「歌舞伎役者として悪魔と取引するほどの飽くなき追求心。本気の人たちの魂のぶつかり合いに心が揺さぶられる映画」国宝 三上結香|海外映画大好き女子さんの映画レビュー(感想・評価)
歌舞伎役者として悪魔と取引するほどの飽くなき追求心。本気の人たちの魂のぶつかり合いに心が揺さぶられる映画
第78回カンヌ映画祭監督週週間で公式上映された国宝。
入れ違いで現地で見ることはできなかったが、日本の映画館で視聴。
感想は、とにかく「すごい」。
約3時間の映画があっという間で、スクリーンに引き込まれたまま終了。
数日経った今も、映画の中の世界にいる錯覚を起こすくらい。
伝統芸能の歌舞伎の世界。
世襲で将来が約束されている横浜流星演じる俊坊と、任侠の出で守ってくれる血縁がなく、芸や才能だけで生きなければならない吉沢亮演じる喜久雄。
まずは2人の関係が美しかった。
渡辺謙演じる花井半二郎の代役に喜久雄が任命され、舞台前でのシーン。
それぞれの置かれた立場が違うからこその心情。葛藤や喜びがありありと伝わって、
涙なしには見れませんでした。
2度目の曽根崎心中も、同じように涙なしには見れませんでした。
1度目では離れ離れになった作品。2度目には2人の心が通じ合った作品へ。
2人の役者魂が共鳴して、どんな言葉も陳腐に聞こえてしまうような、
ものすごい圧巻の舞台でした。
国宝にまでなる喜久雄のプロ意識がすごい。
歌舞伎以外一切興味がない。自分のことを好きでいてくれた彼女も、家族も、子供も。
「神様に願い事をするのではなく、悪魔と取引していた」というくらい、
歌舞伎が上手くなる以外には何も入りません、と宣言するくらい。
芸への飽くなき追求心にとにかく圧倒されました。
「ここまで来るまでにどれほどの人を傷つけ犠牲にしてきたのか。
でも、三代目花井半二郎の舞台を見た時に、驚くほど魅了され、違う世界へ連れて行ってくれると感じる。終わったら思いっきり拍手をしていた。」
最高の褒め言葉だと思いました。
見たい景色があり、ずっとそれを追い求め続けている。
最後の鷺娘を通して見れた景色。
一生かけて熱中できるものがあることそのものが美しいと思いました。
もう一回見たいか?
良すぎたのでもう一度見たい、という気持ちと、
あまりにもあらゆる感情を受け取って重すぎたので、見るのは1回でいいという気持ち。
どちらも隣り合わせの気持ちです。
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