「国宝級の傑作映画。ぜひ劇場で。」国宝 のえさんの映画レビュー(感想・評価)
国宝級の傑作映画。ぜひ劇場で。
どこから語ればいいのか、とにかくストーリーも演技も映像も、全て素晴らしかったです。
歌舞伎という、おそらく多くの日本人がややとっつきにくい古典芸能が題材。稽古の厳しさ、しきたり、作法、感情の表し方などが丁寧に表現され、その世界に入り込むことができました。
歌舞伎の独特の声の出し方や動きに、さらに感情を乗せるという概念がなかったので、渡辺謙が曽根崎心中の稽古をするシーンはちょっと驚きながら見ていました。
そしてさらに驚きなのは、その感情表現を迫真の演技で表現していた吉沢亮。圧巻。目の前で実際に演じているかのような圧がスクリーンから感じられました。
あと、彰子との「どこみてんの?」のやり取りのあとの笑うシーンもゾクっとしました。日本を代表する役者さんになりそうですね。
見せ場としては吉沢亮が多かったのですが、横浜流星も、御曹司ながら親友でありライバルの喜久雄を認めざるを得ず、でも溢れる悔しさと敗北感を表現する難しい役どころを演じ切っていました。ちょっとチャラつきながら芸へのひたむきさを出せるのもさすが。感情の複雑さはこちらの方がより難しかったかも。
二人にどっぷり感情移入できるくらい、丁寧にストーリーは描かれていました。特に良かったのは、幼少期の二人は純粋に親友で稽古仲間であるところが描かれていたこと。ここでライバル感があると物語としてわかりやすいのですが、後のストーリーが安っぽくなるので。
最後の方はかなり駆け足の印象でした。喜久雄は急にあっさりと復活。俊介が逝去したのはワンカットでも葬式シーンを入れるか、せめてナレーションもう少しきちんと説明してほしかった。ついていけなかった。まあその頃には物語の余韻に浸り始めてるのではあるけど。
できれば前編・後編で2回にして最後まで丁寧に書き切ってほしかったという欲が出る、すごいものを見せられたなという映画でした。
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