「血と芸の果てに残るもの」国宝 shinさんの映画レビュー(感想・評価)
血と芸の果てに残るもの
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あらすじ
歌舞伎界を舞台に、芸の継承や梨園の世襲、そこに生きる人々の愛憎や運命が描かれていく。
「国宝」という言葉が、単なる芸術品ではなく、人の人生そのものに重ねられていく物語。
感想
評判が高いと聞いていて、ようやく見られたことにまず満足感があった。その評判を裏切らないどころか、気づけばすっかり引き込まれていた。
普段馴染みのない歌舞伎なのに、役者の真剣さや舞台の熱に自然と集中してしまう。女型の美しさは終始印象に残り、ただ舞台を見ているだけで時間の感覚が薄れていくほどだった。
とりわけ「曽根崎心中」が二度登場する場面は強く残っている。同じ演目なのに響き方が変わり、芸がただの技術ではなく、役者の人生そのものと結びついているのを実感させられた。
物語全体も、血筋と芸のせめぎ合い、人間模様の浮き沈みが複雑に絡み合い、舞台と現実が自然に交差していく構成が見事だった。小さな伏線が後になって効いてきて、「ああ、そういうことだったのか」と腑に落ちる瞬間が何度もあった。
最後まで手を抜かずに作られた作品であることが伝わってきて、その余韻が今も残っている。
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