「すごいものを観た、、!」国宝 ordinalさんの映画レビュー(感想・評価)
すごいものを観た、、!
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あれほど性根入れて突き詰める覚悟があると、予知的な景色に向かって未来を引き寄せるものなのか。
何より、役柄と自身の現実が重なる切実な底力を振り絞った迫真の演技をする役を憑依させる俳優たちの凄みのある表現力に感服。
入門する頃の紫シャツ、お上品なのだけれど、茶レザージャケットと合わせると、彼の境遇もあって二重に“アウトロー”感が増幅されるのよ。
そして華美な着物と厚化粧は崩れると途端に化け物になるのもたぶん演出にもってこいの重要な特徴で、屋上で身なりを崩し酒に溺れて踊り狂う姿は、社会的弱者の己を嘆き荒ぶるジョーカーのようですらあった。
華麗で優美な役柄の出で立ちと舞台を降りた憂鬱さの対比が、国の伝統芸能を代表する“宝”に成り上がる公的な光の部分と、血筋を持たず血の滲む努力で這い上がってきた執念が静かに燃えたぎる私的な影の部分との2面性に視覚的コントラストを与えている。
一貫して、怒りの矛先が不必要にライバルに集中することが無く、また不条理な敵と言えば冒頭のヤクザと歌舞伎の世襲くらいで全登場人物の行動と言動に筋が通っていたので、最後まで気持ち良く観られた。
欲を言えば、一緒に敵討ちに行ったかつての相棒にもう一回くらい出てきて欲しかった。
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