「騙されたと思った(F1からの国宝は失敗した、という話)」国宝 むりぶしさんの映画レビュー(感想・評価)
騙されたと思った(F1からの国宝は失敗した、という話)
あの日、友達とF1を観たあと爽快感でいっぱいだった。
「(F1)面白かったね〜」と、二人とも観る前より遥かにテンションが上がっていた。大満足なのは、多くを語らなくてもわかった。そして友達は「国宝はとにかく、踊りがとっても綺麗だった〜国宝も絶対観た方がいいよぉ」と国宝を勧めた。それで調子に乗って、翌日に朝イチで国宝を観に行った。ほぼ満席で最前列まで埋め尽くされていったので、「木の上の軍隊」みたいに、凄いことになってる感があった。
しかし、F1でドーパミンが出てフワフワした感じだったのに、国宝の湿っぽさというかドロドロ感、救いのない話もあって、一気に真逆のダークサイドに引き摺りこまれたのだった。一週間くらいはF1の高揚感にひたっておくべきだった。それが今年の夏の過ちで、10月なのにまだ引きずっています。
「踊りが綺麗だったぁ」と目を輝かせていた友達に悪気は無いんだよね…。確かに踊りは綺麗だったよ、でも、踊りだけじゃないよね。監督が描きたかったものは。もっと解釈が欲しかった。友達に騙された…でも国宝に関しては調べなかった私が悪い、それに尽きる。
才能のある主人公(吉沢亮)が努力も惜しまず真面目に稽古に励んで、血筋を蹴散らし、死にそうなプレッシャーも乗り越え、大好きな芸の華を咲かせる。と、ここまではいい話しなのに、悪魔と契約し友達(横浜流星)の大切なものを奪って、そして愛してくれた女達が不幸になるなんて。で、やっぱり悪魔に蝕まれて落ちていくんだよね〜、自業自得。でも落ちるとこまで落ちて行ったら可哀想って思えてくる。そしたら人間国宝(田中泯)に救いあげられて、改心して真の人間関係(友情)を築いて成功する。っていう王道のストーリーで感動させられるという。
田中泯さんの最後、控え室みたいな簡素な部屋に煎餅布団みたいな…。悟りを開いてたけど、それがいちばんぐっときたかな。
瀧内公美さんは重要な役割を任されてましたね。ぽつぽつと話す記者で、もしや捨てられた娘やあらにと思っていたら、横顔で瀧内さんだとわかった時は「うわぁ」と思って、娘の感情が入って来て泣けました。
騙されたのは、ただ単に綺麗なだけではない。人間の醜い部分と美しさは紙一重ってことか…うかつだった。踊りが綺麗なだけではここまでの現象は起きないよね。
「踊る大捜査線」も超えるんだろうなーーー。
俳優陣の演技も圧巻で、総合的に素晴らしい映画であることは言わずもがなです。
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