「映像作品としては傑作、映画としては駄作」国宝 nさんの映画レビュー(感想・評価)
映像作品としては傑作、映画としては駄作
まずは「吉沢亮さんと横浜流星さん本当に素晴らしい演技ありがとうございます、そしてお疲れ様でした。」と言いたい。それ程にこのお二人の演技は凄まじいものだった。ただそれだけ…、それ以外に感想を抱く事の出来ない映画だった。というか映画と言えるのかすら怪しい程ずさんなストーリーだった。
第一にこの映画のタイトルは「国宝」である。然るべきして主人公が「国宝」に至るまでの人生を描いた物語となる。果たしてそれは描かれたのか?父親が坑争で亡くなれば、彼女が他の男に奪われれば、師匠と兄弟子が糖尿病で亡くなれば、悪魔に他に何もいらないから一番の歌舞伎役者になりたいと願えば「国宝」となれるのか?
断じて否!そこにはそれぞれのキャラクターの苦悩やエゴが存在した筈である。それを通して尚も自分のエゴを突き通した末に「国宝」に至ったのではないのか?勿論私達(鑑賞者)で幾分かはその内容を補完する事は出来る、然し余りにも情報が少なすぎる為にその表層しか補完できず結果キャラにも共感出来ない。
劇中内で師匠が演技指導で「言葉に力が無い!」と主人公を叱ったがこの映画は「なら言葉にせんといたろ笑」とばかりに全く言葉(セリフ)が無い。そういった情報を詰め込まずに見せるのは歌舞伎。最初に言った通り役者さんの演技が素晴らしい為、一番の見せ場となっているがそうじゃないだろう。私は映画を見に来たのであって歌舞伎を見に来た訳ではない。
勿論映画とは俳優無くして成立しないが、ここまで俳優頼みの映画を見たのは初めてだ。この作品が売れたとて、それは映画監督の実力ではなく、吉沢亮さんと横浜流星さんと原作者様の実力に他ならない。これ程までに良い映像作品を映画として成立させられない手腕を恥じてほしい。
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