「0から感想を思うままに」国宝 よんさんの映画レビュー(感想・評価)
0から感想を思うままに
8月2日に鑑賞。
公開から約2ヶ月たち、大衆鬼映画の襲撃に合うも、箱はほぼ埋まってた。
隣のじゃがりこガリガリ食う女と、前のスマホを触って何度も落とすババアと、濡れ場で馬鹿みたいに反応するキモじじい、スマホの通知音が何度かどこかで鳴ってる、
とてもとても最悪な環境での鑑賞でした。
本当にざんねん。
国宝すごい!面白い!
という声が多く、一緒に見に行った知人の強い希望で鑑賞しました。
知ってた前情報は、
吉沢亮と横浜流星と渡辺謙が出てくる。
歌舞伎の話
吉沢は血が繋がってない弟子で、横浜は血のつながりがある。
というくらい。
公開前のポスターで、役者とか見ないでなんとなく歌舞伎のドキュメンタリー的な作品なのかな?
と思ってたくらいの情報のなさ。
日本アカデミー総ナメレベルとの声を聞きちょっとは気になってはいたけど……
見終わって、シンプル感想が、
・ホワキンジョーカー
・怪物くんはやはり怪物的
・長すぎ、客への信頼0?技術は文句なし
ってかんじだったかな、細かく思い出すと
言いたいこと沢山あって、まとめるのが難しいです。
この3つを主に、細かくつらつらと。
こういう解釈あるよ、ってのはコメントで教えて欲しいです。
1ホワキンジョーカー
まさに、屋上で舞うシーンはホワキンジョーカーそのものすぎません?頭によぎりませんでした?
白塗り、真っ赤なアクセント、
それがよれて、笑ってるのか泣いてるのか分からない狂気じみた表情。
この映画が歌舞伎のドキュメンタリーじゃない時点で、歌舞伎すげー!ではなく、国宝となる人は他の人とは違ってどこか狂ってる!これが喜久雄の生き様!がメインテーマとなると思う。
だから、ここのシーンは歌舞伎での地位的なのが無くなり、血に縛られてない人間として別の道で生きるのもできただろうに踊り続けた喜久雄の心が 狂おしく美しかった。
屋上から落ちるんじゃないか、このまま死ぬのか?とか、なんか恐怖があった。
そこできた森さんとのやりとり。
なんかこのセリフ達がアドリブだったと言う人がいるけど、そうなんですか?
もしアドリブならば、森の演技力というか役と作品の理解力すごい。
あのセリフの有無で最後の答え合わせが変わってくると思うから、あのセリフなしは考えられない。
つまり、アドリブなら森の大勝ちで脚本家の大負けである。
(最後の答え合わせはまた後ほど)
ホワキンジョーカーが評価されて、あの狂演を、
吉沢はやってのけた。
和製ジョーカーの誕生であり、吉沢の演技力が眩しい。
全体的に歌舞伎の演舞は吉沢も横浜も凄いとは思います。
でもそれは役だから出来なきゃ話になりませんし…
そして歌舞伎がすげーが映画の本題じゃないので、この感想は割愛で。
2怪物くんはやはり怪物的
怪物くんとは、「怪物」で演技光りまくってた、
黒川想矢さん。
怪物級に今回も演技が凄かった。
怪物の時のスピーチで、2つの自分と戦ってる。と言った、かっこいい心の持ち主で、
黒川さんの演技の実力が今回確定となったと思う。
女形として衣装を着てるとき、顔立ちが綺麗すぎて見惚れた。
父親が襲撃にあった時、橋の下で覚悟を決めてる時、墨を入れてる時、全部の表情が良すぎた。
初めて舞台の裏側に行く時のセットに触れながら歩いてるキラキラした表情と、親の仇を失敗したと言った時の重い苦い表情と、田中泯さんの舞踊を見て感動してる時の表情と、、、
惹かれる表情が多すぎる、つい目で追っちゃうんだよなあ。
かわいいなあ、かっこいいなあ、
というか、任侠の世界での頭の血縁でも歌舞伎の真似事みたいなやつやらされるの?下っ端だけどやらされるもんなの?
任侠の世界と歌舞伎の世界、繋がりあるんか…そりゃあるか……
高畑ともなんだかんだ一緒にいるんだし、一緒に仇打った相方も実は裏で繋がってて欲しいな…なんて。でも失敗したってのは、そうじゃないんでしょうか?
頭がないと困るのは、任侠時代も味わってたのか、喜久雄くん…
とまあ、色々考えるとキリないですが。
私の中で主演賞でも、助演賞でも、受賞できるくらい黒川さんは凄いと思ったし、
テレビドラマやチープな映画に安売りするような人にはならないで欲しいなと願います。
3長すぎ、客への信頼0?技術は文句なし
3時間くらいあるんですよね。この作品。
長すぎませんか?
繰り返すけどこの映画のテーマの国宝になる人間とは?喜久雄の生き様とは?な訳で、
カットできる、いらないシーン沢山詰めすぎ。
原作があるらしく、おそらく削ったシーンは沢山あるのでしょう。
それでももっと短く出来たでしょうに…
まず、国宝となった吉沢のインタビューが、
私の中での「最後の答え合わせ」だと思うんです。
2つの質問をインタビューされてるシーンです。
1若くして国宝となり順風満帆でしたね?
国宝になったのはみなさんのおかげです。
2何を目指しているのか?
見たい景色があるんです。言葉じゃ表せないけど。
こう質問されて、こんなような感じで答えていました。
これがこの映画の答えでしょう。
と、私は思いました。
側から見たら順風満帆。
実の息子を差し置いて3代目を襲名し、
渡辺謙、田中泯、横浜流星、の死後
一門を(トップとして)支えて、国宝となる。
本当は任侠の人間だった事や、隠し子、森とのスキャンダルで一時は歌舞伎を離れていた事…
世間はすぐに忘れてしまう。
森パパの言うとおり、世間一般からは、順風満帆に見えるでしょう。
そして、決まった文句で、皆さまのおかげです。と。
皮肉だよ。
皆さんを蹴落としてきた。捨ててきた。おかげです。
怖いですね。
それから二つ目の質問の答え。
見たい景色があるんです。
ほんと、森の例のセリフのように、
何を見てるの?だよ。
何が見たくて、何を見てるんだよ。
見たい景色なあ。。。
もし、例のセリフが森のアドリブならば、
この後のカメラマンの女のグダグダな説明は仕方ないのかもしれない。
アドリブじゃないなら、いらない!カットして良い。
客を信じてカットするべきだ。
カメラで写真を撮るよと言うのに、全然外を眺めてる。
見たい景色は、カメラマン(娘)ではない。
カメラマンが娘と同じような年頃で、全然カメラを向かない、服を直すために触れてもなお外に目をやる…
それだけで、このカメラマンの女は娘なんだろうな
ってのがわかるのに、
わざわざ、わかる?みたいに聞かんでええ。
忘れられても憎んでも歌舞伎を見てると感動するよ、なんてわざわざ言わんでええ。
外に目をやってるだけで、カメラマンとして歌舞伎役者の父を写真におさめるだけで、分かるから。
ぐだぐだ、最後にいらん解説的シーンをわざわざ入れられて興醒め。映画の良さを殺しにかかってる。
ドキュメンタリーじゃねえんだよ。
それと、ついでに
森さんの濡れ場もいらんやろ。あんなはっきり写さなくてもいいやろ。
森パパに役の交渉をして、森にお兄ちゃんお兄ちゃんって可愛く声かけられて、森パパに殴られる
それだけでいいだろ。森が色っぽすぎたから?
高畑と比べて、ドキっとしたから?高畑くらいサラッとでいいのに。
雨の日に高畑のアパートに雨宿りした横浜のシーンくらい、ニュアンス?とかでもいいのに、
あのシーンのせいで、キモいおじさんがなんか唸ってた。気色悪い。
強引的駆け落ちに説得力持たせたいのか知らんけど、
カットしても理解できるよなあ。
他のシーンで、色々出来たんだし、わざわざここのシーンを入れるのはもったいないような気もする。
とまあ、この映画みたく長々とつらつらと書いてきたけど、
総じて楽しかったし、
ホラー映画みたいな人間の怖さと醜さの恐怖を感じたし、
吉沢と横浜と黒川の狂演が拝めたのでよかったです。
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