「ポップコーンを食べるのに、とんでもない緊張を強いられる映画」国宝 momokichiさんの映画レビュー(感想・評価)
ポップコーンを食べるのに、とんでもない緊張を強いられる映画
ところどころで登場する歌舞伎のシーンでは、館内が緊張と静寂に包まれる。
演者の心の機微や微細な表現の差異が、ビシビシと伝わってくる。
発せられる一音、指先の動き一つに至るまで、なんと精神的で繊細な芸能なのか。加えて、迫力と華やかさも。
「歌舞伎=古くて退屈」という先入観が、完全に覆された。面白い。
「血」と「芸」。
伝統芸能では世襲が前提。部外からの成り上がりは並大抵のことではない。。
・三代目襲名は既定路線と思っていたものをはく奪される俊介の辛さ。
・才能と実力で三代目になっても、家の力に押し返される喜久雄の辛さ。
双方の慟哭がスクリーンにありありと表れていて、胸が痛かった。
吉沢亮、横浜流星。一体どれだけ稽古したのだろう。本当に見事であった。役者って凄い。
『さらば、わが愛 覇王別姫』と似ているという噂もあったが①こちらはどちらも女形②双方に恋慕はない(たぶん)、という点で大きく異なる。ただ、伝統芸能において素人の俳優が本当に見事に女形を演じ切ったという点でレスリー・チャンと吉沢亮、横浜流星は共通していた。
「歌舞伎」「世襲・家」など日本の根源的な面を表現するのに、いままでにないダイナミックな表現だった。この感覚はどこか「PERFECT DAYS」と似ている。
一方、少年時代から人間国宝になるまでの長い時間軸を順に描いているせいか、伝えたいことがやや散漫になった印象もある。
原作ではどうなのか?その辺りをうまく言語化しているのでは?私には珍しく原作を読みたくなった映画であった。
※「国宝」という題名には違和感がある。まだ私が咀嚼できていないだけかもしれないが。
※少年時代を演じた彼の演技(特に女形の演技)も心を奪われるものがあった。渡辺謙が目が釘付けになるのも納得の演技であった。
※横浜流星の女形はちょっと怖いよ!顔のパーツがでかいからだな。
※永瀬正敏が演じたヤクザの親分が、しずるのLOVE PHANTOMネタの兄貴役にみえて仕方がなかった。ほんまごめん!
ポップコーンで笑いました。非常に分かります。
僕も内容をうまく咀嚼できてないせいか、面白かったたけど「なんだったんだ!?」、どの部分を強く描きたかったのかな?という所を彷徨っています。
共感とコメントありがとうございます!
過分なお言葉、嬉しいです!
>『さらば、わが愛 覇王別姫』と似ているという噂もあったが①これはどちらも女形②双方に恋慕はない(たぶん)、という点で大きく異なる。 ただ、女形を見事に演じるという点はレスリー・チャンと吉沢亮、横浜流星で共通していた。
同感です。監督が覇王別姫を例えに出したようなんですが、主人公が女形で伝統芸能の世界を描いているということしか共通点がないような。
でもって、横浜流星は顔がシャープで具が大きいから、確かに女形やると怖いですね。
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