を総ナメにするのは明らかなのですが。
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